著者
有松 優 塩谷 亮太 安藤 秀樹
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.388, pp.47-53, 2012-01-19

発行キューを拡大することは,命令レベル並列(ILP:instruction-level parallelism)の利用において重要である.しかし,大きな発行キューは電力を多く消費するという問題があり,また,拡大に対する性能向上率はしだいに低減する.よって,単純な拡大は電力効率が悪い.本論文では,大きな発行キューが必要となるL1データ・キャッシュ・ミス時に拡大を行うことでペナルティを隠蔽し,高いIPCを達成しつつ、一方で,そのようなイベントがない定常状態では電力効率を重視し,可能なだけ発行キューの縮小を行う動的リサイジング手法を提案する.SPEC2000ベンチマークを用い本手法の評価を行った結果,128エントリの発行キューを持つプロセッサに対し,SPECint2000では,約0.3〜1.5%の性能低下で,約50〜67%の発行キュー・サイズの削減率を,SPECfp2000では,約3〜7%の性能低下で,約50〜65%の発行キュー・サイズの削減を達成した.情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC). v.2012-ARC-198, n.10. 2012, p.1-7 (c)情報処理学会
著者
山中 顕次郎 漆谷 重雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.208, pp.77-82, 2012-09-20

ディザスタリカバリに備えたバックアップの遠隔転送を目的に,利用者が指定した速度で転送を行うファイル転送方式を提案する.本方式には,ネットワーク遅延やパケットロス率,それらの動的変動に関わらず,指定速度を守る,という特徴がある.このため,インターネットなどの安価な共用回線を介して,時間制約のあるファイル転送を行うのに有用である.本方式を用いて,海外パブリッククラウドとの間(ネットワーク遅延270ms)でファイル転送を行い,560MbpsとLAN並みの転送速度を達成したので,その実験結果も報告する.
著者
川合 裕之 北尾 光司郎 今井 哲朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.376, pp.147-152, 2012-01-18

LTE (Long Term Evolution)など複数の送受信アンテナを用いたMIMO (Multiple-Input Multiple-Output)送受信を行う高速移動通信システムのサービスが次々と開始され,MIMOによるより広いエリア構築が課題となっている.本報告では漏洩同軸ケーブル(LCX)を用いたMIMOエリア構築の一検討として,線路沿線に敷設されたLCXを用いた列車内LTE MIMOスループット特性を計算機シミュレーションにより評価する.そして,列車内の移動局の位置やLCXの高さなどをパラメータ化して評価を行うことにより,MIMOによる速度向上効果が得られる移動局・LCX配置やSIR (Signal-to-Interference Ratio)条件などを明確化する.
著者
宮澤 史穂 高木 幸子 田中 章浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.455, pp.149-154, 2013-03-04

本研究は,複雑な高次感情について概念構造(研究1)と,認知および表出(研究2)の2つの側面から検討を行った.研究1では質問紙を用い,高次感情にどの程度基本6感情が含まれているかを,それぞれ7段階で回答させた.研究2では参加者は,基本6感情を表す表情と音声を組み合わせて,指定された感情を最も適切に表すような発話動画を作成することを求められた.その結果,本研究で扱った6種類の高次感情は,概念構造と,認知および表出において共通した4つの基本感情の組み合わせに分類された.したがって本研究では,少なくとも一部の高次感情は,基本6感情の組み合わせによって説明できることが示唆された.
著者
藤原 健 大坊 郁夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.412, pp.59-64, 2013-01-24

本研究では、競争/協調という文脈と、ポシティブ/ネガティブという感情が、笑顔あるいは悲しみ表情の刺激人物に対する会話動機評価にどのような影響を与えるのかについて検討を行った。具体的には、68名の男女大学生を対象に、競争/協調のプライミングおよび感情誘導を兼ねて音楽刺激の提示とエピソード記述を行ったうえで、刺激人物(笑顔 or 悲しみ表情)とどの程度会話したいかについて回答を求めた。その結果、笑顔の人物に対する会話動機で2要因の交互作用が有意となり、競争条件のポシティブ感情群は協調条件のポジティブ感情群よりも会話動機を低く評価していた。また、競争条件のネカティブ感情群は笑顔の人物に対する会話動機を高く評価していた。悲しみ表情の人物に対する会話動機については、競争/協調あるいは感情の効果は有意とならなかった。これらの結果について、適応的気分効果仮説から考察された。
著者
岸 俊介 坂本 直志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.463, pp.89-94, 2013-03-07

