著者
天滿 敬 佐治 英郎 塩見 雅志
出版者
独立行政法人国立循環器病研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、近年動脈硬化治療の分子標的として注目されてきているFatty Acid Binding Protein 4(FABP4)およびMatrix Metalloproteinase 12(MMP12)に着目し、選択的阻害剤構造を基盤とした低分子核医学イメージングプローブの開発を目的とした。トリアゾロピリミジン骨格を有する125I-TAP1は高いFABP4親和性を認めた一方で高い非特異的結合性を示した。脂溶性を低減した18F-FTAP1は高いFABP4親和性・選択性を示し非特異的集積を低減した。さらに18F-FTAP1はFABP4発現組織のインビボPETイメージングが可能であることを示した。
著者
豊田 一則 小久保 喜弘
出版者
独立行政法人国立循環器病研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

腎臓病と脳血管障害の関係、言い換えれば脳腎連関を解明する目的で、以下の検討を行った。(1) 吹田研究に登録された都市型住民において、慢性腎臓病が頸動脈硬化の独立した危険因子となり、慢性腎臓病の有無に血圧カテゴリーを加えた交互作用が頸動脈硬化に対して存在した。(2)単施設急性期脳出血患者において、入院後早期の腎機能低下に超急性期収縮期血圧高度低下が有意に関連し、また腎機能低下者に転帰不良例が多かった。(3)多施設共同研究で、腎機能障害が脳梗塞rt-PA静注療法の治療成績不良や脳出血の3か月後転帰不良に独立して関連した。(4)脳血管障害と慢性腎臓病の関連を、英文総説に纏め、本研究成果も採り入れた。
著者
岩田 倫明 中沢 一雄 白石 公
出版者
独立行政法人国立循環器病研究センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では,非言語的な情報の保存,共有,理解法として医師の描くシェーマに着目し,先天性心疾患を対象として,視覚情報(シェーマ)と文字情報(診療情報)とが結合するデータベース構築に必要な技術を,Scalable Vector Graphics(SVG)で記述されたベクトルシェーマを用いて開発し,先天性心疾患患者の様々な情報を統合的に扱うことができることを小児循環器専門医の協力のもと,調査・検証した.ベクトルシェーマを介したデータ連携によって,先天性心疾患患者のシェーマ及び疾患名が整理保存され,データベース化できる可能性が示唆され,開発・試作したシステムが有用であることが示されたと考える.
著者
山岡 哲二 斯波 真理子 馬原 淳
出版者
独立行政法人国立循環器病研究センター
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本プロジェクトでは、代謝のアンバランスからもたらされる様々な疾患を治療する"DNCS, Drug Navigated Clearance System"という新たな治療概念の実証に挑戦している。その基本的原理は、これまでのDDS研究には類を見ない「生体内病因物質を、生体が備えている別の分解・排泄機構へと誘導する」ことによる疾患の治療法である。まず、高脂血症治療を目指して、血中LDL分子を肝細胞アシアロオロソムコイドレセプターに誘導するシステムの構築を進め、モデルマウスを用いたin vivoでの効果の検証に成功してきた。昨年度は、拡張型心筋症の治療を目指した自己抗体の除去について同様の検討を実施した。その結果in vitroにおいては有効な幹細胞による体ゲット抗体の取り込みを確認したために、この治療効果を実証するための動物モデルの作成を進めてきた。すなわち、血中抗体価が低下することで、その症状の軽減をモニターできるシステムである。また、抗体を直接肝細胞へ誘導するシステムに加えて、体内のLDL分子をメディエータ分子として利用することで、単純な分子で目的抗体を肝細胞へ誘導することが可能となっており有望なシステムと考えている。現在、有効な動物モデルの作成には至っておらず、そのin vivo検証ができない状況である。しかしながら、特異的な抗体の幹細胞への誘導効率は飛躍的に向上しており、今後、他施設の動物モデルも検索した上で、in vivoにおける治療実験を進める。
著者
姜 貞勲 山下 敦
出版者
独立行政法人国立循環器病研究センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

