著者
藤井 義晴 渋谷 知子 安田 環
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.362-370, 1990-12-25
被引用文献数
12

We tested 70 plant species collected in the central part of Japan for the presence of water extractable allelochemicals using a screening method based on Richards' function, fitted to lettuce seed germination and growth test. The parameters for the germination tests included, final germination percentage(A), germination rate(R), and the onset of germination(Ts). The plants with allelolopathic activities included, Solidago altissima. Artemisia princeps, Helianthus anuus. Pueraria lobata, Secale cereale, which were reported previously, in addition to, Mucuna prurience, Phytolacca americana, Houttuynia cordata. Colocasia esculenta known as oriental medicinal plants. The analysis based on RICHARDS' function revealed some of the mechanisms of action of these plant extracts, and the method was considered to be useful for the screening of plants with allelopathic properties.
著者
市原 実 和田 明華 山下 雅幸 澤田 均 木田 揚一 浅井 元朗
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.41-47, 2008-06-30

種子の乾熱処理および火炎放射処理が帰化アサガオ類(ホシアサガオ(Ipomoea triloba),マメアサガオ(I. lacunosa),マルバアサガオ(I. purpurea),マルバアメリカアサガオ(I. hederacea var. integriuscula)およびマルバルコウ(I. coccinea)の発芽に及ぼす影響と,火炎放射後の湛水が種子の生存に及ぼす影響について調査した。80℃で30分間乾熱処理した場合,5草種の発芽率(吸水,膨潤した種子の場合)は21.1〜97.8%であった。マメアサガオ(21.1%)とマルバアサガオ(47.8%)を除く3草種は,72.2%〜97.8%と高い発芽率を示した。一方,火炎放射処理を3秒間行った場合,発芽率は94.4〜100.0%と5草種ともほぼ完全に発芽した。さらに火炎放射処理後の種子は湛水条件下に2ヶ月間埋土されることにより,5草種全てにおいて100%死滅することがわかった。本研究より帰化アサガオ類の防除において,種子散布後に圃場地表面を火炎放射処理し,その後湛水することが有効であることが示唆した。
著者
佐藤 節郎
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.185-191, 2002-09-30
参考文献数
19
被引用文献数
1
著者
冨永 達
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.36-40, 2007 (Released:2007-11-27)
参考文献数
18
被引用文献数
3 2
著者
浦口 晋平 渡邉 泉 久野 勝治 星野 義延 藤井 義晴
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.117-129, 2003-10-10
被引用文献数
3 11

外来種の侵入,河原固有の在来種の衰退が顕著な多摩川中流域の河川敷から,56種の葉部を採取し,サンドイッチ法により他感作用活性を検定した。ハリエンジュ,アレチウリ,オオブタクサのように大きな群落を形成する外来種や,クズ,ススキ,イヌコリヤナギなど安定的な植生を形成する在来植物がレタスの幼根伸長を強く阻害した。また,絶滅が危惧されるカワラノギクとその周辺に多く生育する植物10種を砂耕栽培し,サンドイッチ法,プラントボックス法により他感作用活性を検定した。オニウシノケグサなどカワラノギク周辺の外来種は葉部,根部ともにレタスの幼根伸長を著しく阻害し,強い他感作用活性が示唆された。これらの結果は,多くの外来種の侵入と優占に他感作用が関与している可能性を示唆した。また,カワラノギクの葉部,根部にも強い他感作用活性が示唆され,成立から10年ほどで衰退・消失するというカワラノギク個体群の特性の原因として,他感作用の自家中毒的作用の関与が示唆された。カワラヨモギなど,他の河原固有種は強い活性を示さなかった。また,河川敷植生構成種の他感作用は,生育段階および,環境条件により変動する可能性が推察された。
著者
牛木 純 赤坂 舞子 手塚 光明 石井 俊雄
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.128-133, 2007 (Released:2008-11-04)
参考文献数
10
被引用文献数
4 4

