著者
竹中 賢治 小林 淳 金澤 綾子 足立 佐知 小田 奨 佐々木 眞悟
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.41-46, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
3

特許情報の分析結果から、商品開発戦略や知財戦略立案に役立つ情報を抽出する際に、「SWOT分析」は、複雑な作業を必要とせず実用性は高い。一方、これら戦略立案事例は、企業内で閉じられて紹介される機会は少なく、筆者らは、具体的な題材を扱い、SWOT分析の実践事例を重ね、その実用性を確認してきた。 そして、近年着目される技術の中から機能性塗料の分野で遮熱塗料について焦点をあて、遮熱塗料に関連して出願された特許情報をもとにSWOT分析を行い、商品開発戦略の創出作業を試みた。戦略創出の検証作業は「塗料」業界大手事業者のK社にあてはめて行った。 特許情報を分析し、「SWOT」情報を得ようとする際、「S(強み)」情報の抽出過程において難しさがあることがわかり、この点の打開策を思考し考察した。強み把握に対する提言をまとめるに至ったので報告する。
著者
石川 彰
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.35-40, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
10

特許協力条約基づく国際出願(PCT出願)の国際調査報告(ISR)は、出願時の新規性、進歩性の判断を提供するもので、その統計解析は、出願・権利化対応の実態を調べる有効な手段である。最近、ISR評価について、扱いが容易なテキストデータが入手できるようになった。そこで、特定分野の技術(ナノファイバー)について、統計解析を検討した。日本、中国、韓国で受理され案件のISR評価に違いを調べることを目的とした。その結果、次の点が分かった。 ①引用文献にX文献(新規性に関わる引用文献)が存在する比率は、日本、中国が受理国の場合、55%以上と高く、受理国が韓国の場合は15%~40%と低かった。 ②引用文献のX文献の出願人が本願と同一出願人である比率は80%~95%と非常に高かった。 ③ISR評価のX文献、Y文献(進歩性に関わる引用文献)の合計数と中間手続アクション回数には相関関係があった。 発表では、データの詳細及び検討の結果を報告する。
著者
藤井 篤之 中西 華子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.566-572, 2017-11-01 (Released:2017-11-01)

福島県会津若松市はビッグデータ・アナリティクス産業創出を目的としたスマートシティに取り組んでいる。本記事では筆者が所属するアクセンチュア株式会社による取り組みを中心に,同市のスマートシティの特徴と経緯および展望を紹介する。同市のスマートシティの取り組みを支える構造は,ICT専門大学である会津大学を中心とした,組織,人,データ基盤であり,スマートシティの各テーマにおける実証を通じて,地域に企業が集まり,人が集まり,産業が集まっている。今後は,取り組みを進める中で直面している,オープン性,プライバシー,競合性の各論点についての議論を深め,同市での取り組みの深化,他地域への展開を目指している。
著者
PENDLEBURY David A.
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.10, pp.546-549, 2017-10-01 (Released:2017-10-01)

ユージン・ガーフィールドは20世紀後半の情報革命の牽引者であった。彼は,著者が自分の論文の中の引用文献で作ったリンクを活用して,引用索引を科学文献検索の世界に導入した。引用索引は,研究者に新たに正確な情報検索の手段を提供するだけでなく,科学文献から科学の構造と動向研究を可能にし,科学をマッピングする方法に拡大するとともに,国,研究機関,雑誌,著者の研究のパフォーマンス分析にも導入されている。彼は,情報科学者としてだけでなく,科学と芸術分野やホームレス支援の社会福祉団体へも多大な貢献をおこなった。デービッド・ペンドルベリー(安藤聡子 訳)
著者
入矢 玲子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.43, no.11, pp.1027-1035, 1993
参考文献数
21

ILLINETは,イリノイ州全体をカバーする規模のリソース・シェアリング・システムである。1960年代に組織づくりを始め,現在では公共,大学,専門など館種を問わない約2500館が参加し,年間の図書館間貸出冊数は200万冊を超える。この成功は「情報交換」面では,2000万件以上の資料が検索でき,よく改良された貸出システムをもつILLINET-オンラインが保証した。「モノの移動」の面では,ユニークな24時間図書館間バン配送システムが可能にした。さらに「ネットワーク」では,州を15のライブラリー・システムに分割して地域密着度を高めつつ,ILLINETがそれらを統合する高次のサービス組織となったことが注目される。「システム」として,ネット内に階層構造をつくり,サービスの質によって分担を変えたことも成功の大きな要因だろう。この基礎には,情報伝達の効率化への米国人の高い意識があり,それが,州・政府からの予算の額,法制化の迅速さに反映している。
著者
安藤 俊幸
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第13回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.139-144, 2016 (Released:2016-11-17)
参考文献数
17

機械学習を利用した効率的な特許調査方法を実務ベースに重きを置いて検討した。特に動向調査と先行技術調査への機械学習の応用に関して実務上どこまで使えるかを念頭に検討した。 機械学習を大別すると教師データなし学習と教師データあり学習がある。教師データなし学習の一つの技法としてクラスタリングがある。動向調査の一例として人工知能分野で全体の俯瞰可視化から技術動向を抽出する方向で行った。俯瞰可視化として特許公報間の類似度を用いたクラスタリング検討を行った。 教師データあり学習の先行技術調査への応用として即席麺の直近10年を母集団として検討した。教師データとして審査官が拒絶理由に採用した文献の中から拒絶理由の条文コードを利用して新規性(カテゴリーX文献)、進歩性(カテゴリーY文献)欠如に該当する文献を選択して使用した。 動向調査への応用は従来からよく行われている書誌事項の統計解析(パテントマップソフト等)と併用することで実務上十分に有用である。先行技術調査への応用検討では網羅性(再現率)は母集団を大きくして対応するとしても精度(適合率)と学習コスト上(教師データの準備、学習の手間等)課題があり詳細に報告する。
著者
時実 象一 渡邉 沙友里
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第13回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.105-108, 2016 (Released:2016-11-17)
参考文献数
6

