著者
三澤 美紀
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.63-72, 1989-03-31

農村地域と都市近郊新興住宅地の中学校を対象に生活状況に関する調査と健康状態に関する調査を行い,検討を行ってきたが,本報告では特に就寝時間,夜食の摂取状況,朝の食欲を取りあげ,相互の関連性を検討した。1. 就寝時間は農村地域よりも都市近郊の方が遅い傾向がみられた。また,肉体的愁訴の数が多いほど11時以後に就寝している生徒が多いが,地域差は認められなかった。2. 夜食の摂取状況は地域,就寝時間に関係なくその摂取頻度は低いが,11時以後就寝の生徒において肉体的愁訴の数が少ない者ほど摂取頻度も低い傾向がみられた。3. 遅い就寝時間が朝の食欲に及ぼす影響は農村地域に比して都市近郊の方が大きい。また,愁訴の数が多い生徒ほど朝の食欲も低くなり,この傾向は農村地域において特に顕著であった。4. 夜食の摂取状況と朝の食欲とについては石崎・中野らが夜食の摂取頻度と朝の欠食及び食欲との間には相関性はみられなかったと報告しているが,本調査でも相関性は認められなかった。しかし,夜食をよく食べていても愁訴の数の少ない生徒では朝,食欲のある者の多いことが認められた。以上,これらの現象は農村地域と都市近郊との差というだけでなく,その学校の進学状況通学距離,クラブ活動の状況等,多数の要因がかかわりあっているものと考えられ,これらを踏まえた上で検討する必要があると考える。本報告は,本学栄養指導研究室で調査した一部をまとめたものである。
著者
佐久間 みかよ
出版者
和洋女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

19世紀のアメリカ人作家メルヴィル、エマソンを中心にして、その自然観を考察するため、作品の動物表象に着目し研究を行った。その結果、当時発達した自然科学の影響を受けた多様な生物への関心がまし、また植民化活動の活発化から派生した東洋の文化・思想の流入した結果、動物と人間の融合する自然観、世界観が作品に反映されていることが確認できた。これらは今日の動物の権利、エコロジー的思考へと向かう流れを形成していると思われる。
著者
福田 瑛子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.85-98, 2003-03-31

家庭洗濯の実態を把握するために、主婦を対象に12年前とほぼ同様の調査を行い、12年間の家庭洗濯における変化と動向について考察し、次のような結果を得た。1)12年前洗濯機は「全自動」が31.0%であったが、今回は86.0%であり、容量は「5kg」以上が多くなった。また洗う方式は12年前は「渦巻式」が主流で次いで「攪拌式」であったが、今回はそれに「遠心力」「超音波」の洗濯機が加わった。2)洗濯機を購入する動機は、「機能的」「使い方が簡単」が12年前と同様上位にあるものの「価格が安い」の方が順位が上になっている。またトップであった「メーカー」は9位に後退している。3)洗濯時に「取り扱い表示」を考慮しないが約18.0%、「洗濯物を仕分けしない」は20.6%で、洗濯物を白物と色物とに分けて洗濯しているのに、その際「洗剤を替えない」が89.6%もある。また、洗剤の使用量は「表示を読まない」は20.0%から2.45%に減少しているが、「適当」が23.0%あり、洗剤の量についての考え方は変わっていないようである。このようにそうあって欲しくない回答が依然としてかなりある。4)使用洗剤は12年前とほとんど変化がなく、「弱アルカリ性合成洗剤」の「粉末タイプ」が圧倒的に多く、今回は「中性洗剤」も使われている。環境によい「石けん」の使用は依然として僅少である。洗剤については多くの知識をもっているが、環境への配慮は高まっているとはいえず習慣を変えることの難しさを示している。5)ドライ表示の付いた衣服でも、「ドライクリーニングにださない」が32.0%もあり、洗濯機と洗剤の開発で洗濯機の「ドライコース」と「水洗い」を合せると10.1%ある。ドライ表示を信頼していないのか、繊維の種類と洗濯方法との関係についての知識が深まったためなのかはよく分からない。6)乾燥は「天日乾燥」が圧倒的であるが「乾燥機」の使用も増加した。7)家事仕事で好きな順位は、洗濯>料理>掃除>食事の後片づけ>アイロンかけである。最も嫌われているのはアイロンかけであり、取り扱いやすく安全なアイロンおよびアイロン台の開発が望まれる。8)洗濯機メーカーへの要望・洗濯によるしわについての工夫などでは、洗濯機の問題点を認識した意見が多くだされており、消費者も賢くなっていることを示している。また、糊つけやアイロンかけなどは、社会状況の変化で減少しており、12年前とは異なった結果を示しているものもある。
著者
畑江 敬子 戸田 貞子
出版者
和洋女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

