著者
辰島 裕美
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.14-19, 2008

中学校と高等学校で情報科を担当し,その中で行っている「情報モラル」の授業内容を紹介する。社会で起こった事件や報道されたニュースからテーマを取り上げているが,生徒の手本には成りえない大人がいる実社会である。好奇心旺盛な年頃は劣等感と隣り合わせでもあり,多感な思春期の生徒にあるべき姿であるモラルを教えるのには工夫がいる。筆者が授業で感じたことから,問題点と今後の展開についての提言を行う。日々変化する社会と進化する情報通信技術の影響の中,「情報モラル」を指導するに当たり,教室という時空にとどまらない新鮮な教材を求め,指導者自身のあり方を考えるものである。
著者
阿部 学 藤川 大祐 山本 恭輔 谷山 大三郎 青山 郁子 五十嵐 哲也
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.67-72, 2018-12-01 (Released:2019-06-01)

本研究では,脱・傍観者の視点を取り入れたいじめ防止授業プログラム「私たちの選択肢」の開発を行った。授業においては,クラスの雰囲気といじめ抑止の関係について学んでもらうことをねらい,選択と分岐という工夫を取り入れた動画教材を活用した。実践結果についての考察から,本授業の有効性が概ね示された。
著者
深澤 良彰
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.12-19, 2020-06-01 (Released:2020-12-09)

大学図書館は,大きな変革の時を迎えている。これを引き起こしているのは,教育/学習方法および研究方法といった図書館利用者のニーズの変化である。しかし,多くの大学図書館は,これに対して,十分に適応できているとは言い難い。本稿では,このために,早稲田大学図書館で実現をした,早慶図書館共同化プロジェクトおよび図書館の改修によるエビデンス・ベースのラーニング・コモンズの実現について述べる。
著者
向後 千春
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.48-53, 2000-12-01 (Released:2015-02-03)

富山大学で行われている教養科目のひとつ、「言語表現」について報告する。言語表現が開設されるまでの背景と必要性、現在までの実施状況を記述し、さらにその問題点について議論する。言語表現が情報処理科目との選択になっていることは、大学生のリテラシー教育として不十分であり、それを解決するために、言語表現と情報処理を統合し、電子時代のリテラシー教育として再編成することを提案する。また、実施上の工夫として、モジュール化された3回程度の授業を多数開講し、その中から学生が自分に必要なものを選んで履修していくという方法を提案する。
著者
吉嶺 加奈子
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.62-65, 2020-12-01 (Released:2021-06-01)

Thai MOOCとはタイ国内向けのMOOCのことである。日本国内向けのMOOCであるJMOOCからThai MOOCへの講座提供を見据えて,Thai MOOCにおいて他国の教育機関が講座を開講する際の課題の解明と考察を行った。講座開講のための諸手続からは,申請書類やガイドラインで示された規定が多く,また暗にタイ語の記述や読解が求められることが分かった。開講した日本文化講座の修了率は9.4%と低い一方でタイ以外の国からの受講者もいたことから,Thai MOOCはタイ人に対するノンフォーマル教育プラットフォームとしての価値は大いにあると言える。
著者
金井 猛徳 谷岡 由梨 中野 長久 小山 修平
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.70-75, 2019

<p> 管理栄養士・栄養士養成課程における調理実習工程は,まず教員が模範を見せ,それを学生は見ながら教材にメモをとる。その後,各自の班に分かれ実習を行うという形式である。しかし,実習の工程は複雑であること,衛生的な観点からも教材を確認することが困難な場合があるため,非接触で操作可能な教育支援システムを導入することで学習効果が高まると考えられる。そこで,本研究では調理実習において3次元深度センサを利用したジェスチャ操作を可能とするデジタル教材システムを開発した。本システムは,操作者の動作をモニタする3次元深度センサ(Kinect),ディスプレイモニタおよびそれらを制御するアプリケーションが導入されたPCで構成した。また,本システムは,栄養士養成課程の学生を対象に実際に操作を体験した上でアンケート調査を実施し,システムの有用性について検証した。</p>
著者
加藤 司 長山 格 玉城 史朗
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.70-75, 2020

