著者
山口 直子 伊藤 瑞香 内田 彩子 鈴木 ちひろ 鬘谷 要 NAOKO YAMAGUCHI MIZUKA ITO AYAKO UCHIDA CHIHIRO SUZUKI KANAME KATSURAYA
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.1-12, 2012-03

若者は、着物に対して興味や憧れといった肯定的な意識を持っているが、着物を着るにあたって着心地や着崩れといった様々な障害により着物を着ることが難しい現状にある。本研究では着物を着る上での大きな障害である着崩れのいくつかの要因のうち、主に、素材と着崩れとの関係に着目した。 研究対象とした素材は、綿、絹、ポリエステル、セオα(ポリエステル系新素材)の4種で、まず、顕微鏡による繊維の観察、摩擦測定、KESによる生地の力学特性の測定によって生地の状態を把握した。次に、各種の素材を用いて試験衣を作成し、それを着装し3種の単純動作を行うことで、着崩れの方向並びに量を解析することによって、素材による着崩れ傾向の違いを評価した。また、解析によって"おはしょり"が着崩れの緩衝機構になっていることが示唆されたため、おはしょりの無い試作対丈着物についても製作し比較検討を行った。 その結果、おはしょり有りの着物では、セオαの着崩れが最も少ない一方、綿の着崩れ量が大きいことが分かった。おはしょり有りとおはしょり無しを比較した場合はおはしょり無しの方が着崩れが目立ったが、セオαにおいておはしょり有りでは見られなかった新たな着崩れが生じ、おはしょりが着崩れに与える影響は素材によって異なることも明らかとなった。
著者
小澤 京子
出版者
和洋女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、1780-1830年代のフランスの近代的都市空間に体現された時代特有の認識枠組を、「流れ」という鍵概念の下に明らかにした。具体的には、革命期からサン・シモン主義までの時代の都市構想において、「運搬・移動のための動線」や「建築物内の換気・循環」がいかに論じられたか、結果としていかなる空間が計画されたかを明らかにした。さらに、都市構想・建築理論への同時代の生命科学・化学的言説の影響が、その背景にあったことを見出した。そして、以上のような都市構想と科学的知の連関が、「労働する身体の管理」や「時間の認識と効率的な活用」という「近代的」な生権力や時間感覚に、いかに作用していたのかを解明した。
著者
石川 香子 坂本 元子 宇田川 孝子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.67-81, 2005-03-31

Recent health problems are mainly unbalanced nutrients intake, irregular food intake due to changes of daily life style and disappeared healthy Japanese food culture. On the other hand, according to food balance sheet, the self sufficient rate of food has been maintaining lower level by the over flow of imported foods from the outside countries. Under these situations, Government legislates on "Shokuiku kihon-law (Draft) " and several ministries such as The Cabinet Office, The Ministry of Health and Welfare and Labor, the Ministry of Agriculture, Fisheries and Forestry and The Ministry of Education, Sports and Science will be wrestled with the Law. In this study we discussed about the contents of "Shokuiku kihon-Law (Draft) " which will be legislated by the Government because the educations related to the food and nutrition is the most important role and responsibility of Dietitian. We need to know what responsibilities will be given to Dietitian in this law. We also investigated through questionnaire about how "Shokuiku" is planned in each prefectural Dietetic Associations as their new criteria among 47 prefectures. The results of this survey will be discussed in this study.
著者
三橋 洋子 小林 幸子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.55-63, 1996-03-31

昭和58年と62年に実施された献立のうち,22献立についての塩分量の検討を行った。また平成元年から7年(前期)までの7年間に実施された132献立のうち,5回以上実施された8種類の主菜,合計53献立について同一主菜別に献立内容の分析・検討を行い,次の結果が得られた。1) 大量調理における塩分濃度は,材料の量の多さや器具の表面積の大きさ等に影響をうけ,計算値と実測値に差が生じ,その差にはバラツキがみられた。2) 同一主菜の食材料の使い方にはハンバーグやちらし寿司のように各回で個性のあるものや,チンジャオロースやクリームシチューのように毎回使用する食品がほぼ同一であるものとがあった。3) 同一主菜を副菜,汁物を含めた献立としてみた場合,たんぱく質源食品や野菜類の主菜での使用不足分は,副菜や汁物で補っていることが多いが,不足しているままの献立もあり今後の検討課題としたい。
著者
鈴木 敏和
出版者
和洋女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

肥満は不妊の一要因である。本研究では、高脂肪食マウス肥満モデルにおける雄性不妊の機構を解析した。また、雄性不妊の改善に効果が期待されている栄養素L-カルニチンの効果についても調べた。肥満に伴って、精子運動能の低下と交配させた雌マウスの妊娠率の低下が見られた。L-カルニチンによる肥満雄マウスの妊孕能改善はみられなかった。精巣上体尾部の遺伝子発現解析の結果、肥満マウスでは精子成熟の過程でDNA損傷が引き起こされていること、その一部にpiRNAが関与していることが示唆さされた。
著者
佐藤 勝明 玉城 司 伊藤 善隆 神作 研一 藤沢 毅
出版者
和洋女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

