著者
Black P. J. 笠 耐
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.103-108, 1984

これは,昨年の11月19日に物理教育学会主催で開かれた,英国の科学教育に関する講演会のために,ブラック教授が用意された手稿を訳したものである.ブラック教授はナフィールド物理Aレベルの監修者であり,英国の科学教育の中心部ともいえるチェルシーカレッジの科学教育センターの所長として活躍されている国際的に著名な物理学者である.此のたび,11月14日から18日まで松下AVセンターで開かれた日英セミナーにイギリス代表の長として来日され,お忙しい時間を割いて講演してくださった.内容は「生徒に科学を実践させることによって科学を理解させる」というナフィールド物理の精神を,一層実践的に推進してゆくための問題提起となっている.1980年から5年計画で実施されている英国の全国的教育調査の経験に基づく話である.
著者
岡崎 隆 池田 清朗 沢田 康太 宮崎 隆也 寺島 靖香
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.49-52, 2010-03-15 (Released:2017-02-10)
参考文献数
9

振子の等時性とその破れ,ホイヘンスによって考案されたサイクロイド振り子について解説する。サイクロイド振子の運動を解き,等時性が回復される振動解の具体的振る舞いを調べる。作成したサイクロイド振子による振動実験を行い,等時性が回復される様子を示す。また,自転車の車輪を使った実体振子の振動を測定し,大振幅の振動で周期が振幅に依存する様子を示す。
著者
鈴木 康文 高田 緑 土居 良子 深澤 優子
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.13-18, 2014

高校生や大学生に対して,身近な電気製品に使われている科学技術に対する興味を喚起するためにLEDを用いた光通信に関する教材を作製した。一つはLED光線電話であり,もう一つはLEDによる音声・映像通信機である。前者は古くから知られたものであるが,後者は新たに考案したものである。LEDからの光をDVDプレイヤーからの音声信号と映像信号で変調させ,この光を受光側に置いたLEDで受け取り,増幅し,テレビで再生するものである。2本のアクリル棒を光ファイバーケーブルとして用い,その中で光を送信する。教材としての改良を繰り返しながら,子ども・保護者・高校生・大学生.教員らに対し複数回の教育実践の機会を設けた。その結果,これらの教材は従来もっている通信の概念とは異なって目新しく映り,見る者の驚きとともに興味や関心を引き付けることが分かった。
著者
奈良 旬平
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.98-99, 2021-06-11 (Released:2021-07-19)
参考文献数
3
著者
鈴木 亨
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.1-3, 1998 (Released:2017-02-10)
参考文献数
8

ホール効果については,センター試験をはじめとする大学入試でも近年,頻出している。受験テクニックとして横行し,一部の教科書にも記載されるに至っている。ところが,固体内の荷電粒子の挙動を,古典的粒子像で説明することには限界があり,高校の指導範囲から逸脱する感がぬぐえない。高校教材としては,できればホール効果は取り扱わないこととし,大学入試問題からは排除することを提言する。
著者
菅野 礼司
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.101-104, 1997-04-25 (Released:2017-02-10)
参考文献数
6

近代科学の基礎にある機械論的自然観について,その成立の背景と近代力学の形成において機械論的自然観が果たした意義を考察する。目的論的自然観に代わって機械論的自然観が生まれる背景には自然科学の進歩による自然像の転換や手工業の発達などがあるが,さらにキリスト教の自然観である「神が創造し操縦する宇宙像」の影響も見逃せない。近代科学の意味での「自然法則」の概念はこのような状況のなかで確立した。特にデカルトの場合は,物心二元論と物質世界に対する機械論の根拠を神に求めた。一口に機械論的自然観といっても,その意味内容は人により異なるし,時代とともに変化してきた。どこまでを「機械論」というべきかその定義は単純ではないので検討する。最後に,近代科学における機械論に対する批判についても論ずる。
著者
長谷川 大和 勝田 仁之
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.137-140, 2013-09-06 (Released:2017-02-10)