<p> 水産高校には乗船実習等の長期の校外実習があり,その中では授業も行われる。この実習期間中,生徒は自習により学力を維持することになるが,容易なことではない。そこで我々は自習を支援するツールとして映像授業に着目し,水産専門科目の映像授業を開発した。この映像授業の学習効果を測るために,水産高校の分野の異なる2つのコースの生徒を対象に介入実験を行なった。各コースの生徒をくじにより映像授業を受ける群(映像授業群)と教師から直接講義を受ける群(講義授業群)に分け,授業後に記述式のテストを実施した。その結果にt検定を行ったところ,映像授業は講義授業と同等以上の学習効果があることが示された。これにより,開発した映像授業は生徒の自習を支援し,学習効果が高いことが分かった。</p>
著者
辻 元
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.30-35, 2014

デジタル教科書の特性は情報量の多さにあるが,情報量の多さは必ずしも教育効果の向上につながらない。むしろ,情報量を切り詰めた方が,教育効果は高い。
著者
小宮山 利恵子
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.17-22, 2018

<p> 本稿では,諸外国の教育領域におけるAI(人工知能)活用の政策や事例を紹介し,世界で教育がどのように変化しているかを俯瞰する。日本においてAIの教育利用は始まったばかりだが,AI領域の二強とされる米中以外にも,「途上国」と呼ばれている国においても政策としてAIを積極的に取り入れている国がある。世界で起きていることを俯瞰しつつ,AIの教育利用の課題について考える。</p>
著者
張 海 浅野 純一
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.12-17, 2013-12-01 (Released:2014-07-31)
被引用文献数
1

本文は中国における教育公平および質向上を目指したICT活用の系譜と現状,課題を総説する。まず,1999年から今現在まで,中国中央政府から出したICT活用教育に関する教育政策及び計画を紹介する。次に,基礎教育情報インフラとコンテンツを充実させるため,中国教育部の役割及び対策をまとめる。第三,遼寧省の教育情報化の推進を例として挙げる。最後に,中国ICT活用教育が当面する課題を検討する。
著者
林 雄介 福井 昌則 平嶋 宗
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.38-45, 2019-06-01 (Released:2019-12-01)

コンピュテーショナル・シンキング,日本では「プログラミング的思考」という言葉をキーとしてプログラミング教育に注目が集まっている。そして,日本では既存の教科の中にプログラミング教育を組み込むクロスカリキュラムとなっているため,どのようにプログラミング教育を実施していくかが問題となっている。本稿では,ベン図,Yes/Noチャート,ビジュアルプログラミング言語,対話型ロボットを利用したプログラミング的思考の育成モデルを紹介し,その実践事例やそれに基づく学習環境を紹介する。この特徴は,分類を対象として教科の中で学習する内容の理解を深めることを目標としてプログラミングを行うこと,プログラムという抽象的なものをロボットとのインタラクションという具体的なものにすることである。
著者
亀田 久雄
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.37-40, 2018-12-01 (Released:2019-06-01)

近年では話題を目にしない日はないほど,“AI・人工知能” は注目のキーワードとなっている。教育の業界においても,AIを用いた未来的な授業のビジョンが数多く描かれている。本稿では,AIを利用する教育の現状にフォーカスし,実際に塾や学校で活用されているe-learning教材「すらら」と,「すらら」の一機能として,生徒に対してコーチング・モチベーティングを行う機能である人工知能「AIサポーター」についての事例を紹介する。また,「AIサポーター」を利用する生徒の学習量を,そうでない生徒の学習量と比較したとき,有意な差が見られ,その効果測定結果についても共有する。
著者
吉崎 弘一
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.34-39, 2012-12-01 (Released:2014-09-01)

高等教育機関を中心に,教育の現場でLMS(Learning Management System)を利用する機会が増えている。一般にLMSは様々な教育活動において,学習コンテンツと共に利用される。また,近年,LMS上での学習の過程や成果をeポートフォリオとして蓄積し,学習活動にフィードバックする取り組みが注目されている。このような状況を踏まえ,本論文では特に学習コンテンツとeポートフォリオシステムに関するLMSの相互運用性について述べる。
著者
山田 誠二
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.12-16, 2018-12-01 (Released:2019-06-01)

