著者
安倍 裕順 相川 知宏 中鉢 淳 宮腰 昌利 丸山 史人
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.539-546, 2014-08-29 (Released:2014-09-02)
参考文献数
26

病原菌の遺伝子発現に関する研究は宿主環境を模倣したin vitro の解析を中心に行われ, 新規病原性遺伝子の発見や遺伝子発現制御ネットワークの詳細を明らかにしてきた。さらに, 近年のゲノム解析技術の進歩により病原菌感染時に特異的な網羅的遺伝子発現解析が可能になった。現在, 免疫応答や常在菌叢の変化など感染経過に伴う宿主環境の変化に病原菌がどのように応答し, 感染成立に必要な病原性遺伝子の発現はどう行われるのか, 病原菌による感染成立の全体像を正確に理解する研究が精力的に進められている。そこで, 本稿では感染環境中での病原菌の遺伝子発現に注目した最新の研究やこれを進めるうえで有用な成果を紹介する。
著者
小川 知彦
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.391-404, 2006-11-25 (Released:2011-06-17)
参考文献数
85

1933年Boivinらは初めてネズミチフス菌から内毒素を抽出して以来, 内毒素の化学的, 生物学的な研究が多方面にわたり進められた. 1952年Westphalらの温フェノールー水により抽出された内毒素性リボ多糖 (LPS) の構造学的, 機能学的性状が明らかにされるとともに, 今日, これらグラム陰性菌の感染防御機構に関する研究が国内外で盛んに行われ大きな進歩がみられる. これまでのPS研究のなかで, 1960年代からBacteroides類縁菌LPSの特徴的な化学構造やその生物活性に注目が集まりこれまでの長い研究の歴史がある. また, 口腔内に棲息する歯周病の原因菌として注目される菌種もかつてはバクテロイデス属に分類されていたものが多くみられ, なかでも黒色色素産生性偏性嫌気性菌であるPorphyromonas gingivalis (旧Bacteroides gingivalis) LPSについてもビルレンス因子としての可能性が探究されてきた. これらBacteroides類縁菌LPSの活性中心であるリピドA分子は, その特徴的な化学構造の故に内毒素作用や種々の生物活性が弱く, しばしばLPSのアンタゴニストとして作用することが知られている. 他方, これらしPSは, LPSに不応答であるC3H/HeJマウスの細胞を活性化することが多数報告されている. 我々はP.gingivalisリピドAの化学構造を最初に明らかにしたが, 当初, P.gingivalisLPSやリピドAがC3H/HeJマウスに作用することを多くの研究者と同様に報告した. その後近年のToll-likereceptor研究の隆盛に応じて, P.gingivalisLPSやリピドAがTLR2に作用するリガンドであるとの知見が多くみられた. 我々は, P.gingivalisリピドA種の不均質性ならびに生物学的に活性な成分の混入などの問題点を解決するためにリピドAの化学合成対応物を作出し, TLR4アゴニストであるとの結果を得ている. さらにP.gingivalisLPSやリピドAがTLR2リガンドであるとの通説を払拭するためにP.gingivalisLPS画分に混入するTLR2アゴニストを分離・精製し, その化学構造が3残基の脂肪酸からなるリポタンパク質であることを明らかにし, 長年のBacteroides類縁菌LPSにまつわる問題を解決した. 歯科領域ばかりでなく, 自然免疫分野では今なお, “TLR2活性LPS1リピドA”との誤認に基づく研究が跡を絶たない. これまでの歴史的経緯を踏まえて, 腸内細菌科由来LPSやリピドAと同様に, TLR4に作用するリガンドであるBactem/des類縁菌PSについて, P.gingivalisLPSやリピドAに関する研究を中心に概説した.
著者
河村 好章
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.545-584, 2000-08-25 (Released:2009-02-19)
被引用文献数
3
著者
中澤 晶子
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.557-572, 2001-11-15 (Released:2009-02-19)
参考文献数
102
被引用文献数
1 1

私は共同研究者と共に, ヘリコバクター・ピロリのウレアーゼ遺伝子を特異的に破壊し, 欠損株は胃内に定着できないことを, ヌードマウス感染モデルを用いて証明した。また本菌が尿素走化性と炭酸水素イオン走化性を持つこと, 運動は粘液中で亢進すること, 粘液中での運動にはウレアーゼが必要であることを明らかにした。さらにウレアーゼオペロンの転写産物解析により, 酵素活性化の最終段階で働く蛋白遺伝子mRNAが, 中性で分解され酸性で安定化されることを明らかにした。これらの成績から私は, ヘリコバクター・ピロリの持続感染機構として, 胃粘膜細胞表層の中性領域で分裂したウレアーゼ活性が低い細菌が, 粘膜表層から遊離し胃酸に曝露されると, ウレアーゼが活性化されて酸を中和できること, 粘液層の細菌は, 尿素走化性と炭酸水素イオン走化性によって粘膜表層に回帰し, 再び分裂するというライフサイクルモデルを提唱した。
著者
秦 藤樹
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.15, no.10, pp.958-960, 1960-10-25 (Released:2011-06-17)
著者
降旗 武臣
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.6, no.6, pp.445-449, 1951 (Released:2011-06-17)
参考文献数
10

1 0 0 0 OA 談叢

出版者
日本細菌学会
雑誌
細菌學雜誌 (ISSN:18836925)
巻号頁・発行日
vol.1925, no.350, pp.309-319, 1925-04-10 (Released:2009-07-09)