著者
蒲生 英博 瀬戸 有希子 杉浦 未布子 寄本 真里 阿部 由貴
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.116, pp.2071, 2020-11-30 (Released:2020-12-01)

高大連携とは,高等学校と大学がそれぞれの教育資源を活用し,連携協力して行う教育活動である。本稿では,「あいちの学校連携ネット」における高大連携の取組を紹介し,高大連携と高大接続の概要と背景,高等学校の推進状況を概観する。次に,名古屋経済大学及び図書館による高大連携の取組を具体的に紹介し,国内の大学図書館における多様な事例を整理して報告する。さらに,高大連携の課題を示し,情報リテラシー教育などの大学図書館の学習支援活動が高大連携においても機能するのかという観点から,大学図書館の役割を考察する。
著者
永田 治樹 藤井 美咲 北村 明久
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.1-15, 2000

<p>図書館活動の成果を顧客の側から考察するサービス品質は,図書館経営にとって不可欠な指標である。本論は,図書館サービスの品質をSERVQUAL(サービスの本質的な五つの局面について,顧客のサービスへの期待とサービス・パフォーマンスの認知との差を数量的に把握する)によって測定するケース・スタディである。この研究では顧客(教員・学生)だけでなく,サービス供給者である図書館職員をも調査対象とし,またSERVQUALで設定されていない設問を混ぜて調査した。収集されたデータから,調査実施館である千葉大学附属図書館の特性値が把握され,また図書館サービスに対する品質測定方法として,SERVQUAL再検討の必要性が示唆された。</p>
著者
馬場 真紀子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.113, pp.2048, 2019-11-30 (Released:2019-12-24)

東京海洋大学附属図書館における, アーカイブズ宇田道隆文庫の保存整理の取り組みを紹介する。宇田道隆は, 元東京水産大学教授であり海洋学者である。アーカイブズ宇田道隆文庫は, 宇田が遺した研究資料・記録類の集合体とそのデジタルアーカイブの双方を指し, 研究業績集であるとともに一研究者の特殊コレクションであるといえる。資料類保存の経緯についてまとめ, 特徴ある資料の紹介, 整理方法, デジタル化・公開, 活用事例を紹介し, 今後の課題について述べる。
著者
PICCIOTTO Sol 髙木 晃子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.115, pp.2065, 2020-08-31 (Released:2020-10-29)

英国の大学群における複写のための包括ライセンスに関して著作権審判所が下した決定の法的背景およびその含意について,高等教育機関でのライセンスによる複写の正当性を擁護する観点から考察した。
著者
床井 啓太郎
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.106, pp.36-43, 2017-05-31 (Released:2017-09-22)

一橋大学社会科学古典資料センターは,西洋古典資料の専門研究図書館として,20年以上にわたって約8万冊におよぶ貴重書の保存対策を進めてきた。本稿では,センターで組織的な保存対策を始めるに至った経緯のほか,付設の保存修復工房で行っている資料の状態調査と保存処置,書庫の保存環境整備について紹介する。また,西洋古典資料の保存を担う中核的な人材の育成を目指す実務研修などの新たな取り組みについても触れ,センターにおける保存事業の今後の方向性を示す。
著者
田嶋 知宏
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.115, pp.2070, 2020-08-31 (Released:2020-09-24)

常磐大学情報メディアセンター図書館では,「情報収集検索ガイダンス」の動画を制作し,学生や教職員に提供している。その動画制作に至る背景及び,動画コンテンツの概要を踏まえつつ,初年次教育科目における動画活用の実例を示した。これらの取り組みを踏まえて,図書館制作動画の授業における活用の効果と課題を考察した。その結果,授業内容に応じた動画の選択が可能となる利点や繰り返して視聴できる動画の効果とそれを維持管理していくためのコストのバランスを考慮していく必要があることが明らかとなった。
著者
竹内 比呂也 國本 千裕
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.114, 2020

本稿は今日の日本の大学図書館に求められる機能の変化を実現するために必要な人材という観点から新たな大学図書館員の育成について論じるものである。過去40年間の大学図書館機能の変化とその際に大学図書館員に必要とされた新しい知識やスキルを明らかにした上で,それらを現職者がどのように獲得してきたかを記述する。その上で,学習(修)支援・教育活動への直接的な関与と研究データ管理という新しい機能について,これらを実現するために大学図書館員が獲得すべき知識,スキルを育成するプログラムの内容を紹介するとともに,その実現に向けた課題を考察する。
著者
星野 雅英
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.81, pp.42-52, 2007-12-31 (Released:2017-11-09)

大学図書館職員の専門性について,図書館組織という視点と図書館職員も大学職員の一員であるという観点から考え,専門性として不可欠といわれてきた主題専門知識について改めて考える。また,これまで具体的に挙げられてきた専門性を整理して5+1のカテゴリーに分類した。さらに,東京大学における新たな評価制度を紹介し,その意義や意図について説明する。最後に,東京大学の図書館職員を想定して,キャリアパスを保証するために有効と思われる職位や人事異動とOJTについて私案を述べる。
著者
橋 洋平
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.115, pp.2068, 2020-08-31 (Released:2020-09-11)

1980年代後半以降,金沢大学附属図書館で行ってきた利用教育・学修支援活動の変遷を5 フェーズに分けて整理した後,現在,アクティブ・ラーニング型授業支援として,図書館が行っている授業,学修相談,セミナー,イベント等の内容を「授業内/外」,「フォーマル/インフォーマル」の観点で分けて紹介する。その活動のベースには,大学全体のミッション,各種補助金の活用,ラーニング・コモンズという場,図書館職員によるワーキンググループ及び教職・学生協働による実施,LMS の活用等がある。最後にその成果と課題をまとめる。
著者
二塚 恵里
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.113, pp.2047, 2019-11-30 (Released:2019-12-24)

