著者
今井 弥生 津久井 亜紀夫 西川 真理枝 高野 美栄
出版者
東京家政学院大学
雑誌
東京家政学院大学紀要 (ISSN:02866277)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.23-29, 1982-12-20
被引用文献数
3

消費者の色彩嗜好動向を把握し,衣,食,共有因子を抽出して,暮らしの中に役立てる目的で,1980年5月7日,女子学生205名,年齢19〜21歳を対象に,JIS標準色票16種,果実34種,形容詞(衣10,食10)を用いて質問紙法で,色彩から連想する果実,好きな果実と好きな色彩との関係,好きな色彩の感情要因を主因子法で求めたところ,次のことがわかった。(1)一般に総得点率が高く,また高得点を有する果実は,色彩から連想することができた。(2)イチゴを好むものは,水,白,赤を好む。(3)好きな色彩のイメージ・プロフィールは,衣の形容詞の方が,上・中位群であった。(4)正の相関の強い尺度は「新鮮なとさっぱりした」,「にがいと渋い」,負の相関は「新鮮なと毒々しい」,「さっぱりしたとこってりした」であった。(5)因子負荷量の第1因子は,さっぱりしたとこってりしたをわける軸であり,第2因子は,甘さと渋さをわける軸であった。(6)因子得点の位置に,個有値の色彩を照合して解釈すると,衣,食,共有因子が抽出された。いわゆる挑,赤,橙は,若さの因子。水,白,黄は,さわやかさの因子。赤紫、紫は,強さの因子。黒、茶は,渋さの因子であるといえる。これらのことから,暮らしの中で,赤は甘い,可愛らしいという若さのイメージと結びつき,白は新鮮な,さわやかなイメージと結びつく。そして赤紫は大人ぽい,高級なイメージと,茶は渋さ,にがさのイメージと結びつく。したがって色彩嗜好は視覚的,味覚的側面から,心理的イメージ表現に効果があることが判明した。終りに本研究に,中村やよ江氏,山崎(鈴木)美智子氏の協力を得たことを付記すると共に,被験者として協力してくださった学生の皆様に感謝いたします。本論文の要旨は1980年10月11日,第32回日本家政学会総会において報告した。
著者
佐々木 麻紀子 中林 あずみ 川村 あゆみ
出版者
東京家政学院大学
雑誌
東京家政学院大学紀要 (ISSN:21861951)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.85-90, 2019 (Released:2022-02-25)
参考文献数
18

コチニールはカイガラムシとも呼ばれ古くから染料として用いられ、天然染料の中でも比較的安定した堅ろう性を持った染色布を得られることがわかっている。本研究では、試料を豚革としてコチニールを用いて浸染を試み、手工芸染色として簡便に利用できるような染色・媒染条件を探り、豚革を用いた手工芸染色の可能性を広げることを目的とした。豚革を 60℃で浸漬をすると3.0~4.3%程度の収縮が生じ、部位によっては変形、黄変、硬化などを伴ったため、染色実験では、染色温度40~50℃と設定した。低温染色であるため、アルミ媒染、スズ媒染ともに1回の染色で濃色に染色することは難しく、5回の繰り返し染色を行った。豚革の銀面及び床面において、繰り返し染色による濃色効果が認められた。豚革は、コチニールを用いた低温浸漬によるろうけつ染めが可能であり、繰り返し染色や媒染剤を変えることで色のバリエーションを増やすことが可能であった。
著者
石垣 悟
出版者
東京家政学院大学
雑誌
東京家政学院大学紀要 (ISSN:21861951)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.137-150, 2020 (Released:2022-02-25)
参考文献数
9

「和食」といえば、御飯に汁物とおかず(煮物や焼き物、酢の物など)という一汁三菜の形式をイメージする人は多い。この形式は、江戸時代に江戸の比較的裕福な層だけが口にできた本膳料理を下地とする。近代以降、それが庶民にも普及し、やがて「和食」のイメージを形成するわけだが、その過程については必ずしも具体に明らかにされていない。拙稿では、この過程を「和食化」と呼んで主題化する。和食化は近代以降の日本の食文化を理解する重要な論点となる。拙稿では、滋賀県東近江市政所町のミッソウ祭、石川県能登半島のアエノコト、秋田県男鹿市のナマハゲといった民俗行事を取り上げる。特に神人共食の形で用いられる供物の形式や調理法に注目することで、供物の食文化的側面が日常の食生活に影響を及ぼし、和食化の素地となった可能性を指摘する。また、御膳の普及・衰退、冠婚葬祭の料理といった課題にも言及し、今後の研究進展の足掛かりともする。
著者
浅沼 アサ子
出版者
東京家政学院大学
雑誌
東京家政学院大学紀要 (ISSN:02866277)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.1-11, 1977-05-01