近年、BluetoothなどのPAN対応端末の普及などにより、すれ違い通信が活用されるようになってきた。これは端末開か接近した時のみ通信が自動的に行われる仕組みである。これにより、たまたますれ違った端末同士でゲーム中のアイテムの交換を行うなど、新たな通信媒体として考えられるようになった。本研究では、このすれ違い通信をメッセージの伝搬媒体として活用可能かどうかを調べるため、NS2などのシミュレーションによって、様々な特性を調べた。
著者
岩間 太 中村 大賀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.282, pp.67-72, 2011-11-10

要求・仕様書や設計書などの上流文書成果物に対応して計画・実施される統合・システムレベルのテスト設計では,コードを対象とした単体・結合レベルのテストに比べ自動化技術が進んでおらず効率面・品質面から問題となっている.このような状況を改善することを目的とし,我々は,上流文書成果物からのテストケース設計作業を自動化するための課題を整理し,それらを解決する手法を汎用的な枠組として提案したい.提案手法では,テストケースを定義する際に重要であり,かつ現実の多様な文書から取得することが可能な情報のモデルを実プロジェクトからの洞察をもとにまとめ,これを構造的なタグとして定義する.その上で,対象文書からの情報をRDF形式のデータとして抽出しRDFストアに一元的にまとめ,抽出されたRDFリソースデータに対して上記モデルで定義されたタグを付加する.その後,このタグ情報を用いて文書からテストケースを一様な手続きのもと生成する.本論文ではこの手法とその実装システム,実プロジェクトへの適用結果の概要を示す.
著者
菅野 伸 平澤 徳仁 秋山 佳春
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.335, pp.13-17, 2011-12-09

現在、国際無線障害特別委員会(CISPR)において、照明器具の放射妨害波測定(30MHz〜300MHz)の代替として、CDNE (Coupling and Decoupling Network for Emission)を用いた伝導妨害波測定(CDNE法)を適用することが検討されている。世の中の省エネ要求に後押しされ急速に市場導入が進むLED照明ではあるが、一方で、電波受信障害発生の報告例もあり、その要因である放射妨害波を再現性良く評価することは、非常に重要であると考えられる。そこで本報告では、LED電球4機種を供試装置とし、CDNE法とCISPR16-1-4に準拠したアンテナや測定設備を用いた放射妨害波測定法との比較を行い、両者の相関係数が0.22〜0.60と小さいことを示している。また、相関性が弱い要因の一つとして、電源ポートのインピーダンスの違いに着目し、その安定化による相関性改善について検討した結果を示している。
著者
山内 仁 尾崎 公一 佐藤 洋一郎 福田 忠生 小武内 清貴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.20, pp.29-34, 2013-04-26
被引用文献数
1

画像の拡大・高解像化のために様々な画素補間手法が提案・利用されているが,より高精度な拡大画像を得る手法についての要求はいまだ根強い.本稿では,画素値をその局所領域のエネルギーとみなし,それを保存する新しい画素補間手法を提案する.まず,画素値が定義されている座標に対して,画像原点とその座標で決まる領域の画素値の積分を定義する.この積分値は,その座標における画素値とその近傍の3つの座標における積分値から決定できる.そして,各局所領域における積分値の分布を,その領域を規定する4座標における積分値を制御点として,B-Spline曲面で補間する.これにより,画素値は完全に保存され,局所領域内の任意の座標における画素値は,その補間曲面の偏微分として得られる.検証実験の結果,従来広く用いられている画素補間手法に比べて良好な画質の拡大画像が得られることを確認した.
著者
栗野 俊一 伊藤 和美 池田 由季 吉開 範章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.363, pp.29-34, 2011-12-17
被引用文献数
2

DDoS攻撃に対する新しい情報セキュリティ対策を具体化するために,コンピュータウィルス感染時のヒトの意識に関する研究を行っている.ウイルス感染時における心理状況は,一種のパニック状態と見なせるが,現在までに報告された例はない.今回,その対策を検討するための基礎データを収集する目的で,ウィルスに擬似感染させる実験を行い,ヒトの心理と行動の特徴を分析したので報告する.
著者
上原 尚 嶋田 和孝 遠藤 勉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.367, pp.13-18, 2012-12-19

本論文では,Webから観光情報を抽出し,複数の特徴ベクトルから観光地間の類似性を評価することで,観光地を推薦するシステムを提案する.本システムでは,入力をユーザのお気に入りの観光地とすることにより,観光地の幅広い特徴分析に対応し,同時にユーザの嗜好解析も実現する.観光地の特徴ベクトルは,(1)知恵袋・ブログ上での共起キーワードと(2)時系列分布,(3)知恵袋上でのカテゴリ構造,(4)観光地周辺施設,(5)地図画像から生成する.これらの特徴ベクトルからベクトル空間モデルの考え方のもと,コサイン類似度の算出を行い,類似性の高い観光地を推薦する.さらにどこが特徴的なのかを明確に表現するため,差分の可視化にも取り組む.