著者
小林 由佳
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.123-127, 2017-03-01 (Released:2017-03-01)

働く人のメンタルヘルスケアにおいて,これまで事業所の取組みは徐々に広がっているものの,不調を呈した一部の人に向けた取り組みのみでは全体の悪化に歯止めをかけることは難しいことが実態からも示されてきた。不調者対応に加えて,今後は組織全体の健康度を向上させることによって,働く人の働きがい,幸福,生産性,不調者の減少につなげていくポジティブメンタルヘルスの観点が重要となる。組織全体の健康度を向上させるためには組織の心理社会的資源を個人と組織の両面から高めることが必要であり,この取り組みを通して多様な人材(立場,性別,年代,健康状態など)が受け入れあえる状態を目指していくことが望まれる。
著者
鈴木 哲也
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.8-13, 2017-01-01 (Released:2017-01-01)

ICTが高い利便性を持つことは疑いない。しかし,学術サーキュレーションの電子化が,教育・研究に負の効果をもたらすという研究もあるように,必ずしも,ICTは,光明ばかりを与えてくれないことを,我々は意識すべきである。その上で,電子化の限界や問題点をどう補完するか,どんな性格のものであればICTが効果を発揮するのかという問題意識のもとに,研究内容や成果発表の目的に応じてメディアを仕分け,コスト/効果,採算性も見極めつつ,学術成果公開にICTを導入すべきである。本稿では,京都大学学術出版会におけるリッチコンテンツ型電子書籍の実験的取り組み,特にiPadアプリ型電子書籍『わくわく理学』の経験をもとに,学術書籍の電子化の持つ問題点と当面の課題について,具体的に考える。
著者
屋ヶ田 和彦
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.12, pp.612-614, 2016-12-01 (Released:2016-12-01)

これまでの経験と,情報科学技術協会の3i研究会での活動,それを活かした社内での取り組みを紹介し,私の仕事に対する思いや姿勢について述べた。私は,様々な仕事や所属部署に就く事ができ,様々な業種の多様な人材が集まって創造する事の楽しさ,難しさを数多く経験させてもらってきた。できるだけ幅広い分野の人と出会い,コミュニケーションを取りながら,互いに考え話しあう事で,新しい考えが浮かびイノベーションへと結びついて行くのだと思う。そしてこれまでの体験を活かして,「この人の調査なら」と顧客に信頼されるような,調査の専門家:インフォプロを目指したいと考えている。
著者
田島 定尚
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.12, pp.608-611, 2016-12-01 (Released:2016-12-01)

日本マイクロソフトでは,働き方改革のリーディングカンパニーを標榜し,グローバルなインフラを活用しつつ日本独自の制度整備も進め,マイクロソフトのOffice 365を始めとしたICTを効果的に活用することで「フレキシブルワークスタイル」を全社で実践している。またテレワーク週間を主催し,賛同企業と共に社会全体の働き方改革に取り組んでいる。これらの事例の紹介を通じて,今働き方改革が必要とされる背景や,推進するためにどのような取り組みが必要と考えられるのか,また働き方改革が企業経営にもたらす効果とその検証結果などについて解説する。
著者
安藤 俊幸 桐山 勉
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第11回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.31-36, 2014 (Released:2014-11-17)
参考文献数
12

特許調査においては調査目的により程度の差はあれ再現率(網羅性)重視で検索集合を作ることを前提としている。ただし再現率重視だとノイズは増加する。 本報告では再現率重視の検索集合からテキストマイニング手法を応用して適合率重視で抽出/ソートを行い、スクリーニングを支援する手法として下記検討を行った。(1)キーワードのネットワーク分析による重要語(特徴語)抽出(2)キーワードを用いて計算した公報の類似率によるネットワーク分析(3)適合率を重視した特許調査への応用 キーワード解析は iPS 細胞をテーマにして日・中文で比較検討した。中国特許公報より抽出したキーワードをネットワーク分析して重要な中国語キーワードセットを選択する。重要な中国語キーワードセットを用いることで検索集合の適合率向上に有用である。さらにダウンロード集合の類似率ソートを用いた手法を提案する。
著者
高橋 昭公 渡邉 晃
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第10回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.99-104, 2013 (Released:2013-09-24)
参考文献数
10

