著者
小原 重信
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2018 春季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.325-344, 2018 (Released:2018-04-16)
参考文献数
12

Society5.0を目指す社会プログラムは、その光と影が個人に与えるインパクトに留意が必要である。国民の関心は、多様なプラス成果の「幸福価値」に対する期待である。P2Mプログラムガバナンスは、国民の参加を促進するために、広くステークホルダーを巻き込める社会共感が重要である。「プログラムベース訓練法」は、思考から行動に奨励するために、 メンタル相談型プロセスをデザインした。この手法は多様な個人が潜在能力の意識を高め、障壁を超え主体的な自信を深める狙いがある。小規模実験では時間、コスト、キャリア認識の障壁低減し、P2Mプログラムガバナンスの意義を共有することができた。
著者
高橋 佳典
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2014 春季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.238-251, 2014-04-19 (Released:2017-06-06)

日本におけるPFIは1997年に公共施設の整備に導入されてから数多く実施されてきた。より積極的なPFIの活用を計るために、近年、PFI法の改正が行われ、対象施設の拡大やコンセッション方式の導入、PFI事業にかかる投資マーケットの整備を目的として(株)民間資金等活用事業推進機構の設立が行われた。PFIの制度が整えられつつある日本において、PFIによる利点を十分活用して公共施設の整備をして行くために、PFI事業におけるステークホルダーの関係性等について整理し、そのリスク転移の構造について考察する。そして、PFI事業の状況を見ながらPFIにおける事業実施の流れの特徴を整理することで、PFIの見える化をともなったマネジメントについて考察する。
著者
新田 佳菜 森 俊樹
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.109-127, 2022 (Released:2022-03-26)
参考文献数
22

P2Mプログラムマネジメントでは、同時並行的に進行する多数のプロジェクトを管理する必要がある。しかし、従来の人手に頼ったマネジメント手法だけでは、全てのプロジェクトに十分に目が行き届かないという課題があった。そこで、機械学習を用いたプロジェクト異常予測をプログラムマネジメントに適用し、重大なプロジェクトリスクを自動で検知することを試みている。システム開発プロジェクトを対象とした試行により、精度面では実運用可能なレベルになったことを確認したが、その一方で、高リスクプロジェクトを検知するだけでは、プログラムに影響を及ぼすリスクとして適切に判断し、対応することができないという課題も明らかになった。本研究は、プログラムマネジャーがリスクを検知し対処するまでの意思決定の支援を目指し、システム開発プロジェクトの失敗の予兆となるリスク事象を体系的に抽出し、実事例と比較してその妥当性を確認した。
著者
大貫 裕二
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2013 春季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.116-125, 2013-04-20 (Released:2017-06-06)

プロジェクトのバリュー・マネジメントに大きな影響を与える為替変動の管理のために、複数の測定基準により複式簿記を記帳する2n式多元簿記を提言する。その実現には交換代数を利用する。その応用例として、一つの通貨がインフレーションの影響を受けず、他方の通貨がインフレーションの影響を受けるケースを使って、外貨換算会計について考察する。利益の発生を期末為替レートで記帳し、取引時点と期末の為替差損を記入する記帳方式によって、本来の利益の発生と、為替レート変動による差損益を分離して表示することが可能であり、多通貨による記帳の整合を図ることが可能であることを示す。
著者
田隈 広紀
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.141-152, 2022-10-23 (Released:2022-10-23)
参考文献数
27

本研究では社会科学系の初年次学生における起業への意識傾向を、事業構想・実装・運営を司る人材に必須の素養である主体性の構成要素と関連させながら調査した。その結果、主体性の構成要素のうち「想像力」が「起業意欲」と強く関連しており、「自覚」と「自由意志」が「起業意欲」と「失敗への危惧」の両方に緩く関連していることが判った。これらを踏まえ、P2M理論を適用した社会的・公益的事業のケーススタディによる起業家精神の解説、ロジックモデルとSWOT分析を併用したキャリアプランニングの演習、卒業生の実践者からのゲストスピーチによる創業マネジメントの解説を教育方略として提言した。今後は起業に至り長期構想を実現させた人材を追跡調査し、修学意識・過程と育成方法を精緻化する予定である。
著者
森本 千佳子 松尾谷 徹
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2016 秋季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.172-183, 2016 (Released:2017-07-01)

本論文は、チームの協業状態を把握する方法の試行結果を報告するものである。特に近年ではダイバーシティの進展により様々なバックグラウンドを持つメンバーとの協業が増えている。効果的にチームビルディングを行うことの重要性は実社会では理解されているものの、客観的にチーム状態を把握するのは難しく、実務の場面ではプロセス審査場面や職場観察などで行われるのが一般的である。本研究では、経済学の分野で所得格差の把握に用いられるローレンツ理論のジニ係数をチームの協業状態を把握するチーム貢献係数として応用し、複数のソフトウエア開発チームの協業状態を比較した。その結果、チーム貢献係数によってチーム協業状態の差異が把握できたことを報告する。
著者
細川 元 赤澤 智津子 西田 絢子
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.107-120, 2021 (Released:2021-10-29)
参考文献数
14