国立音楽大学附属図書館は音楽資料を中心に所蔵する音楽図書館であり,非図書資料である楽譜やAV資料も日常的に利用されている。保存の面から閉架式としているが,利用のためには目録を整備し,OPACで探し出せるようにしなければならない。本稿では,音楽資料の特徴とそれに応じた管理・提供の事例を,目録やOPACに重点を置いて紹介する。その中で,長年利用してきた独自開発システムから汎用の図書館システムに移行した経緯や,移行後のOPAC検索ログに見られる利用者の検索傾向についても報告する。
著者
森嶋 桃子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.85, pp.34-41, 2009-03-31 (Released:2017-11-08)

大学図書館は厳しい環境の変化に直面しており,利用者の図書館に対する認識は十分でない。大学図書館が積極的に自らのプレゼンス(存在)を主張するためには,従来の図書館広報を見直す必要がある。広報のターゲットとしてステークホルダー(利害関係者)の存在を意識し,マーケティング手法の導入によって対象のニーズを把握することで,図書館に対する認知と支援を獲得することが可能となる。あわせて,北米研究図書館協会(ARL)による調査報告と米国図書館協会(ALA)によるキャンペーンについて紹介する。
著者
稲葉 直也
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.106, pp.90-103, 2017-05-31 (Released:2017-09-22)

近年,ラーニング・コモンズのような設備が図書館内で設けられるようになったことに伴い,大学図書館の場所としての利用を評価することがより強く求められているが,従来の図書館評価指標だけではその実態を測ることは難しい。本論文では,大学図書館で現実的に業務の一環として実施が可能な,観察調査法によって館内利用量を測定する方法を提案するとともに,大学図書館を評価する指標としての館内利用量の有効性について論じる。
著者
中元 誠
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.70-73, 2004-03-31 (Released:2017-11-17)

早稲田大学における図書館組織の再編について概観し今後の課題を示す。特に分散型大学図書館組織の問題と課題について述べる。また,関連して図書館組織の再編と業務委託の実態について今後の見通しを述べる。
著者
杉田 茂樹
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.100, pp.29-37, 2014

<p>最近ほぼ10年の間に,国立情報学研究所CSI委託事業等を背景として,国内の数多くの大学で機関リポジトリが設置された。各大学の担当者は,経験のない機関リポジトリ構築という業務に,海外先行事例などを参考に積極的に取り組み,学内の認知度向上とコンテンツ増進のためのさまざまな手法を開発してきた。今日では,電子ジャーナルの発展をはじめとしたインターネット利用の普及によってやや希薄となった研究者との重要な接点のひとつとなっている。</p>
著者
海浦 浩子 森 一郎
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.113, pp.2053, 2019-11-30 (Released:2020-01-08)

国公私立大学図書館協力委員会は,長年,大学図書館での著作権を尊重しつつ著作物利用を簡便化するための活動を行ってきた。そのような中,「学校その他の教育機関における複製等」について定めた著作権法第35条が改正される流れを受け,法改正後に,大学内において教育資源の相当部分を管理する図書館が果たすべき役割を検討するため,1980年代から教育現場で著作物をブランケットライセンスにより利用しているイギリスを実地調査した。イギリスの大学における著作物の利用の状況及び調査前後の国公私立大学図書館協力委員会の活動について報告する。
著者
韓 嘉雯
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.113, pp.2046, 2019-11-30 (Released:2019-12-24)

2018年4月にリニューアルオープンしたお茶の水女子大学附属図書館では, 多様な機能を持つ快適な学習空間を提供している。リニューアル以前からラーニングコモンズの一角に設置している学習支援組織LALA(Library Academic Learning Adviser)デスクでは, 引き続き大学院生による学習支援が行われている。リニューアルオープンしたお茶の水女子大学附属図書館が, 施設面や人的サポートなどにおいてより充実している中で, 本稿ではリニューアルオープンしたラーニングコモンズ並びにLALAデスクの利用実態を調査し, リニューアル以前と比較することで, 実際に改善してきたことを報告し, さらに今後にチャレンジすべき課題を検討する。
著者
西岡 千文
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.112, 2019

IIIFに準拠した京都大学貴重資料デジタルアーカイブは,2018年12月1日に正式公開から一周年を迎えた。本稿は,2017年10月から2018年11月までのデジタルアーカイブの利用状況を報告する。アクセス数は,概ね増加傾向が観察された。アクセスの約4割が中国・アメリカなど海外からであった。富士川文庫ならびに絵図を含む資料が頻繁に閲覧されている。2種類のIIIF対応画像ビューワは同頻度で利用されており,「目的・嗜好に応じてソフトウェアを選択できる」というIIIFの特長を反映している。
著者
西岡 千文 杉田 茂樹 山中 節子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.109, 2018

本稿では2018年2月にカリフォルニア大学サンディエゴ校,同ロサンゼルス校,カリフォルニア工科大学,南カリフォルニア大学の大学図書館で実施したインタビュー調査に基づき,米国の大学図書館でのオープンアクセスならびに研究データ管理の支援について報告する。
著者
西岡 千文
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.112, pp.2038, 2019-08-31 (Released:2019-09-05)

IIIFに準拠した京都大学貴重資料デジタルアーカイブは,2018年12月1日に正式公開から一周年を迎えた。本稿は,2017年10月から2018年11月までのデジタルアーカイブの利用状況を報告する。アクセス数は,概ね増加傾向が観察された。アクセスの約4割が中国・アメリカなど海外からであった。富士川文庫ならびに絵図を含む資料が頻繁に閲覧されている。2種類のIIIF対応画像ビューワは同頻度で利用されており,「目的・嗜好に応じてソフトウェアを選択できる」というIIIFの特長を反映している。