著者
樽野 博幸 石田 克 奥村 潔
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 = Bulletin of the Osaka Museum of Natural History (ISSN:00786675)
巻号頁・発行日
vol.72, pp.81-151, 2018-03-31

熊石洞は日本の代表的な後期更新世の哺乳類化石産地の一つで,29種が知られている.本稿 ではこれらの中で,ヒグマ Ursus arctos,トラ Panthera tigris,ナウマンゾウ Palaeoloxodon naumanni, カズサジカCervus(Nipponicervus)kazusensis,ニホンカモシカ近似種Capricornis sp., cf. C. crispusの 記載を行った.トラとカモシカ属の化石は,熊石洞からは初めての報告である.その中で,以下の 点について議論し見解を明らかにした.1ヒグマUrsus arctosとツキノワグマU. thibetanusとの上顎 第4小臼歯における識別点,2ナウマンゾウ Palaeoloxodon naumanni の第3・第4乳臼歯と第1大臼歯の 咬板数,3中型シカ類ではカズサジカ Cervus(Nipponicervus)kazusensis のみが産出し,ニホンジカ Cervus(Sika)nipponの産出は確認できない,4ニキチンカモシカNaemorhedus nikitiniはゴーラル属 Naemorhedus ではなくカモシカ属 Capricornis に属する,5日本の更新世のカモシカ属は,現生のニ ホンカモシカより大型である.
著者
山ノ内 崇志
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 = Bulletin of the Osaka Museum of Natural History (ISSN:00786675)
巻号頁・発行日
vol.76, pp.23-30, 2022-03-31

奄美大島・加計呂麻島において 2018年のセイヨウミズユキノシタの帰化状況を調査した.奄美大島の中部に16集団が認められ,そのうち 2集団は1,000個体を越える大きな集団であった.本種の生育環境は光条件,水分条件ともに非常に幅広く,緑地,グラウンド,路傍,未舗装道路,溝,水路などに陸生,抽水および沈水状態で生育していた.各地で開花・結実と実生個体が確認され,本種は種子繁殖で分布拡大していると考えられた.セイヨウミズユキノシタは生態系被害防止外来種リストの掲載種ではないが,本研究の結果から亜熱帯気候下において侵略的にふるまう可能性が示された.今後の分布拡大を警戒するとともに,奄美諸島における生態系への影響に注意する必要がある.
著者
伊藤 昇
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 = Bulletin of the Osaka Museum of Natural History (ISSN:00786675)
巻号頁・発行日
vol.76, pp.1-13, 2022-03-31

台湾のツヤゴモクムシ属(Gen. Trichotichnus)のleptupus species groupのうち,Trichotichnus lulinensisおよび近似2既知種の図示とともに,次の5新種を報告する:Trichotichnus(Trichotichnus)alessmetanai N. Ito, sp. nov. from Mt. Yushan [玉山], T. (T.)fumiakii N. Ito, sp. nov. from Tayulin [大萬領],T(. T.)similaris N. Ito, sp. nov. from Tsuifen [翠峰], T(. T.)lishanensis N. Ito, sp. nov. from Mt. Lishan [梨山],T. (T.)nitidipennis N. Ito, sp. nov. from Sungkang [松崗]. T. alessmetanai は,2021年8月にご逝去された,ハネカクシ研究の世界的権威でいらっしゃったカナダの Dr. Aleš Smetana氏に因む.氏は多くの研究材料を著者の研究のために供与くださった.ご生前の多大なご功績称賛と標本ご供与への深謝の意を表して献名した.
著者
浜田 信夫 佐久間 大輔
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 = Bulletin of the Osaka Museum of Natural History (ISSN:00786675)
巻号頁・発行日
vol.72, pp.161-166, 2018-03-31

