著者
須藤 裕子 小笠原 勝 西尾 孝佳 一前 宣正
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.1-9, 2005-03-18
被引用文献数
2

舗装道路の路面間隙に形成される雑草植生と道路周辺の土地利用形態および人間活動との関係を明らかにすることを目的に, 栃木県宇都宮市を例に挙げて, 土地利用と人口密度において対照的な住宅地域と水田地域の路面間隙の雑草植生を比較した。植生調査は2003年7月9日から8月13日にかけて, 無作為に抽出したそれぞれ50地点の住宅地域および水田地域で行い, 路面間隙に出現した雑草の総種数, 別の出現頻度, 生活型組成および帰化雑草率を求めた。その結果, 住宅地域の路面間隙で54科185種の雑草が, 水田地域で31科119種の雑草が観察された。さらに, 住宅地域の路面間隙でツメクサ(Sagina japonica (Sw.) Ohwi)やオオバコ(Plantago asiatica L.)などの踏圧に強い小型の雑草が高い頻度で出現し, 草本性の雑草の他にもタラノキ(Aralia elata (Miq.) Seemann)やムクノキ(Aphananthe aspera (Thunb.) Planch.)などの木本類と, 園芸植物のハーブ類が数ヶ所で観察された。また, 水田地域では草高が1m以上に成長したシロザ(Chenopodium album L.)やヨモギ(Artemisia princeps Pampan.)などが高い頻度で出現した。以上のように, 住宅地域の路面間隙に形成される雑草植生は水田地域に比べて種数に富むだけでなく, 種組成の点で著しく異なり, 両地域の植生の違いには, 鳥による種子伝播を含めた雑草種子の供給, 刈り込みや抜き取りなどの雑草管理や踏圧などの人為的な要素が関与していると考えられた。
著者
ポーンプロム トッサポン 松本 宏 臼井 健二 石塚 皓三
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.180-182, 1994-10-28
被引用文献数
3

The absorption and metabolism of oxyfluorfen were determined in oxyfluorfen-tolerant and non-tolerant (normal) soybean cell lines. The tolerant cells absorbed considerably less of the herbicide than the normal cells. Metabolism of oxyfluorfen did not differ between the two cell lines. These data suggest that lower absorption in the tolerant cells may contribute to the observed tolerance but that the tolerance is not metabolism-based.
著者
スワンウォン スィーソム 臼井 健二 石塚 皓造
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.315-321, 1989-12-25
被引用文献数
3

除草剤耐性機構の解明および耐性植物作出の検討を目的として,植物における分岐鎖アミノ酸生合成,芳香族アミノ酸生合成あるいはグルタミン合成酵素のような窒素代謝の掻乱活性が強いベンスルフロンメチル(BSM),グリホサ-ド(GLY),およびグルボシネ-ト(GLU)を用いて各々の耐性細胞をニンジン懸濁細胞より選抜した.ニンジン(Daucus carota L. cv. Harumakigosun)はこれらの除草剤に感受性である. ニンジンの胚軸より誘導した細胞をLS培地で懸濁培養した.この細胞の生育は10^<-8> M BSM,10^<-3> M GLYあるいは10^<-5> M GLU処理で著しく阻害された(Fig.1).それぞれ10^<-9> M,10^<-4> Mあるいは10^<-6> M処理では50%程度の阻害を示したが,これら除草剤を含む培地で数回継代培養すると無処理細胞と同程度の生育となった.その状態の細胞を更に,それぞれ,10^<-8> M,10^<-3> Mあるいは10^<-5> Mを含む培地に移し継代培養を続けることにより,耐畦細胞が選抜された(Fig. 3, 4, 6, 7).選抜された耐性細胞は上記濃度の除草剤を含む培地中で無処理細胞と同程度に生育した.耐性細胞の選抜に要した継代培養回数即ち期間は,GLYはBSMよりやや長いが3〜4ヵ月と比較的短かったが,GLUはほぽその倍の期間であった.このことは除草剤の物理化学性あるいは作用,耐畦機構と関連があると推察された.これら耐畦細胞は,ある期間上記濃度の除草剤中で培養した後,更に高濃度の10^<-7> M BSM,10^<-2> M GLYあるいは10^<-4> M GLU中に移しても生育可能であった(Fig. 2, 5, 8).また,除草剤を含まない培地に移しても耐畦は保持され(Fig.9),耐性適応は少なくとも一年間は安定であることが認められた.
著者
太田 孝 西郷 昭三郎 鈴木 金苗 村越 一彦
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.10-14, 1971-03-25

除草剤空中散布の実用性を検討するため,散布適期幅の広いベンチオカーブ・シメトリン粒剤を使用して,6haの水田(埴壌土)において試験を行なった。供試水田の田植時期は8日間の幅があり,優占雑草はヒエ,コナギ,マツバイであった。 薬剤の落下状況は,量としては平均3.07kg/10aで月標に近かったが,変異係数50%近くのかなりの散布むらが生じた。薬害はほとんどみられなく,平均雑草重が無散布に対し約3%と高い殺草効果が認められた。相対的に雑草の多かった場所は,薬剤落下量が少なかった場所や,しろかきや田植時期から散布までの日数の長い場所であったが,それでも実用的には十分な殺草効果が認められた。これらの主因は供試薬剤が散布適期幅が広いこと,殺草力が大であること,拡散性が大であることなどの作用特性によるところが大きい。ほ場条件,栽培条件が異なり,散布むらがかなりあっても,除草剤の空中散布の実用性が認められた。
著者
千坂 英雄 草薙 得一
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.185-190, 1978-12-25