現在の第3次AIブームを牽引しているのは,機械学習を中心とした人工知能AIの応用である。そこでは,医療・ヘルスケアを中心に様々な分野でAIの社会導入が始まっているが,現在注目されているのが教育へのAI応用である。これまで,知的教育システムITSを中心にAIベースの教育システムが研究・開発されてきているが,現在アダプティブラーニングの発展と共にAIと教育のコラボレーションが一層活性化することが期待されている。本稿では,AIの現状,今回のブームの特徴,背景について触れ,これまでの教育へのAI導入であるITSを概観する。続いて,教育におけるIT導入,あるいはe-learningのホットトピックであるアダプティブラーニングをAI研究の視点から眺め,筆者の専門領域でもあるHAIヒューマンエージェントインタラクションに密に関連するペダゴジカルエージェントを初めとする教育のAI化について考察する。
著者
田島 貴裕 大津 晶
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.103-108, 2018-12-01 (Released:2019-06-01)

LMSとクリッカーを積極的に活用して大規模講義での学生間コミュニケーションの活性化と効率的な授業運営を両立させるアクティブラーニング手法を開発し,初年次キャリア教育科目に導入した。授業アンケートの結果,当該科目の受講学生は多数の学生との交流やグループワークに満足していることが示された。また「学生の理解を促す工夫」「学習資料の提示」「私語や遅刻への対処」「教室環境」は,他の初年次共通科目群の平均値よりもやや高い値を示し,同手法を用いた大規模クラスの参加型講義運営には大きな問題が無いことが分かった。他方「学生に合わせた対応(質問等への対応や進度調整)」の平均値は相対的に低い評価となり,事前課題・事後課題の頻度や回数の設定に課題がみられ,改善の必要性が示された。
著者
三井 一希
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.61-66, 2016-06-01 (Released:2016-12-01)

本研究では,プログラミング体験アプリであるScratchJrを用いて小学校低学年対象のプログラミング教育を実践した。授業のデザインにあたっては,学習者同士が教え合い,学び合う相互作用を軸にした。その結果,教師の講義形式の指導が無くても低学年においてプログラミングの学習が可能であり,児童もプログラミングの授業を好意的に評価していることが明らかとなった。また,学習者同士の交流が多い者と交流が少ない者の作品を比較したところ,作品の出来に交流人数は関係ないことがわかった。
著者
阿濱 志保里 阿濱 茂樹
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.33-39, 2016-12-01 (Released:2017-06-01)

デジタル教科書を実際に授業等で利用する立場の教員養成系学部の学習者とデジタル教科書を利用できるようにシステム開発を行う立場の工学系学部の学習者を対象に,デジタル教科書の教育における活用やデジタル教科書に関連する著作権や著作権法に関する授業を行い,それぞれの立場からのデジタル教科書に対する意識がどのように変化するのか解明を試みた。その結果,定量的な分析からは,教員養成系学部の学習者はデジタル教科書の長所及び短所を理解することで,デジタル教科書の導入を積極的に考えている導入積極群が慎重になる傾向が見られた。一方,デジタル教科書の導入に慎重な群については,積極的になる傾向が見られた。一方,工学系学部の学習者のうち導入積極群は慎重になる傾向が見られたが,導入慎重群は変化が見られなかった。
著者
藤本 徹
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.10-15, 2011
被引用文献数
1

近年,欧米を中心に海外でデジタルゲームを利用した教育が活発さを増してきており,多くの研究・実践から知見が示されている。国内でのこの分野の研究は,体系的な理解が十分に進んでいないのが現状である。本論では,これまでの先行研究で示されている知見を整理して議論し,より効果的な実践を行っていくために必要な考え方を提示する。まず,これまでのデジタルゲーム利用教育の変遷を俯瞰し,近年の研究動向を論じる。次にこれまでの先行研究から,デジタルゲームの教育利用を進めるうえで考慮すべき長所と短所として明らかになっている点を整理したうえで,教育現場での導入を効果的に進めていくために考慮すべき諸論点の検討を行う。