著者
佐藤 竜一 久保田 壮一 青山 幸太 土屋 江里 宮川 謹至
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.106-114, 2012 (Released:2012-05-01)
参考文献数
7
被引用文献数
2 2

科学技術振興機構(JST)が運用する電子ジャーナルサイト「J-STAGE」は,運用開始から13年が経過し,海外の有力電子ジャーナルサイト等と比較すると,ユーザーインタフェースや機能面を中心にその陳腐化が否めない状況であった。JSTではユーザビリティーの向上,国際発信力のさらなる強化を目的として,新システム「J-STAGE3」を開発し,(1)過去分の公開サイトであるJournal@rchiveの統合,(2)デザイン/ユーザーインタフェースの一新,(3)データベース形式のXML国際標準形式への移行,(4)購読・販売管理機能の強化,(5)学協会運用工数の削減および (6)投稿審査システムの改善を実現する。一方で,2010年度末に国内学協会誌の電子化状況について調査した結果,国内学協会誌の電子化率は全体で62%であったが,人文社会系は34%と依然遅れている。また,言語別で見ると欧文誌92%に対して和文誌は55%という結果になり,さらなる電子化の推進が必要な状況にあることが判明した。このような状況を踏まえ,新システムJ-STAGE3の機能と方向性,国内学協会誌の電子化促進における役割について触れる。
著者
山崎 登和子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.21-28, 2012 (Released:2012-04-01)
参考文献数
3

調査業務の質を安定・向上させるために,業務標準書の作成を始め,ヒアリングシートと調査報告書フォーマットの新設,ダイセル版検索式リストの作成に取り組んできた。作成を通して,これらの取り組みが調査担当者のスキルの共有化・伝承にもつながることが見えてきた。また,調査担当者に求められる新たな役割に対応していくためには,個々人のスキルだけでなくチームとしてのスキルを上げていくことが必要である。
著者
金子 周司 大武 博
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.473-479, 2010 (Released:2010-12-01)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

生命科学領域の研究報告で用いられる英語,日本語の専門用語を各々10万語規模で収集して対訳づけを行い,類義語と階層構造の整理を行った対訳シソーラスを完成させた。続いてこれを利用して,テキスト中での特徴的な用語の共起頻度に基づく関連性を求めることで専門知識の検索に有用な連想検索を試作し,これらをWeb辞書として公開した。また,新たに読解支援ツールとして複合語に対応したマウスオーバー辞書を開発,公開した。さらに,医療文書からの知識発見に資することを目的として,米国FDAが公開する有害事象データベースから医薬品名の名前解決に取り組んだ。これらの試みについて紹介する。
著者
時実 象一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.13-20, 2011 (Released:2011-04-01)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2 2

わが国の主要な電子ジャーナル・プラットフォーム,J-STAGE,NII-ELS,メディカルオンラインの科学技術雑誌登載数を2005年と2008年とで比較したところ,全体としてこの3年間に登載雑誌数が18.6%増加した(電子ジャーナル総数904から1072)。和文・混載誌と英文誌に分けると,増加率はそれぞれ20.7%,13.3%と和文・混載誌の電子化率の増加が目立った。プラットフォーム別ではJ-STAGEにおける増加が40.6%と顕著であり(和文・混載誌と英文誌それぞれ45.4%,31.9%増),NII-ELSの伸びは少なかった(5.2%)。海外出版社から発行されている雑誌も含めた総雑誌数に電子ジャーナルの占める割合は2008年には和文・混載誌と英文誌それぞれ29.0%(774誌),79.7%(298誌)であった。さらにオンラインのみの電子ジャーナルの創刊がJ-STAGEを中心に進んでいることもわかった。また,JST,NII-CJP,医学中央雑誌,JAPICの各文献データベースの2008年収録雑誌数の重複を調べたところ,JSTの収録誌が飛びぬけて多く,また医学中央雑誌とNII-CJPの収録誌の多くがJSTにも収録されていることがわかった。
著者
小山 憲司
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.102-112, 2010 (Released:2010-05-01)
参考文献数
19
被引用文献数
2

