著者
井上 春樹
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.10, pp.735-745, 2013

静岡大学では,2007年に「BCP」「コスト削減」など,さまざまな課題克服を目的に大学の情報基盤のすべてに対しクラウド化を推進してきた。その結果,2010年10月には「ほぼ目的を達成できたのではないか」という内外からの高い評価を受けた。しかし,その直後に発生した東日本大震災は「単なるクラウド化だけでは自然の猛威の前には何の意味もなさない」ということを嫌というほど思い知らせてくれた。本稿では上記の反省とデータの爆発時代を迎えている現在の情報分野の状況を踏まえ,「どのような大災害が発生しても大学の機能を継続させるにはどうしたらよいのか」を述べ,次に今後のビッグデータ時代へ対応するための新しい情報BCPを提案する。
著者
喜連川 優
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.10, pp.705-711, 2013

米国が2億ドルの研究開発投資をするとの発表以来,「ビッグデータ」なるITキーワードが急に取り上げられるようになった。本稿では,ビッグデータの背景について述べると同時に,情報爆発,情報大航海プロジェクトを振り返りながら,その本質について考察する。加えて,ITメディアを取り上げ,動画を用いつつ,ビッグデータの有用性について具体的に紹介する。さらに,ビジネスにおけるビッグデータとして,プローブカーのセンサー情報利活用,科学におけるビッグデータの動きとして第4の科学に触れ,最後に,データの利活用を促進するためのエコシステムの必要性について論ずる。
著者
田中 功 上村 美紗子 高野 真理子 矢吹 さより 金山 克己 吉国 三千子 石橋 慶憲 田辺 篤範
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.530-535, 2003 (Released:2003-11-01)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

これからの大学図書館の評価は図書館を使いこなせる利用者がどのぐらいいるかという点にも目を向けることが重要になってくる。そのために図書館利用指導の入り口である図書館ガイダンスの役割は大きい。日本女子大学では,好きな時間にいつでも受けられるようなWebサイトから学習できる図書館ガイダンスのe-ラーニングを2003年8月に作成した。内容は図書館の入館から退館までの手続き,OPACなどのデータベース検索の基礎的実習,フロアガイド,図書館サービスの概要,テスト問題などを収録しており学習時間は約60分である。今後は各学部や学科の専門性に特化した情報そのものの活用法を学習できるe-ラーニングに展開していくことが望ましい。
著者
マリンズ ジェームズ L.:著 加藤 多恵子:訳
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.810-815, 2008 (Released:2008-03-01)
参考文献数
11
被引用文献数
1

研究コミュニティ特に科学技術分野において,eサイエンスが最近出現した。データ集合を使って計算機のシミュレーションを通して生物学,化学,物理学などの原理を試験できるようになったのである。世界中の科学の分野データ集合を共有し,利用できるいくつかのeサイエンスプロジェクトが出現した。一つの科学分野が誕生したのだともいえる。これら大型科学でのデータ共有例はナノテクノロジー分野で見られる。このデータ集合のアクセスを,現在から将来にわたり提供する必要性をコントロールすることが,eサイエンスでは肝要である。ここでは図書館学,アーカイブ科学の原理が適用されよう。eサイエンスを促進するために,ライブラリアンには新しい役割を確立する必要が求められる。例えばライブラリアンは図書館学と科学技術両分野での教育を受ける必要がますます求められるなど,対処すべき事柄は多い。(本抄録は翻訳者が作成した)
著者
阪上 晃庸
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.543-543, 1990

当講座[第5回]「多様化するオンライン検索システムへの対処」の本文中に誤りがありましたので, 下記の通り訂正しお詫びします。<BR>p440左段下から3行目より同最終行まで<BR>誤:DIALOGでは, データベースへの登録日の新しいものが自動的に残されるように処理している。<BR>正:DIALOGのOneSearchでは, 最初から優先データベースをユーザが指定して, 出力できるようになっている。
著者
伊神 正貫 阪 彩香
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.255-266, 2009 (Released:2009-08-01)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