水稲不耕起直播栽培における雑草の出芽の経過を耕起直播と比較した。(1)タイヌビエ・コナギ・キガシグサ等の一年生雑草は,種子が耕土表層に分布する不耕起直播で多発し,それぞれ耕起直播の3〜5倍,4倍,40倍であった。(2)タイヌビエは,耕起の有無にかかわらず,乾田の全期間にわたって不整一に出芽が継続した。(3)ミズガヤツリの場合,不耕起直播では耕起によるストローンの切断がないため,増殖源である塊茎群数は耕起直播の約1/2であり,これが主因となって塊茎由来の親株が少なかった。しかし出芽期が早いので,生育・分株形成が盛んで,結局耕起直播に比べ乾田期間の生育株数と繁茂量は著しく多くなった。(4)クログワイの出芽と増殖は,耕起の有無によってほとんど変らなかった。
著者
米倉 正直
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.64-68, 1979-08-25
被引用文献数
3

カブトエビの自然発生数と水田雑草の除草効果との関係を究明するため,1m^2のコンクリート枠で,前年に自然発生した土壌を添加して試験を行い,次の結果を得た。1)発生雑草はキガシグサ,ミゾハコベなどの広葉雑草が主体で,そのほかノビエ,カヤツリグサ科雑草などが混生し,合計発生本数4,000本/m^2以上の,きわめて雑草発生量の多い条件であった。2)カブトエビは雑草の出芽時期(代掻き4〜8日後)とほぼ同一時期に発生した。アシアカブトエビとアメリカカブトエビの二種が発生したが,アシアカブトエビが主体であった。3)代掻き後16日におけるカブトエビ発生数は,5〜266匹/m^2であった。カブトエビを背甲長によって分級し,中個体(背甲長10〜13mm)に換算して換算個体数を求めた。代掻き後16日におけるカブトエビの換算個体数(x)と残存雑草本数対無放飼区比率(y%)との間にはr=-0.793という,かなり高い負の相関が認められた。草種別にみると,カヤツリグサ科雑草,キカシグサなどとの間で相関が高かったのに対し,ノビエ,コナギでは相関が小さく,効果に変動がみられた。4)前述したxとyとの間には,y=1/1.046x1.0518^xの回帰式が適合した。この回帰曲線から推定して,雑草発生本数を無放飼区の10%以下の発生数(実用的除草効果)に抑制するには,代掻き後約2週間の時点でm^2当たり50匹程度(背甲長1cm程度の個体)のカブトエビの発生が必要と結論された。
著者
佃 和明 村上 充幸 森中 秀夫 続木 建治 一前 宣王 近内 誠登 竹松 哲夫
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.175-181, 1993-10-22
被引用文献数
2

新規水田用除草剤ピリブチガルブの主要水田雑草に対する殺草特性および稚苗イネに対する作用について検討した結果、以下のことが明らかになった。 1) ピリブチガルブは発芽期湛水土壌処理において、タイヌビエ、コナギ、タマガヤツリなどの水田一年生雑草に対して優れた殺草効果を示した。 2) タイヌビエに対しては、発芽期〜2葉期処理において高い殺草効果を示した。イヌホタルイに対しては、発芽直後においてのみ殺草効果を示した。 3)土壌表面から0〜2 cmの、いずれの発生深度のタイヌビエに対しても高い殺草効果を示した。イヌホタルイには土壌の表面から発芽する個体にのみ殺草効果を示した。 4)稚苗イネの植え付け深度を変えて薬害を検討した結果、置き苗の様な極端な状態では薬害を生じたが、深度1 cmの浅植え状態でも薬害を示さなかった。通常の移植条件の稚苗イネには、薬害を生じる可能性が低いと考えられた。 5) ピリブチガルブの土壌中の移動性は極めて小さく、土壌表層に吸着して強固な薬剤処理層を形成しているものと考えられた。
著者
嶺 昭彦 松中 昭一
出版者
日本雑草学会
雑誌
日本雑草防除研究会講演会講演要旨
巻号頁・発行日
vol.12, pp.82-84, 1973-04-25
被引用文献数
1
著者
徐 錫元
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究. 別号, 講演会講演要旨 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
no.42, pp.18-19, 2003-04-19

水田畦畔・農道で使用される除草剤は、主として非選択性茎葉処理除草剤であるが、草種によっては効果に薬剤間差がある。したがって、除草剤の選択に際しては、まず、当該地における水田畦畔・農道の出現雑草の植生が把握されていなければならない。このような見地から、筆者は各地の畦畔・農道の雑草植生調査を行なっている。本調査では愛知県一宮市および岐阜市長森での調査結果を報告する。
著者
伊藤 操子 敖 敏 伊藤 幹二
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.256-262, 2006-12-22 (Released:2007-10-19)
参考文献数
17
被引用文献数
5 3