酒井氏考案の家庭管理能力測定問題により女子高校生,教学生,家政学部学生,主婦を対象として調査した。その結果を家庭科教育との関連から考察し,家庭管理能力の形成の状態をとらえ,能力養成のための学習指導のあり方を求めた。6項目の管理行為別得点は年齢順に高く,合計得点では四者間の母集団平均における有意差はなかった。行為別では<計画>は高校生等に指導効果がみられ,主婦は6項目の行為能力中最低であった。<調整,制御>は四者とも得点が高く早期から形成される能力と思われる。<教示,指導,評価>は主婦と高校生等との間に有意差があり,比較的おそく形成される能力と思われる。10項目の管理客体別得点は年齢順に高く,合計得点では四者間の母集団平均における有意差はなかった。客体別では<愛情,気質,知識・技能>は主婦の得点が高く高校生との間に有意差があった。この能力は20歳前後から形成されると思われるが,学校での指導によって高められる可能性が多い。<衣服,食物,住居>は高校生等の得点が高く早期から形成される能力と思われる。家庭科の指導効果によるところが大きいと考えられる。<体力>は四者とも得点は中位であり,体力の制御に優れていた。<時間>は主婦の得点が10客体中最低であり,高校生等も得点が低い。<金銭>は主婦の得点が10客体中最高であり,高校生等も比較的に得点が高い。主婦と高校生間に有意差があった。<家庭設備・公共施設>は四者とも得点が低く主婦との問に有意差があった。余暇の増大に伴ってこの能力の養成がのぞまれる。以上のことから家庭科において家庭管理能力を養うには,できるだけ実技や経験を通して指導し,その指導過程において6項目の管理行為の能力を高めること,部分管理から総合管理への具体的な指導をすること,精神的,人的な管理能力の養成にさらにつとめること等が,学習効果を高めるうえに必要と考えられるのである。終りに本調査にご協力いただいた皆様に厚く謝意を表する。
著者
小川 哲夫
出版者
東京家政学院大学
雑誌
東京家政学院大学紀要 (ISSN:02866277)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.181-186, 1987-07-31
著者
芳賀 登
出版者
東京家政学院大学
雑誌
東京家政学院大学紀要 (ISSN:02866277)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.A65-A124, 1995-07-31
著者
今井 弥生 高野 美栄 片井 やよ江 川名 真理枝
出版者
東京家政学院大学
雑誌
東京家政学院大学紀要 (ISSN:02866277)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.9-14, 1979-05-01

今の母親たちが乳児ウェアについて,どう感じ,どう考えているかを知るために,1978年5月15日,月曜の午前11時から午後3時までの問に"柏そごう"ベビー休憩室・育児相談ルームヘ乳児を連れて訪れた母親55名を対象に,乳児ウェアの着用状況,カラー・イメージについて調査した。当日の気象状況は平均気温18℃,最高23.7℃,相対湿度61%,日照時間10.8hで快晴であった。色彩の試料はJISの標準色票142色を用い,JIS Z 8723に従って視感判定をし,JIS Z 8102に準じて表示した。外出用乳児服のイメージは10尺度5段階で評定させ,その評点平均から相互間の相関係数を算出し,相関行列をもとに成分負荷量を抽出して,各成分の内容を検討する。次に個人値を求め,その値に色彩を照合し,イメージと対応させ,それぞれの位置関係について解釈を加えた。
著者
酒井 敏
出版者
東京家政学院大学
雑誌
東京家政学院大学紀要 (ISSN:02866277)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.85-94, 1976-10-31

"Woman" has always been an important main theme of literature in any age and in any nation of the world, because of the fact that women have been regarded more or less as a beautiful, graceful and lovable being throughout many centuries, and also because literature as an art has been pursuing beauty all the time. That is why "woman" was and is one of the most essential objects of expression for art whose foremost aim is to seek beautiful things and express them in an actual, yet imaginative form so as to provide us with some aesthetetic delight. Now the present writer intends to take up some women appearing in several works of the Middle English literature, and to make an inquiry into their characters and personality with special reference to the ideal images of women in the Middle Ages. Here in this small tentative paper we shall deal with, for example, Wealhtheow in Beowulf, Guenevere in Malory's Morte d' Arthur as main characters, and in addition to them, we shall also look into two maidens with the same name of Elaine found in the Arthurian legend. They are respectively typical women living in the days of King Arthur, and at the same time they represent different aspects of the ideal type of the woman in those days. That is, each one of them is described in such a way that she becomes a symbol of the ideal which has been longed for by most people in the Middle Ages.