著者
東江 由起夫 須田 裕紀 大沼 雅之 前田 雄
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.152-157, 2013-07-01 (Released:2014-07-15)
参考文献数
6
被引用文献数
1

義肢は,切断によって失われた手足の形態または機能を復元する人工の手足であり,人間と生体が融合したマン・マシンシステムの1つである.その接合部のソケットは“義肢の命”として,切断者と義肢のインターフェースをつかさどる.そのためには切断者の断端にソケットが適合し,体重の支持,力の伝達,自己懸垂といったソケットの機能が引き出されていることが必須であり,これこそが義肢装具士がなせる究極の技術である.そこで本稿では,下腿義足の体重支持理論や適合評価方法,不適合時の対処方法等について,最近,筆者らが改めて重要だと考えている項目について説明する.またライナーを併用した義足ソケットについても触れる.
著者
澤村 誠志
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.41-47, 2014-01-01 (Released:2015-01-15)
参考文献数
10

日本リハビリテーション医学会(以下,日本リハ医学会)が設立された50年前を振り返ると,我が国の義肢装具サービスの現状は海外先進国に比較して大きく遅れていた.この現状を打開するために,日本リハ医学会と日本整形外科学会の両義肢装具委員会が協働して,医師・義肢装具士の教育・資格制度,義肢装具部品の規格標準化,JIS用語,義肢装具の価格改正などに取り組み,国際的にも優れた義肢装具サービスを整備できた.これは多くの先人のご努力の賜物であり,その経緯を報告する.国際的にも,日本義肢装具学会をはじめとして多くの学術団体の総力を挙げた活動により,第6回ISPO世界大会(神戸)の開催,アジア義肢装具学会の始動,アジアにおける義肢装具士養成施設の設置などを行い,国際的にも大きな評価を受けている.これまでの国際的な活動経緯について報告する.
著者
尼子 雅美 隆島 研吾 髙木 峰子 島津 尚子 斎藤 祐美子
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.128-135, 2019-04-01 (Released:2020-04-15)
参考文献数
23

本研究の目的は,短下肢装具を必要と捉えるADL場面や求めている役割について,脳卒中による装具使用者と理学療法士の認識の違いを明らかにすることである.質問紙調査を行った結果,装具使用者は座位での動きを伴う動作,理学療法士は移動を伴う動作において高い割合で装具が必要と認識していた.また移動状況別では,屋内歩行自立群において25項目中9項目で認識の違いを認めた.短下肢装具の必要度について認識の違いを認めた屋内歩行自立群や介助歩行·車椅子移動群では,当事者の意向を反映し,より生活上で意味のある装具とするため,座位動作を含むADL場面での使用も考慮した評価が必要であることが示唆された.
著者
林 義孝 森 義明 川村 次郎
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.163-170, 1999-04-01 (Released:2010-02-25)
参考文献数
17
被引用文献数
4

大阪府下の某義肢会社において, 1992年~1997年の5年間に義足を作製した3,138名の下肢切断者を対象に, 性別・年齢・初回切断年次・切断原因・切断部位・断端症状・義足使用状況・移動手段等の疫学調査を郵送法で実施, 有効回答数は1,460 (52.3%) であった. その結果, 虚血性の切断については初回切断年が1930年~60年代までは3%前後であったが, 70年代から増加傾向を示し, 90年代では37.0%まで増加していた. 今回の調査は, 切断してから調査時点までの経過年数の長い人から短い人を含んでおり, 経過年数の長い切断者の中に死亡している人が多いと考えられるので, 古い切断者と新しい切断者を単純に比較することは困難であるが, わが国の下肢切断の切断原因と切断年齢が欧米型に移行しつつある可能性が示唆された.
著者
田中 洋平 上野 高明 田中 清和
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.56-59, 2017-01-01 (Released:2018-01-15)
参考文献数
9

上肢切断者に対する能動義手や筋電義手は,処方後しばらくすると,使用中止や使用頻度の低下に至ることがある.我々は上肢切断者の能動義手,筋電義手について処方後の使用状況を調査した.対象は,2009年から2015年までに当院で能動義手,筋電義手を作製し,追跡可能であった成人片側上肢切断者21例を対象とした.上腕筋電義手,上腕能動義手,前腕能動義手において,義手の使用中止や使用頻度の低下があり,その主な理由は義手の重さ,頚部·肩周囲の疼痛,装着の面倒さであった.得られた課題を基に,今後も我々はより良い義手を提供できるよう,義手の改良や製作の工夫を行っていく必要がある.
著者
遠藤 正英 橋本 将志 足立 勇人 木下 洋平 田川 淳 甲斐 健児 薛 克良 浅山 滉 服部 文忠
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.104-106, 2012-04-01 (Released:2014-01-15)
参考文献数
6

