著者
坂田 陽子 森口 佑介
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.87.15203, (Released:2016-05-10)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

The Dimensional Change Card Sort (DCCS) task is a widely used measure for the development of executive function during early childhood. In this task, children are asked to sort cards according to one rule (e.g., color) during preswitch phases, after which they are asked to sort cards according to another rule (e.g., shape) during the postswitch phases. A computer version of the DCCS was needed to standardize the test material, but a previous study showed that children showed more difficulty in a computer version with a mouse device than the standard card version. In this study, we assessed the effectiveness of a computer version with a touch panel and compared performance with the standard card version. Three- and 4-year-old children were given the card version and computer version of the DCCS tasks. The results revealed that children showed similar performance during the preswitch and postswitch phases both in the computer version and in the card version. The results suggest that both versions of the task assessed the same underlying cognitive processes.
著者
坂田 陽子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.183-189, 2020 (Released:2022-12-20)
参考文献数
22

デジタル化が進む中で,実際に体験しなくてもデジタル機器やコンテンツから様々な情報を得て,その知識を実体験に生かすことができるようになった。では様々な知識が未熟な時期の子どもはデジタルデバイスから知識を得て,それらの知的な概念を形成できるのであろうか。本稿ではペット型ロボットとかかわることで幼児は生物概念を獲得できるか検討した。研究紹介1では,ロボットに静動の2条件を設けた結果,幼児は静止の場合は無生物,自動の場合は生物ととらえる行動が見られた。研究紹介2では,幼児が1ヶ月間ロボットを生き物の代わりとして疑似的に飼育したところ,初期は生物として接する発話や行動が多く見られたが,2週間で飽きてロボットにかかわらなくなり,生物に関する教育的教示の効果も見られなかった。2つの研究から,ロボットと子どもの接する時間が短時間で,また「動き」の有無が一瞬で入れ替わるような場合はロボットの「動き」は生物を感じさせる。一方,長時間になるとその「動き」はかえって単調で生物を感じさせなくなると考えられた。「動き」が必ずしも生物概念の獲得の一助となるわけではなく,ロボットの動きの質を検討することが重要であると結論付けられた。
著者
兼子 明日華 北野 彩佳 坂田 陽子
出版者
日本デジタル教科書学会
雑誌
日本デジタル教科書学会発表予稿集
巻号頁・発行日
vol.8, pp.95-96, 2019

<p> 本研究の目的は,タブレット画面に表示される教材(絵本)のページ数の違いが,幼児の文章理解に影響を及ぼすか検討することであった。画面に1画面だけ提示する「1ページ条件」と紙の本のように見開きで2ページ提示する「2ページ条件」を設けた。保育園の年少群(3-4歳),年長群(5-6歳)を対象にタブレットPCを用いて絵本の読み聞かせを行い,その後絵本の内容に関するエピソード記憶課題を行った。その結果,年少群においては提示ページ数の違いによる記憶成績の差はなかったが,年長群において1ページ条件のほうが2ページ条件よりも成績が有意に高いことが分かった。年齢群間の差は,選択的注意能力の発達から考察された。</p>
著者
坂田 陽子 口ノ町 康夫
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.133-141, 2014 (Released:2016-06-20)
参考文献数
39
被引用文献数
2

本研究の目的は,対象物の特徴を抽出する能力が人の一生涯にわたってどのように変化するのかについて,幼児,大学生,高齢者を対象に同一の課題を用いて組織的に検討することであった。刺激として形,模様,色から成る幾何学図形を用い,2個もしくは8個を同時に実験参加者に呈示し,刺激間の共通した特徴を抽出させた。共通特徴は,形もしくは模様もしくは色のいずれか一つのみであった。その結果,形特徴に関しては,年齢による抽出成績差はなく,生涯を通して高水準で抽出が可能であった。一方,模様と色特徴に関しては,年齢による抽出成績に差が見られ,模様特徴に関しては加齢に伴うなだらかな逆U字曲線が,色特徴に関しては加齢に伴う,模様特徴よりも鋭角な逆U字曲線が見られた。これらの結果から,抽出能力は対象物の特徴によって異なる生涯発達的変化を示すことが分かった。その全体像から,形特徴抽出のような幼児期初期にはすでに獲得されている能力は高齢期後期まで残存し,模様や色特徴抽出のような幼児期後期に獲得した能力は高齢期初期に衰退するという現象が明らかとなり,この現象に対して,“first in, last outの原理”を適用できるのでないかと考察された。
著者
北野 彩佳 坂田 陽子
出版者
日本デジタル教科書学会
雑誌
日本デジタル教科書学会発表予稿集 日本デジタル教科書学会第7回年次大会 (ISSN:24326127)
巻号頁・発行日
pp.69-70, 2018 (Released:2018-10-03)
参考文献数
2

本研究の目的は,デジタルデバイスの画面サイズが幼児の絵本の内容理解に影響を及ぼすか検 討することであった。保育園の年少児,年長児を対象にスマートフォン,タブレット,スクリー ンの 3種類のデジタルデバイスを用いて読み聞かせを行い,その後,絵本の内容に関する記憶質 問と,物語の流れに関する並べ替え課題を行い得点化し,各課題ごとに分散分析を行った。その 結果,どちらの課題においても年齢の主効果はみられたが,交互作用及び画面サイズの主効果は みられず,画面サイズの違いが,幼児の絵本内容の理解に影響を及ぼさないことがわかった。
著者
坂田 陽子 口ノ町 康夫
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.133-141, 2014

本研究の目的は,対象物の特徴を抽出する能力が人の一生涯にわたってどのように変化するのかについて,幼児,大学生,高齢者を対象に同一の課題を用いて組織的に検討することであった。刺激として形,模様,色から成る幾何学図形を用い,2個もしくは8個を同時に実験参加者に呈示し,刺激間の共通した特徴を抽出させた。共通特徴は,形もしくは模様もしくは色のいずれか一つのみであった。その結果,形特徴に関しては,年齢による抽出成績差はなく,生涯を通して高水準で抽出が可能であった。一方,模様と色特徴に関しては,年齢による抽出成績に差が見られ,模様特徴に関しては加齢に伴うなだらかな逆U字曲線が,色特徴に関しては加齢に伴う,模様特徴よりも鋭角な逆U字曲線が見られた。これらの結果から,抽出能力は対象物の特徴によって異なる生涯発達的変化を示すことが分かった。その全体像から,形特徴抽出のような幼児期初期にはすでに獲得されている能力は高齢期後期まで残存し,模様や色特徴抽出のような幼児期後期に獲得した能力は高齢期初期に衰退するという現象が明らかとなり,この現象に対して,"first in, last outの原理"を適用できるのでないかと考察された。