国内に発生する雑草イネの生態的特性を明らかにすることを目的として,2003年に長野県から採取した74集団,岡山県から採取した40集団の発芽様式と休眠性の特徴について,出穂後100日目の発芽試験によって調査した。その結果,雑草イネ集団の約25%は休眠性を持ち,最高で播種後約200日目に発芽する種子を持つ集団も存在した。発芽様式は集団によって多様であったが,播種後30日目の発芽率と発芽率が95%に達するのに要した日数との関係から,大別して3タイプの発芽様式があると考えられた。最も多かったのは,栽培品種と同様に播種後30日以内に95%以上の種子が発芽する集団(以下,GP1,全体の約75%)であった。これに対し,GP1よりも発芽は遅延するが,播種直後から日数に応じて徐々に発芽が進む集団(以下,GP2,全体の約18%),あるいは播種直後はほとんど発芽しないが,一定期間を過ぎると急速に発芽が進む集団(以下,GP3,全体の約7%)も存在した。上記の発芽様式を持つ雑草イネ集団の割合を発生地区ごとに比較すると,GP2あるいはGP3の集団の割合が高い地区は,長野県と岡山県の雑草イネが高い密度で発生している地区であることが共通していた。以上の結果から,国内に発生する雑草イネの休眠性は概して栽培品種と同程度だが,一部地域には休眠性の深い集団も存在し,その集団の休眠性は発生密度と関連する可能性が示唆された。
著者
菅原 清康
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.23-29, 1975-09-25

1.本研究は,さきに明らかにした酸度の強弱による雑草の分類を基礎として,土壌酸度を顧慮して雑草樽落を数であらわす方式をとるに当って,合理的な採土の時期,深さ,個所数ならびに一検体の反覆測定数を究明しようとしたものである。2.地下5cmの深さから採土し,通年酸度の測定を行なった結果,砂土からなる未熟畑および火山灰黒ボク地帯の原野では,年間の変動幅がきわめて小さい。また,関東ロームの未熟畑,洪積埴土地帯の熟畑,火山灰黒ボク地帯の熟畑,未熟畑では,耕起直後と8月が著しく酸度が弱まる。したがって,雑草植生と土壌酸度との関係を調査するに当って,前者はとくに調査時期を考慮する必要はないが,後者の畑地では,8月の調査をなるべく回避した方が無難であるようである。3.火山灰黒ボクおよび洪積埴土両地帯の原野では,深度にとも在って酸度は弱まるが,その程度はきわめてわずかである。また,両土壌地帯の熟畑,未熟畑とも大型機利用ではおおむね地下25〜30cm,小型機利用では15〜20cm程度までの酸度の相異は小さいが,それ以下の深さでは強酸性を示す。これらの事実から,採土は作業能率などを考慮し,深度5cmから行たって何ら差支えがないものとみられる。4.1プロット4m^2程度の比較的小面積の規模では,採土地点を5カ所として一検体を調整し,また,一検体の酸度測定を5反覆程度として,その平均値を求めればよいようである。5.本研究の酸度測定の結果,畑地における雑草の植生は,おおむね地下20〜30cm間までの土壌の酸度の強張によって決定されるもののようである。
著者
嶺田 拓也 石田 憲治
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究. 別号, 講演会講演要旨 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
no.43, pp.48-49, 2004-04-16

近年、収穫後の乾田化した水田に湛水する「冬期湛水」の試みが、環境NPOなどを中心に各地から報告されている。これは当初、我が国に越冬のため飛来してくるガン・カモ類やハクチョウ類などの水鳥に採餌場や塒(ねぐら)を提供することを狙ったものであったが、湛水によるイトミミズ増進等がもたらす抑草効果の可能性も指摘され、環境保全型の営農技術としても注目されている。そこで、文献やHPなどの情報をもとに、冬期湛水を実施している全国の事例を収集し、アンケート調査等を通じて冬期湛水の実態を把握するとともに、3カ所の実施圃場にて収穫後の残草量やイトミミズ有無などの簡易調査を行い、冬期湛水に見られる雑草抑制効果についての研究の端緒を開くことを目的とした。
著者
〓 凡 臼井 健二 沈 利星 小林 勝一郎 石塚 晧造
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.295-301, 1997-01-31
被引用文献数
3

