著者
佐田 吉隆
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.61-66, 2017

<p> 本研究では,ローマ字教育とローマ字入力の関係に注目した。150名の大学生が,漢字変換なしのローマ字テキスト入力において,どのようにローマ字入力を行うか,ローマ字入力の速度で比較した。その結果,ローマ字入力は,小学校で学ぶ「訓令式」が基礎になっていることがうかがえた。その結果,打鍵数の多くなる綴りを選択していたり,動かしにくい指を使った綴りを選択する傾向がみられた。また,拗音に関する綴りの知識が欠落している可能性が高く,入力速度の劣る学生は,ローマ字の理解も不十分であることがうかがえた。</p>
著者
亀田 久雄
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.37-40, 2018

<p> 近年では話題を目にしない日はないほど,"AI・人工知能" は注目のキーワードとなっている。教育の業界においても,AIを用いた未来的な授業のビジョンが数多く描かれている。本稿では,AIを利用する教育の現状にフォーカスし,実際に塾や学校で活用されているe-learning教材「すらら」と,「すらら」の一機能として,生徒に対してコーチング・モチベーティングを行う機能である人工知能「AIサポーター」についての事例を紹介する。また,「AIサポーター」を利用する生徒の学習量を,そうでない生徒の学習量と比較したとき,有意な差が見られ,その効果測定結果についても共有する。</p>
著者
小宮山 利恵子
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.17-22, 2018-12-01 (Released:2019-06-01)

本稿では,諸外国の教育領域におけるAI(人工知能)活用の政策や事例を紹介し,世界で教育がどのように変化しているかを俯瞰する。日本においてAIの教育利用は始まったばかりだが,AI領域の二強とされる米中以外にも,「途上国」と呼ばれている国においても政策としてAIを積極的に取り入れている国がある。世界で起きていることを俯瞰しつつ,AIの教育利用の課題について考える。
著者
三井 一希 八代 一浩 水越 一貴 佐藤 和紀 萩原 丈博 竹内 慎一 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.79-84, 2018-12-01 (Released:2019-06-01)

本研究では,小学校のプログラミング教育において,学習状況の共有化ツールを活用して児童のプログラミングの状況をクラス内で共有した場合の効果について検討した。その結果,学習状況の共有化ツールを活用すると,プログラミングに使用するブロックの数や種類が増える,他グループの工夫に気付きやすくなるなど効果的に学習できる傾向が見られた。また,児童は見やすさなどの理由から,共有化ツールを活用する授業を好意的に評価していることがわかった。
著者
岡本 薫
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.52-55, 2002-05-31 (Released:2014-12-25)

教育現場にあって、ともすれば著作権に対する配慮が不足する傾向のあることが指摘できる。著作権とは人権と密接に関係していることを、教育現場での具体的事例を引用してその本質を解説する。
著者
鈴木 雄介
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.13-17, 2000

もし、本がすべて電子化されたら、いつでもどこでもほしい本が手にはいる。印刷代、紙代がなくなるからもっと安くなる。ベストセラーの売り切れがない、返品がない、絶版がない、断裁しなくていい。10年後には100万冊の中から自由に本を選べる時代がやってくる。そんな、いいことづくめの期待を込めて「電子書籍の衛星配信の実験」が行われた。シンクロニシティな現象として、話し合いもないまま、ほぼ同時に、日本、アメリカ、ヨーロッパ、アジアで「eBOOK」の事業化へ向けた組織が産声を上げた。パソコンやパソコン以外のものが、やっと「ものを読むメディア」としての十分な機能が、技術的に保証しはじめた。「ものを知るメディア」と「ものを読むメディア」の差を十分意識して、電子書籍という商品の「潜在能力」を引き出すことが実証されたと言っていい。高精細液晶の表現力、ネットワークの実力、出版資産の再活用、新しい表現作家の登場。近い未来に向けて、電子書籍ビジネスの可能性を「実証実験」の結果から、展望する。
著者
中田 平
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.40-45, 2005-06-01 (Released:2014-12-01)

1937年に開催された名古屋汎太平洋平和博覧会は,第二次世界大戦の前夜に開催されたことにより,昭和史に埋もれて忘れ去られてしまった。筆者はゼミのテーマとしてこの国際博覧会を取り上げ,2003年10月から2005年2月までゼミ学生と共同で,Web上で再現するプロジェクトを遂行してきた。プロジェクトの目標はWebアーカイヴ・コンテンツのオーサリングとそれを配信するサーバーの構築である。またコンテンツは3D-CGによる静止画および動画,QuickTimeストリーミング映像,などである。本論文はこのプロジェクトの記録と報告である。
著者
長澤 直子
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.67-72, 2017

