著者
佐藤 義則 小山 憲司 三根 慎二 倉田 敬子 逸村 宏 竹内 比呂也 土屋 俊
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.506-514, 2013-11-01 (Released:2013-11-01)
参考文献数
8

国内45機関の参加・協力の下,2011年10月から12月にかけ電子ジャーナルの利用に関するアンケート調査を実施し,広範囲の主題領域の研究者(教員,博士後期課程大学院生)から3,922の回答を得た。これらのデータを多方面から分析した結果,電子ジャーナルの利用がより広範囲にかつ深く浸透するようになっただけでなく,利用者の読書行動や意識(選好)も大きく変化していることが明らかとなった。また,電子ジャーナルの利用度の違いは国際文献と国内文献のいずれを主に利用しているかに密接に関係しており,印刷体と電子情報資源に対するそれぞれ別個のサービスモデルの維持を避けるためには,国内文献の電子化の遅れの解消が必要であることがあらためて確認された。
著者
広田 純一 八巻 一成 藤さき 浩幸 土屋 俊幸
出版者
岩手大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1996

本研究の目的は、都市住民の中山間地域の農山村を舞台とした滞在型レクリエーション(=グリーンツーリズム)へのニーズに応えるとともに、中山間地域の活性化、およびそれを通じた農山村地域の環境保全を図るために、中山間地域の地域資源(自然、歴史文化、人材)をトータルに演出して観光資源として活用する方策を検討することである。最終年度である本年度は、中山間地域の滞在型レクリエーションの成功事例を比較検討し、その成功要因とともに、地域資源の観光資源としての生かし方のノウハウを探った。その結果、多くの事例は行政主導型であるが、その後の成功の如何は、主として地域住民の主体的参加および地域外の常連客(リピーター)づくりをいかに実現するかにかかっていること、その意味で、観光資源づくりの技術的なノウハウよりは、行政による住民のモチベーションの引き出し方、そして行政と住民の連携による受け入れ体制作りが重要であることが明らかになった。また、各種の施設づくり(宿泊施設、交流体験施設、直売所、農産物加工施設、飲食施設、地域の自然・歴史文化の展示施設等)やふるさと体験ツアーなどは、企画・計画策定段階から地域住民の参画を求めることによって、住民の参加意欲を引き出すことができるので、滞在型レクリエーションの受け入れ体制づくりの手段としても有効であることがわかった。さらに、持続的な滞在型レクリエーションを成立させるためには、宿泊、飲食、体験インストラクションなどについて、地域内の有機的な分業体制を敷くことが重要であることもわかり、成功事例の地域も含めて、今後の課題と言える。
著者
渋井 進 赤川 裕美 土屋 俊
出版者
独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構(旧 大学評価・学位授与機構)
雑誌
大学評価・学位研究 (ISSN:18800343)
巻号頁・発行日
pp.2022.23001, (Released:2021-10-14)
参考文献数
35

大学機関別認証評価における,政府公表データの利用について検討した資料を提示する。客観的に比較可能なデータを用いて,評価対象となる個別の大学や属性別に分けた複数の大学の,全大学の中での位置づけや経年推移を比較可能な形で可視化することは,評価の透明性・公平性の確保の観点から重要と言える。本報告では,教育成果の状況を把握するための指標として大学が政府に毎年報告して公表されている,医師,歯科医師,薬剤師,看護師の4種類の保健系分野の2017年から2020年の4年間の国家試験合格率を対象に,合格率の度数分布の状況および,国公私立大学別の経年的な推移について可視化を行ない,その動向について分析した。以上をもとに,評価の根拠資料としての利用可能性を中心に考察を加えた。
著者
堀内 靖雄 中野 有紀子 小磯 花絵 石崎 雅人 鈴木 浩之 岡田 美智男 仲 真紀子 土屋 俊 市川 熹
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.261-272, 1999-03-01
被引用文献数
16

