著者
富田 さわ子 武部 真子 田波 真弓 柴田 育子 堀越 香織 芳鐘 文子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.117, pp.2105, 2021-03-31 (Released:2021-03-25)

一橋大学附属図書館では,令和元(2019)年10月12日(土),東日本を中心に甚大な被害をもたらした台風19号の影響により,書庫内に大規模な浸水被害が発生した。施設や書架,蔵書等に受けた被害,復旧作業の経過及び今後に向けた取り組みについて,約1年が経過した時点での状況を報告する。
著者
塚原 一秋
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.109, pp.2004, 2018-08-31 (Released:2018-09-08)

Facebookページ「コクダイマルケン」の投稿に,いつ誰が「いいね」を付与したかを調査した。研修会の参加者と突合したところ,参加者が研修会前に「いいね」を付与した数はわずかであることがわかった。また,「いいね」を付与したユーザーの半数以上が1回限りの「いいね」付与である一方で,東京地区協会会員館の所属者を中心に10回以上「いいね」を付与するユーザーも存在することがわかった。それらを踏まえ,今後のFacebookページの活用方法を,一方的な広報手段としてではなく,研修会参加対象者以外との情報交流を目的としたものとすることを提案する。
著者
稲葉 直也
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.112, pp.2040, 2019-08-31 (Released:2019-09-05)

本稿は,ラーニング・コモンズ設置等に代表される,館内利用方針の変換を伴う施設改修の効果を検証するために,大学図書館の館内利用量(利用時間)を推定することで,館内利用の変化を量的に評価する手法を提案する。2018年8月から9月に行われた早稲田大学中央図書館2階のラーニング・コモンズ改修工事を対象に実証調査を行い,改修に期待する効果を事前に館内利用量を測定することで予測し,改修後に館内利用の変化の有無を確認することで,想定通りの改修の効果が表れているか検証と評価が可能であることを明らかにした。
著者
藤原 秀之
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.89, pp.1-9, 2010-08-31 (Released:2017-11-07)

図書館,資料館等が所蔵するさまざまな文化資源(図書,博物資料)のデジタルアーカイブ化は,多くの機関で進展を見せている。今後はデータの蓄積から各機関による積極的な情報発信の手段として活用されなくてはならない。アーカイブが原本代替資料として高度な情報を提供することが,あらたな研究の進展をうむと同時に,原本の利用を抑えることによる資料保存の効果も高い。デジタルアーカイブの現状と今後の課題,展望について早稲田大学図書館が企画・運営する「古典籍総合データベース」の事例をもとに考察を加える。
著者
飯野 勝則
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.111, pp.2031, 2019-03-31 (Released:2019-03-30)

電子リソースデータ共有作業部会において扱う「共有」には (A) 各機関から外部に対して行う共有,および (B) 外部から各機関に対して行う共有,の二つの意味がある。 (A) の事例としては本作業部会で運営するERDB-JPがある。 (B) についてはコンソーシアムが扱うタイトルリストやライセンス情報などの共有が仮定されるが,未だ十分なシステム環境は用意されていない。しかし今後,日本国内において,図書館サービスプラットフォーム (LSP) などのシステムを,複数の機関で選択的に共同調達・運用できる環境を構築することができれば,その状況は大きく改善するだろう。
著者
佐々木 奈三江 亀岡 由佳
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.110, pp.2023, 2018-11-30 (Released:2019-01-10)

本稿では,ラーニング・コモンズにおける人的支援の一形態として,徳島大学附属図書館が実践している学生協働による学習支援について報告する。学生が運営する学習相談や学習関連イベントは教員の協力が得られやすく,また,学生同士の繋がりにより,図書館単独で実施するよりも活用されやすいメリットをもつ。一方で,図書館職員の関わり方や評価方法等,実施にあたっての課題も多い。大学教育の変革の中で,大学図書館が学習支援の一部を担う組織としてどのような役割を果たすべきなのか,大学図書館と関連組織が連携の上検討していく必要がある。
著者
後藤 史彦 西薗 由依
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.106, pp.54-62, 2017-05-31 (Released:2017-09-22)

2015年9月16日から19日にかけて,欧州における日本分野資料の専門家によるグループ「日本資料専門家欧州協会(EAJRS)」の第26回年次大会がオランダのライデンにて開催された。今大会では「Breaking Barriers - Unlocking Japanese Resources to the World」をテーマに掲げ,従来あまり知られてこなかった一次資料を普及させるための取り組みに焦点があてられた。筆者らは,今大会において,所属する長崎大学と鹿児島大学がそれぞれ所有する貴重資料について,保存および公開の取り組みを紹介した。その発表内容を含め,今大会の概要を報告する。
著者
前田 勇樹 川畑 宗太
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.125, pp.2161, 2024-03-31 (Released:2024-03-01)

琉球大学附属図書館では,2021年度からYouTubeによる情報発信を行っている。所蔵する貴重資料やデジタルアーカイブに関するコンテンツを中心にこれまでに100本以上の動画を公開した。本稿では,琉球大学附属図書館のYouTubeを活用した広報事業について,その経緯やコンセプトおよび実施中の事業を詳述し,現段階での外部からの評価をもとに課題を提示した。
著者
秋元 優太 西野 哲朗
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.122, pp.2142, 2022-11-30 (Released:2022-12-15)

