著者
下野 嘉子
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.19-25, 2023 (Released:2023-06-30)
参考文献数
32
著者
猪谷 富雄 藤田 琢也 玉置 雅彦 黒柳 正典 藤井 義晴
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.316-323, 1999-12-01
参考文献数
8

タデ科, カタバミ科, アカザ科, シュウカイドウ科, バショウ科の体内に比較的高濃度のシュウ酸塩を含むことが知られている植物種(以後, 本論文ではシュウ酸植物と記す)計53種を供試し, それらの乾燥葉から滲出する物質のレタス初期生育に対するアレロパシー活性をサンドイッチ(SW)法によって検定した。SW法では供試植物乾燥葉を0.5%寒天中に包理後, 検定植物の種子をその上に播種し, 20℃で3日後の幼根長と下胚軸長を測定し, その伸長程度(対照区比)によって供試植物のアレロパシー活性を評価した。その結果, ショウ酸植物にはアレロパシー活性に関して大きな種間差異がみられ, 特にカタバミ科とシュウカイドウ科Begonia属において最も活性が強く, ほとんどの種で乾燥葉からの滲出物がレタスの幼根伸長を90%以上抑制した。次に, アレロパシー検定に供試したシュウ酸植物のうち18種の総シュウ酸含量(水溶性および不溶性を含む)を測定し, 上記SW法における幼根長の対照区比との関係を検討した。その結果, シュウ酸植物の総シュウ酸含量には大きな種間差異が存在し, かつほとんどの植物種については総シュウ酸含量とそのレタスの幼根伸長の対照区比との間には有意な負の相関が認められた。従ってシュウ酸植物の示すアレロバシー活性の一因は体内のシュウ酸であることが示唆された。一方, 数種のシュウ酸植物については上記の相関関係から逸脱するものも存在したので, これら植物のアレロパシー活性には, 植物体中の総シュウ酸の化学的形態の違いや他の抑制物質が関与している可能性が推察された。
著者
藤野 美海 汪 光熙 冨永 達
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.32-37, 2016 (Released:2016-05-07)
参考文献数
28
著者
荷川取 佑記 原口 大 仲宗根 弘晃 儀間 靖 平良 秀平 砂川 喜信 比屋根 真一 黒沢 高秀 浅井 元朗
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.35-40, 2021 (Released:2021-07-13)
参考文献数
11

メキシコ原産であるトウダイグサ科のカワリバトウダイ(Euphorbia graminea Jacq.)は,日本でも沖縄本島のうるま市で2004年に確認された外来種であり,近年においても,沖縄県の離島である宮古島の各所でカワリバトウダイの生育を観察し,サトウキビ圃場への侵入を確認した。そこで,宮古島地域でのサトウキビ圃場におけるカワリバトウダイの分布状況およびその推移を把握するため,標本調査,過去に行われた植生調査の確認を実施し,現地調査を2017~2018年および2019年の2回に渡って行った。その結果,宮古島地域では2007年に初めて確認され,5年ほどで分布を拡大しながらサトウキビ圃場に侵入し,10年ほどで一部の離島を除くほぼ全域に広がり,2019年には宮古島地域のサトウキビ圃場全体の20~30%で確認された。本調査結果から,宮古島地域ではカワリバトウダイが既にサトウキビ圃場における主要な雑草の一つとなっており,また本地域において短期間で急速に分布拡大をしたことから,他地域においてもサトウキビ圃場における主要な雑草となる可能性があり,注視していく必要がある。
著者
川口 佳則 中谷 敬子 沖 陽子 長谷川 博
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.31-35, 2012 (Released:2012-08-25)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

畦畔に植栽されたセンチピードグラスの種子繁殖による逸出リスク評価に関する基礎知見として,畦畔での結実状況および結実種子の休眠·発芽特性を明らかにするため,滋賀県内の畦畔で結実状況を調査し,結実した種子を用いて発芽試験と吸水実験を行った。結実状況調査により,畦畔での種子生産は8,000粒/m2を超えると推定された。採取後23,60,100日間の3通りの風乾処理および採取後20日間風乾後40,80日間の2通りの低温湿潤処理をした種子を供試し,温度条件4水準(35/15°C変温,35°C,25°C,15°C),光条件2水準(明,暗)の発芽試験を行った。その結果,種子は比較的浅い一次休眠を有し,休眠が深いほど発芽に高温と光を要求すると考えられた。種子は採取後日数の経過に伴い風乾でも次第に一次休眠から覚醒するが,100日以下の風乾では光要求性が残存すると考えられた。40,80日の低温湿潤処理により種子の休眠覚醒はより促進され,光要求性も小さくなると考えられた。吸水実験では発芽試験と同じサンプルの種子を供試して24時間吸水させた結果,30%を超える重量増加がみられたため,種皮は透水性と考えられた。
著者
中山 祐一郎 梅本 信也 伊藤 操子 草薙 得一
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.332-338, 1997-01-31 (Released:2009-12-17)
参考文献数
19