脳卒中片麻痺では,麻痺側の肩関節に亜脱臼がみられることがしばしば観察される.亜脱臼は疼痛の原因となることがある.そのため,臨床上では三角巾が多く使用されている.しかし,三角巾を使用した場合,上肢を一定姿勢で固定するため,関節拘縮を助長することや,歩行中に腕を振ることができず,動作に悪影響を与えると考えられる.今回,脳卒中の肩関節亜脱臼に対して,上肢を一定の姿勢に固定せず,動作を阻害しにくい,一人でも装着可能な新しい肩装具を製作し,症例に使用した.その結果,症例において,AHI, 10m 歩行(sec, step),TUG において,三角巾よりもよい効果を得た.さらに,自己装着も可能だった.
著者
江原 義弘 高橋 茂 丸田 耕平 土屋 辰夫 森井 和枝
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.159-163, 2002-04-01 (Released:2010-02-25)

大腿切断者のための膝継手の選択を, 効率的に行うためのフローチャートを提案した. 選定手続きは以下の4ステップになる. 最初のステップでは切断者の身体状況より到達可能と思われる日常生活のレベルを予測する. これにより「車いすとの併用」「杖を使用し屋内外移動可能」「杖なしで日常生活自立」「制限なく屋内外移動可能」の4つのレベルを予測する. 次のステップでは対象者の希望を確認する. 第3, 第4のステップでは使用状況に応じて膝継手を選定する. フローチャートを用いると選択作業が効率的に実行できるばかりでなく, 選択の手順について他の担当者や, 対象者・メーカー・代理店などと意見交換がたやすくできるという利点がある.

1 0 0 0 OA 膝継手の種類

著者
野坂 利也
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.188-191, 2012-10-01 (Released:2014-03-18)
参考文献数
3
著者
水落 和也 坂本 安令
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.23-28, 2012-01-01 (Released:2013-12-15)
参考文献数
10
被引用文献数
1
著者
長谷川 正哉 大塚 彰 金井 秀作 沖 貞明
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.71-74, 2007-01-01 (Released:2010-02-25)
参考文献数
14
被引用文献数
1

靴が原因と考えられる足趾および足部の障害が多発しており, 予防法として足趾の運動が重要であることが報告されている. 本研究では足趾MP関節運動および内側縦アーチの運動, 足部内在筋の筋活動を促進させるためのトレーニングシューズの開発を目的に実験を行った. 実験1では, 裸足, 足趾トレーニングシューズ, 足甲固定サンダルの条件下に, 10m歩行中のMP関節および内側縦アーチの角度変化を計測した. その結果, 今回試作した足趾トレーニングシューズ着用下におけるMP関節運動および内側縦アーチ角度の変化が足甲固定サンダルより増大し, 裸足に近似した関節運動が発生することが確認された. 実験2では, 同様の条件下にて, 母趾外転筋における筋電活動を計測した. その結果, 裸足歩行時および足甲固定サンダルと比較し, 足趾トレーニングシューズにおける筋電活動が増加した. 実験結果より, 今回試作した足趾トレーニングシューズの特徴として, 十分な足趾関節運動が発生し, 足部内在筋の筋電活動を増大させることが確認された.
著者
荒井 秀樹
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.20-30, 2018-01-01 (Released:2019-01-15)

日本におけるパラノルディックスキーの歴史や世界の情勢,日本選手の活躍を紹介し,パラノルディックスキーの競技の特性とシットスキーの特徴を解説する.日本における本格的な競技の始まりは1998年長野パラリンピックからであり,知的障がい者のクロスカントリースキーを正式種目とした.このことが冬季パラスポーツの飛躍的な発展につながった.同時に,クロスカントリースキー,シットスキーは北海道,東北など雪国における障がい者の冬季レクリエーション,生涯スポーツとしても普及·発展している.
著者
中村 隆
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.40-45, 2017-01-01 (Released:2018-01-15)
参考文献数
21

皮膚トラブルは,義肢装具の使用における大きな阻害因子の1つである.皮膚トラブルの原因には,力学的要因と生物学的要因の2つがある.力学的要因は圧力とせん断力によるもので,装着時には効率的な力の分散がなされなければならない.ライナーは圧力分散に優れているが,適合が十分でない場合には,たとえライナーを装着していても傷はできる.生物学的要因は感染によるもので,装着時の温湿状態が感染のリスクを高めるため,衛生管理は極めて重要である.皮膚トラブルを防ぐには,自己管理に向けた教育を入院訓練中に行うことが重要であり,退院後も義肢装具使用者に対し皮膚トラブルを早期に発見し,対処できる体制が必要である.
著者
田澤 英二
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.9-22, 2007-01-01 (Released:2010-02-25)
参考文献数
3
被引用文献数
1