著者
土田 将雄
出版者
上智大学
雑誌
上智大学国文学論集 (ISSN:02880210)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.181-240, 1985-01-16
著者
Thornton Martin
出版者
上智大学
雑誌
アメリカ・カナダ研究 (ISSN:09148035)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-20, 1999-03-31

1946年3月5日、ウィンストン・チャーチル首相が行ったミズーリ州での演説は、その後の冷戦時代の幕開けを決定付けた重要な起点と理解されてきた。にもかかわらず、この演説のいくつかの側面や直接的影響について、歴史家がこれまで取り上げなかったものがある。歴史家が注目したかったテーマであるが、本稿では、当時の駐米カナダ大使、レスター・B・ピアソンに着目し、同大使がチャーチルのミズーリ演説に与えた影響について検討する。英連邦各地の新聞に見られるミズーリ演説に対する反応や、その反応に対するカナダの見解などは、チャーチルの演説の影響を分析する有益な手ががりとなる。ピアソン自身もチャーチルの演説に対する興味ある見解を展開している。
著者
高柳 俊一
出版者
上智大学
雑誌
アメリカ・カナダ研究 (ISSN:09148035)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.123-147, 1996-03-31

1957年プリンストン大学出版局から刊行された『批評の解剖』(Anatomy of Criticism) は各国語に翻訳され, ノースロップ・フライの名前は一躍文学批評・理論の分野で広く知られるようになり, 英語圏の文学研究においてそれまでややもすると軽視されていたロマン主義文学の復権の契機になった。フライは以後文学ばかりでなく, あらゆる文化現象を神話論によって解明し, 注目されるようになった。しかし生涯, カナダ・トロント大学の英文学教授として学研生活を続けるとともに, カナダ文学・文化の独自性を説き続けた。彼の文学理論はダンテなどの西欧文学全般を包含するものであり, 『批評の解剖』は百科事典的知識に基づく壮大な体系である。そこには普遍的世界文学がまとめられ, 披露されているが, カナダという地域的な要素は一度も言及されていない。しかし彼は国内ではカナダ文学・文化のアイデンティティに気付かせてくれた偉大な思想家だとみなされている。本論文は彼の西欧文学についての文学理論がカナダ文学・文化についての彼の早くからの関心と意識から生まれてきたものであることを示そうとしたものである。彼はカナダ合同教会の牧師であり, 英国ロマン派詩人ウィリアム・ブレークの研究から出発した。彼の思想的形成の背後にあるのは, いわゆる非国教会 (Nonconformism, dissenters) と米国独立後にカナダに米国から移住した Loyalist 的伝統であり, 北米におけるカナダを米国と一方では同じ文化伝統をもちながら, 他方では米国独立を契機にして米国とは違ったものであるカナダ文化の意識である。フライはカナダ文化が一見ローカルで, 国内での地域性を内包しながら, 同時に20世紀のグローバルな時代にナショナリズムの弊害の洗礼を受けずに形成された文化であり, 世界に開かれたものというヴィジョンをいだき, それを西欧人文主義の立場から説き, 『批評の解剖』にはじまって文学理論を文化理論にまで発展させた。そう考えれば, 彼の関心の中にあった二つの極が一つのものであったことが理解されるのである。(『批評の解剖』他の翻訳は法政大学出版局から刊行されている。)
著者
小牧 昌平
出版者
上智大学
雑誌
上智アジア学 (ISSN:02891417)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.17-42, 1992-12-26

上智大学アジア文化研究所創設10周年記念号
著者
バロック チャールズ・S
出版者
上智大学
雑誌
アメリカ・カナダ研究 (ISSN:09148035)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.89-117, 1989-10-30