The Japanese Map Task Corpus was created between 1994 and 1998 and contains a collection of 23 hour digital recordings, digitized maps and orthographic transcriptions of 128 dialogues by 64 native Japanese speakers. Map task dialogues are dialogues participated in by two speakers, the instruction giver who has a map with a route and the instruction follower who has a map without a route. The giver verbally instructs the follower to draw a route on his map. The two maps are slightly different so that there may emerge a natural interaction in spite of the fact that the flow of information internal to the task is basically one way. The principle and design of the recordings are described with special reference to the augmentations and improvements to the original HCRC Map Task corpus. Annotations to the orthographic transcriptions are viewed as "tags" that provide the start and end times of utterances, the duration of pauses, non-verbal events and synchronization of overlapping utterances, in a format which provides a view to giving a basis for further tagging in terms of linguistic and discourse phenomena in a interchangeable and sharable manner. Discourse and linguistic phenomena peculiar to spontaneous spoken dialogues, such as overlapping, are analyzed and the method of recording such phenomena in the transcription is discussed and proposed, with an implication for the requirement that one dialogue be represented in one digitized sound file for the preservation and reference of the information on timing. The tags emp1oyed in the corpus also provide an easy way of characterizing it in terms of the number and the duration of utteraI1ces and pauses. The statistical figures thus ob-tained are relatively independent of design factors like kinds of maps, but familiarity does significantly correlate with the duration and number of utterances.
著者
土屋 俊
出版者
独立行政法人大学改革支援・学位授与機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

20世紀末から近年にかけて学術、高等教育の分野において生じている「知識のオープン化」の動向について、その進展の現状を調査し、認識論・知識論における理論の観点および学術・高等教育にかかわる社会的体制の変容という観点とから考察し、その動向とその帰趨を明らかにした。とくに、哲学的観点から重要であると思われる「知識」に関する概念の変化を予想し、同時に、学術的活動の局面(ソフトウェア、学術論文、研究データ、研究活動)ごとにおけるオープン化の意義づけの相違を明らかにした。
著者
岡田 秀二 伊藤 幸男 土屋 俊幸
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

本研究はイギリスの森林政策転換の背景を含めたその現実について明らかにしている。特に森林認証やラベリング制度といった環境重視の森林政策に注目している。80年代後半以降の林政は、60年代までの森林資源造成、木材生産重視の林政、あるいは80年代の田園地域の整備や森林へのアクセス向上から、生物多様性や持続可能な森林経営など環境林政へと展開した。国有林は依然として国内木材生産の主要な部分を担っているが、2000年に森林認証を取得したことによる大きな影響は出ていない。それは一連の政策転換の中で国有林の森林管理も環境・景観重視へと移行してきたためである。イギリスに特徴的なトラストによる森林保有の形態における森林管理では、単なる保護から積極的な管理を含む多様性の保全へという移行がみられた。イギリスの国立公園はユニークな管理の特徴が見られる。そこでは単に狭義の生態系の保全が目指されるのではなく、人間活動を含んだ田園空間の保全が目指され、そこでは分権的な制度発展がみられた。私有林の経営においては、地主的経営やエステートを中心に環境政策がある程度受け止められていたが、それは必ずしも木材生産上のインセンティブを生むものとはなっていなかった。逆に環境基準や森林認証が新たな系列化を生むという問題が見られた。森林認証については、情報公開と多様な利害関係者の参加が重視されている点が森林管理面で影響が大きいことが指摘された。また、バイヤーズグループは認証品の取扱いシェアを急速に増加させており、それはプレミアム価格を含まない形で実現されていた。このような林政転換において、政策定着のための重要な存在として政策的中間組織の役割が重要であることが明らかとなった。
著者
今井 知正 中村 秀吉 (1985) 丹治 信春 野家 啓一 村田 純一 大庭 健 藤田 晋吾 土屋 俊 長岡 亮介
出版者
千葉大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1985