『続猿蓑』の連句について付合分析を行い、「かるみ」が高度な思考活動と句作段階での捨象・推敲を伴って実現することを、明らかにした。それが同時期の俳壇全体の中でどう位置付けられるかを明らかにするため、元禄期の全俳書を調査し、その基礎的なデータを刊行した。その中から、地方俳書の一つである『備後砂』に着目し、その分析を通して、「かるみ」とは異なる地方俳諧の実態を明らかにした。
著者
塚本 宏
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋國文研究 (ISSN:02865459)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.53-63, 2003-03
著者
中島 明子 坂田 実花 鈴木 浩
出版者
和洋女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

予備調査を踏まえ、東京都墨田区内の高齢者730人のデータを解析。98%が墨田区内での居住継続希望であった。さらに自宅継続・区内転居・区外転居希望者別に住要求及び生活要求について分析し、居住継続要因と非継続要因を考察した。居住継続支援としては、民間借家対策、耐震・老朽化対策と併せ、経済及び健康対策が必要である。これに対し公的・民間セクターが相互に補完しあう"すみだ型地域居住支援システム"を構想した。
著者
中嶋 英昭 湊 久美子 林 喜美子 斎藤 八千代
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.161-170, 2000-03
被引用文献数
1

生活習慣病の予防や改善に有効な運動は有酸素運動であり,それは呼吸循環系の機能向上を目指して行う運動で,最大酸素摂取量の多少で評価できる。そこで,一般女子学生を対象にトレッドミル歩・走行を行わせ,呼吸循環系機能の応答について計測した。比較のため運動部員(バスケットボール部,ソフトテニス部)についても同様に測定し,さらに15-25年前の報告とも比較した。心拍数は安静値から運動部と有意な差があり,その差は中等度の負荷でさらに広まり,一般学生・テニス部・バスケット部の間にそれぞれ約10拍/分ずつの差があった。最高心拍数は一般学生・テニス部・バスケット部それぞれ184・191・181拍/分で,運動遂行時間はそれぞれ11分20秒・12分26秒・12分56秒で,バスケット部はまだ余力がある状態かもしれない。最大酸素摂取量は一般学生34.5・バスケット部47・テニス部41ml/kg・分で,運動部との間に有意差が認められた。また15-25年前の一般学生と比較しても若干低い値であった。心拍数と酸素摂取量の関係式から考察するとバスケット部は他の群より大きく左方移動した直線で,テニス部と15年前の一般学生がほぼ同様の傾向,そして今回の一般学生は最も右寄りに位置しており,同一負荷に対して循環系がより多く負担を強いられている状態と言える。以上の結果から,今回の一般学生の呼吸循環系機能は運動部員に比較して,さらに15-25年前の一般学生と比較しても低く,日常生活の中に有酸素運動を取り入れる努力をし,呼吸循環系の機能改善を計らなければ,将来の生活習慣病が心配される。
著者
橋本 令子 中牟田 成美 澤村 薫 村田 光範
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.153-160, 2006-03-31

本年6月、食育基本法が成立し、食育の重要性が認識されてきている。食育とは、知育・徳育・体育と並ぶ教育の柱である。また、人々の生活習慣の中で特に食生活が注目されており、近年の健康ブームとともに管理栄養士の業務も幅が広がってきている。そこで病院においても、小児科を中心に食育の実施が期待される。これまで小児科医が中心で行なってきた小児健康フォーラムにおいて、今回は管理栄養士が中心となった食育を実施した。その結果、幼少期から適正な食生活を確立することの必要性を食育を通して参加者に理解させることができた。さらに子どもだけでなく保護者の食生活に対する関心の高さが感じられ、病院における小児健康フォーラムを介した食育の実施は効果的であった。
著者
小菅 充子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.85-94, 1989-03-31

