著者
石川 昌司
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.289-290, 2018-12-06 (Released:2019-01-08)
参考文献数
7
被引用文献数
2

高校物理では,音波などの縦波を,縦波←→横波変換に基づく変位波で扱うことが多いが,そのことにより音の干渉などの問題では深刻な不都合を生じることがある。この問題の解決策として「縦ベクトル(仮称)」なる図法を工夫してみた。
著者
金長 正彦
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.191-194, 2020-09-10 (Released:2020-10-08)
参考文献数
6

物理教育の世界でも,実施した教育法の有効性等を比較研究する際に,(推測)統計学を利用している事例が散見されるようになってきた。氾濫する統計手法や様々な統計処理をブラックボックス的に実施してくれるソフトウェアの普及により,データの種類で変化する統計手法の適合制限を無視して,総当たり的に統計計算を実施し,都合の良い結果を示す不適切な統計手法を採用する危険性が増えている。その危険性を少しでも減らすために,統計学の入門を説明するとともに,統計手法の簡易的適用方法(適用アルゴリズム)を示す。
著者
佐久間 直也
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.33-34, 2023-03-14 (Released:2023-03-30)
参考文献数
2
著者
岡本 正志
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.388-391, 2001-09-20 (Released:2017-02-10)
参考文献数
19

19世紀の英国における心霊研究に多くの一流科学者が関わっていた。心霊現象に対して,懐疑的な立場から積極的に肯定するものまで様々であったが,心霊現象を科学的に研究しようとはしていた。しかし,実際にはトリックによって騙されていた。こうした状況を生み出す背景と個人的特徴とを分析し,今日への示唆や教訓を汲み取ろうとした。
著者
西村 秀雄
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.194-197, 1989-09-05 (Released:2017-02-10)

プトレマイオスの地球中心体系(いわゆる天動説)は,精度の良い,すぐれた宇宙体系であった。これには,今日から見て次の二つの理由があると考えられる。第一に,プトレマイオスの地球中心体系は,地球を座標の基準として実は太陽中心体系を書き換えたものとなっていること,第二に,プトレマイオスが採用した「エクァント」というメカニズムは,諸惑星の運動に関するケプラーの第二法則を近似するものとなっていること,である。本稿では,これらの点を明らかにし,あわせて,先に足立武氏が本誌第36巻第3号において提唱された「Ωポイント」がこのエクァントにあたることを示す。
著者
小林 秀幸 酒見 泰寛 柴田 利明
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.385-388, 1996-12-05 (Released:2017-02-10)
参考文献数
15

物理学の様々な分野で応用されているイオントラップの原理を理解するために,円筒形の電極と矩形パルスの電圧を用いて簡易なPaulトラップを製作した。高電圧に帯電させた食塩水の液滴を空気中で捕獲し照明することによって微粒子の振舞を肉眼とビデオカメラで観察した。このイオントラップを用いた実験は,3年生の学生実験の課題となっている。
著者
小栗 美香 伊藤 克美 五十嵐 尤二 小林 一夫 絹川 亨 園田 英徳
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.2-9, 2019-03-08 (Released:2019-05-08)
参考文献数
12

ボルタは,麦わら検電器(今日の箔検電器)を発案し,麦わらの開く角度に対応する物理量として,電位の概念を提唱した.本論文ではこうした箔検電器の動作原理を明らかにするために,導体系の理論に基づき,箔検電器に対する「遮蔽コンデンサーモデル」を提案する.また,等角写像を用いて箔検電器内部の電場分布を考察し,箔の開く角度と電位の関係を解析的に求め,ボルタの推論が成り立つことを定性的に示す.箔が開く要因について広く用いられている記述が十分なものではないことを我々の考察は示唆している.
著者
迫田 昭一郎
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.304-307, 1989-11-30 (Released:2017-02-10)

標題の物理学実験に等角写像による理論計算の結果を組み込む目的で理論計算のソフトを作成した。その内容,特に楕円積分を含む数値計算のプログラムの要点を述べる。そして実験の基本的な場合と,銅板枠を用いて境界条件を変えた場合について理論計算の結果を示し,おのおのの実験と比較する。
著者
森 雄兒
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育学会年会物理教育研究大会予稿集 22(2005) (ISSN:24330655)
巻号頁・発行日
pp.30-33, 2005-08-06 (Released:2017-07-20)

ガスマントルを使うと手軽に陽電子源を作ることができる。さらにそれを用いて磁界を加えた霧箱で使うとリアルタイムで対生成を観察させることもできる。こうした陽電子の教材は生徒が興味を強く示す魅力的な教材である。また物理教育の立場からみても陽電子は質量とエネルギーや宇宙の創生の内容にに発展させていくことができる教材であるが、現状の物理教育では、残念ながらこうした教材を有効に扱えているとはとてもいえない。ここでは「物質の歴史」を中心にすえ、陽電子、対生成を生かした授業の展開例も紹介してみたい。
著者
佐藤 文隆
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.275-278, 2018-12-06 (Released:2019-01-08)

