著者
森 正人
出版者
尚絅大学
雑誌
尚絅大学研究紀要. A, 人文・社会科学編 (ISSN:21875235)
巻号頁・発行日
no.48, pp.A1-11, 2016-03-31

この研究の目的は,学校法人尚絅学園の建学の精神を記述した諸資料について調査した結果にもとづき,建学の精神と教育理念の本来の姿を復元するものである。尚絅学園の建学の精神は,佐々友房と彼の同志達が起草した「濟々黌付属女學校創立ノ主旨(趣旨)」に示される。学園に伝えられてきたのは,二つの段落から成る文章である。しかし,本来この文章には,教育課程の方針について述べる第三段落がそなわっていた。このことを,新資料とそのほかの資料を用いて証明した。
著者
田口 誠一
出版者
尚絅大学
雑誌
尚絅大学研究紀要. A, 人文・社会科学編 (ISSN:21875235)
巻号頁・発行日
no.47, pp.1-14, 2015-03-31

文学作品はかつて日本の英語教育でしばしば活用されていた。しかしながら,近年文学教材は際立って減少しており,それは主に日本の英語教育がコミュニケーション能力を重視するようになってきたからである。文学教材の活用とコミュニケーション能力の育成とは相容れないものとよく言われている。この論文ではオー・ヘンリーの有名な短編「二十年後」に言及しながら,英語教育における文学教材の意義を考察する。
著者
稲葉 浩一
出版者
尚絅大学
雑誌
尚絅大学研究紀要. A, 人文・社会科学編 (ISSN:21875235)
巻号頁・発行日
no.47, pp.89-106, 2015-03-31

本稿は学校教育における,児童生徒の知的関心・意欲にもとづいた学習を導く「教育方法」に関し次のように論考を展開する。まず日常生活者である子どもたちにとっての「知識」の意味を確認し,そのうえで学校教育という制度的空間において求められる<児童生徒>としての知識の探求のありかた(=規範)を考察し,そこに潜在する根本的な困難を指摘する。そしてそのオルタナティブとしての児童生徒の「探求的学習」の方法を模索する。
著者
高橋 文徳
出版者
尚絅大学
雑誌
尚絅大学研究紀要. B, 自然科学編 (ISSN:21875243)
巻号頁・発行日
no.47, pp.183-190, 2015-03-31

学習活動中にスマートフォンを用いることで,学習内容の理解を促進させることができると仮定し,これによる教育改善を試みた。スマートフォンを用いた学習者をA群,スマートフォンを用いなかった学習者をB群と分類し,2つの側面から分析した。理解度確認試験では,A群の平均値はB群を上回った。この結果から,スマートフォンの活用は,学習内容の理解を深める可能性が示唆された。スマートフォンの操作のような活動量の増加が,ストレス反応を引き起こし,それが学習効果を高めたと考えられる。PCを用いて表やグラフを作成する課題の完了率では,A群とB群に差は見られなかった。
著者
小沢 日美子
出版者
尚絅大学
雑誌
尚絅大学研究紀要. A, 人文・社会科学編 (ISSN:21875235)
巻号頁・発行日
no.48, pp.113-123, 2016-03-31

「心の理論」は4歳頃から成熟するが,大人でも他者の心的状態を推測する際には制限を有している。ここでは,女子大学生36人を対象に,心的帰属に関した課題を実施した。アニメーション図形を用いた課題Iでは「意図の読み取り」に着目して分析した。その結果,より複雑なアニメーション図形の方が,「意図の読み取り」が活性化されるが,「意図の読み取り」に失敗することもあることが考察された。また,ロボットについての心的帰属を尋ねた課題IIでは,語句「感情」の利用に着目して分析した。そこでは,「感情」語句利用あり群は,「心」総体について回答する視点,「感情」語句利用なし群では,「人間」,「自分」からの説明の視点,それぞれに注意が集中される傾向が考察された。
著者
北口 己津子 角田 裕之
出版者
尚絅大学
雑誌
尚絅学園研究紀要. A, 人文・社会科学編 (ISSN:18816290)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.65-78, 2008-03

尚絅学園図書館中央館の利用者サービスの向上を目的にして移動図書館を企画,実施した。学生に対する図書館サービスは利用者が来館し,開始されるサービスがまだ多い。利用者サービスの評価指標に,図書の貸出冊数を用い,A.新規利用者の開拓,B.資料の有効活用,C.貸出効率の3つの評価項目を分析した。2回(延べ10日間)の移動図書館における利用者サービスを分析したところいずれの評価項目においても良好な結果を得る。
著者
角田 裕之
出版者
尚絅大学
雑誌
尚絅学園研究紀要. A, 人文・社会科学編 (ISSN:18816290)
巻号頁・発行日
no.3, pp.15-34, 2009-03-31

科学コミュニケーションの伝達メディアは,書簡,本を経て,学術雑誌へと変化してきた。科学コミュニケーションにおける公式ルートの一つは学術雑誌に採録された文献の引用であり,引用を分析することでその影響が解明される。本論は引用の持つ意味について明らかにし,引用分析が果たす役割について考察する。
著者
中村 正市
出版者
尚絅大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:03871568)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.29-36, 2006-02-27
著者
釜賀 誠一
出版者
尚絅大学
雑誌
尚絅大学研究紀要. A, 人文・社会科学編 (ISSN:21875235)
巻号頁・発行日
no.47, pp.49-61, 2015

