著者
鈴木 勝 新国 俊彦 谷津 三雄
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.10-13, 1975-05-24

明治21 (1888)年榎本積一は修学時代から各門派にかかわらず同学の士を叫合し,相集り談論を交し知見の発展を計ることを目的とし「歯科談話会」を設立した.この門戸開放したことが当時新進気鋭の青年歯科医師や学生に広くうけ,また榎本が明治22年10月医術開業試験に合格し,翌23年11月に開業したこともあって,更に発展し,その目的に学術研究を含めるようになり,明治23(1890)年11月23日に「歯科研究会」と改称,翌24年1月から130名の会員の機関誌として「歯科研究会録事」を発行した,これがわが国における最初の歯科雑誌である.同誌は明治24年8月の第8号より「歯科研究会月報」と改称し更に継続発行したが,同28年6月の総会で会名を「歯科学会」と改めたことから,「歯科研究会月報」も第54号より「歯科学会月報」と改称した,明治32年3月,榎本の辞任につれて青山松次郎が会長となり継続した.しかし同33年青山が会津若松に引退したので,荒木盛英が続いて会務をとったが同34年5月故あって休会し遂に自然解散となるにつれ「歯科学会月報」も同34年12月23日発行の第110号で自然廃刊になった.ところが,このわが国最初の歯科雑誌である「歯科研究会録事」についての研究は少ないので.この「歯科研究会録事」を中心に若干の考証を試みたい.
著者
牧野 信之 森山 徳長
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.184-188, 2002-03-29
被引用文献数
1

ジョンM.リッグズが歯周病の父と呼ばれるにふさわしい,本症の外科的処置法についての1876年発表の原著論文の日本語訳を本邦で始めて発表した.現在我々の識っている知識の原形であることがわかる.その現代的解釈については続報する予定である.
著者
牧野 信之 森山 徳長
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.157-161, 2001-09-30
被引用文献数
1

長く歯槽膿漏症と呼ばれ,またリッグズ氏病と呼ばれた歯周病の外科的療法を開発したJ.M.リッグズは,本病治療法を1876年米国の歯科雑誌Pennsylvania Journal of Dental Scienceに発表した.その原理と方法は基本的に現代の歯周病外科療法に引継がれており,学祖と呼ぶにふさわしい.本稿はその生涯と業績,彼の生きた時代のアメリカ歯科医学の歯口清掃法の考え方の状況につき述べる.
著者
工藤 逸郎 三宅 正彦 見崎 徹 小室 歳信 金山 利吉 若松 佳子 納村 晉吉 篠田 宏司 太田 肇 下山 哲夫 会田 卓久 松江 高光 小田 泰之 関根 光治 和田 雅彦
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.1-20, 2011-03-31

戦中の歯科月報は,戦局の激化により昭利19年(1944)6月20日発行の第24巻第5号を以て廃刊となったが,戦後昭和24年(1994)5月30日日本大学歯学会発行,復刊記念号として復刊された.雑誌の性格は戦中迄の歯科月報と同様,学術誌,同窓会誌との二面牲を持つ性格のものであった.昭和26年(1951)10月31日発行の歯科月報復刊第2号から昭和29年(1954)10月30日発行の歯科月報復刊第10号迄は日本大学歯科同窓会発行となる.復刊第10号は学会誌と同窓会誌の二重の牲格を持つ最後の会誌となる.昭和30年(1955)6月,大学院設置予定に伴い学会誌のみの雑誌の必要性から歯科月報は第29巻第1号から日本大学歯学会機関誌に決定された.そのため同窓会関係については新たに同窓会誌を発行する必要が生じ,昭和31年(1956)3月21日,日本大学歯学部同窓会会誌創刊号が発行された.その後,同誌は日本大学歯学部同窓会雑誌,日本大学歯学部同窓会誌と改題して現在に至っている.歯科月報は昭和39年(1964)1月,日大歯学(Nihon University Dental Journal)第38巻第1号に改題し現在に至っている.以上について本学の歯学部,同窓会,図書館等の資料を用いて検討し若干の考察を加えて報告した.