筆者は「元気な物理学」の時代(概略1955-65年)を経験したが,そこには計算機革命を主導するなど,「開かれた学問」のマインドに満ちていた。電子は素粒子であると同時にコンピュートする存在でもある。自然は人間の概念世界のなかに描かれるものである。力学の物理教育では実在とツールの関係の考察が必要であり,量子力学の解釈問題はこの点に関わっている。ツールは他の学問に波及する威力を持つ。
著者
斎藤 吉彦
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.209-212, 2012-09-03 (Released:2017-02-10)
参考文献数
5

本誌の企画「変位電流とは何か」で,3編の論文が「変位電流は磁場を創らない」の議論を与えている。これらは,時間変化をする球対称電場の存在の正否が要となっている。本稿は,この電場がマクスウェル方程式と矛盾することを根拠に,設定されたモデルを否定する。さらに,モデルが仮定する荷電粒子の運動が非物理的であることを具体的に示す。本編の議論は電磁場の相対論的理解が背景にあり,教育者にとって電磁気学の相対論的理解の必要性を主張する。
著者
龍渓 信行
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.217, 1994-06-05 (Released:2021-08-18)
参考文献数
4
著者
霜田 光一
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.319-322, 2005-12-20 (Released:2017-02-10)
参考文献数
3
被引用文献数
1

これまでの電磁気学では,クローンの法則,アンペールの法則など数々の実験法則を基にしてマクスウェルの式を導いている。ここでは,光速の原理と電荷保存則を仮定し,これを公理として真空中の電磁場についてマクスウェルの式を導く。ローレンス条件も変位電流も初めの2つの仮定から自然に導かれる。そしてマクスウェルの式を求めた後で,クローンの法則,アンペールの法則,ビオ・サバールの法則などを求める。
著者
鬼塚 史朗
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.415-418, 1994-12-05 (Released:2017-02-10)
参考文献数
5

アーク放電型無線電話の実験を簡単な方法で演示したところ,当教育センターの教員研修では強い興味と関心がよせられたので,本電話の歴史的意義と教育的意義を考察して,高校物理での教材化を試みた。本装置は素朴で原理的であるが,そのなかには物理教育上の重要事項が多数含まれている。音質は良好で,音量も十分であるので演示効果は大きい。本実験は,高校物理IIの電磁気分野のまとめや発展学習,課題研究の教材として利用できる。

1 0 0 0 OA 空気砲の物理

著者
石原 諭 佐藤 光 三宅 明 松川 敦子
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.188-192, 2008-09-01 (Released:2017-02-10)
参考文献数
6
被引用文献数
1

密閉したダンボール箱の一つの面に穴をあけ,箱の側面をたたくと,空気のかたまりが打ち出される。箱の中に煙を入れてたたくと,空気のかたまりは渦輪であることがわかる。本研究では穴の形を変えたときの渦輪の運動を観察し,渦輪の変形の周期と並進速度との間に一定の規則性のあることを見出した。科学のイベントなどでよく取り上げられるこの興味深い現象は,物理の探究活動や課題研究のテーマとしての教材化が可能である。
著者
寺嶋 容明 平井 宏樹
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.225-230, 2021-12-09 (Released:2021-12-30)
参考文献数
7

本研究では,色による虹角の違いを簡単な実験で確かめることを目的に,赤,緑,青の三色のレーザー光線を用いて虹角の測定を行った。水を入れた透明な円筒形の容器を水滴の代わりに用い,レーザー光線を入射したときに出てくる光線の角度を分度器で測定した。さらに,測定の解析の工夫として,最小二乗法を使った解析を行った。
著者
樋之口 仁
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.98-101, 1996-06-05 (Released:2017-02-10)
参考文献数
6

夜光塗料に含まれる^<147>Pmを線源にして,フェライト磁石を使った簡単なβ線偏向実験を行い,シャープな偏向計数率を得た。そこから得られた曲率半径から,β粒子の速度・エネルギーを求めた。さらに,拡散霧箱でβ線の偏向を受けた飛跡が観察できた。これらの実験は高等学校物理の「ローレンツ力」・「放射線の性質」の単元で演示実験や生徒の探求活動・課題研究に利用できる。
著者
広井 禎
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.161-162, 1999-06-25 (Released:2017-02-10)

1999年3月に2003年から高校で実施される学習指導要領が告示された。本稿では,その内容についての検討は一切せずに,そのつくられ方についてだけ検討する。仮に教育課程を建売住宅に例えてみる。従来,建売住宅に住む人・住みたい人の立場から論じられることが多かった。この玄関の位置は良い(悪い)とか,この間取りは住みやすい(住みにくい)とか,ここに戸棚があるのは使いやすい(使いにくい)など。本稿では,この視点を転じて,大工さんの立場から検討してみたいのである。建築資材や,大工さんの数,工事期間などにあたることの検討を試みることにする。