高齢者の口腔内状態を把握するための検査食の開発を目的として、寒天ゲル及びデンプンゲルの調製を試みた。寒天ゲルについては寒天濃度の異なるゲルを再現性よく調製することが出来た。しかし、デンプンゲル検査食については手作りであったため、わずかに再現性に乏しくこの解決が課題であった。そこで、食品工業的に餅のような食感のゲルの調製を考え、業者に依頼した。これを冷凍保存し、必要に応じて一定時間蒸し加熱することで、再現性のある物性の検査食が出来ることがわかった。この検査食を用いて、少数の高齢者と若年者で、咀嚼してもらい、測定することを検討した。その結果、15秒間咀嚼してもらい、それを吐き出してもらうこととした。1辺が15cm、高さ約2cmのシャーレをアクリル板でつくり、シャーレに吐き出した寒天あるいはデンプンゲル試料をひろげ、デジタルカメラで撮影することとした。このとき、光が反射しないように、また、はきだした小片が重ならないように注意深く竹串でひろげるなど、測定条件を検討した。撮影した写真の画像解析により、粒度分布を測定することで、高齢者と若年者の口腔内状態が把握できた。最終的に若年者52名、高齢者76名の協力を得た。ストラスブールのシニアハウス2カ所を訪問し、当該施設で提供される1週間のメニューをしらべた。さらにストラスブールに住む高齢者の食生活の聞き取りを行なった。
著者
福田 瑛子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.229-235, 2000-03

組成繊維が異なる各種の白色布について,屋内乾燥,天日乾燥,ガスおよび電気乾燥機などによる乾燥を繰り返し行い,白色度,黄色度,L^*a^*b^*などの変化を測定し,布の色相に及ぼす乾燥方法および乾燥回数の影響について検討した。得られた結果は次の通りである。1) 羊毛,ポリエステル,ナイロンの白色布は繰り返し乾燥により白色度が低下し,黄色度は増加する。いずれも天日乾燥による変化が大きいが,特に羊毛の変化が大きい。2) 本研究で用いた綿は天日乾燥25∿30回程度まで白色度は向上し,黄色度は低下する。一方,L^*a^*b^*の測定結果を見ると,綿の原布は青味を帯び,天日による繰り返し乾燥により無彩色の方向に変化している。綿布の白色度および黄色度の変化は,蛍光染料の退色,脱落によるものと考えられる。3) 麻は繰り返し乾燥により,僅かではあるが無彩色(白色)の方向に変化する。4) 麻,キュプラ,アセテートは,いずれの乾燥方法でも色相はほとんど変化しない。5) 綿,麻,ポリエステルでは,天日乾燥に比べて屋内乾燥,乾燥機ともに色相変化は少なく同程度であるが,ナイロンでは乾燥機の場合,30回以上で天日乾燥と同様に黄変し,紫外線のほか熱の影響を受けやすい。
著者
小菅 充子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.45-53, 1994-03-31

和洋女子大学および和洋女子短期大学に在校する,関東地方に住いのある学生の家庭の味噌汁とすまし汁の食塩濃度を10年に渡り3回測定し,以下の様な結果を得た。1.昭和56年(178家庭),昭和63年(126家庭),平成3年(96家庭)の味噌汁の食塩濃度の平均値は1.27%,1.02%,0.95%であり,すまし汁のそれは0.91%,0.86%,0.79%であった。2.いずれの年も,味噌汁はすまし汁よりも高い食塩濃度を示し,有意の差が認められた。3.味噌汁に於ては,食塩濃度は経年的に有意に減少した。4.すまし汁に於ては,昭和56年と昭和63年では食塩濃度に有意の差は認められなかったが,昭和63年から平成3年では有意に減少した。5.昭和63年と平成3年に於ては,高い食塩濃度の味噌汁を好む家庭は,すまし汁についても高い食塩濃度のものを好むことが認められた。6.平成3年に於ては,味噌汁とすまし汁の顕著な摂取離れが観察された。
著者
里和 スミヱ 海老沼 春世 大城戸 ツヤ子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.33-42, 1995-03-31

1. オリーブ油15gまたは50gを1回摂取すると,6日後TGは15gで18%,50gで9%低下。HDL-Chは50gで20%増加した。VLDLは50gで5日後20%低下した。2. オリーブ油を20g毎日摂取すると,14日後T-Chは4%低下,TGは17%低下した。HDL-Chは不変で,VLDLは33%低下した。3. 鰯100gで作ったつみれをオリーブ油15gで調理すると,2日後T-Chは10%低下,TGは8%低下,HDL-Chは15%増加し,鰯のみのときより血清脂質改善作用が増強された。4. 血清過酸化脂質の増加は5.7%と軽度であった。5. 血清脂肪酸組成はいずれもオレイン酸の増加はわずかであった。以上よりオリーブ油にTG低下作用,HDL-Ch上昇作用があることが認められた。