著者
中島 徹夫
出版者
独立行政法人放射線医学総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

放射線の血管系影響としてアテローム性動脈硬化症との関連が指摘されている。アテローム性動脈硬化症の修飾因子としては酸化ストレスなどアポトーシス(細胞死)誘導能を持つものが多いため、動脈硬化症の発症と進展における血管平滑筋細胞のアポトーシスの関与について放射線影響との関わりについて解析を行い酸化型LDL(低密度リポタンパク質)前処理で放射線誘導性アポトーシスが増強され、そこにプロテインキナーゼC(リン酸化酵素の1種)、酸化脂質が介在することを明らかにした。
著者
白石 久二雄 サフー サラタ・クマール 幸 進 木村 真三
出版者
独立行政法人放射線医学総合研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

1986年のチェルノブイリ事故は世界に与えた環境汚染程度ならびにその後の放射線被ばくによる健康影響についても大きなインパクトをのこした。多くの研究が実施され結果も報告されているが、本研究では汚染地域を含むウクライナ国民の健康維持の観点から、放射性核種ならびに非放射性核種の摂取量について研究し、他の要因との関連性を、特に"住民の元素摂取量"に関連した健康影響因子に関して調査・解明を現地研究者と共同で行った。食事試料は陰膳方式で約300試料をウクライナ全国(25洲)から収集した。牛乳等の主要食品試料も収集した。試料は化学処理後、微量元素(I, U, Th, Co, Cs, Sr, Rb, Ba, Tl, Bi等)並びに主要、中間元素(Na, K, Ca, Mg, P, Fe, Mn, Cu, Zn等)をICP-MS(誘導結合プラズマ・質量分析法)ないしICP-AES(誘導結合プラズマ・発光分光法)にて定量した。灰化した試料については放射性核種(^<134>Cs, ^<137>Cs, ^<40>K等)の分析をγ-スペクトロメータで測定した。ウクライナ人の一日摂取量はBa O.51mg, Bi O.37μg, Br 3.Omg, Ca O.70g, Cd 8.0μg, Co 9.7μg, Cr 113μg, Cs 3.8μg, Cu O.70mg, Fe 7.9mg, 145μg, K 2.9g, Mg O.25g, Mn 2.3mg, Na 4.1g, P 0.99g, Pb 33μg, Rb 2.2mg, Sr 1.9mg, Tl 0.37μg, Zn 6.6mg, ^<60>Co ND-0.28 Bq, ^<134>Cs N.D.-0.59Bq, ^<137>Cs 0.5-570 Bq, ^<40>K 89 Bq, ^<226>Ra N.D.-11mBq, ^<232>Th 2.1mBq, ^<238>U 12mBqであった。日本人や世界の報告値と比較すると、Br, Cu, I, Mn, Znの摂取量が低い。元素間の相関を調べた所、高い相関を示す物もあり、環境汚染時を含めた食物連鎖における元素挙動の観点から重要である。興味が持てる。ウクライナには克山病やモリブデン毒等の著名な風土病はみあたらないが、特に、ヨウ素摂取量は栄養所要量、100μg以下であり、平素からの欠乏状況とチェルノブイリ事故の甲状腺異常との因果関係があると推察された。これらの精度の高い莫大なデータはウクライナの研究者から重要なデータとして賞賛を受けた。今後の事故対策、栄養・医学研究に役立つ基礎データを本研究で提供することができた。
著者
島田 義也 西村 まゆみ 柿沼 志津子
出版者
独立行政法人放射線医学総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

胎児・小児期における放射線被ばくの影響評価とその防護対策は、緊急の課題である。そこで本研究では、マウスを用いて寿命短縮に対する被ばく時年齢の影響や、被ばく後の変異蓄積および発生したがんにおける遺伝子変異頻度の違いを解析した。その結果、新生児は最も感受性が高く胎児後期は低いこと、被ばく時年齢時によって遺伝子の変異頻度が変化する可能性が示され、今後の解析の手がかりが得られた。
著者
石川 徹夫 NORBERT KAVASI NORBERT Kavasi KAVASI Norbert
出版者
独立行政法人放射線医学総合研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