クックパッドは広く使われている料理のレシピサイトである。クックパッドの人気つくれぽレシピからレシピのタイトルと紹介文を抽出し、どのようなことばが使われているか分析を試みた。ウェブページから人気レシピをダウンロードし、テキスト処理を行ったのち、テキスト・マイニング・ツールKH Coderを用いて解析をおこなった。単語では「簡単」という語が突出して使われており、クックパッドの特徴をよく表していた。共出分析でも、「簡単」と「ある・材料・出来る」が同じクラスターにまとめられた。

2 0 0 0 OA 編集後記

出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.8, pp.440-440, 2017-08-01 (Released:2017-08-01)
著者
原田 雅子 大久保 三四朗 高 仁子 田村 隆生 森 敦子 山口 恵美子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.315-321, 2017-06-01 (Released:2017-06-01)

オリンピックの経済効果は,競技会場新設や観戦関連消費等の「直接効果」よりも,都市インフラ整備や観光需要増加による「間接効果」が大きいと試算されている。そこで本稿は,東京オリンピック組織委員会のプロジェクト長から要請を受けたプロジェクトメンバーという設定で,東京オリンピックを『見せる場』として,インフラ輸出,観光需要を増加すべく,体験・体感を通して訪日外国人にアピールすべき日本技術・文化を検討した。アピールすべき日本技術・文化の選定は,「マーケットイン」の視点で訪日外国人のニーズを重視した。ニーズ抽出にはグローバルなオープンデータを活用し,対応する日本技術シーズは特許・学術文献解析と企業情報から選定,文化シーズについては日本政府のクールジャパン戦略や各省庁の情報から選定し,日本技術・文化の体験・体感方法までを総合的に検討した。
著者
新保 史生
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.11, pp.560-565, 2016

<p>個人情報保護法及び行政機関等個人情報保護法が10年ぶりに改正された。法改正の影響は,すべての図書館に及ぶわけではないため,各図書館は改正による影響を受けるか否か確認が必要である。改正に伴い図書館が対応な必要な事項がある一方で,要配慮個人情報の取得制限が新たに定められたものの,当該情報に関係する個人情報関係資料を除籍対象資料に含める必要がないことはもとより,除籍基準の改定なども不要である。改正法の解釈により図書館における新たな過剰反応が生じないよう,改正個人情報保護法対応にあたっての要配慮事項について解説する。</p>
著者
小山 憲司
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.65, no.9, pp.372-378, 2015-09-01 (Released:2017-04-13)

本稿は,情報通信技術の発達に伴うコレクション構築の現状と課題について,国内の大学図書館を中心に検討した。その結果,情報通信技術はオンライン出版物をはじめ,電子的に提供されるコンテンツの増加をもたらすとともに,多様な提供方法を開発しつつあることが確認された。一方,今なおハイブリッド図書館の時代にあるなか,冊子体資料,電子資料のいずれにも対応しつつ,コレクションを維持・管理することが図書館に求められていることも明らかとなった。情報通信技術によって,より電子的な情報入手の環境が整備されつつある現在,利用者の情報利用行動をも考慮した情報アクセス環境を整備していく必要がある。
著者
福山 樹里
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.54-60, 2017

<p>本稿の目的は,Europeanaが国も分野も異なる様々なデジタルアーカイブからメタデータを収集し,管理し,提供している方法を,公開されている文書類をもとに解説することである。はじめに,メタデータを収集しているアグリゲータモデル,収集したメタデータの処理工程,公開と出力までを概観する。次にEuropeanaのメタデータモデルであるEDMに焦点を当て,その開発方針と特徴を整理する。その後EDMを有効に機能させるメタデータの運用について,品質確認プロセスも含めて説明し,最後にEDMに関わる今後の課題をまとめる。</p>
著者
福島 幸宏
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.515-518, 2015

歴史資料のデジタル化とオープンデータ化について,いくつかの事例を想定しつつも,その課題を抽出して広く援用できるように論じる。まず,その対象をなるべく広げることを主眼に,歴史資料とは何かについて論じる。次に,デジタル化の一連の作業段階に応じて留意すべき点を述べる。すなわち,対象資料決定の段階,資料の整理・メタデータ付与の段階,実際のデジタルデータ作成の段階,公開の段階である。
著者
都築 涼香 大森 照夫 山本 光三 岡 紀子 杉山 典正 出口 哲也 仲 美津子 松原 智子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.130-134, 2017-03-01 (Released:2017-03-01)

本研究は,新市場参入を検討している営業部隊のための効果的な情報分析に関するものである。下町ロボットと名付けられた仮想の会社は高感度加速度センサーを製造販売しており,これを武器に成長が期待される介護・支援ロボット市場へ参入するケースを想定した。加速度センサーの販売先として可能性が高い企業6社を選定し,具体的な営業活動をイメージしながら必要な情報を収集・分析した。本稿では,従前の情報分析の提供先としてあまり馴染みのなかった営業部隊に着目し,営業部隊の営業戦略支援のための具体的な情報提供手法について報告する。