著者
鎌田 高徳
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.500-505, 2020-04-15

神奈川県では2016年度より3年間に渡り,「県立高校改革基本計画」プログラミング教育研究推進の指定校を5校指定した.そのねらいは「コンピュータの活用し,論理的思考力を身に付け,協働して問題解決に取り組むことができる人材を育成」することである.プログラミング教育を学校にて推進するために,すべての教科でプログラミング的思考を取り入れた授業を行うことになり,その要件を「順序立て,場合分け,繰り返し」と定義し,これらの要件を1つでも授業の中で意識して取り入れた結果,問題を発見する授業づくりに効果的であったことが分かった.
著者
結城 大輔
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.247-252, 2014-02-15

大学に関連するソーシャルメディアの法的リスクについては,①学生関係(悪ふざけ等による炎上等),②教職員(就労環境に対する不満やハラスメント等),③その他(危機時のソーシャルメディア対応)等の独特の論点がある.大学ならではのソーシャルメディアガイドラインの策定(米国の例のように,教師と生徒の間での私的なやりとりを規制することも考えられる.)や,それに基づく研修の実践,内部告発や危機への対応等,必要な対策をとることが重要である.ソーシャルメディアが教育の現場で強力なツールと成り得ることに鑑みると,これらのリスクを正確に把握し,必要な対策をとりつつ,大学における積極的利用が推進されることが望まれる.
著者
岩下 直行
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.1095-1101, 2018-11-15

ここ数年,金融業界において大流行しているフィンテックという言葉は,銀行による新技術の導入,仮想通貨,キャッシュレス決済など,多義的に使われている.それらは多様だが,「インターネットを利用して顧客に新しい金融サービスを提供する」という点では共通している.同時に,新たな情報セキュリティ上の脅威を生み出し,新たな対策を必要とする点も同じである.しかし,ITによる利便性,生産性の向上を重視するのであれば,金融機関もその利用者も,システムとセキュリティに対する考え方を一歩進め,信頼できるものをしっかり峻別することが必要である.銀行とその利用者の奮起が期待されている.
著者
秋葉 拓哉
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.1298-1304, 2012-11-15

ここ数年で,プログラミングコンテストにおける日本の実力は大きく向上し,今では世界的な強豪国の1つとなった.本稿では,まず,ACM-ICPC を始めとするプログラミングコンテストの紹介を改めて行い,プログラミングコンテストの面白さや意義,批判などについて議論すると共に,世界トップレベルの選手がどうやって育つのか,日本はなぜ強豪国となったか,などについて解説する.
著者
川嶋 稔夫
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.1192-1197, 2012-10-15

観光都市函館は,歴史資料や古写真,古地図などの資料多数所有し,そのなかには観光の魅力を高めてくれるものが多く含まれている.地域デジタルアーカイブの取り組みを進めることで,観光事業のコンテンツの充実が期待できる.本稿では,著者らが推進してきた,函館圏地域デジタルアーカイブスのこれまでの取り組みを紹介するとともに,それを通じてみえてきた,地域コンテンツの観光への活用の現状をまとめてみたい.
著者
水野 修治
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.62, no.7, pp.326-330, 2021-06-15

2021年3月24日,独立行政法人大学入試センターは,平成30年告示高等学校学習指導要領に対応した令和7年度大学入学共通テストからの出題教科・科目について,これまでの大学・高等学校関係団体からの意見も踏まえ,出題科目を現在の6教科30科目から,「情報」を含む7教科21科目に再編するとの大学入試センターとしての結論とともにサンプル問題を公表した.そこで,大学入学共通テストに「情報」を導入するに至った経緯と公表したサンプル問題の一部を解説する.
著者
長沼 健
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.152-158, 2020-01-15

本稿では,匿名送金機能を持つ代表的な暗号通貨Zcashと,その基盤技術であるゼロ知識証明:zk-SNARKを暗号技術の非専門家向けに解説する.また,このような匿名性の高い暗号通貨が,マネーロンダリングなどの不正な送金手段として利用される恐れが指摘されているが,ゼロ知識証明を用いることで,適切な監査機能を実現可能なことも紹介する.
著者
松尾 真一郎
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.200-202, 2020-01-15

ビットコインは,暗号研究者の夢である「信頼できる第三者の存在がなくてもネットワークを介して支払いを行う」の実現を試みた画期的なプロトコルの提案である.ビットコインを成り立たせるために,暗号,分散コンピューティング,ゲーム理論などさまざまな異なる研究領域が有機的かつ絶妙に組み合わされている.本稿ではこの絶妙な組合せを5分でわかった気にさせるという無茶な要求に対し,その無茶の度合いを説明しつつも,しっかり参考文献を時間を掛けて読めば,その組合せの絶妙さと,ビットコインがいかに暗号プロトコル研究者にとってコロンブスの卵的に素晴らしい提案であるかを理解できる道しるべを得る解説を提供する.
著者
大石 岳史 池内 克史
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.1235-1240, 2014-10-15