2葉期イネおよびタイヌビエを供試して, プレチラクロール単独およびフェンクロリムと混合して処理した場合のグルタチオン濃度とグルタチオン S-トランスフェラーゼ(GST)活性の変化を調べ, また, プレチラクロールの代謝生成物であるGS-プレチラクロール舎量も測定した。還元型グルタチオン(GSH)と酸化型グルタチオン(GSSG)含量およびプレチラクロールを基質とするGST_<(pret)> 活性はタイヌビエよりイネの方が高かった。プレチラクロールとフェンクロリム単独およびそれらを混合して処理した場合, GST_<(pret)>活性の増加が見られたが, その程度はイネの方がタイヌビエより高かった。GSH含量は, イネではプレチラクロール単独処理で減少し, 混合処理によりある程度回復したが, タイヌビエにおける回復はわずかであった。また, GS-プレチラクロール抱合体舎量はタイヌビエよりイネの方が多かった。以上の結果から, イネとタイヌビエにおけるプレチラクロールの選択作用性は, GST_<(pret)> 活性およびその誘導の差異が主因であると考えられる。また, フェンクロリムは主に GST_<(pret)> 活性の誘導を通じてイネにおけるプレチラクロールの薬害を軽減させるものと思われる。
著者
冨永 達 小林 央往 植木 邦和
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.204-209, 1989-10-30
被引用文献数
2

チガヤ(Imperata cylindrica var. koenigii)は、防除が極めて困難な、世界の熱帯から温帯に広く分布するイネ科の多年生雑草である。チガヤが密生している草地の現存量の季節変化を調査し、あわせてチガヤの主な繁殖器官である根茎の水平および垂直分布を調査した。 1980年6月14日から1981年5月18日に和歌山県西牟婁郡串本町紀伊大島にみられるほぽ全域をチガヤに被われた放棄畑(北緯33°28'、東経135°50'、標高約50m)において(Fig.1)調査を行った。50×50cm^2のコドラート3個を調査地に設け、ほぼ1か月ごとに出現種および被度を調査した後、地上部を地上から10cmごとに層別に刈り取り、器官別に乾物重を測定した。地上部を刈り取った後、チガヤの根茎の水平および垂直分布を調査した。 調査地ではチガヤが密に分布していたが、分布様式は一様でなかった(Fig.2)。チガヤの他にススキ、スイバ、ワラビなど31種の生育が確認された。チガヤの被度は1年を通じて76%以上であったが、その他の種の被度は10%以下であり(Fig.3)、個体数も少なかった。チガヤは速やかに生長し、調査開始時には既に草丈が89.7cmに達し、草冠を被っていた(Fig.4)。チガヤ、ススキ、ヘクソカズラ、スイカズラおよびハスノハカズラ以外の種は下層に位置していた。2月にはチガヤの地上部はほとんど枯死したが、枯死葉は、脱落せず、枯死した状態で残存していた。調査地の地上部最大現存量は1月に883 g/m里を示し、チガヤはそのうちの87.4%を占めた。チガヤの主な繁殖器官である根茎は複雑に分枝していた(Fig.6)。根茎は、深さ10cmまでに全量の約80%が分布し、深いものでは30cmに達していた(Fig.4)。根茎の現存量は年間を通じ全器官の40〜50%を占め、その最大値は地上部の現存量が最大となる時期から約1か月遅れた2月に653 g/m王を示した(Fig.5)。 複雑に分枝した根茎が地中深くまで分布し、多量の同化産物を蓄積していることがチガヤの防除を困難にしている要因であると推定された。
著者
浅野 紘臣 磯部 勝孝 坪木 良雄
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.1-8, 1999-04-30
参考文献数
9
被引用文献数
5

アイガモ農法では, アイガモの行動範囲の多少によって除草効果が異なる。ここでは, 雑草防除に関係の深いアイガモの食性と行動について調査するとともにアイガモ放飼による除草効果について調査した。アイガモの食道膨大部を調査した結果, アイガモは雑草の他に昆虫類を摂食していた(Table 2)。この結果アイガモの放飼によって, 除草効果はもちろんのこと害虫に対する防除効果も期待できる。アイガモの行動は, 早朝と薄暮において活発に行動する傾向がみられた(Fig. 1)。また, 放飼されたアイガモは, 水田を縦横無尽に行動することが明らかになった(Fig. 2)。20aの水田に放飼されたアイガモ50羽の内の1個体をマークして調べた行動距離は3.8Km/3:00a.m.-20:00p.m.(17時間)であった(Fig. 1)。アイガモの放飼期間は6月下旬(田植3-4週間後)から8月上旬(出穂時)の40-50日間に及ぶことから、このアイガモの行動距離は, 雑草を制御するに十分な距離と思われた。ミゾソバ, ヤナギタデおよびイヌホタルイが僅かに残ったが実用上問題はなく, アイガモ放飼1週間後からアイガモの引き上げ時(出穂時)まで雑草(藻類を含む)は抑制され, アイガモによる除草効果は極めて大きかった。(Fig. 4, 5, 6, 7)。
著者
今泉 誠子 舘野 淳 藤森 嶺
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.8-17, 1997-05-30
参考文献数
26
被引用文献数
4

