- 著者
-
亀山 秀雄
- 出版者
- 一般社団法人 国際P2M学会
- 雑誌
- 国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
- 巻号頁・発行日
- vol.10, no.2, pp.193-204, 2015 (Released:2017-06-02)
- 参考文献数
- 3
- 被引用文献数
-
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第4期科学技術計画では、科学技術イノベーション政策のあり方として「課題達成型」が掲げられた。一方、「実現」を強く意識したために、「発見」を中心にした基礎研究が軽視された傾向がある。そこで、 第5期科学技術計画の策定にあたっては、「課題達成型」を包含しつつ、基礎研究から応用研究までを含むあらゆる段階の研究において、わが国の持続的成長に貢献する新しいコンセプトの検討が進められている。 その一つとして、科学技術イノベーションによって、次世代の基幹となる事業を育成し未来を創るという「未来創造型」を取り入れることがあげられている。本研究は、このような科学研究の成果をイノベーションに活用して市場で価値を獲得するために必要な価値創造プロセスを提案した。それは、「価値の発見」と「価値の実現」と「価値獲得」を相互に連携して逐次的に行うプロセスである。その価値創造プロセスを3Sモデルデで説明し、スキームモデルが「科学的・技術的価値の発見」と「社会的・経済的価値の発見」であり、システムモデルが「社会的・経済的価値の実現」、サービスモデルが「社会的・経済的価値の市場での獲得」に適合することを、事例を挙げて示した。