著者
江原 義弘
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.107-112, 2012-04-01 (Released:2014-01-15)
参考文献数
5
著者
阿部 紀之 細矢 貴宏 松田 雅弘
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.137-142, 2021-04-01 (Released:2022-04-15)
参考文献数
21

装具処方の必要性や装具種類の判断に有用な指標を明らかにするため,被殻出血患者34名を対象に装具処方有無の2群と,処方された装具の種類(長下肢装具 : KAFO·支柱付き短下肢装具 : MAFO·プラスチック短下肢装具 : PAFO)により3群に分け,脳画像所見,装具情報,身体機能をそれぞれ比較した.装具処方の有無では在院日数,入退院時の歩行能力,運動機能,ADLで有意差を認めた.また,出血量と短径はKAFO-PAFO群間,長径はKAFO-PAFO群,MAFO-PAFO群間で有意差を認めたが,身体機能は3群間の差を認めなかった.装具処方の必要性は身体機能やADLが有用な指標であるが,処方装具の種類には脳画像所見も有用な指標であることが示唆された.
著者
狩野 綾子
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.10-11, 2020-01-01 (Released:2021-01-15)

コポリマーとは2種類のモノマー(単量体)の重合によって作られる高分子体(ポリマー)の総称である.その中で短下肢装具材料として用いられるのは,ポリプロピレンにポリエチレンを配合した熱可塑性プラスチックである.短下肢装具材料として十分な硬さと,加工性の良さ,溶着性の良さなどがその特徴である.
著者
奥谷 弦 狩野 綾子
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.12-15, 2020-01-01 (Released:2021-01-15)
参考文献数
2

オルソレンは分子量100万以上の超高密度ポリエチレンであり,靭性が高く,溶融粘度がきわめて高い.そのため熱成形加工には高度の加工技術を要する.段階的な切削で可撓性を調整できる特性を生かし,症状に応じた尖足防止用の固定装具から歩行用のよりダイナミックな装具にまで使用することができる.サブオルソレンは分子量50万の高密度ポリエチレンである.熱成形加工が容易で加熱による収縮も少ないのが特徴で,厚みが一定で安定した製品を製作することができる.急性期の治療用短下肢装具や,曲げ応力の掛かりにくいコルセット,両側支柱付き装具のカフなどに用いられることが多い.
著者
浅見 豊子
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.13-17, 2012-01-01 (Released:2013-12-15)
参考文献数
16
被引用文献数
1
著者
敦賀 健志
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.24-30, 2019-01-01 (Released:2020-01-15)
参考文献数
9

市販の電子部品を利用した簡易的な筋電計の製作方法と実際の計測結果および具体的な活用事例について紹介する.筋電位は非常に微弱なため電気的に増幅するアンプと,特定の周波数帯域の信号を抽出するためのフィルタが必要となる.本稿では機能を増幅に特化している計装アンプと,回路構成が非常に簡単なRCフィルタを採用して筋電計の製作を行った.実際の計測ではノイズの混入が見られたものの,筋電位の有無が十分に確認できる結果を得た.また,活用事例として製作した筋電計を筋電位スイッチとして利用を試みた.筋電位の有無によって電動モータのON/OFFを制御するプログラムを製作し,その実用性を確認することができた.
著者
遠藤 謙
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.258-261, 2020-10-01 (Released:2021-10-15)
参考文献数
11

近年の様々な技術革新に伴い,義肢装具も多くの技術開発が行われた.特に膝継手に関しては,従来のバネやダンパのような受動要素を用いた膝継手から,コンピュータ制御によりダンパを能動的にコントロールするものも商品化され,さらにロボット技術を用いた膝継手も多く研究開発されている.本稿では,主に電子制御膝継手の研究の動向や大腿義足ユーザの運動に期待できる改善点などを紹介し,最後に障害者が参加する大会サイバスロンについて述べ,この技術の展望を述べる.
著者
二宮 誠 増田 勝也 鈴木 光久 後藤 学 石松 隆和
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 = Bulletin of the Japanese Society of Prosthetic and Orthotic Education, Research and Development (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.228-236, 2008-10-01
参考文献数
4