20世紀の中頃からアメリカ南部の政治状況は大きく変容してきた。変容の最たるものは, 共和党勢力の伸長と黒人の政治力の台頭である。黒人層の政治的影響力は, 南北戦争後の「再建の時代」に連邦政府のあとおしによって強まったが, その連邦政府は「リンカーンの政党」つまり共和党が支配力を持つものであった。その意味で歴史的にも南部黒人投票者と共和党との間には共生的関係が存在していた。しかし, その後の南部白人層のまき返しにより, 黒人の政治活動を規制するような立法措置が構じられるに至った。クークルックスクラン(KKK)の活動等の社会的制裁も黒人に対して加えられた。こうした南部の黒人差別に対して介入を始めたのが1950年代末からの連邦政府であった。1957年に始まる一連の公民権法を中心とした連邦法の制定や, 連邦最高裁判所の一連の判決はその例である。連邦政府の介入もあり, 第2次大戦後の黒人による政治活動や政府組織への参加は活発なものとなった。たとえば1980年代中頃には南部黒人の3分の2が政治に参加するべく投票者登録をおこなっており, これは南部白人と同率である。しかも, 1960年代のジョンソン政権(民主党)は公民権の実施を強力におしすすめたこともあって, 「黒人の味方としての民主党」というニューディール以来のイメージがさらに補強されることとなった。すなわち, 政治力をつけた黒人層は, 民主党を支持することになり, 黒人の支持のない民主党はあり得ないという状況となったのである。伝統的に反共和, つまり民主党支持を保持してきた南部社会では, この新たな民主党支持の黒人投票者の台頭は新しい政治上のファクターであった。そのなかで南部黒人は一種のキングメーカーとしての地位を確立することになった。黒人層というキングメーカーの出現によって, 南部の政治は大きく変容すると共に, 人種問題を政治問題として取りあげざるを得ない状況となったのである。ところが, 一方においては共和党が南部で大きく勢力を確立する基盤がととのいつつあった。まず黒人は歴史的に共和党と共生関係にあったうえに, 1950年代のドワイト・アイゼンハワー時代にはこの国民的英雄を支持するという動きを示していた。そのうえに, 白人側の事情が変化したのである。第1には伝統的南部とは関係のない白人層が新しい仕事口を求めたり老後をくらすために北部から移入した。これらの人々は, もとより共和党支持者が多く, 南部に移ったからとて支持政党を変更したわけではない。第2には南部白人社会の世代交替にともなって, 従来の共和党=リンカーンの政党といったこだわりが少なくなり, 表だって共和党を支持する者がふえた。第3には, 「南部のプライド」といったものがうすれた結果, 単に支持政党をくら替えする者が多くあらわれるようになった。このような新しい動きのなかで, 1970年代から80年代にかけて南部は大きく共和党支持の旗のもとに統一されつつあるように見える。近来の大統領選挙は一回の例外(カーター)を除いては, 南部は必ず共和党候補を支持しているし, 国会議員, 知事選挙の動きを見ても同様のことがいえるのである。
著者
寺田 勇文
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究では、近年増加しつつあるブラジル、ペルー、フィリピンなど外国からの移住者に焦点をあて、かれらの日常の宗教生活、宗教実践のありかた、その問題点、ひいては日本社会における多文化共生等を実現していく上での問題点、課題を検討することを目的としている。調査にあたっては、とくにカトリック教会東京大司教区を事例とし、参与観察、関係者に対するインタビューを通じて、宗教実践のありかたを把握するように努めた。その結果、とくにフィリピンの人々が東京大司教区の教会において、フィリピン人共同体を形成し、英語またはフィリピン語のミサに出席するなどして定期的に活動をつづけていることが理解された。ただし、これらのフィリピン人共同体の多くは、たとえ同じ教会のなかにあっても日本語ミサを中心とする日本人の共同体とはほとんど接触を持たずに活動しており、言語や民族的背景をこえたより統合的な教会共同体の実現には至っていない。日本人信徒とフィリピン人信徒とは同じカトリック教会に所属しているとはいえ、それぞれの国におけるカトリック信仰受容の歴史、教会形成の歴史的背景が異なり、社会における教会の位置づけ、社会的空間としての教会の利用のしかたにも違いがみられ、さらに信心業などの点でも大きな差異がみられる。この研究においては、主として外国人移住者(とくにフィリピン人)の立場から、現在の日本におけるカトリック共同体の現状を把握し、上述のような問題点を指摘している。
著者
水林 章
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

「共和国の思想と文学-他者との出会い」を主題とする研究過程で,フランス啓蒙主義時代の文学の精力的な再読をおこなうと同時に,この主題に関係の深い現代フランス文学作品であるダニエル・ペナックの『学校の悲しみ』の翻訳をおこない,さらには,研究の一部をフランスのガリマール書店より刊行されたUne langue venue d'ailleursにまとめることができた.
著者
岩井 俊一
出版者
上智大学
雑誌
上智大学仏語・仏文学論集 (ISSN:02881934)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.1-10, 1994-03-20