新規用途開発の成否は優れたアイデアの発想が鍵となるので、その発想を支援する多くの提案・検討がなされていたが、今日なお主流となりうるような支援方法は見当たらない。効率的にアイデアを発想できる新規プロセスの実現をテーマに取り上げたOUGインターネット/ビジネス分科会において、アイデア発想の重要なステップである「資料の収集」などのステップに、発想の支援に優れた特徴を有するとされている JST のJ-GLOBAL を適用したアイデア発想支援システムを想定し、アイデア発想への効用が大きいことが推測できた。さらに、当該支援システムに Excel を用いた独自の工夫を加味して、絞込み検索の出力を可視化した結果、発想が豊富化し観点も多面化できる期待がもてた。
著者
新保 史生
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.11, pp.560-565, 2016-11-01 (Released:2016-11-01)

個人情報保護法及び行政機関等個人情報保護法が10年ぶりに改正された。法改正の影響は,すべての図書館に及ぶわけではないため,各図書館は改正による影響を受けるか否か確認が必要である。改正に伴い図書館が対応な必要な事項がある一方で,要配慮個人情報の取得制限が新たに定められたものの,当該情報に関係する個人情報関係資料を除籍対象資料に含める必要がないことはもとより,除籍基準の改定なども不要である。改正法の解釈により図書館における新たな過剰反応が生じないよう,改正個人情報保護法対応にあたっての要配慮事項について解説する。
著者
戸塚 隆哉 山崎 久道 光富 健一
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第11回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.165-167, 2014 (Released:2014-11-17)
参考文献数
2

2002 年の UDC CD-ROM 版発行以後、12 年間 UDC 日本語版の発行が途絶えていたが、2014 年、発表者が中心となって作成した「日本語要約版」がオンラインで公開された。5,400 項目で、図書館学教育・研究、情報の組織化や検索等にかかわる種々の目的のために UDC のデモ版として利用できる。その分類表の内容・目的・意義について紹介し、分類表の出版、維持、普及などにまつわる問題点を挙げる。
著者
谷島 貫太 阿部 卓也
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.518-524, 2016-10-01 (Released:2016-10-01)

本稿では,東京大学附属図書館の「新図書館計画」の一環で実施された,「読書」をテーマとする三つの実証実験を紹介する。一つ目は,専門家の知識をデジタルアーカイブのなかに埋め込み,資料群を構造化することで,図書館利用者と資料との出会いを支援する実験,二つ目は,電子書籍に文献の索引と注釈を機械的に生成する機能を組み込むことで,利用者の読書行為を補助する実験,そして三つ目は,書き込み共有機能を有した電子書籍を用いて,文献講読の授業を行う実験である。これらの実験全体を通して,紙の書物と電子書籍それぞれの特性を適切に踏まえ,両者を創造的に組み合わせた読書環境を構想することの重要性が改めて浮かび上がった。
著者
青柳 英治
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.446-451, 2016-09-01 (Released:2016-09-01)

本稿の目的は,公開型専門図書館を取り巻く内外の状況を踏まえ,公開型専門図書館の現状把握を行い,今後の課題を検討し,解決の方策を提示することである。まず,公開型専門図書館の現状を,管理運営とサービスの側面から明らかにした。次に,公開型専門図書館の顕著な取り組み事例を参照し,二つの側面から課題の検討を行い,それを解決するための方策を提示した。具体的には次の点を提示した。管理運営においては,(1)ボランティアによる人的支援の導入,(2)交流を促進する場所としての機能,(3)外部資金の調達である。サービスにおいては,(1)レファレンス事例の公開,蔵書横断検索による利用機会の拡大,(2)社会人から児童・生徒までのサービス対象者層の拡大である。