著者
杉戸 清樹 塚田 実知代 尾崎 喜光 吉岡 泰夫
出版者
国立国語研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

1. 日常の言語場面における談話のまとまり(質問・要求・あいさつなど)が言語行動として実現される際,どのような「構え」のもとに生成され受容されるかについて,言語行動論・社会言語学の枠組みで検討することを目的として,次の研究を進めた。(1) 前年度までに行った愛知県岡崎市,東京都内などでの探索的な臨地調査の結果,及び国語研究所の従来蓄積した敬語意識調査の結果などについて,「構え」という視点から整理・分析し,より具体的な分析の手がかりとして「メタ言語行動表現」という表現類型の有効性を検討した。(2) これらの検討に基づき,「メタ言語行動表現」「構え」「ととのえる」などという研究上の観点・方法論的枠組みについて,その有効性を主張しうる見通しを得て,その内容を提案・議論する研究論文を執筆した(裏面第11項参照)。2. 本研究の最終年度にあたるため,上記の研究論文等を中心にして「研究成果報告書」をとりまとめ印刷した(A4判全75ページ)。
著者
尾崎 喜光
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.58-73, 2003-03-31 (Released:2017-04-29)

関西では男女共通に使われるが関東では主として男性の間で使われる間投助詞「なぁ」と推量的確認表現「やろ」(関東では「だろ」)について,関西の女性がこうした表現を使った場合,関東の人がそれをどう評価するか,また関西の人は関東の人がどう評価しているとイメージするかを調べた.その結果,判断保留的な回答を除く部分で見ると,関東の人は「良い感じがする」と肯定的に評価する人の方が,「あまり良い感じがしない」と否定的に評価する人よりもむしろ多いことが分かった.その一方で関西の人は,関東の人は「あまり良い感じがしない」と否定的に評価しているだろうと考える人の方が,「良い感じがする」と肯定的に評価しているだろうと考える人よりもむしろ多かった.関東の人は,関西の女性が使うこうした表現を,当の関西の人が推測するほどには否定的に受け止めていないようである.他方,関西では使用がそれほど一般的でないが関東では男性よりも女性の間で一層よく使われている間投助詞「ねぇ」と推量的確認表現「でしょ」について,関東の男性がこうした表現を使った場合,関西の人がそれをどう評価するか,また関東の人は関西の人がどう評価しているとイメージするかを調べた.その結果,判断保留的な回答を除く部分で見ると,関西の人は「あまり良い感じがしない」と否定的に評価する人が5〜6割と多数を占め,「良い感じがする」と肯定的に評価する人よりもはるかに多いことが分かった.その一方で,関東の人も,関西の人は「あまり良い感じがしない」と否定的に評価しているだろうと考える人の方が,「良い感じがする」と肯定的に評価しているだろうと考える人よりも多いものの,否定的な評価の数値は当の関西ほど高くなく,実際よりもやや楽観的に推測しているところが見られた.
著者
尾崎 喜光
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.58-73, 2003-03

関西では男女共通に使われるが関東では主として男性の間で使われる間投助詞「なぁ」と推量的確認表現「やろ」(関東では「だろ」)について,関西の女性がこうした表現を使った場合,関東の人がそれをどう評価するか,また関西の人は関東の人がどう評価しているとイメージするかを調べた.その結果,判断保留的な回答を除く部分で見ると,関東の人は「良い感じがする」と肯定的に評価する人の方が,「あまり良い感じがしない」と否定的に評価する人よりもむしろ多いことが分かった.その一方で関西の人は,関東の人は「あまり良い感じがしない」と否定的に評価しているだろうと考える人の方が,「良い感じがする」と肯定的に評価しているだろうと考える人よりもむしろ多かった.関東の人は,関西の女性が使うこうした表現を,当の関西の人が推測するほどには否定的に受け止めていないようである.他方,関西では使用がそれほど一般的でないが関東では男性よりも女性の間で一層よく使われている間投助詞「ねぇ」と推量的確認表現「でしょ」について,関東の男性がこうした表現を使った場合,関西の人がそれをどう評価するか,また関東の人は関西の人がどう評価しているとイメージするかを調べた.その結果,判断保留的な回答を除く部分で見ると,関西の人は「あまり良い感じがしない」と否定的に評価する人が5〜6割と多数を占め,「良い感じがする」と肯定的に評価する人よりもはるかに多いことが分かった.その一方で,関東の人も,関西の人は「あまり良い感じがしない」と否定的に評価しているだろうと考える人の方が,「良い感じがする」と肯定的に評価しているだろうと考える人よりも多いものの,否定的な評価の数値は当の関西ほど高くなく,実際よりもやや楽観的に推測しているところが見られた.
著者
尾崎 喜光 朝日 祥之 野山 広 井上 文子 真田 信治 陣内 正敬 二階堂 整
出版者
大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

移住先の言葉をどう感じているか等を中心的な内容とする半構造化インタビューを、関西方言と他方言とを対照する形で実施した。また、上記のインタビュー調査において、移住先の言葉として繰り返し指摘された表現や言語行動が、当該地域において現在どの程度用いられているかを数量的に把握するためのアンケート調査を実施した。特定の観点から両調査のデータを分析した結果については学会で口頭発表した。また、アンケート調査の研究成果については冊子体の報告書としてまとめた。
著者
野田 尚史 小林 隆 尾崎 喜光 日高 水穂 岸江 信介 西尾 純二 高山 善行 森山 由紀子 金澤 裕之 藤原 浩史 高山 善行 森野 崇 森山 由紀子 前田 広幸 三宅 和子 小柳 智一 福田 嘉一郎 青木 博史 米田 達郎 半沢 康 木村 義之
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

現代日本語文法, 音韻論, 古典語, 方言, 社会言語学などの各分野から, 述べ19名の研究者の参加し, 古典語など, ほぼ未開拓であった領域を含む対人配慮表現の研究の方法論を次々と開拓することができた。とりわけプロジェクトの集大成である, 社会言語科学会における10周年記念シンポジウムの研究発表では高い評価を得た。その内容が書籍として出版されることが決定している。