利用者の学術情報ニーズを補完する図書館間相互貸借(ILL)に注目し,それを取り巻く環境を概念モデルとして提示,検討することで,学術雑誌の電子化が学術文献の需給にどのような変化を与えているかを分析した。その結果,利用者の量的・質的変化,文献の発見可能性の高まりなど,文献需要を押し上げる要因が複数確認される一方で,ビッグ・ディール契約に基づく電子ジャーナルの導入や機関リポジトリを通じた一次資料の電子化など,電子的入手可能性の増大によるILLの減少が明らかとなった。学術雑誌の電子化が学術情報へのアクセス環境を改善したが,予算確保,未電子化文献への対応といった課題も認められた。オープン・アクセスの進展とともに,ILLという互助制度が今後も求められると考えられる。
著者
尾城 孝一 星野 雅英
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.3-11, 2010 (Released:2010-04-01)
参考文献数
11
被引用文献数
2 3 3

近年,大学図書館は,学術雑誌の恒常的な価格上昇と電子化に対応するために,コンソーシアムによる電子ジャーナル契約を進めてきた。ビッグディールと呼ばれる包括的な契約によって,大学における学術雑誌へのアクセス環境は劇的に向上したが,同時にいくつかの問題も浮かび上がってきている。本稿では,学術雑誌の価格上昇の実態とそれによって引き起こされたシリアルズ・クライシスについて俯瞰する。続いて,国立大学図書館協会の電子ジャーナル契約コンソーシアムの活動の成果とその限界について論じる。最後に,商業出版社に過度に依存した現在の学術情報流通システムの抜本的な見直しに向けた取り組みについて触れる。
著者
久保田 壮一 荒川 紀子 和田 光俊 近藤 裕治 小久保 浩 山崎 匠
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.69-76, 2006
被引用文献数
2 5

JSTが運営する電子ジャーナルサイトJ-STAGEのリンク機能を担うJSTリンクセンターが関係する新機能を2つ紹介する。1つはJ-STAGE上の論文本文を検索エンジンGoogleやGoogle Scholarで検索できるようにクロールさせる機能,もう1つは論文間の被引用関係表示を行う機能である。これまでJ-STAGE記事内同士の被引用関係は実現されていたが,2005年5月からCrossRefのForward Linking機能を利用して,J-STAGE外の記事からの引用関係を取得し,これを被引用リンクとして表示することができるようになった。<br>
著者
村橋 勝子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.41, no.10, pp.826-833, 1999
被引用文献数
2

ライブラリアンは,資料・情報をシステマティックに探す専門家である。利用者と資料を仲介するプロとして機能する要件は,(1)検索システム,(2)専門分野の知識,(3)ユーザオリエンテッドの方法に長けていることである。有効な検索システムやレファレンスツールを作るのはライブラリアンの本領であり,探索のルールや技術,情報流通の仕組み,専門分野の知識を持つことは,優れた情報サービスの基盤である。肝要なのは,ニーズの把握であり,個々のリクエストに迅速・的確に応えてこそ,ユーザの満足度を高める。情報化社会において,データを情報に変える――それが,ライブラリアンの役割である。
著者
和田 光俊 時実 象一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.273-280, 2008 (Released:2008-07-01)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

独立行政法人科学技術振興機構(JST)が運営する電子ジャーナル・プラットフォームJ-STAGEでは,電子ジャーナル編集・発行の国際的基準や慣行に合致すべく推奨基準の策定に取り組んできた。本推奨基準は,記事データの訂正・修正等について,記事のさまざまな版について,巻・号・ページ・発行年について,和文誌・和英混載誌の誌名英文字表記について,引用文献の書き方について,の各項目からなっている。この推奨基準の目的と概要について述べた。
著者
福島 俊一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.363-372, 2003 (Released:2003-09-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1

Webサーチエンジンは,インターネット上の膨大な数のWebページ群の中から,ユーザが欲しい情報を見つけ出せるように用意された,いわばインターネットの道案内システムである。本論文では,このWebサーチエンジンの背後にある情報検索技術を,基本技術編と最新技術編の2回に分けて解説する。基本技術編では,まず伝統的な情報検索技術に関して全文インデックス方式,検索結果のランキング方式,関連語を考慮した検索方式などを概観した上で,Webサーチエンジンの基本技術として,その仕組みやWeb特有のランキング手法を解説する。最新技術編では,リンク解析の高度化,目的特化,ユーザや状況への適応など,Webサーチエンジン技術にかかわる新しい話題を取り上げる。