著者
Firkola Peter
出版者
上智大学
雑誌
アメリカ・カナダ研究 (ISSN:09148035)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.1-17, 1997-03-31

1980年代半ばに生じた経済状況の変化により、カナダ企業は競争力維持のために内部組織の変革を余儀なくされた。この変革の中で、人員削減が行われ、企業内における組織と従業員の関係も大きく変化した。本稿は、カナダの大企業をめぐるこの新しい状況が、従来カナダにおいて見られたキャリア・ディベロップメント(career development)に与えた影響について論じるものである。まず、career、career development、career path、などの用語について説明した後、従来のカナダ社会におけるキャリア・ディベロップメントに対する考え方を検討する。次に、経済状況の変化によりカナダ企業において、キャリア・ディベロップメントがどのように変わったかを調べるために行われた研究調査について報告する。面接調査は、1993年の夏に、カナダの大企業8社を対象に行われたものである。面接調査の結果、カナダ企業におけるキャリア・ディベロップメントについて以下の3点が明らかになった。1、従業員自身が自分のキャリアに対して責任をもつようになったこと。2、新しいパラダイムをスムーズに導入するため障害が生じたこと。3、キャリア・ディベロップメント・プログラム開発を先導しているのは、ハイテク企業であること。最後に、1990年代後半のカナダ企業におけるキャリア・ディベロップメントの動向について論じる。
著者
市之瀬 敦 吉野 朋子 GIBO LUCILA 黒沢 直俊
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

研究の初年度にあたる本年度においては,年度を通して、国内の教育機関における実態調査として上智大学,東京外国語大学,神田外語大学,京都外国語大学、天理大学でのポルトガル語教育のカリキュラムや達成目標,特色ある取組等について詳細な調査を行った.2017年10月15日に天理大学を除いた4大学の担当者を交えた研究集会を開催し,報告や聞き取りを通じて調査を行った.この調査に関しては主に研究代表者の市之瀬や分担者全員が担当した.さらに,このテーマに関しては,すでに日本ポルトガル・ブラジル学会の紀要ANAISに論文を分担者の吉野が中心にまとめ発表,掲載している.さらに到達目標との関連では,上記5大学での実態などにも踏まえ,投野由紀夫が提唱しているCEFR-Jとポルトガルポルトガル語,教養ブラジルポルトガル語,民衆ブラジルポルトガル語の3変種との具体的言語的対応を図るべくそれぞれのレベルに対応した詳細な例文集を作成した.例文集の作成は分担者の黒澤を中心に,ポルトガル人やブラジル人のインフォーマントの協力を得て完成している.この例文集はすでに黒澤の勤務校である東京外国語大学で試験的に学生に対してボランティア的使用を促しており,効果の検証や改善に向けた取り組みを行っているところである.例文集は,さらに,シラバスの策定に向けて文法項目との関連などを図るための基礎資料となる.加えて,収集成果や研究資料の整備等を行なっているほか試験的に検定試験の一部を作成している。なお,購入したPCにデータや情報などを集約して整理している。
著者
坂井 隆
出版者
上智大学
雑誌
上智アジア学 (ISSN:02891417)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.261-309, 2005-12-27

<特集>東南アジアの土器と施釉陶磁器(Technology and Chronology of Gazed Ceramics in Southeast Asia) 第3部:アジア・太平洋の海を繋ぐ肥前陶磁 (Part 3: Transpacific Trade of Hizen Ware: from Asia to the New World, Earthenware and Glazed Ceramics in Southeast Asia)
著者
佐藤 浩司 竹内 正雄 竹ノ谷 文子
出版者
上智大学
雑誌
上智大学体育 (ISSN:02870568)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.1-8, 2001-03-31

本多浩二教授退任記念号
著者
金山 智子
出版者
上智大学
雑誌
アメリカ・カナダ研究 (ISSN:09148035)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.83-113, 2004-03-31

本論文は公的扶助受給者の報道におけるメディアの役割を、メディアの儀礼的視点から考察したものである。本研究では、ニクソンからクリントン政権までの27年間にわたって米国の代表的な雑誌で報道された公的扶助関連記事について内容分析を行った。その結果、これらの報道は定期的な儀礼としての機能を帯びていることが認められ、米国に存在してきた「貧困は罪深い」という共通の信念を読者が確認する機会となっていたことが示唆された。このような信念は17世紀のイギリス社会で発生し、その伝統を引き継ぐ米国社会にも受け継がれてきたことは明らかであり、また公的扶助の受益者についての報道を読者が、習慣的かつ、儀礼的に消費する際に影響を与えていたと理解できる。公的扶助の受益者たちと社会への貢献者としての納税者という二つの異なる立場は、報道を通じて、両者間が調和されるよりは、むしろ納税者の公的扶助受給者に対する敵意を強調することになった。米国では植民地時代同様、近代においても貧困者に対する「辱め」や「卑しさ」の観念が、メディアを通じた儀礼によって継続的に示されてきたのである。