循環器疾患細胞に過剰発現しているGタンパク質共役受容体関連シグナルに応答するナノ分子システムの開発を目的とした。細胞内シグナルに選択的な新規ペプチドの探索に成功し、ペプチドを側鎖とし、水溶性高分子ポリマーを主鎖とするナノ分子システムを構築した。ナノ分子システムによる細胞内への遺伝子導入実験で、過剰発現している細胞内シグナルに応答して遺伝子が発現することを確認し、システムの有効性を明らかにした。
著者
山岡 哲二 馬原 淳
出版者
独立行政法人国立循環器病研究センター
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008

フローサイトメーター(FACS)や磁気ビーズ法(MACS)より簡便で、かつ、特異細胞表面マーカーの「密度」に依存した連続的な分離が可能で、さらに、従来法のように幹細胞を抗体などで標識する必要のない新たな幹細胞分離用細胞ローリングカラムを開発した。白血球はその表面糖鎖と血管内腔のセレクチン分子との連続的な相互作用により、血管内壁をローリングすることで炎症部位へと集積する。本研究では、この細胞ローリング現象を応用して、幹細胞表面マーカーに対する特異抗体を内腔面に固定化したチューブ状カラムを作製し、単離間葉系幹細胞(MSC)を表面マーカー密度で分離し、各分画に存在する幹細胞の分化能特性を詳細に検討することで、従来よりさらに純度の増した幹細胞画分の分離を可能にした。また、非特異的相互作用を強く抑制するベタイン構造を表面抗体固定化部位に導入する事で、非特異的な強い細胞の相互作用が抑制され安定な細胞ローリングを再現することが可能となった。
著者
神谷 厚範 杉町 勝 上村 和紀 杉町 勝
出版者
独立行政法人国立循環器病研究センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

集中治療医学における循環管理は、患者生命予後を決する重要な高度医療であるが、最近の医師不足を背景に、医師の身体的負担は大きく、また過労が人為的ミスや医療過誤を招き、社会問題となっている。本研究は、テクノロジーを利用した自動医療システムによって、この状況の打開を目指す取り組みとして、循環動態を自動診断し、多薬剤同時投与によって自動治療するシステムの開発を、特に、その開胸下限定仕様から閉胸下適用仕様への発展に力点をおいて行い、循環不全動物(イヌ等)の循環動態を実際に正常化した。
著者
小久保 喜弘 中村 敏子 神出 計 宮本 恵宏 渡邊 至
出版者
独立行政法人国立循環器病研究センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

市部一般住民における代謝性疾患と頚動脈硬化の進展に関する追跡研究と血管内膜中膜肥厚(IMT)の進展との追跡研究について、生活習慣要因から検討した。正常高値血圧以上で最大IMT値が有意に厚かった。女性の最大IMT値は、血圧と高感度CRP高値との間に交互作用が見られた。また、女性の糖尿病型、男性の境界型以上で平均・最大IMTは有意に厚かった。頸動脈狭窄は血糖が高くなるとリスクが高く、さらに血圧上昇と交互作用が見られた。慢性腎障害は頸動脈硬化の危険因子であり、頸動脈硬化は慢性腎障害の正常高値血圧、高血圧群でさらに進展していた。頸動脈硬化症の予防に、慢性腎障害への進展抑止と血圧のコントロールが重要であるごとがわかった。さらに、追跡研究では頸動脈IMT、特に総頸動脈最大IMTは循環器病発症の予測因子であることが分かった。正常高値血圧、糖尿病型、non-HDLコレステロール高値、喫煙、BMIが保健指導において動脈硬化進展の予防に有効な指標であることが分かった。
著者
山岡 哲二 馬原 淳 村瀬 剛 村瀬 剛 田中 啓之
出版者
独立行政法人国立循環器病研究センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

