- 著者
-
山田 拓司
- 出版者
- 日本乳酸菌学会
- 雑誌
- 日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
- 巻号頁・発行日
- vol.27, no.2, pp.87-92, 2016-06-26 (Released:2017-07-15)
- 参考文献数
- 18
ヒト腸内環境研究は、腸内細菌由来の遺伝子配列を用いたメタゲノム解析や、低分子化合物を網羅するメタボローム解析を基盤としたビッグデータ解析の時代となっている。生み出される大量の遺伝子配列データに対して、それらがどのような機能を持つかを類推すること、すなわち、機能アノテーションには KEGG や COG といったリファレンスとなるデータベースを用いる。近年のライフサイエンスにおいてこれらのリファレンスデータベースは欠かすことのできない要素であり、格納されているデータの正確性と、その継続的な更新および新規データ蓄積が、新たに生産される配列データに価値を与える。本総説においては、メタゲノム配列解析、そして遺伝子機能アノテーションのためのデータベース、代謝機能データベースを紹介する。腸内細菌メタゲノムデータは数多くの新規遺伝子を含むため、KEGG や COG などの既存パスウェイデータベース、オーソログデータベースでは対応することができない場合が多い。この問題の解決を目指し、メタゲノム配列由来の新規の配列データに対応するために筆者らのグループが開発したデータベースも併せて紹介する。