高等学校物理では,力学的エネルギー保存則を学んだ後に運動量保存則を学ぶ。これらを学習後に取り組む典型的な問題として,動くことのできる斜面台上での物体の運動がある。このような問題では,台と物体で及ぼし合う垂直抗力がそれぞれ仕事をすることになり,これらがちようど打ち消し合うことを説明しなければ,力学的エネルギーの和が保存されることに対して生徒は違和感を持つ可能性が生じる。この問題の高等学校での取り扱いについて考察する。
著者
福山 豊
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.211, 1992-09-05 (Released:2017-02-10)
参考文献数
8
著者
鬼塚 史朗
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.331-338, 1994-09-01 (Released:2017-02-10)
参考文献数
12

フックとニュートンは,ともに17世紀を代表する科学者である。彼らは当時の研究対象のほとんどを手がけ,そのなかで多くの成果をおさめた。そのいくつかは現在でも高く評価されている。しかし,フックの業績は20世紀の半ばまで200年以上も闇に埋もれていた。それは,フックがニュートンとの論争に敗れたからである。古今東西,論争はその敗者に対して過酷である。敗者の多くは地位,名誉,業績を失い寂しく死んだ。しかし,純粋な学術論争は科学の発展に大きな役割をはたす。フックとニュートンの間に争われた光学論争や重力論争も,科学の発展に大きく貢献した。当時,イギリスでは英国王立協会が設立された。フックやニュートンは,この学会のなかで研究方法や研究成果報告の方法を模索しながら学会の基礎を固めていった。その成立過程にみられる模索や試行のなかには,現代にも通じるものがある。本稿では両者の性格やその社会的背景,研究方法などに分析をくわえ,そのなかで,科学にとって真に必要なものは何かを考察した。そこには,現代の科学や教育に対する示唆が多数く含まれている。つまり,17世紀の英国王立協会は,現代の科学や教育にとってもその原点と考えられる事象を多数内在させていた。
著者
福山 豊
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.30-33, 1988-03-05 (Released:2017-02-10)

ニュートン力学は,アリストテレス的世界観から新しい世界観への転換を示してくれた体系であり,その考え方を是非とも学生たちに理解させておきたい,そのために花火の運動を考察することによってニュートン力学の特徴を理解させることを試みている.このとき花火の運動を三段跳び(ホップ,ステップ,ジャンプ)にたとえて,慣性の運動,重力による自由落下の運動,空気の抵抗(速度に比例)の3段階でとらえ,その役割と特徴をあきらかにする.花火のかけら(星)の形は,どの段階でもつねに円(球)となって落下することが導けるので意外性があり印象的である.
著者
笠 耐 小林 順一 竹原 博
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.204-207, 1985
被引用文献数
1

磁場によるβ線の偏向角からβ粒子のエネルギーを測定する実験装置を製作し,^<90>Sr,^<90>Yからのβ粒子の平均的エネルギーと最大エネルギーとを求めた.教育実験用として空気中で行うので散乱の影響が大きいが,電磁石の使用により,β粒子の運動量分布の形もより明確になった.物理教育研究室の卒業研究として学生が手作りした装置であるが,大学初年級の相対論力学の導入の授業に使用できる.
著者
細谷 澄夫
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, 2001

記録タイマーを用いて,重力加速度の大きさを測定すると,物体の落とし方の上手い下手によってばらつきが出てしまう。それが出ないように簡単な工夫をしてみた。また,運動の法則の検証で加速度は力に比例するけれども,原点を通らないという失敗に困っている。是非解決策をお教え願いたい。
著者
岡崎 隆 池田 清朗 沢田 康太 宮崎 隆也 寺島 靖香
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.49-52, 2010
参考文献数
9

振子の等時性とその破れ,ホイヘンスによって考案されたサイクロイド振り子について解説する。サイクロイド振子の運動を解き,等時性が回復される振動解の具体的振る舞いを調べる。作成したサイクロイド振子による振動実験を行い,等時性が回復される様子を示す。また,自転車の車輪を使った実体振子の振動を測定し,大振幅の振動で周期が振幅に依存する様子を示す。