オリゴ-D-乳酸と神経再生誘導性とで構成される両親媒性結合体を、ポリ乳酸製組織再生用デバイスの修飾プローブとして開発・作成した。このプローブとポリL-乳酸を溶液系で混合して電界紡糸法などの急速な脱溶媒を伴う加工法により、直径約1.2mm長さ14mmのラット坐骨神経欠損モデル用神経誘導管を作成し、in vitroおよびin vivo似て評価したところ、本プローブはポリ乳酸と分子分散し、疎水性相互作用あるいはステレオコンプレックス形成に基づいて、ポリL-乳酸基材中へと安定に固定化されることが明らかとなった。本プローブで修飾したポリL-乳酸フィルム上でのPC12細胞(ラット副腎髄質由来褐色細胞腫)の挙動から、主食により、細胞の分化が顕著に促進されることが明らかとなった。また、ラット坐骨神経欠損モデル治療実験では、移植6ヶ月に於いてコントロールに用いたポリ乳酸性神経誘導管の2~4倍の神経再生効果が確認された。
著者
海谷 啓之 宮里 幹也 寒川 賢治 松田 恒平 北澤 多喜雄
出版者
独立行政法人国立循環器病研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究において、キンギョの脳から大きく2種類に大別される機能的なグレリン受容体(GHS-R1a,2a)と、それぞれの受容体のサブタイプ(GHS-R1a-1[構成アミノ酸数360アミノ酸(aa)],1a-2[360aa], 2a-1[366aa],2a-2[367aa])、計4種類の受容体cDNAを同定した。それぞれの受容体は組織特異的な遺伝子発現を示し、組織特有の生理作用に関わっていることが示唆された。魚類以外の脊椎動物では1種類のグレリン受容体(GHS-R1a)のみが知られているが、本研究で同定されたGHS-R2aは新しいタイプの受容体であり、これに対する新規リガンドの存在が想定された。キンギョの脳や腸の抽出物を用いて新たなリガンドを探索したが、本研究の期間ではその発見には至らなかった。
著者
中谷 武嗣 山岡 哲二
出版者
独立行政法人国立循環器病研究センター
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

心筋梗塞に対するインジェクタブルゲル注入療法が注目されているが、梗塞部位リモデリングの抑制のために最適なゲル化材料の特性は明らかとなっていない。ポリアルギン酸など非分解性のインジェクタブルハイドロゲルを心筋梗塞部位へ注入することで心機能が回復することが報告されているが、長期にわたって残留するこれらの材料が最適とは考えにくい。本プロジェクトでは、さらに、炎症性が小さくてかつ分解することにより長期炎症を回避できるゲルの開発と評価を進めた。低炎症性を期待して生体内に存在するタンパク質の高次構造を模倣した自己組織化ペプチドを検討し、さらには、αヒドロキシ酸を主成分とするインジェクタブルゲルも開発し、それらの、感温性およびゲル化挙動について詳細に検討するとともに、皮下埋入試験による炎症誘起性の評価とその治癒能力について検討した。心筋梗塞モデルラットは、左冠動脈を結紮して作製した。結紮してから4週間後に心臓機能の指標である左室短縮率(% FS)を超音波エコー装置にて計測し、% FSが25%以下のものを心筋梗塞であると判断した。その後、30Gの注射針を用いて生分解性ハイドロゲルを心筋梗塞部位へ100μl注入した(n=4)。コントロール群としてアルギン酸ゲル(n=5)、または生理食塩水(n=5)を用いた。注入から4週間後に、% FSの測定ならびに摘出した心臓の組織学的評価により治療効果を検討した。生分解性ハイドロゲル注入群では、% FSは1か月間で、生理食塩水の場合と比較して有意に改善しており、、開発した生分解性ハイドロゲルは梗塞部位への注入により心機能を有意に改善できる。さらに、炎症系細胞密度は、アルギン酸注入群より有意に減少しており、新たなハイドロゲル群は高い% FSの回復と低い炎症性が達成される有用なシステムであることが示唆された。