本章では,東京オリンピック招致の際に利用されたVR/AR・MR技術について概説する.前回,2016年招致の際には,晴海ふ頭に建設予定のスタジアムをVR/MR技術によって再現し,未来の競技を体験できるシステムによって国際オリンピック 委員会(IOC)委員へのプレゼンテーションが行われた.また今回2020年の招致 活動においてもAR技術によって競技をより魅力的に観戦できるアイディアが紹介映像の中で用いられ,日本の技術力をアピールするとともに招致に大きく貢献した.本章ではこれらの技術について紹介し,さらに2020年東京オリンピックにおける映像処理技術への期待について述べる.
著者
高木 正則
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.62-65, 2018-12-15

情報処理学会では,2017年8月末から教員研修の講師紹介の相談窓口を設置している.本記事では,この相談窓口に最初に講師紹介の依頼があった青森県の教員研修(小・中学校プログラミング教育研修講座)について報告した.研修は2018年8月28日に青森県総合教育センターで行われた.講義後の事後アンケートでは,「企業・団体や地域等との連携について,今後希望する連携方法や支援してほしい内容」として,IT機器や教材等の貸し出し(5名),支援員等の派遣(4名),研修(4名),などの回答があり,2020年度から始まる小学校でのプログラミング教育に向けて,教員への支援体制の充実が必要不可欠であることが伺えた.
著者
髙田 真弥
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.610-613, 2021-10-15

愛知県高等学校情報教育研究会では,令和7年度より実施される大学入試共通テスト「情報」に向けてサンプル問題を題材として研究協議を行った.参加者は事前にサンプル問題を解き,アンケートに解答,当日はZoomを用いて講演,研究協議を行った.大学入試共通テスト「情報」では,情報デザインや画像処理,プログラミング,データの活用や統計処理等幅広い分野からの出題が想定される.令和4年度より実施される「情報I」では,授業時間の配分や授業の構成,他教科との連携による読解力や計算力などの向上が課題となる.需要の高まる情報教育の発展のため,教員の情報交換や資質向上の場として本研究会が活発に運営されていくことが期待される.
著者
小松原 潤子
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.1058-1061, 2020-09-15

教育産業の立場から,高校の情報科教員応援サイト「キミのミライ発見」を通して訴えてきた情報教育の重要性,および,情報教育における情報処理学会の役割等について感じていることについて解説する.
著者
赤澤 紀子 久野 靖
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.1126-1129, 2020-10-15

学習指導要領の改訂により,2020年度から小学校でプログラミングが必須の内容になった.2022年から高等学校でも「情報I」が必履修になり,全員がプログラミングを学ぶことになる.今後,プログラミングについて,強い意欲を持つ高校生も今以上に増えると考えられる.そこで,筆者らは,大学の初年次情報基礎科目の内容を,そのままe-ラーニングにより提供する「大学授業科目先取学修」の環境を整備し,「高大連携・基礎プログラミング」を実施した.これらは,プログラミングに興味のある,進んだ内容を学びたい高校生に活用してもらうことを目的としている.本稿では2019年度の実施について報告する.
著者
江間 有沙
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.1002-1008, 2018-10-15

現在,北海道の酪農業界では経営の大規模化と効率的な経営を目指す変化が起きている.特に,(1)牛の繁殖管理に使われる情報技術と,(2)牛の選抜を行うためのゲノム技術とデータベース化がすすめられている.獣医師かつ酪農コンサルタントへのインタビューをもとにした本稿では,酪農の現場で使われている技術の詳細を紹介し,今後の展開への期待を示す.さらには情報技術を用いて牛を効率的に管理する方法だけではなく,病気を減らす・予防するという観点からカウコンフォートを高める検討が進められている事例を紹介し,技術だけではなく現場のニーズとの相互作用が重要であることを示す.
著者
越前 功 大金 建夫
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.58, no.9, pp.824-829, 2017-08-15

指紋認証が普及し,PCやスマートフォン等,個人用の機器にも広く採用されつつある.その一方で,ディジタルカメラを使って指紋を遠隔から窃取し,不正ログインやなりすましなどに悪用される危険性が指摘されている.本解説では,撮影された写真に画像処理を施すことにより.不正な指紋認証が実際に可能であることを示す.また,これを防止するための手段として,接触式の指紋センサーには正常に反応しつつ,撮影された写真から指紋の復元を不可能にする盗撮防止手法について概説する.
著者
坪倉 誠
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.64-66, 2021-01-15

スパコン「富岳」によるウイルス飛沫・エアロゾルの飛散シミュレーションについて紹介する.コロナ禍の中,プロジェクトを開始するに至ったいきさつのほか,シミュレーション手法の概要と富岳への対応状況,プロジェクトのこれまでの成果と今後の予定について概説する.