オオバコの種内変異を調査するため, 京都市北東部の8集団かち得た系統を供試し, 同一条件下での栽培実験を行なった。さらに, 生育地の環境を調査して, 種内変異と生態分布との関連を検討した。1) オオバコの形態には著しい遺伝的変異が認められ, 普通型と minima 型の2型が識別された。普通型では, 葉は大きく斜立し, 葉脈数は5で, 花序は長く, 斜立~直立し, 1蓋果は3~7個の大きな種子を結ぶ。minima 型では, 葉は小さく傾伏し, 葉脈数は3で, 花序は短く, 傾上し, 1蓋果は4~10個の小さな種子を結ぶ。2) 普通型は, 畦畔や農道, 路傍, 未舗装の駐車場, 社寺林の林床などに生育していた。minima 型は神社や仏閣の境内に限って生育していた。3) minima 型の生育地である神社の境内は, 薄暗く, 土壌中の窒素とリンの含量が普通型の生育地より低く, 維管束植物の多様度指数が低く, また毎日掃き掃除が行われるなど, 普通型の生育地とは環境条件や管理様式が顕著に異なっていた。そのため, minima 型はストレスや撹乱の質と程度に関して普通型とは異なった環境に生育していると考えられた。オオバコの種内2型はこのような生育地の環境条件の違いに適応し, 住み分けているものと推定された。
著者
尼子 直輝
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.137-140, 2007-09-28
被引用文献数
2

外来生物による被害を防止し,生物の多様性の確保,人の生命・身体の保護,農林水産業の健全な発展を目指し制定された「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(通称「外来生物法」)」が2005(平成17)年6月1日に施行され,2年が経ったが,身近な植物も規制対象となっている反面,法律についてあまり知られていない面もある。ここでは,法律の概要,指定の経緯,法律に関する身近な疑問とその対応などを紹介する。
著者
保田 謙太郎 中山 祐一郎
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.9-16, 2016 (Released:2016-05-07)
参考文献数
32
被引用文献数
1 1

タイヌビエ(Echinochloa oryzicola)の日本国内での地理的変異を明らかにするため,沖縄県を除く636地点で穂を収集し,小穂C型とF型の分布を調べた(調査1)。また,日本国内4ヶ所の標本庫に収蔵されている87点の標本を対象に両型の分布を調べた(調査2)。調査1ではC型は396地点で,F型は377地点で収集された。種間重なり合い指数(ω)からは両型の分布は独立であり,Moran’s I統計量からは両型とも有意な正の空間的自己相関を持ち特定の地域に偏って分布していると判断された。調査2では北海道と近畿地方で採集された標本が多く,それら地域での傾向は調査1の結果に類似した。両調査によってC型は東京都,神奈川県,山梨県,静岡県,愛知県,近畿地方,岡山県,鳥取県,広島県,山口県,四国地方,福岡県,大分県までの連続した地域で非常に高い頻度で分布しており,F型は北海道,東北地方,北陸地方,長野県までの連続した地域と千葉県と鳥取県で非常に高い頻度で分布していることが明らかになった。C型は太平洋側の水田中に多く,F型が日本海側の水田中に多い傾向にあるとする従来までの見解を一部修正した。
著者
木嶋 利男
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.14-18, 2011 (Released:2011-09-09)
参考文献数
20
被引用文献数
2 1 1

栃木県に伝わるユウガオの株元に長ネギを混植する伝承技術を応用し,ネギ属植物に親和性のある拮抗細菌(Burkholderia gladioli)を接種し,これを混植することで,ユウガオつる割病(Fusarium oxysporum f.sp. lagenariae),キュウリつる割病(Fusarium oxysporum f.sp. cucumerinum),トマト萎ちょう病(Fusarium oxysporum f.sp. lycopersici),などの土壌病害を防除する方法を開発した。防除効果の発現機構としてはB. gladioliの産生するピロールニトルリン,ネギ属植物が産生するアリシンがFusarium属菌を抗菌することが考えられた。また,ネギ属植物と野菜との混植が土壌微生物相を多様化し,土壌病原菌の活動を抑制したと推察した。また,ウリ類をムギ類や雑草などで草生栽培する伝承技術から,うどんこ病に重寄生する重寄生菌Ampelomyces quisqualisを雑草で増殖させ,雑草を重寄生菌のバンカープランツとして利用し,うどんこ病を防除する方法を検討した。
著者
植村 修二
出版者
日本雑草防除研究会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.36-45, 2012-06

筆者が「帰化植物メーリングリスト」へ投稿した情報などをもとに,帰化植物の同定,侵入・定着の近年の特徴,定着後の分散についてまとめた。輸入物資を扱う貿易港やそれらが運ばれる工場などは,第二次大戦後非意図的に帰化植物が繰り返し集中して侵入したため「帰化センター」と呼ばれた。現在,「帰化センター」として機能する場所は激減したが,輸入緑化種子や園芸用土の夾雑種子,観賞用植物の逸出やマニアによる移植など侵入経路は多岐にわたり,帰化植物の侵入が広範囲にわたっている。定着後の分散事例としては,花が美しいため意識的に除草を免れて道路沿いに伝搬したナガミヒナゲシ,都市部や市街地の舗道に適応した路面間隙雑草や大規模開発に伴う造成地に広がる先駆植物となる帰化植物などが挙げられる。問題となる帰化植物の侵入,分散および繁茂に対しては,刈り取りを行うことで抑制することが有効な手段になりうる。
著者
河野 昭一
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.1-10, 1984-05-25 (Released:2009-12-17)
参考文献数
60
著者
河野 昭一
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.145-149, 1975-12-25 (Released:2009-12-17)
参考文献数
12
被引用文献数
2 1
著者
萩森 福督
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.28-33, 1965-12-25
被引用文献数
5