著者
ドメネク=ベルダ カロリーナ 阿部 俊大 Carolina Doménech-Belda Toshihiro Abe
出版者
同志社大学人文学会
雑誌
人文学 (ISSN:04477340)
巻号頁・発行日
no.206, pp.110-79, 2020-11

この論考は、アル=アンダルス[中世のイスラーム=スペイン]におけるファーティマ朝(907−1171年)の貨幣の存在について、アンダルスの領域におけるこの外国貨幣の流通についての情報を見直し、アップデートしつつ、論じたものである。翻訳:阿部俊大
著者
ロペス=デ=バロス マリア=フィロメナ 阿部 俊大 Maria Filomena Lopez de Barros Toshihiro Abe
出版者
同志社大学人文学会
雑誌
人文學 = Doshisha University Jinbungaku (Studies in Humanities) (ISSN:04477340)
巻号頁・発行日
no.204, pp.120-99, 2019-11-15

本論文は、中世のポルトガル王国において、キリスト教国家の支配下に置かれたイスラーム教徒(ムデハル)を、彼らのアイデンティティの変化を中心に論じたものである。まず、キリスト教国家による征服を通じた、彼らの呼称(他称・自称)の変化が論じられる。次いで、それに伴う15世紀まで彼らの自己認識の変化が分析される。その上で、イベリア半島の外のイスラーム教徒の彼らに対する認識と、本人たちの認識が比較され、最後にポルトガル王権とムデハルの関係が論じられて議論が締めくくられている。翻訳:阿部俊大
著者
石坂 尚武 Naotake Ishizaka
出版者
同志社大学人文学会
雑誌
人文學 = Doshisha University Jinbungaku (Studies in Humanities) (ISSN:04477340)
巻号頁・発行日
no.194, pp.225-363, 2014-11-30

大規模ペストが発生した一四世紀の後半に書かれたイタリアの遺言書は、ペスト(黒死病)の影響を受けているかどうかを知るためのに、ペストのなかった一三世紀の遺言書と比較する。イタリアで書かれた遺言書12通の全訳を紹介する。
著者
菊田 千春 Chiharu Kikuta
出版者
同志社大学人文学会
雑誌
同志社大学英語英文学研究 = Doshisha studies in English (ISSN:02861291)
巻号頁・発行日
no.101, pp.83-126, 2020-03

本稿は日本語の順接・逆接仮定条件を表わす命令文を取り上げ、それを意味変化の方向性仮説の反例とする先行研究への反論を試みると共に、通時的構文文法による分析を提案する。特に、「命令から条件」への変化だけでは本質を捉えられず、「命令文と後続文の間に推意として存在した条件という論理関係のコード化」と考えるべきこと、そして、意味に加え、形式の慣習化を考慮することにより、構文化過程を明らかにできると論じる。龍城正明先生 秋篠憲一先生 中井悟先生 斉藤延喜先生 御退職記念号論文(Article)
著者
林 克樹 Katsuki Hayashi
出版者
同志社大学人文学会
雑誌
人文學 = Doshisha University Jinbungaku (Studies in Humanities) (ISSN:04477340)
巻号頁・発行日
no.201, pp.1-24, 2018-03-15

仏教において核心的な事柄である「涅槃」を、ショーペンハウアーがどこまで正確に捉えていたかを考察する。『大般涅槃経』に説かれる「アーユスのサンカーラを捨てる」ことに相応する「生への意志の否定」によって「涅槃」を受け止めたショーペンハウアーは、「涅槃」の本質的な構造契機である「正覚・滅度・新生」を、未だ明確に主題化してはいないとはいえ、予料的にはほぼ余すところなく射程に入れていたことが明らかとなる。
著者
石坂 尚武 Naotake Ishizaka
出版者
同志社大学人文学会
雑誌
人文学 (ISSN:04477340)
巻号頁・発行日
no.195, pp.111-194, 2015-03

ルターの宗教改革は、これまでペストの心性的な影響という面からは説明されてこなかった。当時、ペストは、常に神罰と見なされたのであった。本論文では、ペストが人びとに与えた心性的影響から宗教改革の生起を明らかにする。ドイツにおけるペストの発生、ペストに対する人びとの受け止め方、神秘主義神学の影響から、ルターの宗教改革を論じる。結局、ペストによって神観念が変貌し、その観念から宗教改革が発生した側面が証明される。訂正 p.170. & p.171. 「諸会話」→「聖会話」 p.191の 注(107)、「常時」→「情事」