著者
山本 重雄 篠田 純男
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.523-547, 1996-04-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
210
被引用文献数
5

鉄 (イオン) はほとんどの生物の生存と増殖に不可欠な元素である。しかし, 宿主生体における鉄は大部分が結合型やヘム鉄として存在し, 細菌が自由に利用できる遊離鉄は極めて少ない。これは有害な活性酸素の生成防止と共に細菌感染症に対する非特異的生体防御機構の一つとなっている。それ故, 宿主生体中で増殖し得る病原菌は何らかの巧妙な鉄獲得系を保持している筈である。鉄欠乏下に発現する2つの鉄獲得系が明かにされている: 1) Fe3+に高親和性の輸送キレート剤, シデロフォア (siderophore, siderochrome とも呼ばれる) を産生し, トランスフェリンやラクトフェリンに結合している鉄を奪い取り, そのコンプレックスに特異的なレセプターを介して鉄を取り込む系; 2) トランスフェリン, ラクトフェリン, ヘムに結合している鉄をそれぞれに特異的なレセプターを介して直接利用する系。この能力は細菌の生体内増殖を可能にするので, 病原性 (強化) 因子の一つと考えられている。近年, 分子生物学的あるいは分子遺伝学的手法を用いて, これら鉄獲得系の発現調節機構や病原性強化における役割が個々の病原菌についてより詳細に解明されつつある。さらに, 鉄獲得に関与する遺伝子群と共に鉄獲得に直接関係のない病原因子遺伝子の発現も鉄欠乏に呼応して増加し, これに係わる統括的 (global) 調節因子の存在が明かにされた。病原菌の鉄獲得機構の解明は感染症防御のための新たな手段, 戦略を提供する可能性を秘めている。
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.1-2, 2017 (Released:2017-02-24)

1 0 0 0 OA シンポジウム

出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.21, no.8, pp.389-407, 1966-08-25 (Released:2009-02-19)
著者
藤野 恒三郎
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.21, no.8, pp.373-388, 1966-08
著者
阪口 玄二
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.951-960, 1988-11-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
35
被引用文献数
1

1 0 0 0 OA 正誤表

出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.433a-433a, 1957 (Released:2011-06-17)

1 0 0 0 OA 正誤表

出版者
日本細菌学会
雑誌
実験医学雑誌 (ISSN:18836976)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.e1c-e1c, 1944 (Released:2011-06-17)
著者
石黒 正路
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.539-544, 2005-11-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
11

蛋白質の結晶構造はその立体構造情報のみならず基質やリガンドの認識機構や蛋白質の機能を理解する上で非常に重要な情報をもたらす。蛋白質の結晶構造データは解像度や結晶条件によって異なり, 蛋白質の機能に結びつく構造変化情報も得られる。また, 結晶構造はコンピュータ・シミュレーションと組み合わせることによって, 蛋白質の動的構造や結晶構造未知の蛋白質の立体構造の予測に役立ち, さらに蛋白質に結合する新しい分子の設計に用いられる。これらの手法は構造ゲノミックス・プロテオミックスの分野での研究に重要な役割を果たすものと期待される。
著者
古田 芳一
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.383-389, 2015 (Released:2015-12-03)
参考文献数
44
被引用文献数
1

ピロリ菌(Helicobacter pylori)はヒトの胃に感染し, 胃がん等の疾患の原因となる。そのゲノム配列は多様性が高く, 地域特異的に進化したことが知られている。日本人患者由来のピロリ菌のゲノムを解読し, 他地域由来のピロリ菌ゲノム配列と比較した結果, 遺伝子のレパートリーだけでなく, ゲノム構造や, エピゲノム修飾の一種であるDNAメチル化についても様々なメカニズムにより多様化していることが明らかとなった。ゲノム中の逆位は地域特異的に分布しており, ゲノム中の逆位とリンクして遺伝子重複が起きる現象を発見した。ゲノム中のDNAメチル化部位は, メチル化酵素遺伝子の有無だけでなく, メチル化認識配列を決定するドメイン配列が移動することによっても多様化することが示唆され, オーミクス解析により, 実際にドメイン配列の移動によってメチル化認識配列が多様化すること, さらにトランスクリプトームも多様化することを明らかにした。これらの多様なメカニズムにより, ピロリ菌の適応進化が起こることが示唆された。
著者
小澤 敦
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.739-756, 1982-07-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
110
被引用文献数
3
著者
長田 久美子 高木 絵理子 田村 俊秀
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.961-970, 1995-10-15 (Released:2009-02-19)
参考文献数
60

H.pyloriは極めて多量のウレアーゼを有しており,ウレアーゼの尿素に対する親和性は強く,その細胞内局在性は他の腸内細菌と異なり細胞質内だけでなく外膜にも存在する。ウレアーゼの遺伝子は9つの遺伝子群によって支配されており,その遺伝子のDNA配列には株間でバラツキが見られ,そのことは疫学的研究に応用されている。プロトンポンプ阻害剤(PPI)は,H.pyloriのウレアーゼ活性を阻害し,その阻害作用はウレアーゼの活性中心に関与するシステインのSH基のブロックによるものと考えられる。PPIはH.pyloriの増殖を特異的に阻害するが,その増殖阻害とウレアーゼの阻害には関連がない。H.pyloriのウレアーゼは病原因子の一つであり,産生されるアンモニアは胃粘膜に障害をあたえたり,菌の定着に重要な役割をしている。H.pyloriのウレアーゼ活性を中和する抗ウレアーゼモノクローナル抗体について述べ,ポリクローナルな抗体と比較した。
著者
小澤 敦
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.305-308, 2015 (Released:2015-05-30)
著者
刑部 陽宅 山崎 茂一 久保田 憲太郎
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.577-584, 1972-07-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
18

低温菌のPseudomonas fragiと中温菌のPseudomonas aeruginosaの生育,死滅,揮発性塩基窒素産生ならびに数種の基質酸化活性におよぼす温度の影響を検討した結果,両菌の生育差を生ずる要因の一つとして,P. fragiがP. aeruginosaに比し,低温で安定な基質酸化機能を営む酵素系をもつことが示唆された。しかしその詳細はまだ不明な点が多い。
著者
波江 元吉
出版者
日本細菌学会
雑誌
細菌學雜誌 (ISSN:18836925)
巻号頁・発行日
vol.1909, no.160, pp.119-137, 1909-03-10 (Released:2009-07-09)