サイエンスマップとは,注目を浴びている研究領域が,互いにどのような位置関係にあるのか(近いのか遠いのか,周辺にどのような研究があるのか)を示した科学研究の地図である。サイエンスマップは共引用分析を用いて論文のグループを生成した後,その位置関係を2次元平面にマッピングすることで作成される。共引用分析の利点は,論文グループを生成する際に,キーワードを用いない点である。頻繁に共に引用される論文のペアを作っていくことで,互いに何かしらの関係性がある論文のグループを生成する。これにより,科学研究全体を俯瞰できるようなマップの作成,科学の動的な変化の観測が可能となる。本稿では,まずサイエンスマップの作成手法について説明した後,サイエンスマップ2004と2006の比較から見える科学研究の変化について示す。また,サイエンスマップの応用例についても紹介する。
著者
坂東 慶太
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.638-646, 2012
被引用文献数
3

近年,論文レベルの客観的評価指標を求める要請が高まっている。その背景には,ソーシャルメディアが研究目的に利用され始めたことと,オープンアクセス推進により,Webに学術情報が流通し始めたことがある。研究者は学術コミュニケーションと研究ワークフローの場をWebへとシフトしてきた。このWeb時代の要請に応えて提唱されたのが,新たな研究評価指標「altmetrics」である。altmetricsは,ソーシャルメディアを活用して,被引用数以外の研究インパクトを「論文レベル」でリアルタイムに計量化する。altmetricsツールの開発,Twitterによる引用予測といった研究を通じて,伝統的な評価指標を補完する新たな指標として発展の可能性をもつaltmetricsは,一方でまだ初期の段階にある。altmetricsが定着するには「オープンアクセスとの共存共栄」がキーポイントになると考える。altmetricsをめぐる経緯と現状,ソーシャルメディアとの関係性,オープンアクセスとの関係性,といった動向を通じて,altmetricsの可能性を概観する。

1 0 0 0 OA 第4回 英国

著者
兼子 利夫
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.382-389, 2005 (Released:2005-09-01)
参考文献数
3

世界的に1990年代からインターネットとPCが急速に普及し始め,産業活動はもちろんのこと一般社会にもその活用が広がりつつある。そのひとつのビジネス形態が,電子商取引である。各国の政府機関等では,これらの情報技術(Information Technology: IT)を積極的に政策に取り込み,自国のIT政策として展開している。本稿では,最初に英国のIT政策の経緯について記述する。そして,包括的なIT政策であるUK onlineについて概観する。さらに,内閣府に設置されたIT推進機関であるOffice of e-Envoy,Office of e-Envoyに代わる新しい組織である電子政府局,UK Onlineに代わる新しいオンライン・サービスであるDirect.govについて記述する。最後に,英国のITを含む科学技術政策を推進している貿易産業省の「5か年プログラム」について記述する。
著者
兼子 利夫
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.176-184, 2005 (Released:2005-06-01)
参考文献数
7

世界的に1990年代からインターネットとPCが急速に普及し始め,産業活動はもちろんのこと一般社会にもその活用が広がりつつある。そのひとつのビジネス形態が,電子商取引である。各国の政府機関等では,これらの情報技術(Information Technology: IT)を積極的に政策に取り込み,自国のIT政策として展開している。本稿では,まず,1993年に発足したクリントン政権から現政権のブッシュ政権までの情報技術政策の経緯について記述する。そして,ITによって生まれた新しい経済現象であるデジタル・エコノミーについて概観する。さらに,情報セキュリティに影響を与える国土安全省の新設,電子商取引,電子政府について記述する。最後に,コンピュータ・システム関連のR&Dプログラムであるネットワーク情報技術研究開発プログラムについて記述する。
著者
泉沢 久美子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.571-581, 2012-11-01 (Released:2012-11-01)
参考文献数
4

アジア経済研究所図書館では,50年以上にわたって開発地域の統計資料を網羅的に収集してきた。本稿では,これら資料の収集方法,コレクションの特色,整備・提供方法を説明するとともに,これまでの蔵書構築等を通じて把握してきた開発途上地域の公式統計の整備・公開状況と最近の動向について報告する。また,国際機関による国際比較統計の編纂状況と近年のオープン・データ政策について簡単に概説する。参考資料として主要な国際機関の統計情報一覧と調べ方ガイドを掲載する。