尚絅大学では大学生を対象に授業改善アンケートが毎年実施されている。アンケートの回答項目にはマークシートと自由記述の項目があり,マークシート項目についてはグラフ化などの分析が実施されている。しかし,自由記述については担当教員へ知らせる程度で活用されていなかった。そこで,自由記述について,どのような傾向があるのかテキストマイニングを用いて,学生の改善要望を分析し今後の授業改善方法を示した。
著者
角田 裕之
出版者
尚絅大学
雑誌
尚絅学園研究紀要. A, 人文・社会科学編 (ISSN:18816290)
巻号頁・発行日
no.6, pp.79-85, 2012-03-31

学術知識が集積した集合と論文との非明示的な引用関係を定義した指標(KP),及び被引用量指標(Cited)を用いて2つの大学ランキング(KPR と CR)を作成した。これらの2つのランキングと他の主要な大学ランキングとのスピアマンの順位相関係数を調査した。KPR はTHE, AR, RW, NW と,CR はQS とSIR の間で高かった。この原因となった大学ランキングを構成する指標を考察し,KPR が主要な大学ランキングと類似性が高いことを示した。
著者
角田 裕之
出版者
尚絅大学
雑誌
尚絅学園研究紀要. A, 人文・社会科学編 (ISSN:18816290)
巻号頁・発行日
no.5, pp.35-57, 2011-03-31

文献データベースの著者所属機関の名称表記は多様であり,正規機関名との対応関係が一意に決まらない。本研究は著者が高等教育研究機関の所属であるとき,文献データベースから得られる情報から正規機関名に変換する方法に関する考察である。ここでは,文献から得られた機関名に対する変換の方法と手順について検討した。17万件の文献を手順に従って変換したところ,正規機関名に変換できたのは全体のおおよそ79%であった。今後更に変換率を高めるには,単語の並び順への対策が必要であることが分かった。
著者
高橋 文徳
出版者
尚絅大学
雑誌
尚絅大学研究紀要. B, 自然科学編 (ISSN:21875243)
巻号頁・発行日
no.46, pp.175-181, 2014-03-31

学習活動前に脳力トレーニングを行うことで,脳を活性化させることができると仮定し,これによる授業改善を試みた。通常通りに学習活動を実施する1組,学習活動前に脳力トレーニングを実施する2組に分けて,2つの側面から分析した。理解度確認試験では,2組の平均値は1組を上回った。この結果から,学習活動前に脳力トレーニングを実施することで,その理解を深める可能性が示唆された。一定時間内に定められた文字を入力するタイピング演習の達成率では,1組と2組に差は見られなかった。
著者
武田 昌憲
出版者
尚絅大学
雑誌
尚絅大学研究紀要. A, 人文・社会科学編 (ISSN:21875235)
巻号頁・発行日
no.46, pp.A15-26, 2014-03-31

島原の乱を描いた絵図についての考察。絵図の中に説明文がある。これを紹介した。この表記に,絵巻や屏風絵等と異なる独特の文学性を指摘した。絵図には人が書いてないのに,説明文で物語がわかるようになっている。これまで指摘がない内容である。
著者
片桐 真弓
出版者
尚絅大学
雑誌
尚絅大学研究紀要. A, 人文・社会科学編 (ISSN:21875235)
巻号頁・発行日
no.45, pp.1-20, 2013-03-31

本稿では,母親に対する縦断的面接調査を下に,幼児期から児童期における家庭教育の実態について明らかにした。(1)幼児期から習い事を利用しており,子どもの意思を尊重しつつも,親側が意識的に習い事の選択をしていた。また,通信教育を利用する家庭が見られた。(2)宿題については,親のサポート体制の下で家庭学習が行われていた。宿題ほどの比重はないが,何らかの手伝いをさせている。ゲームの取扱いについては苦慮しており,ルールを設定していた。(3)子どもの将来像では,子どもの主体性に任せるとする母親が大半であるが,希望を叶えるために,基本的な事柄を重視している。(4)母親自身の就労の背後には,家庭教育に関する母親としての責任感が見られた。そして,家庭教育への責任を果たすために,働き方を調整しているケースも見られた。
著者
宮崎 尚子
出版者
尚絅大学
雑誌
尚絅学園研究紀要. A, 人文・社会科学編 (ISSN:18816290)
巻号頁・発行日
no.6, pp.A25-A48, 2012-03-31

小説家でもあり評論家でもあった石丸梧平主宰の雑誌「団欒」を十三冊を発見した。このうち紙幅の都合上、(1)第十二号「生活と食物号」(大正五年五月一日発行)、(2)第二巻第一号「文芸号」(大正五年六月一日発行)、(3)第二巻第二号「美と表情号」(大正五年七月一日発行)、(4)第三巻第一号新年号(大正六年一月一日発行)、(5)第四年第一巻新年号(大正七年一月一日発行)、(6)第四年二月号(大正七年二月一月発行)、(7)第四年三月号「義理人情号」(大正七年三月一日発行)、(8)第四年四月号〈再版〉(大正七年四月一日発行)、(9)第四年七月号(大正七年七月一日発行)の九冊の目次を紹介する。与謝野晶子、平塚明子(雷鳥)、若山牧水、島村抱月、釈超空など著名人の投稿も見られる。