<p> 大学生がスマートフォンで文字入力をする際,日本語入力では90%以上がフリック入力・トグル入力を利用し,外国語入力ではフリック入力・トグル入力とQWERTY配列での入力がほぼ50%ずつであることがアンケート調査によって明らかになった。そして,PCでのタッチタイピング習熟度とスマートフォンでの外国語入力にQWERTY配列を利用する人との間には有意な関連が見られた。日本の大学生がPCよりもスマートフォンを好む理由のひとつには,日本語入力に五十音との親和性が高く入力技能習得が容易なフリック入力が使えることが考えられる。</p>
著者
武田 俊之
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.12-17, 2015-06-01 (Released:2015-12-01)
被引用文献数
1

教育におけるデータの増加と,証拠にもとづく教育改善などへの要望からラーニング・アナリティクスという研究領域が活性化している。本論文では,この新しい領域について,背景,定義,フレームワーク,データ,事例の面からの分野の概要と実践事例を紹介する。
著者
古閑 恭子
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.84-89, 1999-11-30 (Released:2015-02-03)

朝鮮語と日本語は、構造的によく似た言語である。そのため、構造的に日本語との違いの大きい英語などの言語に比べ、日本語への機械翻訳にはかなりの精度が期待できそうである。しかしながら、実際に市販の翻訳ソフトを用いて朝・日翻訳を試みると、その性能は決して高くはないことが分かる。本稿では、言語学的に誤訳の種類を①単語そのもののレベルに関わる誤訳、②単語の共起関係レベルの誤訳、③文法レベルの誤訳、④テクスト論レベルの誤訳に分類し、数種類のテクストを用いて実験し、その種類別の誤訳の割合を調べてみた。実験の結果、誤訳の過半数は共起関係レベルのものであることが分かった。
著者
鵜飼 政志
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション
巻号頁・発行日
vol.18, pp.27-33, 2005

1990年代後半,いくつかの歴史資料館や博物館が,ウェッブサイトを開設したことを契機に,日本史研究の世界でもインターネットに対する関心が高まっていった。ただし,これらサイト開設の背景には,行政改革や大学改革などが関係していた。情報公開・経費削減の観点からインターネットによる情報発信が促進されたのである。その後,多くの日本史関係サイトが開設されていったが,日本語の異体字をシステムフォントでは表現できない問題点や,高解析度の画像を閲覧する場合の接続上の難点は解決されていなかった。今日では,閲覧ソフトの技術革新やインターネット回線の高速化により,日本史関係のサイトも容易に閲覧できるようになった。ただし,歴史資料に関するサイトの構築には,かなりの人員や予算を必要とすることもあり,現在の状況が将来も続くかは不透明である。また,日本史研究者のインターネットに対する関心は,総じて,ネット上の歴史資料情報に限定されがちであり,インターネット全般を研究や教育に利用しようとする学界的な合意はなされていない。そこで筆者は,筆者はインターネット上における日本史関係の諸情報を網羅し,適切なサイトへの接続を可能にする学術ポータルサイト開設の必要性を提言した。
著者
阿部 学 藤川 大祐 狩野 明香理
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.46-51, 2016-12-01 (Released:2017-06-01)

将来の「教育の情報化」を担う教員を養成することをねらい,教員養成学部においてアプリ教材を制作する授業を行い,小学校でのアプリ体験の実践までを行った。小学校での実践の結果や,学生へのアンケート結果からすると,この授業では概ねねらいを達成できたと考えられる。
著者
針持 和郎
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.32-37, 2016-06-01 (Released:2016-12-01)

広島修道大学は5学部・4大学院研究科からなる学部生・院生数約6,000名の文科系私立大学である。本稿では,本学の障害学生支援環境を述べるとともに,与えられた学習教育環境と障害学生支援体制の中で,英語英文学科の発達障害のある学生がコンピュータを単なる清書マシーンとしてのみ使用するのではなく,インターネットを通じて信頼するに足る試料を取得し,コンコーダンスプログラムで試料を加工し,スプレッドシートを用いて統計処理を行い,ワードプロセッサで論述を展開するまでのプロセスの報告を通して,ICTの利用が発達障害のある当該の学生にとってどのようにメリットがあったかを述べる。
著者
篠田 有史 鳩貝 耕一 岳 五一 松本 茂樹 高橋 正 河口 紅 吉田 賢史
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.67-72, 2016-06-01 (Released:2016-12-01)

より学習者に適応した教示の実現を目指して,取り上げる題材の難易度の調整を行うのではなく,学習者の個性豊かな学びに寄り添うという取り組みが行われている。学習者の好む教示方法や学び方を調査するため,本研究では「学びのスタイル」アンケートを提案し,主成分分析と決定木構築手法を組み合わせて分析する。情報基礎教育科目の授業に参加した学習者を対象にアンケート調査を実施し,取り上げた授業における学習者の学び方がどのようなものであるかを,取り組みを通じて明らかにする。
著者
西川 幸太 山岸 芳夫
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.79-84, 2016-06-01 (Released:2016-12-01)