大阪市立自然史博物館でカビ汚染の状況をモニタリングするため,収蔵庫や展示室などで落 下カビの調査を行い,以前行った寺社の収蔵庫での落下カビの調査の結果と比較した.大阪市立自 然史博物館の落下カビ数は,寺社の場合に比べて,非常に少ないことが明らかになった.寺社の空 調を施していない部屋に比べて1/100以下に,空調のある部屋に比しても1/30以下だった.また,収 蔵庫内部で生育したとみられるカビは見られなかった.その理由として,博物館の収蔵庫は年中温 湿度が20°C,55%に自動制御されていることが原因であると思われる.
著者
河上 康子 山崎 一夫 大橋 和典 中浜 直之
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

ダンダラテントウは赤道地方から中緯度地域に広く分布し,1910年-1990年にかけて,気候の温暖化に伴い九州地方から関東・北陸地方へ分布を拡大した.本種は鞘翅の斑紋型に黒色から赤色の多型があり,分布北限に近い高緯度ほど黒い型が多く,低緯度ほど赤い型が多いクラインを示す.本研究では本種の21地域232個体のミトコンドリアCOI領域620bpを解読し,分布北限地域では遺伝的多様度がやや減少していること,遺伝的集団構造は2つの系統があることを解明した.ふたつの系統のうち片方は古くから分布している琉球以南で割合が高く,もう片方の系統は分布北上後の本州での割合が高かった.
著者
横川 昌史
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 = Bulletin of the Osaka Museum of Natural History (ISSN:00786675)
巻号頁・発行日
no.75, pp.107-111, 2021-03-31

2020年に入ってから,全世界的に新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっている.日本国内 において,新型コロナウイルス感染症拡大防止のために,春の半自然草原の火入れを中止した地域が 多数見られた.感染症が草原の管理に影響を与えた記録は重要だと考えられるため,インターネット 上で見つけられた新型コロナウイルス感染症に関連した火入れの中止について記録した.2020年2月下 旬から5月中旬にかけて,Google や Twitter・Facebook などの SNS で,「火入れ」「野焼き」「山焼き」「ヨ シ焼き」「コロナ」「中止」などのキーワードを任意に組み合わせて検索し,新型コロナウイルス感染 症の影響で中止になった日本国内の火入れを記録した.その結果,14道府県18ヵ所の草原で火入れが 中止になっており,4県4ヵ所の草原で制限付きで火入れが実施されていた.これら,新型コロナウイ ルス感染症による半自然草原の火入れの中止は,草原の生物多様性や翌年以降の安全な火入れに影響 を及ぼす可能性がある.
著者
志賀 隆 浜島 繁隆
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
自然史研究 = SHIZENSHI-KENKYU, Occasional papers from the Osaka Museum of Natural History (ISSN:00786683)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.1-16, 2017-12-26

2010年12月に著者の一人である浜島繁隆は、大阪市立自然史博物館にこれまで採集してきた東海地方を主とする水生植物コレクションを寄贈した。寄贈した標本の点数は、水生植物28科129分類群1028点であり、1967年から2010年までの44年間かけて採集したものである。これらの標本は、国内26道県、特に愛知県(542点、52.7%)、岐阜県(203点、19.7%)、三重県(124点、12.1%)の3県において重点的に採集されたのもである(869点、84.5%)。このコレクションは東海地方の水辺環境を知る上で重要な資料であり、本稿では、大阪市立自然史博物館に寄贈された水草標本と、これに関連する浜島繁隆の文献をリストした。保全上の配慮のため、標本リストを除いています。フルバージョンが必要な方は、利用目的を明示して以下のメールアドレスまでご連絡ください。monitor@mus-nh.city.osaka.jp
著者
鳴橋 直弘
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 = Bulletin of the Osaka Museum of Natural History
巻号頁・発行日
no.74, pp.17-21, 2020-03-31

日本産のバラ科キイチゴ属,トゲナシヒメバライチゴ,チチジマイチゴ,シモキタイチゴ,及びタイワンヤブイチゴの学名についての報告である.