スズメノカタビラ用微生物除草剤であるXanthomonas campestris pv. poae (JT-P482) の防除効果を明らかにするために, 1993年より1994年に温室試験および野外ポット試験を行った。菌濃度別の処理効果を確認するために, 10^5より10^9cfu/mlの菌液を, あらかじめ滅菌ハサミで傷口を付けたスズメノカタビラに処理したところ, 処理3ヶ月後に10^8および10^9cfu/mlの濃度で約75%以上(対生重比)の防除効果が温室試験により得られた(Table 1, Fig. 1)。また野外ポット試験を用い, JT-P482の菌濃度および処理時期(12月単独処理, 4月単独処理, 12月および4月の反復処理)の変動が, スズメノカタビラの生育量, 茎数および種子生産量におよぽす影響について試験したところ, 10^8および10^9cfu/mlの濃度を12月および4月に反復処理を行った時に, スズメノカタビラの生重減少率は約67%, 茎数減少率は86%と最も高い効果を示した(Fig. 2, 3)。種子生産量への影響は、12月単独処理および4月単独処理において、菌濃度が10^8および10^9cfu/mlの場合に、77-88%と著しい減少率が認められ(4月30, 5月18日, 6月6日の3日間の収穫種子の合計の比較), 12月および4月反復処理では, 10^7cfu/mlの菌濃度の処理により85%の減少率が, また10^8および10^9cfu/mlの菌濃度により94%の減少率が得られた(Table 2)。85%以上の種子減少率を有効と仮定した場合, 12月処理の場合に10^9cfu/ml, 4月処理の場合に10^8cfu/ml以上, 12月および4月反復処理の場合に10^7cfu/ml以上の菌濃度を使用すればよいことになる。以上の結果より, Xanthomonas campestris pv. poae (JT-P482) はスズメノカタビラに対し高い防除効果を有することが明らかとなった。また、12月および4月に反復処理を行うことにより、スズメノカタビラの種子生産を大きく減少させ得ることが明らかとなった。
著者
池田 光政 右内 忠昭 富澤 長次郎
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.238-243, 1986-10-26
被引用文献数
1

^<14>C標識したorbencarbを用い、ダイズ、コムギ、トウモロコシ及ぴメヒシバ幼苗における代謝を検討した。2.5ppm水掛液に4種楠物の根部を浸し96時間栽培した。^<14>Cは植物に徐々に吸収され、植物全体に移行した(Fig.2)。植物間で新葉に移行する^<14>Cの割合はダイズが最も高かった。植物を含水メタノールで磨砕抽出後、ジクロロメタンー水分配を行うと、ジクロロメタン層に未変化のorbencarb、 orbencarb su1foxide、 desethyl-orbencarb、 N-vinyl-orbencarb、 N-β-hydroxyethyl-orbencarb、 4-OH-orbencarb、 5-OH-orbencarb、 2-chlorobenzyl alcohol、 2-chloroben-zoic acid、 methyl 2-chlorobenzylsulfide、 methyl 2-chlorobenzylsufoxide、 methyl 2-chlorobenzylsulfone S-(2-chlorobenzyl)-N-malony-L-cysteine、 S-(2-chlorobenzyl)-N-malonyl-L-cysteine sulfoxideが、水層にS-(2-chlorobenzyl)-L-cysteineと2-chlorobenzylsulfonic acidが合成標品とのCo-TLCにより同定された(Table 1)。また水層を酵素処理すると、2-chlorobenzyl alcoholと2-chlorobenzoic acidが遊離され、これら化合物の糖抱合体の存在が認められた。orbencarbの2-chlorobenzyl部は、すべての植物でS-(2-chlorobenzyl)-L-cysteine、 S-(2-chlorobenzyl)-N-malonyl-L-cysteine及びそのsulfoxide (Fig.1)に代謝され、これら含cysteine代謝物の捕物中全放射能に対する割合はダイズ、コムギ、トウモロコシ及びメヒシバでそれぞれ19.3、 12.5、 10.1及び3.3%であった(Fig.3)。2-chlorobenzyl alcoholや2-chlorobenzoic acid等の他の主要な代謝物の割合は植物間で大きな差がなかった。4種の植物で同じ代謝物が検出されたことから、orbencarbの代謝経路は植物が異っても類似しており、S-(2-chlorobenzyl)-L-cysteine類縁体の生成が主要な代謝経路の1つとして推察された。
著者
バカー バギ ビン ダヨ マクリン ナスルルハク アムル ジャファー アブドール ムニル
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.115-124, 1999-08-06
参考文献数
13