近年,いわゆる「バカッター」に代表される,情報モラルの欠如が招くトラブルは社会的問題となっており,注目を集めている。そのため,現在は情報モラルの効果的な指導法の模索が急務とされている。我々は従来通りの指導方法である,知識や実例を紹介する事例紹介型指導と,学習者に実際に体験させながら指導する体験重視型指導の二つの指導法について,出来る限り学習因子を一致させた上で教材およびカリキュラムを作成し,大学1年生と3年生の参加者に対し指導を実践,教育効果の差を検証した。その結果,事例紹介型指導を行なった参加者には,事前と事後のテスト結果に有意差はなかったが,体験重視型指導の参加者の結果には有意差が認められた。実験後の参加者による内省文の内容についても,体験重視型指導の参加者の方が学習内容についての記述が多く見受けられた。
著者
足立 泰彦 山下 幸二 沖林 洋平 巖淵 守 上田 邦夫
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.64-69, 2008-06-01 (Released:2014-11-01)

本研究は,プログラミング用フリーソフト「Squeak Toys」によるプログラミング学習における思考過程の構造を分析することを目的としたものである。プログラミング時の思考要因を特定するため,プロトコル分析に基づき21項目の調査票を作成し,プログラミング後の高校生に調査票を回答させ因子分析を行った。その結果,プログラミング時の思考内容要因として,「評価点検」「目的遂行」「課題分解」「空間意識」の4つの因子を抽出し,思考のプロセスは次の3つの関係がみられた。(1)「目的遂行」と「課題分解」はお互いに影響しあっている。(2)「目的遂行」と「評価点検」はお互いに影響しあっている。(3)「空間意識」は「目的遂行」と「評価点検」に補完的に作用している。さらに,性格との関連性を調査したところ,「知性」「勤勉性」「外向性」の3特性は思考要因との相関がみられ,そのうち「知性」因子は「課題分解」要因に,「勤勉性」因子は「空間意識」要因に影響を及ぼすことがわかった。
著者
皆川 雅章
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.26-31, 2016-06-01 (Released:2016-12-01)

ICTを用いた聴覚障がい学生の情報保障の取組みについて記す。札幌学院大学では1999年から学生と教職員が協働し,障がいをもつ学生を支援する活動を行い,組織づくりを行ってきた。ICTを用いた情報保障の実践事例として,(1)ビデオ教材の字幕入れサービス,(2)パソコンを用いた講義情報の筆記(パソコンテイク),(3)講義中の発話を音声認識を用いて文字化する取組みを紹介する。現行のテイク活動における問題点,将来に向けた改善の方向性を記す。
著者
包 胡日査 中田 充 葛 崎偉
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.56-61, 2014-06-01 (Released:2014-12-01)

本研究は構文木の類似度を測ることによってC言語プログラムの類似性を評価することを目的とし,本論文ではC言語プログラムを構文木で表現する方法を提案する。まずは,C言語の変数宣言文,代入文,制御文,関数呼出文,関数展開等を構文木表現に変換するための構文木部品を設計する。次に,構文木部品を用いてC言語プログラムを一つの木グラフに変換し,XMLによる構文木の表現法を提案する。最後に,提案手法に基づいてC言語プログラムをXML形式で表現する構文木に変換するプログラムについて説明する。
著者
湯瀬 裕昭
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.9-14, 1996-11-25 (Released:2015-02-03)

日本の大学のコンピュータ教育を考えるため、イギリスにおけるコンピュータ教育の現状について報告する。イギリスの初等・中等教育の一例としてStantonbury Campusを、高等教育の一例としてThe Open Universityを取り上げる。特に初等・中等教育では、日本とイギリスのコンピュータ教育をカリキュラムの面から比較考察する。両国とも、情報活用能力の育成を目指しているという点では共通している。今後の大学におけるコンピュータ教育は、その内容を、コンピュータリテラシからコンピュータ・コミュニケーションおよび教育メディアとしてのコンピュータ利用へ移行する必要がある。
著者
長瀧 寛之
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.16-21, 2011-12-01 (Released:2014-09-01)

著者は2010年度から岡山大学において,教養教育科目「テレビゲームからみる情報科学概論」を開講している。これは様々なコンピュータゲームの具体例を題材として,それらの特徴を情報科学の視点から概観しようとする点が特徴である。本稿では,特に教養としての情報教育の教材としてゲームを用いるに至った経緯と,2010年度と2011年度に実践した授業の概要を紹介し,本科目が学習者に情報科学への興味を引き出す効果があったことを確認する。