著者
湯澤 美紀 湯澤 正通 齊藤 智 河村 暁
出版者
ノートルダム清心女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,学習に困難を抱える子どもの読み書きに関する能力の向上を目指し,ワーキングメモリならびに音韻認識に着目した学習支援の研究を行った。まず,個人のワーキングメモリのプロフィールを測定するために,オートメーティッド・ワーキングメモリ・アセスメント(以下AWMA)の日本語版を作成した(2009年)。次に, AWMAを用い,特別支援学級に所属する児童10名のワーキングメモリのプロフィールを測定した(2010年)。次に,英語の活動を週1回, 14カ月(2010年~2011年)の長期にわたって実施した。学習支援プログラムについては, (1)ワーキングメモリの小ささに由来するエラーの軽減(2)ワーキングメモリプロフィールに応じた支援(3)音韻認識に着目したプログラム内容を目指し,構成した。結果,子どもたちの英語の音韻認識に向上が見られ,最終的には,英語の読み能力を身につけ,主体的に学習に取り組む姿が見られた。
著者
石原 金由 多田 志麻子
出版者
ノートルダム清心女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究では,現代の子どもの睡眠習慣に焦点を当て,睡眠短縮,就床時刻の後退(夜更かし)が心身の健康状態にどのような影響を与えているかを検討することを目的としていた.研究計画に沿って,当該研究期間に2つの実験的研究,フィールド研究,小学校からの委託調査研究が実施された.概要は以下のとおりである:実験研究1 3名の児童・生徒を対象に縦断的に実施されている.1名につき3日間の測定日を設け,最初の2日は基準日,3日目は2時間睡眠を短縮する実験日であった.基準日の一方は,授業期間と同様の就床・起床時刻を設定し,他は授業期間よりも1〜1.5時間睡眠時間を延長した.測定された指標は,入眠潜時(1日5回測定),舌下温であった.入眠潜時は,基準日と比較して睡眠が短縮されると午前(10:00)及び夕方(18:00)で極端に短くなった.とくに午前中の眠気増加は全被験者に共通しており,睡眠不足の指標として有効であることが示唆された.また,体温リズムの頂点位相は年齢に伴って後退し,7-8歳で位相が確立されるとした過去の知見とは異なっていた.実験研究2 睡眠の短縮及び延長が日中の眠気に及ぼす影響を検討するために,女子高校生10名を対象に,実験研究1とほぼ同様の手続で実験が実施された.睡眠短縮によって日中の眠気は増大し,睡眠延長によって日中の眠気はわずかに改善された.主観的に睡眠不足を訴えていた者と充足している者とを比較すると,不足群では午前の眠気(10:00)が増加していることと体温リズムの位相後退が見出された.フィールド研究 2つのフイールド研究に着手し,研究1では,小学4年,6年,中学1年,3年を対象に,クラス単位(6年生を除いて各学年2クラス,6年生は1クラス)で体温,睡眠習慣,心身疲労の測定を実施した.体温リズムの位相は,小学生で学年差は見られなかったが,中学生では小学生と比較して約0.6時間後退していた.また,就床時刻の遅い者と早い者とで比較すると,心身疲労は遅い者で有意に高くなっていた.委託調査研究 4小学校の1-6年生を対象に,睡眠習慣,健康調査(ストレス反応質問紙),出来事調査(心理的ストレッサー質問紙,5・6年生にのみ実施)を実施した.心身の健康状態に影響する要因は,心理的ストレッサーだけでなく,睡眠習慣が心理的ストレッサーとほぼ同等に影響を及ぼしていることが明らかにされた.また,睡眠習慣について因子分析を行い,抽出された因子をもとに,生徒個人ごとの睡眠習慣の良否をチェックし,フイードバックした.
著者
二階堂 裕子 駄田井 久
出版者
ノートルダム清心女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、日本の企業や地域社会で実施されている日本語学習活動を、外国人技能実習生をめぐる課題の解決策のひとつとして位置づけ、その意義を明らかにしようとした。得られた主な知見は、以下の通りである。第1に、企業が日本語学習や帰国後就労の支援に尽力している場合、日本での就労経験に対する技能実習生の満足度は高い。第2に、帰国後、日本で修得した技能や日本語能力を活用して再就職できた元技能実習生の場合、来日前よりも職業的地位が上昇する傾向にある。一方、経験と能力に見合った就職先のない人も多い。第3に、過疎化が進む中山間地域で、地域住民と積極的に関わった技能実習生は、日本語の能力を高める傾向がある。
著者
濱西 栄司
出版者
ノートルダム清心女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究の目的は、公共的な場における運動行為の特徴とリアル/オンラインの展開・成果をめぐる因果的メカニズムを、非組織論的な観点から国際・歴史比較的に明らかにすることにより、民主社会における運動行為のありようや成果・意義をめぐる討議と合意形成の空間の創出に資する新たな学術的基盤を構築することにある。具体的にはWebGISやGPS/SNSビッグデータを用いて、国内外の運動行為のリアル/オンライン展開と成果を記述・アーカイブ化し、国際・歴史比較から運動行為の各社会・各時代における特徴・傾向、その複雑な因果的メカニズムを組織戦略、個人的運動行為と相互作用、物理的・社会的環境などから明らかにしていく。
著者
濱西 栄司
出版者
ノートルダム清心女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、公共的な場における運動行為の因果的メカニズムと特徴を、非組織論的な観点から国際・歴史比較的に明らかにすることにより、民主社会における運動行為のありようや効果をめぐる新たな学術的基盤を構築する。WebGISとビッグデータを用いて、国内外の運動行為の展開を精緻に記述・アーカイブ化し、その国際・歴史比較から運動行為の各社会・各時代における特徴・傾向、通底する因果的メカニズムを明らかにし、その成果に基づいて、今後の民主社会における運動行為のありようや効果をめぐる学術的知見の提供を目指す。