自然放射線源による被ばく線量のうち、ラドンによる被ばくはかなりの割合を占めることは世界共通の認識である。とりわけ屋内環境のラドンに関しては、制御可能な線源として考えられており、欧米ではラドン濃度に関して規制値が設定されている。しかしながら被ばくの直接の原因となるのはラドンではなく、ラドンが壊変してできるラドン子孫核種(固体粒子として存在)である。すなわち、ラドンガスを吸入しても大部分が即座に呼気で排出されるのに対して、固体粒子は吸入するとかなりの割合で呼吸気道に沈着するためである。また、ラドンと同様に環境中に存在しているトロンに関しては、今まであまり知見がなかった。トロンに関しても、トロンガスそのものよりもトロン子孫核種濃度が被ばく評価にとって重要である。このようにラドン・トロン子孫核種は、被ばくの直接の原因となる物質であるものの、それらを直接測定することはラドン・トロンの測定に比べて技術的に難しかった。昨年度までの研究で、ラドン・トロン子孫核種の簡易測定法の開発をほぼ終了した。この測定法はパッシブ型と呼ばれ、測定中は測定器を設置(放置)しておくだけで良く、電力などを必要としない。数か月の設置期間が終了後に測定器を分析することによって、設置期間中の平均的なラドン・トロン子孫核種濃度を評価可能である。本年度は研究の最終年度であることから、調査結果のとりまとめ及び結果の公表に重点をおいて研究を実施した。具体的には、ハンガリーにおけるラドン・トロン子孫核種測定データ、及び関連する環境因子などのデータを取りまとめ、さらにはラドン・トロン(子孫核種)に起因する線量評価のとりまとめも行った。この結果、原著論文2報、及び学会発表4件を行うことができた。
著者
相良 雅史
出版者
独立行政法人放射線医学総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的は、遺伝子の発現を人為的に抑制することによってそれらの遺伝子の機能を調べる方法として、近年新しく開発された手法であるRNA干渉法を利用して、目的とする癌関連遺伝子BRCA1および14-3-3σ遺伝子の発現を抑制することで、その細胞が相同組換え修復能あるいはG2/Mチェックポイントを喪失し、放射線高感受性になることを確認することである。そこで、Elbashirらの方法を参考にして、ヒト正常乳腺由来細胞MCF10においてBRCA1または14-3-3σ遺伝子の発現を抑制できるdsRNAを作製した。その際、以下の点について検討を行った。1.それぞれの遺伝子の発現抑制に有効なdsRNAの配列を検討するため、3種類ずつのdsRNAを合成して細胞に導入後、mRNAの発現レベルを調べたところ、それぞれ70〜90%の減少が認められた。2.発現抑制に最適なdsRNAの導入濃度を検討したところ、100nMで導入した際に最も発現レベルの抑制が認められた。3.細胞へのdsRNAの導入法を検討したところ、Oligofectamineを用いた導入法が最も適していた。4.発現抑制の持続期間を測定した結果、導入後72時間で最も発現レベルの抑制が認められた。5.各遺伝子の発現を抑制した細胞において、他の遺伝子発現がどのように変化しているかをマイクロアレイを用いて解析した。それぞれの遺伝子の発現を抑制した場合において、発現が抑制された遺伝子群および活性化された遺伝子群、また挙動が共通した遺伝子群に分類した。6.各遺伝子をターゲッテイングした細胞に種々の線量の放射線を照射したところ、BRCA1および14-3-3σ遺伝子のどちらの場合でも発現を抑制した細胞は放射線に対して高感受性となっていることが明らかとなった。
著者
明石 真言 蜂谷 みさを 朴 相姫 高井 大策 安藤 興一 平間 敏靖
出版者
独立行政法人放射線医学総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

放射線による血液中アミラーゼレベルの上昇の機序を明らかにするために、唾液アミラーゼの産生、分ヨ泌機構の変化の2つ分けて検討を進めた。マウス、ラット放射線によりマウス、ラット血液中のアミラーゼ活性は増加し、唾液中では減少した。ヒト唾液腺由来の細胞株では、放射線により活性の上昇が観察されなかった為、マウス耳下腺細胞の初代培養を行った。初代培養細胞内のアミラーゼのレベルを免疫染色法、Western法で調べた。照射により分泌顆粒の数は減少し、細胞のアミラーゼレベルは線量に依存して減少した。一方培養液中には上昇が観察された。この細胞は放射線によりapoptosisは誘導されなかった。マウス、ラットの導管を機械的に結紮したところ、血液中のアミラーゼが上昇した。これらのことより、唾液腺で産生されたアミラーゼが何らかの機序で血液中に逸脱している可能性を示した。ヒトアミラーゼを導管より投与し血液中のアミラーゼ活性を非変性ゲルで泳動、染色したところ、照射マウスでヒトアミラーゼが増加していた。光顕像で照射されたラットの耳下腺を非照射と比べると間質腔が広がり浮腫像を呈し分泌顆粒の減少(縮小化)、また一部の腺房細胞に空胞がみられた。さらに、ラットの静脈よりマーカーを投与し、電子顕微鏡で耳下腺の腺房細胞を観察した。マーカーの分子量に係らず、照射ラットでは細胞間隙を通って腺腔にマーカーが観察されたが非照射ラットでは観察されなかった。また唾液腺導管よりマーカーを投与すると、、照射ラットでは細胞内にも観察された。唾液腺細胞は細胞分裂をあまり行わず、放射線抵抗性であると考えられていることから、放射線による血液中のアミラーゼ活性の上昇は、apoptosisや細胞での産生増加によるのではなく細胞間のtight junction機構が破綻し、細胞間隙に漏出したアミラーゼが血液中に逸脱する可能性が示唆された。
著者
武田 志乃
出版者
独立行政法人放射線医学総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