大学の教育現場では広くPBLが実施されている。本論文では、大学生が小学生向けの学習イベントを企画・運営するPBLを研究対象とし、グループとしてデザインプロセスの理解と着実な実行を行えるようにするための要件を明らかにすることを研究目的としている。ルーブリックによる評価活動をデザイン教育の一環として実施されるPBLに組み込み、達成度合いの計測を行った。その結果、複数のプロジェクトにおいて達成度合いに差異が見られた。この実践事例からP2Mの観点でプロジェクトチームのデザインプロセス実行に影響する要素を明らかにし、デザイン教育における効果的なPBL実施の要件を明らかにした。
著者
葛西 恵里子 久保 裕史
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2022 春季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.37-51, 2022 (Released:2022-04-18)
参考文献数
11

クラウドファンディングとは、インターネットを介して不特定多数の人々から少額ずつ資金を調達することであり、近年急速に市場が成長し、認知されつつあり、将来ものづくりに携わる希望をもつ大学生にとって、インターネットを活用したマーケティング4.0を学ぶための非常に実践的な手段として活用が可能である。クラウドファンディングは成功に至るまで様々な活動が必要なプロジェクトの集合体であり、全体として目標達成に向けた活動を行うプログラムであると位置付けられる。しかし学生とプログラム契約ができない下で、各プロジェクトを確実に実行できるかが不透明というリスクを持ち、運営には困難な側面も多い。本稿では、効率的かつ教育としての実のあるクラウドファンディングを実践するにあたり、P2Mにおける3Sモデルの各段階における統合マネジメントを採用し、必要な各プロジェクトを明らかにするとともに、リスク対策として、評価指標の共有による学生の能力と意欲の見える化を進めることで、意欲の持続化をはかることを提言する。
著者
村井 拓人
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2021 秋季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.250-269, 2021 (Released:2021-10-16)
参考文献数
14

頻発する自然災害や世界的な新型コロナウイルス感染症の流行による先行き不透明な超VUCA【Volatility(変動)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)】な現代において人材に求められるものは、より一層創造性を発揮させ、自ら行動し、新たな価値創出することができるスキルの向上であると考える。そのような中、P2M体系にアートの概念を取り入れることの必要性が提言され始めた。そこで本研究では、アーティストにデプスインタビュー調査を行い、その結果をテキストマイニングとコーディングによって分析し、アーティストの中に存在する暗黙知を形式化して外部から情報を得られるようにし、P2Mの中核であるプログラムマネジャーの人材開発に応用できないか検討した。
著者
亀山 秀雄
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.193-204, 2015 (Released:2017-06-02)
参考文献数
3
被引用文献数
1

第4期科学技術計画では、科学技術イノベーション政策のあり方として「課題達成型」が掲げられた。一方、「実現」を強く意識したために、「発見」を中心にした基礎研究が軽視された傾向がある。そこで、 第5期科学技術計画の策定にあたっては、「課題達成型」を包含しつつ、基礎研究から応用研究までを含むあらゆる段階の研究において、わが国の持続的成長に貢献する新しいコンセプトの検討が進められている。 その一つとして、科学技術イノベーションによって、次世代の基幹となる事業を育成し未来を創るという「未来創造型」を取り入れることがあげられている。本研究は、このような科学研究の成果をイノベーションに活用して市場で価値を獲得するために必要な価値創造プロセスを提案した。それは、「価値の発見」と「価値の実現」と「価値獲得」を相互に連携して逐次的に行うプロセスである。その価値創造プロセスを3Sモデルデで説明し、スキームモデルが「科学的・技術的価値の発見」と「社会的・経済的価値の発見」であり、システムモデルが「社会的・経済的価値の実現」、サービスモデルが「社会的・経済的価値の市場での獲得」に適合することを、事例を挙げて示した。
著者
加藤 智之 越島 一郎 梅田 富雄
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.107-120, 2018 (Released:2018-10-09)
参考文献数
18
被引用文献数
2

近年、IoTやIndustry 4.0などのデジタル技術を基盤とした新しい価値創出のための概念が注目されており、実際に全く新しいビジネスが展開されている。これらは、デジタル革命と言われているように従来型の経営からデジタル技術を生かした経営変革に向うデジタルトランスフォーメーション(DX)と呼ばれ、世界的なトレンドとなっている。日本の製造業においても、これらのDXを実現しようとしているが、既存のビジネスモデルやビジネスプロセスをデジタル技術が活きるように変容することができず、対応が遅れているのが現実である。そこで、本論では日本企業の強みを活かしながらもDXに対応できるような組織体について議論し、日本的なDXのための経営手法としてP2Mが有効であると考え、関連する事例とともに関連事項について説明する。