雑草イネと栽培イネの生育相は大きく異なる。マラヤ大学先進科学研究機関において, 1993年から1994年の2年間にわたり, ポット実験を行い雑草イネ(Oryza sativa L.)3系統(V26, V27, V69)と栽培品種MR84の相対成長性と生育相を明らかにしようとした。MR84は雑草イネよりも草丈は低いが1個体当たりの分げつ数と葉数は雑草イネ2系統よりも多かった。MR84と雑草イネV69の個体あたりの分げつ数, 葉数はほぼ同じであった。葉と無効分げつの死亡率を, Mr84については移植後60日に, 雑草イネについては移植後30-50日に評価した。MR84および雑草イネの葉と分げつの生産は曲線的に変化した。個体あたりの有効乗数は時間に対して2次関数によって表せた。一方, 有効分げつ数はS字曲線, Y=e^t, ただし, t=a+bx+cx^2で表された。e^tの値は, 栽培イネおよび雑草イネ間で有意に異なっていた。乾物分配についてみると, MR84は, 雑草イネに比べ有意(P<0.01)に高い相対成長指数(K)をもち, 根に対してより多くの乾物分配をしていた。MR84と雑草イネV69はともに, 他の2つの雑草イネに比べ有意に高い再生産効率を示した。MR84の総分げつ数はV27と同様で, V26およびV69よりも低かった。MR84の子実収量は788kg/10aで, これはV26およびV27より高い傾向にあったが, V69よりも有意(p<0.01)に低かった。1穂あたりの登熟粒およびしいなの重量比は, MR84で83.4%, 雑草イネで82.4%から89.2%の範囲にあった。MR84の千粒重は雑草イネに比べ有意(p<0.01)に大きかったが, 収穫指数は雑草イネと同様であった。
著者
佐藤 節郎 舘野 宏司 小林 良次 坂本 邦昭
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.317-327, 1998-12-28
被引用文献数
4

