著者
丹羽 源男 岩上 智彦 佐藤 亨
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.65-71, 1998-04-20
参考文献数
8

歯科医師数の増加傾向ば急激であり,今後も増加し続けることが予想されている.歯科医師数を考える時,明治時代からの推移および背景を調べることは今後の歯科医師数を占う上で重要な参考になると思われる1884年(明治17年)〜1941年(昭和16年)まで歯科医籍に登録され届け出のあった歯科医師を対象に,男女別歯科医師数を求めた.その結果,全歯科医師数は大正時代に著しい増加が認められ,全体的な増加傾向は戦後のパターンと比較的類似しており,人口1万対歯科医師数も増加の一途であった.
著者
松本 実 田辺 明 栗山 美子 森山 徳長 石川 達也
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.296-299, 1992-09-20
被引用文献数
1

日本の歯科医師団体の発祥は,東京における明治26年11月の『歯科医会』に端を発する.この会は次第に発展し,ついには現在の日本歯科医師会となる母体となった.本会が明治28年に,発行した小冊子『歯牙保護論』は,業権の確立と一般庶民への啓蒙を目的としている.明治初年に桐村,伊沢,高山らの先覚者が執筆した一連の歯科衛生啓蒙書のうち,歯科医師団体が発行した本書の書誌学と,歯科医会の志向していたところの詳細を本論文で解析した.
著者
平田 幹男
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.205-211, 1997-03-25
参考文献数
19
被引用文献数
1

20世紀前半の傑出した歯科医の中心的人物だったシカゴのF.E. Roachは歯科補綴学の権威者として独創的な働きを補綴臨床のみならず,一般生活関連の道具にまで残している.発明家とも言える才覚を歯科補綴学,特に部分床義歯補綴の分野で遺憾なく発揮し,数多しくの貢献をもたらした.業績はポーセレンから,緩圧牲アタッチメント,ワイヤークラスプ,鋳造クラスプ,ワンピースキャスト義歯,鋳造器,歯科技工の各種インスツルメントにまで及ぶ極めて広範なものである.そしてRoachが最も強く意図したことは,補綴技術の"Standardization"と言うこととであり,質と量の両面に於て向上させることであった.非能率であった歯科医療,技工操作を近代化することを考えていたものと思われる.今回は,部分床義歯領域に於て多大の貢献をしたF.E. Roachの業績を中心に検証を進めてみた.
著者
石川 慎士 片山 幸太郎 糸賀 裕
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.117-125, 2004-05-30
被引用文献数
3

我々は日本のスポーツ界に偉大な足跡を残した歯科医師に関する一連の研究の実施を企画した.すなわち,スポーツとの関わり合いが深く,歯科医学に対して,またスポーツに対して,多大なる貢献をなされた諸先覚の業績を記録していくことにより,スポーツ歯学という新しい分野の歴史的発展への道標の一つにしたいと考えた.今回は,昭和31(1956)年12月,第16回オリンピック・メルボルン大会の水泳競技に1500m自由形選手として参加し,活躍された歯科医師八木清三郎先生の業績についで報告する.八木先生は『古橋の再来』と言われた山中選手と高校時代から良きライバルとして水泳に励み,大学では同じ部のチームメイトとしても切磋琢磨した.その結果,世界記録第3位という輝かしい成績及び第16回オリンピック・メルボルン大会出場の栄冠を手にした.
著者
丹羽 源男
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.159-164, 1986-03-25
被引用文献数
1
著者
谷津 三雄
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.33-35, 1976-07-20
著者
樋口 輝雄
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.237-255, 2008-09-15
被引用文献数
1

明治8年にわが国で最初の歯科医術開業免状を授与された小幡英之助(1850-1909)は,洋法歯科医術の開祖と称揚されるが,その受験時の記録については明らかではなかった.国立公文書館には,明治初期に各府県史料編纂のため収集された諸記録の写しが来刊のまま収蔵されている。書写資料には,内務省に小幡への免状下付を上申した東京府からの文書とともに,試験を実施した東京医学校の成績書,小幡自身の東京府への試験出願書,履歴書などが収載されていた.これらの書類は『東京市史稿/市街篇第五十七』(東京都編纂昭和40年刊)に活字で翻文されているが,試験成績は「中の上」であったこと,免状下付の日付は明治8年10月2日であることが歴史資料の上からも確認できた.また最近になり新たに刊行された『福澤諭吉書翰集』には,明治天皇の歯科主治医に小幡英之助の任用を依頼する書簡が収録されている.これら各種文献資料の再検討(text critique)により,現在までの歴史書に描かれた小幡像は若干修正する必要があると思われる.
著者
谷津 三雄 渋谷 鉱 石橋 肇 今田 喬士
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.152-157, 1991-05-25

歯科医師手帳(1991年版)便覧の日本歯科医学会・関係学会一覧(90.10.20調査)をみると学会の連絡事務所が口腔保健協会内になっているものが,歯科基礎医学会,日本歯科保存学会,日本補綴歯科学会,日本口腔外科学会,日本矯正歯科学会,日本口腔衛生学会,日本歯科理工学会,日本小児歯科学会,日本歯周病学会,日本歯科麻酔学会,日本歯科医療管理学会,日本口腔インプラント学会,日本顎咬合学会,日本歯内療法協会,日本歯科医学教育学会,日本歯科心身医学会,日本歯科技工学会,全国歯科衛生士教育協議会などの多くの学会名がみられる.そこでこの財団法人口腔保健協会がいかなる目的で設立されたかを知ることも日本歯科医学史上重要と思われる.そこで,雑誌「口腔保健」第1号を参考資料とし,財団法人口腔保健協会寄付行為について調査したので報告する.
著者
尾島 光栄 SHIMIZU Kenji Kenneth
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.212-220, 1997-03-25
被引用文献数
4

1〜7報に引き続いて1905〜1909年間に活躍した歯科及び歯科教育に貢献した諸人物像を紹介し,この時代の日本の歯学・社会・文化史を参考に掲載する.この5年間にはCanadian Dental Association (CDA)を中心とした歯科医師の身分保証のための登録制の法制化が各地域毎に確立された.一方,西海岸地域の開発と開港は人口の移動と他国からの移民が益々盛んになり,歯科行政,診療体制,歯科教育機関の拡充と充実が叫ばれた.歯科材料,歯科器械,歯科薬品特に麻酔薬の開発と発見,応用は歯科医師の診療に大きな影響を与え,歯科診療時の患者の無痛診療の恩恵に結びついた.歯科医師の商業的行動が過剰な宣伝と行動を思考させると共に,歯科材料の供給と販売の新しい分野が職業的に誕生し,長年の反対を押し切って歯科技工所の出現に至った.口腔疾患と全身疾患の関連性が漸く認識され始め口腔敗血症として,歯科領域の重要な疾患になり,これに対応するべく歯科医師の再教育と新体制の教育が叫ばれた.カナダの歯科の歴史上で初めての歯科教育の宣教師が中国に派遣され,中国歯科教育の基礎作りに貢献した.口腔保健と予防衛生の重要性が民衆に困難な理解を打破させて,歯科衛生士教育の機運が芽生え始めた.歯科人名録が出版され,氏名,資格,学位,出身学校等が明確化され,登録制が強化され,職業意識の向上と資質が問われた.