われわれの研究課題は「現代科学哲学における実在論と反実在論」であったが, われわれは三年間の研究を通じ, 個別的な論点はともかく, この研究課題についての次のような全体的な概観を得ることができた.レーニンの『唯物論と経験批判論』を今世紀の実在論のひとつの出発点として取り上げることができる. 彼は「宇宙は人間が存在する前から存在していた」「人間は脳なしで思考することはできない」という二命題を不可疑とみて, 観念論に対する唯物論を擁護した. しかし, フレーゲとウィトゲンシュタインに端を発する論理的実証主義の言語論的展開は言語を哲学の中心に据えることによって, 〈物質-精神〉の枠組をたんなるひとつの哲学問題としての地位にまで引き下げたのである. 超越的実在を語ることも超越的観念を語ることもわれわれに理解可能な言語を越えることであるから, 従来の実在論と観念論の対立は無意味となった. だが, 論理実証主義の言語論的展開もまた不徹底をまぬかれなかった. そしてタメットが二値原理を基準にして実在論と反実在論を定式化したときにはじめて〈物質-精神〉の枠組自体が撤去され, それに代わって古典論理と直観主義論理の対立が実在論論争の全面に現われてきた. 彼は, われわれの言語の論理を二値原理の貫徹する古典論理であるとすることに疑問を提起し, 二値原理を保持する実在論は幻影ではないかと主張した. 要するに, 〈物質-精神〉の枠組が〈世界-言語〉の枠組に取って替わられたとき, 実在論は劣勢に回ったのである. ダメットの提起した論点はなお検討に値する点を多く含んでいるが, 一言でいってわれわれは, 実在論と反実在論の対立の根本問題が指示の理論における言語の役割と言語理解の問題にあると結論することができる. そしてこれはまたわれわれの研究の次の課題でもあるのである.
著者
土屋 俊 竹内 比呂也 佐藤 義則 逸村 裕
出版者
国立情報学研究所
雑誌
Progress in informatics : PI (ISSN:13498614)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.29-49, 2007-03

本論文は,NACSIS-ILL と名付けられた図書館間相互貸借(ILL) リクエストメッセージ送付システムによって1990 年代半ばから実現されてきた大学間の図書館協力サービスに関する基本的事実を記述するものである。この研究は,NACSIS-ILL によって記録された1994 年から2005 年までのデータに基づいている。本研究の主要な調査結果として,以下の諸点を挙げることができる。すなわち,1) 日本の大学におけるILL においては「外国雑誌」に掲載された論文のコピーに対する要求が1990 年代にはきわめて支配的であるという点が特徴的であること,2)皮肉にも,特に看護学分野の雑誌に顕著に見られるように「国内雑誌」に掲載された論文に対する要求の増加が,2002 年に始まったコンソーシアム体制下のサイトライセンスによってオンラインで利用可能になった「外国雑誌」掲載論文に対する要求の減少を埋め合わせるかのように顕著になったこと,3)図書に対する現物貸借の要求は,それが要求全体に占める割合は小さいとはいえ,NACSIS-CAT という総合目録データベースの成長に従って増加してきたこと,4) 充足率は現物課貸出,複写提供のいずれにおいても安定的に高く,ターンアラウンドタイムの平均も概ね1週間以内であり,システムはきわめて効率的であるということ,5) システム本来の目的は相互に受益者となるような協力システムの構築にあったが,実際には主に要求するだけの図書館と供給するだけの図書館が存在しており,これは部分的には1970 年代に指定された「分野別外国雑誌センター」館に起因するものであること,6) いくつかの中小規模の図書館が近年供給を始めておりこれが顕著な動きを示していることである。
著者
土屋 俊
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.68-72, 2002-02-01

1990年代末における電子ジャーナルの急激な普及は, 21世紀の学術コミュニケーションの世界の変貌を予兆する画期的な出来事であったが, 日本の関係諸方面における対応はその動きに遅れた。この状況を, 19世紀以来の近代的学術コミュニケーションの展開および20世紀後半の情報通信技術の発達とのふたつの流れのなかで位置づけたのちに, 2000年から2001年における日本における対応状況を紹介して, 今後の展望・課題を述べる。