劣化ウラン弾汚染や原子力エネルギーが再注目されていることなどを背景に、ウランの生体影響研究の必要性が生じている。ウランの組織局在性と組織障害との関係は十分に理解されておらず、ウランの生体影響評価に資する科学的根拠は乏しい。本研究では、ナノビームを用いた新たなウラン測定手法を確立し、これを用いてウラン蓄積と毒性発現の関係を調べた。ウランは腎臓の下流部位の近位尿細管に選択的に蓄積し毒性を生じること、そのウラン局在量は投与量の500倍以上に匹敵し、標的細胞においては高濃度にウランが濃集していることが明らかとなった。
著者
安藤 興一 高橋 千太郎
出版者
独立行政法人放射線医学総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

放射線医学総合研究所・重粒子線がん治療装置を利用し,麻酔下において炭素線(290MeV/u,5mm-Spread out Bragg Peak)を,マウス頭頂部(8週令:C57BL)から5mmまで均一に局所照射を施した。炭素線30Gyを照射し,照射3ヶ月後にwater-mazeを用いた記憶・学習障害の解析を行ったところ,記憶獲得過程の障害および作業記憶(短期記憶)の障害が認められた。また病理組織学的解析により,照射群において海馬CA1-3領域の神経細胞が39-49%減少していることが判った。一方,胎児期にX線1.5Gy被ばくした場合においても,生後8週令において空間認知障害が誘発されたが,その障害は一様ではなく,軽度,中度および重度の学習障害群に大別された。重度の記憶障害群について病理組織学的検討を行ったところ,海馬神経細胞層(CA1-3領域)に異所性細胞群が高頻度に認められた。また異所性細胞群が認められた海馬領域では,記憶に重要な役割を持つアセチルコリン(acetylcholine)受容体の特異結合の減少が生じていたことが判明した。以上の結果より,放射線脳局所照射モデルおよび胎児期放射線被ばくモデルは,ともに学習・記憶に重要な役割を担っていることが知られている海馬領域の特異的変化が生じていたが,その高次脳機能障害のメカニズムは異なることが判明した。また記憶・学習障害は,海馬神経細胞の減少や異所性細胞の出現により,海馬内の神経情報伝達の阻害が生じている可能性があり,そのことが放射線による記憶・学習障害の要因であることが推察された。また,シュードウリジンやメラトニンなどのビール含有成分がマウス全身照射による造血器・腸管障害を防護することが判明したので,これらの成分による放射線能機能障害に対する防護効果について検討している。
著者
相澤 志郎 北川 昌伸
出版者
独立行政法人放射線医学総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

C3Hマウスにフレンド白血病ウイルス(Friend leukemia virus : FLV)を感染させ、1週後に低線量(3Gy)のX線を全身照射(Total body irradiation:TBI)すると、造血器系の細胞に著明なアポトーシスが誘導され、照射後約2週の経過でマウスは貧血を起こして死亡する。ところが、感染後2週目に照射したのでは造血死は起こらない。また、フレンドウイルス感受性マウスであるDBAマウスでは同様の処置を行っても造血死は起こらない。ウイルス感染と照射の間隔の遠いによる造血死の発生の有無について間隔を細かくして検討したところ、ウイルス感染後5,6,7,8日目に照射した場合に著名な造血死が観察され、フレンドウイルス感染後の極めて限られた期間で感受性であった。ウイルス感染後1週日と2週日の造血幹細胞(CFUs,CFU-E)の放射線感受性を検討したところ、1週目の造血幹細胞が著しく感受性であった。したがって、造血細胞の放射線感受性の亢進が造血死の原因と考えられたが、その分子機構についてはまだ明らかでない。DBAマウスについては、ウイルス感染による放射線感受性の亢進時期がシフトしていろ可能性が考えられたので、間隔を変えて検討したが、いずれの場合でも造血死は観察されずその可能性は除外された。
著者
張 明栄
出版者
独立行政法人放射線医学総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

