著者
山下 倫央 大西 正輝
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.1189-1195, 2014-10-15

東京オリンピックでは外国人が多くなることが予想されており,大会会場付近における来場者の誘導は混乱を起こさない,あるいは最小限にするためにも特に重要である.このような大規模な人の流れを解析するためには人の流れを予測する技術,人の流れを計測する技術が必要であり,人の流れを誘導する技術が必要である.本稿では,それらの要素技術を解説するとともに,適用事例としてロンドンオリンピック,霞ヶ丘陸上競技場,関門海峡花火大会の3つの例を取りあげて紹介する.
著者
土井 剛
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.482-485, 2016-04-15

日本政府のIT戦略「世界最先端IT国家創造宣言」では,『初等・中等教育段階におけるプログラミングに関する教育の充実に努め,ITに対する興味を育むとともに,ITを活用して多様化する課題に創造的に取り組む力を育成することが重要であり,このための取組を強化する.』としている.また,「創造的IT人材育成方針」においても,「すべての国民がITを生活の中で存分に利活用し,さらに新しい価値創造を図っていくことができる人材の発掘とその能力の育成」を目指すこととしている.これらを受けて,内閣官房では「子ども霞が関見学デー」を活用し,子どもたちにプログラミングに触れる機会を提供してきた.そこで得られた経験を報告する.
著者
寺元 貴幸
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.60-63, 2016-12-15

全国高等専門学校プログラミングコンテスト(高専プロコン)は比較的歴史の長いコンテストであり,文部科学省,総務省,経済産業省等から後援を受け,さらに多くの企業から支援も受けている.今回は3部門のうち競技部門について紹介している.競技部門は毎年ルールや競技システムをフルスクラッチで開発しており,参加者だけでなく主催者側も熱い戦いを繰り広げている.平成27年度に長野市で開催された第26回大会の様子を中心に,競技ルールや競技システムについて報告している.また,本選用に開発した競技システムを他の教育でも活用できるよう,インターネットで公開しているのでその様子についても報告している.
著者
清水 伸幸 中川 雅史
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.886-890, 2015-08-15

インターネットユーザ(群衆=クラウド)の力を活用(=ソーシング)して課題解決を目指すWebサービスはクラウドソーシングと呼ばれ,近年,さまざまな分野で注目を集めている.2013年,ヤフー(株)は「Yahoo!クラウドソーシング」の提供を開始した.本サービスはマイクロタスク型と呼ばれ,登録ユーザは簡単なデータ入力やチェックを行うことでTポイントを受け取ることができ,PCのみならずスマートフォンなどのモバイル端末からも利用が可能である.本稿では,マイクロタスク型のクラウドソーシングというコンセプトの実施例とその課題,また,ヤフーでのクラウドソーシングサービスでの取り組みについて紹介する.
著者
藤代 裕之
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1080-1084, 2017-11-15

メディアと社会のあり方は密接に結びついている.ベネディクト・アンダーソンは印刷技術と紙に媒介された言語の登場が,想像の共同体である国民国家を作り出したとする.新聞は衰退し,ニュースはソーシャルメディアや検索エンジンなどのプラットフォームが媒介し,その価値はアルゴリズムが判断するようになった.プラットフォームは,マスメディアが生み出した共同体を崩壊させ,世論操作やプロパガンダの舞台となっている.ソーシャルメディア時代における想像の共同体とは何か,ジャーナリズムの役割とは何か,を検討する.
著者
大倉 典子
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.124-127, 2016-01-15

情報通信基盤が整備した21世紀の高度情報化社会において,日本生まれのゲーム・マンガやアニメーションなどのいわゆるディジタルコンテンツが世界中に広がっている.一方,従来のものつくりの価値観である性能・信頼性・価格に加え,感性を第4の価値すなわち「感性価値」として認識しようという国の取組みも開始された.著者らは,日本生まれのディジタルコンテンツの人気の大きな要因の1つにキャラクタ等の「かわいさ」が挙げられると考え,人工物の感性価値としての「かわいい」に着目し,その物理的諸属性を系統的に解析する研究を行ってきた.ここでは,「かわいい形」「かわいい色」「かわいい質感」「かわいい大きさ」について,概説する.
著者
金子 格
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1085-1088, 2017-11-15

数学・工学モデルを利用して問題の分析を行い対策の可能性を論じる.選挙区割の操作による選挙結果の操作を数式表現する.ディジタルゲリマンダに関係すると思われる論文の発表状況をまとめる.対策に用いられ得る研究として,推薦システム(recommendation system),Echo chamber, 選挙制度の研究を紹介する.ディジタルゲリマンダに頑健な投票方法としてFallback Votingがあることを紹介する.
著者
三武 裕玄
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.132-135, 2016-01-15