近年健康に対する関心度は高く,特に成人病と食塩摂取量との関係が注目され,日常の食生活においても減塩志向が盛んである。一方加工食品の利用率も年々増加の傾向にあり,1日の食塩摂取量に対する加工食品の占める割合も高いと考えられる。本実験では,最も一般的な加工食品である即席麺と即席汁物を取り上げ,その利用上の注意点を求めることを目的に,全食塩量および食する際の食塩濃度を測定し,次の様な結果を得た。表示通りの方法で調理を行った即席麺の汁の食塩濃度は1.00∿1.52%と,一般の汁物の好ましいとされる食塩濃度に比べてかなり高い値であった。また汁物の即席麺の全食塩量は4.29∿6.54gで,この差は各麺の汁の容量の差と食塩濃度の差によるものであった。焼きそば類は調味料を麺の回りにまぶす方法をとるので,2.49∿3.30gと汁物の麺よりかなり低い値であった。即席汁物のうち,味噌汁の全食塩量は1.49∿2.53gであるのに対し,すまし汁のそれは1.14∿2.10gとやや低い値であった。カップ入りのものを除いた他のものは1椀分となっているが,盛りつけ量を考慮して食塩濃度を算出すると,本学学生の家庭の味噌汁およびすまし汁の食塩濃度の測定値よりかなり高い値となってしまう。1日1人当りの食塩摂取量は10g以下,特に本態的高血圧の予防の面からは3∿5gに保つことが望ましいとされている現在,測定された様な高い値の食塩量を含む即席麺や即席汁物の利用には,充分の注意が必要であろう。一方塩味の好みは学習により習慣形成されて行くとされるので,今回測定された様な高い食塩濃度の摂取がくり返されぬ様,表示以上の稀釈を行う等の配慮がなされるべきと結論できる。なお食塩の定量については,調理上の塩味として考える時には,従来行われているようなナトリウムまたは塩素のいずれか一方の測定値のみからの食塩量の算出では,問題が多い様に思われる。
著者
林 喜美子 湊 久美子 斎藤 八千代
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.171-179, 2000-03
被引用文献数
1

本学女子大学生132名,計416日分のペドメーターを用いて測定した1日当たりの歩行量を解析した結果,日常生活の中で,歩行量を増加させる要因は,通学,学内移動,実習系授業,買い物などの外出,立ち仕事アルバイト,スポーツ活動であった。1日中家にいた日の平均歩行量は4593歩で,授業や買い物などで外出した日に比較して有意に少なかった。授業が座学のみで,その他に何も実施しなかった日の歩行量は9275歩で,授業に実習のあった日や授業の他に買い物,アルバイト,スポーツ活動のあった日に比較して有意に少なかった。授業に実習のあった日や授業の他に買い物,アルバイト,スポーツ活動のあった日の歩行量は12000∿13500歩と多く,授業がなく,買い物,アルバイト,スポーツ活動のあった日の歩行量は10500∿11000歩であった。日曜日の歩行量は土曜日,平日に比較して有意に少なかった。生活状況の違いによる1日当たりの歩行量と同様の生活時の覚醒中平均心拍数との間には正の相関関係が成立した。これらの結果から,歩行はスポーツ活動習慣の少ない女子大学生にとって,貴重な運動習慣の一部となっており,彼女らにとって実現可能な運動処方であることが明らかとなった。
著者
坂本 元子 藤沢 由美子 石井 荘子 小林 幸子 川野辺 由美子
出版者
和洋女子大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

生体防衛反応に及ぼす無機質・微量栄養素欠損の影響を検討する目的で、栄養素としてマグネシウム(Mg)をとりあげ、Mg欠乏ラットを用いて検討を行った。初年度はMg欠乏時の補体系の動態を、2年目はMgのmarginal欠乏状態時及び欠乏初期の補体系の変動を観察した。更に3年目はMg欠乏時の免疫応答能について検討した。いずれもSD系の雄ラットを用い、Control食(Mg:73ppm)、Mg欠乏食(Mg:10ppm)及び2年目は低Mg食(Mg:30ppm)で飼育し実験に供した。補体系の検討は各飼料で3週間飼育後回復食を投与、各週毎の血中補体C3濃度、補体溶血活性(CH50)等を測定した。Mg欠乏初期の検討は、欠乏食飼育0、1、2、3、5、及び7日目の血液を同様に実験に供した。免疫応答能の検討では、欠乏食飼育1、2週目の脾臓及び腹腔マクロファージ(Mφ)を用い、マイトジェン(ConA、LPS)刺激による幼若化反応及びサイトカイン(IL-1、IL-2等)産生能を検討した。補体系の動態はC3濃度及びCH50がMg欠乏食飼育により著明な上昇を示し、この変化はMgの補充により回復した。また、Mg欠乏状態の程度が強くなるに従ってC3濃度及びCH50は上昇していた。Mg欠乏初期の観察では、C3濃度及びCH50の上昇が顆粒球数の増加に先がけて観察された。従って、Mg欠乏時の補体系の上昇はMg自体の欠乏で引き起こされ補体の活性化に伴って産生されるfragmentの作用により白血球の増加が起こる可能性が示唆された。一方、免疫応答に及ぼすMg欠乏の影響では、ラットの脾細胞マイトジェン刺激試験で、欠乏食飼育1週目においてConAに対する反応性が著しく低下していたが、その時のIL-2産生の低下はみられなかった。MφのIL-1産生低下も認められないことから、Mφの他の機能である抗原提示能やリンパ球増殖及び抑制等の機能の一部がMg欠乏により変化している可能性も考えられ、更に詳細な検討が必要であると思われる。
著者
佐藤 勝明
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋國文研究 (ISSN:02865459)
巻号頁・発行日
no.40, pp.9-18, 2005-03