膝の機能を持たない大腿切断者が, 大腿義足で交互歩行による坂や階段のスムーズな昇降を行うためには, 膝継手に設けた油圧シリンダーを制御する必要がある. つまり, 階段の上りでは膝が任意の角度で屈曲ストップし, 階段の下りでは膝のイールディングが行われなければならない. 今回我々は, その必要な制御機能を持つ膝継手を開発した. 最初は2個のソケット内センサーによる随意制御を考えたが, 最終的には足部の接地状況を, 膝下のリンク機構によりシリンダーに伝えるバウンサー機構を考案した. この膝継手NAL-Knee により, バッテリー等も必要なく, 平地の自由な速度での歩行や, 坂, 階段の交互昇降が可能となった.
著者
月城 慶一
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.264-267, 2003-10-01 (Released:2010-02-25)
参考文献数
1
著者
右田 正澄 丸山 仁司 山本 澄子
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.138-142, 2020-04-01 (Released:2021-04-15)
参考文献数
16

脳卒中患者の短下肢装具装着に着目して,装具の種類と身体機能が装着時間に影響しているのかを明らかにするために本研究を実施した.生活期の脳卒中患者19名に対して,Shoe Horn Braceと継手付短下肢装具,Gait Solution Design (GSD)の3種類の短下肢装具を用いて装着時間を測定した.利き手による影響を確認後,Brunnstrom Recovery Stageごとに各装具の装着時間を算出した結果,継手付短下肢装具が最も装着時間が短く,装具の足関節の可動性の有無と下腿ベルトの位置が装着時間に影響していることが示唆された.GSDは装着のために時間を要し,使用する際は装着指導も必要であった.
著者
安藤 徳彦
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.213-218, 1999-07-01 (Released:2010-02-25)
参考文献数
6
被引用文献数
1

立脚相に股関節では大殿筋と大内転筋が伸展位を保持し, 中殿筋, 大殿筋上部, 大腿筋膜張筋が左右側方向の支持性を確保する. 膝関節は屈曲位で踵接地して床からの衝撃を吸収し, 体重を支える. この機能は大腿広筋が果たす. 踵接地期の足関節背屈筋群の強い収縮も衝撃吸収の意義が大きい. 全足底接地後にひらめ筋, 続いて腓腹筋の活動が足関節の底屈速度を制御する. 立脚相終期では大腿直筋が膝関節を伸展位に維持して股関節を屈曲させ, 下腿三頭筋が強く収縮して前足部を中心に下肢全体を前方に移行させる. 遊脚相に向けて股関節屈曲には腸腰筋, 長内転筋, 大腿直筋, 縫工筋, 薄筋が活動する. 大腿直筋は蹴り返し期に膝伸展位で股関節を屈曲させる. 縫工筋と薄筋は内・外転, 内・外旋中間位に保って股関節を屈曲させる. 遊脚相後半にハムストリングは股関節の屈曲と膝関節の伸展を制御するために活動する.
著者
中村 俊郎
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.240-247, 2014

2020年に東京オリンピック·パラリンピックの開催が決まり,義肢装具のことが話題に上ることが多くなっています.夏·冬の大会を問わず,あらゆるスポーツの分野で義足の選手,障がいを克服した若者の大活躍の姿が人々に勇気と感動を与えているのです.国内外の義肢装具の進歩を高く評価されることも多くなり,これまで,義肢装具の製作·販売に携わってきた業者の立場の者としてもありがたく感謝しているところです.筆者がこの50年近くにわたり,義肢装具製作者として直接·間接に多くの先駆者·リーダーから学んだチャレンジ精神も交え,物づくりとしての義肢装具の魅力の大きさ,深さを述べながら,未来への展望,在り方を模索してみたいと思います.