赤ちゃんやペット,小動物といった「いきもの」とのふれあいは,私たちにとってかわいさの大きな源である.かわいらしいいきもの達とふれあう体験を人工的に再現することは,より多くの人々に大きな楽しみや癒やしを提供するだけでなく,妖精やテディベアなどの想像上のいきもの達とふれあうといった,これまでにない体験をももたらす.本稿では,いきものとの直接的なふれあいを再現するかわいい人工物の事例について,筆者らのこれまでの研究を中心に紹介する.
著者
大西 正輝
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.594-597, 2017-06-15

人の計測とシミュレーションによって花火大会における混雑緩和や劇場における避難誘導支援など大規模イベントに集まる群衆の解析を目的とした研究が行われている.本稿では人の計測結果のシミュレーション利用を見据えつつ,特に人の計測に焦点を当てて解説する.まず,一人ひとりの人の流れの計測とシミュレーション利用についてこれまでに行われてきた研究方法を概観した後,混雑環境での群衆の計測について説明し,最後にまとめる.
著者
木原 京一
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.208-214, 2013-02-15

知的財産権の紛争時に,その証拠の提示方法として「ディジタル・フォレンジック」が活用されている.これら活用の実態を,ディジタル・フォレンジック調査を実際に行っている企業から,現場視点で解説を行う.産業スパイ行為等による不正な『営業秘密』情報の流出といった,昨今国内で問題視されている事象から,クロスボーダー紛争に診られる,ディスカバリ(証拠開示)制度におけるディジタル・フォレンジックの活用.米国との裁判慣習の違いなどについて.また,ディジタル・フォレンジック技術を活用する事で,平時から意識した,証拠保全を行っておくことが知財経営戦略として有効であることを解説.
著者
堀井 洋 沢田 史子 林 正治
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.1172-1177, 2012-10-15

これまで古文書や掛図などの歴史資料は,大学や博物館など学術機関で取り扱われる研究対象であり,収集・保存・展示されることが一般的な学術資料として認知されてきた.「難しい」「難解な」「取っ付き難い」と世間一般に捉えられていたそれら歴史資料を活用して,遍プロジェクトでは歴史観光情報コンテンツの作成および実証実験を実施している.本報告では,石川・金沢地域の歴史資料「梅田日記」を基にした「梅田日記ぶろぐ」およびスマートフォン歴史観光ガイドアプリを事例として,情報技術による歴史資料の新たな活用ついて紹介する.
著者
林 智彦
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.1268-1272, 2012-11-15

本稿では,米国における電子書籍の最新動向を紹介する.2012 年に入って,米国の出版業界は,電子書籍の普及に伴い,3つの大きな変化に直面している.(1)本格化したディジタルシフト,(2)(専用)端末戦争の終焉,(3)急拡大する自己出版.本稿では,現地報道や各種業界団体,研究機関の調査結果などに依拠して,現状と近い将来の展望について述べてみたい.
著者
金子 格 加藤木 正紀
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.220-227, 2013-02-15

Evolution of electronics and information technology continuing over 40 years. Through that process, standardization organization also change procedure and concerns on the patents which are needed to implement standards. This section describe phenomenon, mechanism and notable events in this area within those 40 years.
著者
藤田 礼子
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.1140-1145, 2012-10-15

本稿は,観光政策におけるICTの重要性が高まっている中,①外国人の訪日促進に関する情報発信と受入環境整備,②旅行者の動向分析におけるICTの活用について,最近の動向を取り上げている.具体的には,日本政府観光局(JNTO)の多言語観光情報ウェブサイトによる海外発信,ICTの活用による訪日外国人の移動容易化等のための情報提供や無料公衆無線LAN環境の整備の促進,東北観光博におけるICTの活用,東京スカイツリー周辺におけるICTを活用した流動調査について紹介する.
著者
山本 雅人 小笠原 寛弥 鈴木 育男 古川 正志
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.1184-1191, 2012-10-15

2011年3月11日に発生した東日本大震災の際,携帯電話などの通信手段が途絶えた中で平常通り機能していたTwitterでは,災害情報や避難地情報などについての情報伝播が活発に行われた.本稿では,東日本大震災発生後のTwitterにおけるリツイートをベースとした情報伝播ネットワークを作成し,震災時のネットワークを分析することで,多くのユーザが関心をもち,より緊急性の高い話題の情報伝播の様子について分析する.そして,観光分野や災害時におけるTwitterでのリアルタイム情報発信の可能性について言及する.