司書の労働負担軽減や図書館の遠隔サポートの拡大を目的に,図書推薦をチャット形式で行うことができるシステムを提案する。本システムは,利用者に対しおすすめの図書と書架の位置を提示することができる。また,システムの実現手法を提案する上で,司書が図書案内する際にNDCに落とし込む手法に着目し,その手法を機械学習により実現することを試みた。提案システムと既存システムであるOPACとのそれぞれで,ある条件を満たす図書を探すという被験者実験を行い,提案システムが有効であることを示した。
著者
金子 康樹
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.123, pp.2151, 2023-03-31 (Released:2023-06-01)

研究DX(デジタルトランスフォーメーション)の一環として,わが国の大学,研究機関において,研究データ管理に対する取り組みが急速に進んでいる。研究データ管理がどのような背景で重要視されるようになったかを概観し,それを踏まえて,慶應義塾における研究データ管理の実施に向けて,研究データポリシーの策定,データ管理計画の項目策定,GakuninRDMの利用などのこれまでの取り組みを紹介し,今後に向けて機関を超えた協力の有効性を述べた。
著者
小陳 左和子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.1-11, 2012-03-31 (Released:2017-11-01)

2011年3月11日に発生した東日本大震災により,東北大学附属図書館において地震当日に職員や利用者がとった行動,施設や書架,蔵書等に受けた被害,その後のボランティアとの協働による復旧作業や図書館サービス再開の経過及び今後の復興に向けた取り組みについて,10か月が経過した時点での状況を報告する。
著者
酒井 由紀子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.100, pp.71-85, 2014-09-05 (Released:2017-10-31)

大学図書館の機能・役割の高度化・多様化に伴い,専門性を有した大学図書館員の人材確保はより重要なものとなっている。本稿では,そのために必要な人材養成・育成の現状と強化の取組みを幅広く概観し,大学図書館員の専門職制度を目指して今後とるべき関係者の方策を探る。
著者
オージェリ ジョン 大学図書館研究編集委員会
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.119, pp.2135, 2021-11-30 (Released:2022-06-24)

コロナ禍がキャンパスの対面活動の大半を実質停止させたとき,それはまた,教育・学習の実践活動において,対面/遠隔の次元を超え,将来的な議論へと集中する,先例なきパラダイムシフトを引き起こした。2020年の春以降行われた対応で劇的に増加した実践活動の中には,教育活動の新規性に関する教員の考え方が大幅に進化したことを反映したものもあった。特にその性質上,オンラインで実施される非同期型学習活動は,ポストコロナ時代のシナリオにおいて,コロナ前の形態への単純な回復だけにとどまらず,対面型への移行を考慮するのに十分重要な妥当性を示した。そのような移行において,日本国内に普及したラーニング・コモンズは,平時おこなわれるインフォーマルな活動から,さらに緊密な教授陣の関与を示唆するノンフォーマルモデルへと移行する機会を見いだすことができる。それにより,ラーニング・コモンズは,新たなレベルでの学術戦略の統合を達成し,それらが支援するように設計されたアクティブラーニングに関して,コロナ前に直面していた限界を超えることができる。教育及び学習の実践の中長期的見通しを示すものとして,本論文はこうしたラーニング・コモンズのコロナ前の状況を振り返り,ラーニング・コモンズを巻き込むことができる新しい非同期型対面活動への移行の性質及び条件について検討する。
著者
磯本 善男
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.106, pp.82-89, 2017-05-31 (Released:2017-09-22)

2015年11月30日から12月2日にかけて,灰色文献の国際会議であるGL17とGreyForum4.1が開催された。従来のテキスト型だけでなく,研究データや視聴覚資料,ソーシャルメディア等,様々な形態の灰色文献に関する報告が行われた。現在日本でも活発になりつつあるオープンサイエンスの議論にも有用と思われる,世界の灰色文献の最新動向を紹介する。
著者
佐々木 俊介
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.120, pp.2130, 2022-03-31 (Released:2022-03-18)

2019~2020年度,桜美林大学では新宿区と町田市内に新しいキャンパスが開設され,それぞれ既存の学群が移転するにあたり,教員の意向や大学の方針について協議検討しながら,基本的な図書館サービス提供とともに新しい試みにも取り組んだ。新宿キャンパスでは印刷物を配置しない電子図書館機能を持つ学修空間を,東京ひなたやまキャンパスには図書館内で演劇等のパフォーマンスや作品展示等も可能な設備を盛り込むなど,学群の教育方針に沿ったかたちでの図書館設計と管理・運営を行っているが,同時進行で発生したCOVID-19感染拡大により大きな影響も受けていることを報告する。
著者
原 香寿子 守屋 文葉
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.120, pp.2126, 2022-03-31 (Released:2022-03-18)

東京大学附属図書館では,「新図書館計画」の名のもとに2015~2020年に本郷キャンパスにある総合図書館の大規模な改修工事を行った。本稿では,計画段階から完了するまでの工事の過程を振り返り記録するとともに,新装された施設・設備を紹介する。