1995年4月3日, 1996年4月28日および同年5月24日にハリビユ種子をそれぞれ, 17.8, 26.7および26.7g/aの量で播種した後, トウモロコシ(品種:Pioneer 3352)を666本/aの密度で播種した。リビングマルチとしてイタリアンライグラス(品種:タチワセ) をトウモロコシと同時に0.3および0.6kg/aの量で播種, または, アトラジン+アラクロールを10.0+10.8 a.i.g/aの量で土壌散布した。播種後5.5-11週に, トウモロコシとハリビユを定期的に刈り取り, リビングマルチ区および除草剤区の両草種の生長およびトウモロコシの窒素吸収の推移を無処理区と比較した。また, トウモロコシ収量と収穫時のハリビユの生長を同様に比較した。4月3日播種トウモロコシでは, リビングマルチは競合によりハリビユを十分に抑制したが(Fig. 1), 同時にトウモロコシとも激しく競合し, トウモロコシの生長は有意に減少し, トウモロコシの葉の窒素含有量も低下した(Fig. 2, Table 2, 3)。4月28日播種トウモロコシでは, リビングマルチは一定のハリビユ抑制効果を示し (Fig. 1), トウモロコシの生長と葉の窒素含有量にもほとんど影響を与えなかった(Fig. 2, Table 2, 3)。5月24日播種トウモロコシでは, イタリアンライグラスが出芽後の高温により十分に生長しなかったため, リビングマルチはハリビユを抑制できず(Fig. 1), また, トウモロコシの生長や窒素吸収に影響を与えることはなかった(Fig. 2, Table 2, 3)。いずれの播種日のトウモロコシも, 生育期の純同化量(NAR)は, いずれの調査日においても有意な雑草防除処理間差が認められず, イタリアンライグラスと激しく競合した4月3日播種におけるリビングマルチ区のトウモロコシにおいても, NARの明確な低下は認められなかった(Table 3)。リビングマルチ区トウモロコシの収穫時には, 4月3日播種ではハリビユが全く認められず, 4月28日播種ではハリビユが認められたものの, その密度と重量は無処理区に比べ有意に小さく, 5月24日播種ではハリビユの密度と重量は無処理区とほぼ同等であった(Fig. 4)。トウモロコシ収穫時の無処理区のハリビユの密度と重量は, 4月28日および5月24日播種において4月3日播種よりも小となった(Fig. 4)。リビングマルチ区のトウモロコシ収量は, 無処理区に比べ, 4月3日播種で34-40%, 4月28日播種で11%減少したが, 5月24日播種ではリビングマルチ区と無処理区の間に有意な差は認められなかった(Fig. 5)。アトラジン+アラクロールの土壌処理は, トウモロコシの生長, 生長期の窒素吸収および収量を低下させることなくハリビユを十分抑制できた(Fig. 1-5, Table 2, 3)。イタリアンライグラスリビングマルチは, 若干の減収を前提とすれば, 4月下旬に播種するトウモロコシにおいてハリビユの防除のために利用が可能であり, また, 有機物の連続的な投与により土壌処理剤の効果が不十分な圃場では有効な技術となりうると考えられた。
著者
渡辺 寛明 宮原 益次 芝山 秀次郎
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.362-371, 1991-12-26
被引用文献数
9

イヌホタルイの種子が多量に散布された水田土壌中から4年間にわたって種子を採取して、発芽試験法によって休眠の検定を行い、土壌中における種子の生存状態の推移を検討した。 1)種子の発芽は密栓水中およびペトリ皿内湛水土壌を発芽床とした場合に良好であり、湿潤濾紙上および開放水中は休眠を検定するための発芽床としては不適当であった。 2)水田土壌中から採取した種子は15℃から30℃までの恒温条件で発芽したが、20℃以下では採取時期によって発芽率および平均発芽日数が大きく異なった。10℃では全く発芽しなかった。 3)秋耕によって土壌中に埋没した自然落下種子の大部分は、翌年の3月までに休眠が覚醒したが、無秋耕で4月まで水田の土壌表面におかれた種子は休眠覚醒が遅れた。 4)代かき後の発生数は10cmの土壌層の生存種子数の約8%であり、大部分の種子は未発芽のまま湛水土壌中で二次休眠に入った。二次休眠種子も落水後、冬から春にかけて徐々に休眠が覚醒し、その後休眠の導入と覚醒を毎年季節的に繰り返した。 5)水田土壌中の生存種子数は毎年前年の種子数の約30%ずつ減少し、4年後の生存種子数は初年目の約35%であった。生存種子数の減少率と実際の発生数から、水田土壌中では20%程度の種子が毎年発芽前あるいは発芽後に土壌中で死滅しているものと考えられた。
著者
渡辺 泰 広川 文彦
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.20-24, 1975-02-15
被引用文献数
4

1.1970年10月に,土壌の深さ0〜15cmに4種の種子を均一に混合し,年5〜6回の攪拌区と非攪拌区を設けた。3年間にわたり,0〜5,5〜10,10〜15cmの土層に分けて種子を回収し,2,3の発芽条件を連続的に与え,混在種子の発芽反応を実験室で追求した。2地中種子は,休眠陛に関して周期性を示した。初めに埋蔵した一次休眠種子は,越冬中に覚醒し,発生最盛期まで完全に醒めており,シロザ,オオイヌタデ,ツユクサなどは7月下旬,ヒメイヌビェは8月下旬の調査で二次休眠がみられ,そして,11月下旬には再び多くの種子が覚醒していた。3。二次休眠は,種子のあった場所の最高地温によって誘導されるように推察され,0〜5cm内の種子は10〜15cm内の種子よりも早く二次休眠に入った。4.得られた結果をもとに,奉耕,秋耕および中耕の意義について論議した。おわりに,御協力戴いた北海道農試畑作部岡啓技官,池岡正昭技官に謝意を表します。