グルタミン酸代謝調節型受容体サブタイプ1(mGluR1)が脳虚血、疼痛、てんかん等の種々の疾患への関与の可能性が示唆されている。本研究は脳内mGluR1を画像化できる有用なPET薬剤を開発し、臨床初の応用研究を目指した。その結果、mGluR1に対し高い結合特性と選択性を有する数種な新規なPETリガンド候補を見いだした。その中から、新規PET薬剤[11C]ITMMを開発し、mGluR1がヒト脳内における分布と密度を世界で初めて測定することができた。
著者
志田原 美保
出版者
独立行政法人放射線医学総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、PET脳神経受容体機能の臨床診断において、形態異常部位、形態異常はないが機能異常がみられる部位などを今まで以上に的確に診断するために、MRIによる解剖情報を積極的に導入し様々な脳機能を高精度に画像化することを目指し、MRI画像の形態情報を用いてPET画像特性を向上させるためシステム構築した。また、その有用性を、脳を模擬した数値シミュレーションによって実証した。
著者
山谷 泰賀 工藤 博幸 菅 幹生 羽石 秀昭 稲玉 直子 吉田 英治 錦戸 文彦 小畠 隆行 辻 厚至 稲庭 拓 吉川 京燦 河合 秀幸 小尾 高史
出版者
独立行政法人放射線医学総合研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

我々は、世界的な競争下にある次世代のPET装置開発において、開放化という全く新しい機能を備えた世界初の開放型PET装置「OpenPET」のアイディアを2008年に提案した。本研究では、OpenPETが可能にする診断治療融合システムにより、放射線がん治療の精度を格段に高める革新的コンセプトを提案し、小動物サイズのOpenPET試作機を開発し、ファントムおよび小動物レベルにてコンセプトの実証実験を行った。
著者
小平 聡
出版者
独立行政法人放射線医学総合研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

宇宙放射線の主成分である高エネルギー陽子から鉄に至る荷電粒子群は宇宙で活動する宇宙飛行士の放射線被ばくに大きな影響を持つ。宇宙における被ばく線量としては、宇宙放射線などの一次粒子成分のほかに、宇宙放射線が衛星構体や人体内の構成元素と核破砕反応を起こすことで発生する二次粒子成分も重要な要因となる。近年、陽子線と人体内元素との標的核破砕反応で生成する二次粒子成分の線量寄与が問題となっている。CR-39固体飛跡検出器はこれらの二次粒子成分も飛跡として記録するが、従来の計測法では、エッチング処理が短飛程粒子の飛程を超えてしまい正確にLETが計測できない、LETが高すぎると応答感度が飽和してしまう、炭素や酸素などの高フラックス宇宙放射線のバックグラウンドが大きくなる、などの問題点があった。本研究では短飛程粒子の飛程を超えないごく微小のエッチングにより生成した極微小エッチピットの原子間力顕微鏡を用いた計測技術や、CR-39の応答感度を高LET領域に最適化しLET検出閾値を制御する計測技術を確立した。要素技術を用いて陽子線由来の短飛程二次粒子の測定実験の結果、短飛程二次粒子のLETは20keV/μm~4000keV/μmの広域にわたり連続分布を持ち、線量当量で1次陽子線の30~40%程度の余剰線量を持つにとを明らかにした。本研究において確立した二次粒子計測技術は、宇宙放射線場だけでなくがん治療用の粒子線やX線照射によって生じる二次粒子による医療被ばく影響研究に応用できるようになった。
著者
吉田 英治
出版者
独立行政法人放射線医学総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

Positron Emission Tomography (PET)装置はガンの診断や神経伝達物質の画像化など高度な臨床や生体機能の解明に欠かせないツールになっている。また小動物を使った遺伝子発現などの分子イメージングの分野でも今後主導的な役割となることが期待されている。そのため、より高感度で信号対ノイズ比(S/N)が高いPET装置が求められている。本研究はPET装置におけるノイズ成分である偶発・散乱同時計数の割合を低減することでPET装置のS/Nを改善するために、結晶内多重散乱に対して消滅放射線の入射方向を大まかに特定することで偶発同時計数の低減する手法及び3次元検出器を用いて上層(被検者に近い方)のシンチレータを散乱線の吸収体とみなすことによって下層のエネルギーウィンドウを広げ、装置感度を高める手法(DEEW法)を検討した。256チャンネルの位置弁別方光電子増倍管の出力を独立して読み出せる検出器系によるモンテカルロによるシミュレーションの結果では約8割の結晶内多重散乱の識別能を達成した。全身用GSO-PET装置を模擬したシミュレーションの結果から、DEEW法を用いれば10から25%の感度向上を見込めることが期待される。
著者
中村 秀仁
出版者
独立行政法人放射線医学総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、「次世代がん診療装置CROSS(Correlation Response Observatory for Scintillation Signals)計画」のプロトタイプとして有機シンチレータと無機シンチレータから成るハイブリット型検出器CROSS-miniを完成させました。また、そのプロトタイプ検出器を用いた業績の一つとして、平成20年12月1日に米国科学誌に報告し、同日、文部科学省にて記者会見を行いました「放射線源から放出される放射線の革新的な計測方法の開発」を挙げます。