1 0 0 0 OA 書評

著者
土屋 俊他
出版者
日本科学哲学会
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.111-114, 1989-11-10 (Released:2009-05-29)
著者
中澤 圭一 土屋 俊幸
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究(オンライン論文集) (ISSN:1883261X)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.69-79, 2017-05-17 (Released:2017-06-02)
参考文献数
145
被引用文献数
1

In the early 1960s, a new road construction plan that was to run through the lakefront of Ozenuma—the core area of the National Park of Oze—was brought into question for its anticipated environmental impact. The Ministry of Health and Welfare, then in charge of national park administration, revised the plan to circumvent the core area; however, the construction work was terminated in 1971 by political intervention. This study identifies factors that led to the termination and examines issues that arose in the consensus building process of implementing collaborative management of the National Park. In regard to the stakeholders, two observations are drawn: 1) the importance of conducting a stakeholder analysis to identify those who should take part in the consultative process, and 2) the need to hold a clear vision of the sustainable use of natural resources in the area and to engage those who may have little say in this process. It is also worth noting the specialist who participated in the planning. His commitment to achieve the two purposes of national parks, protection and use, seems to have blinded him from seeing the regional stakeholders’ vision and desire of protecting the ‘atmosphere’ of the Oze area.
著者
山本 信次 石場 圭太 土屋 俊幸
出版者
東北森林科学会
雑誌
東北森林科学会誌 (ISSN:13421336)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.50-54, 2009-11-30 (Released:2017-07-27)

アクティブレンジャー(以下ARとする)は,行政側の国立公園における現場での人手不足の解消と,国立公園に関わっている多様な主体のコーディネーター役を目的として,2005年の6月に導入された制度である。2006年の段階で,ARは国立公園・野生鳥獣保護区など計52地区に,65名配属されている。国立公園には,全28国立公園中25国立公園にARが配属されており,現場での管理業務に従事している。本研究では,十和田八幡平国立公園十和田八甲田地区において,ARが実際どのような業務を行い,それらの業務が公園管理においてどのような位置づけにあるのかを調査した。その調査の結果,ARの業務が現場業務に大きく貢献している一方で,導入目的の1つであるコーディネーターとしての機能は果たせていないことが明らかになった。
著者
川端 良子 松香 敏彦 土屋 俊
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.153-168, 2017-06-01 (Released:2017-12-01)
参考文献数
30

The present study has investigated how mutual briefs about task executions are updated during collaborative tasks using the Japanese map task corpus. The results have shown that the current models describe only part of mutual brief updating processes, and that there exist other types of processes. According to the current models, a mutual belief is considered to be achieved when the instruction follower accepts instructions given by the instruction giver and gives some sign of actually completing the given task. However, the present study has shown that mutual beliefs could be achieved even when the follower neither follows the instruction nor gives any sign of completion. The analysis indicates that the conversations in map tasks do not necessarily require prior planning and conversations to obtain clear mutual briefs about the goals to achieve the way the current models expect. Rather, ambiguous mutual beliefs and somewhat independent actions, coupled with inference about mutual goals, are sufficient to achieve the map tasks. In order to explain these results, we have proposed more detailed mechanisms about how mutual beliefs update.
著者
八巻 一成 広田 純一 小野 理 土屋 俊幸 山口 和男
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.219-226, 2000-08-16
被引用文献数
7

森林レクリエーション計画においては, 利用ニーズに合った多様なレクリエーション体験の提供が重要な課題である。本研究では, このような視点からレクリエーション空間の計画, 管理のあり方を示したROS(Recreation Opportunity Spectrum)を取り上げ, わが国の森林レクリエーション計画における有効性を探った。まず, わが国における森林レクリエーション空間の実態とレクリエーション計画システムの現状を考察し, 課題を明らかにした。つぎに, ROSの成立過程, 基本概念, 計画作成プロセス, 適用事例について解説し, ROSとは何かを明らかにした。最後に, わが国の森林レクリエーション計画における意義および役割を検討した。その結果, ROSの特色であるレクリエーション体験の多様性という視点が非常に有効であると考えられた。