著者
有川 秀之
出版者
社団法人日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会号
巻号頁・発行日
no.53, 2002-08-30

科学的研究の成果をどのように実践現場へ生かすのか、理論と実践の隔絶が指摘されるようになってから久しいが、この問題はスポーツ科学の独自性を主張するためには避けて通ることのできないものです。このシンポジウムでは、実践現場のコーチの立場からどのような研究成果が望まれるのか、それぞれの実践的立場から論じていただき、研究者、指導者、選手にとって共有できる科学的研究成果とは何かを議論することが目的です。本間先生にはシンクロナイズド・スイミングの現場から、結城先生にはスピードスケートのコーチングの立場から、また菅野先生には、サッカーのフィジカルトレーニングを通してどのように科学的研究成果を活用し、今後望まれる研究成果とは何かをお話いただきます。コーディネーターには、陸上競技短距離部門のコーチである有川先生にお願いします。
著者
水野 忠文
出版者
社団法人日本体育学会
雑誌
体育學研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.171-177, 1973-01-25

この小論は最近の体育学研究における1つの重要な問題である分化(differentiation)と統合(integration)の問題を具体的事例をあげて考察したものである. 第1に体育学の対象である人間を哲学上の学問分類論から論じ, 学問的操作によって自然存在となる場合と行為の主体としての人間存在となる場合の区別を明らかにした. 第2に具体的事例として脛骨中央部横断面の尖鋭角が新石器時代から現代にかけて男子の場合その鋭角が鈍化する傾向を人類学的知見から考察し, 現代人のそれを超音波法によって計測すると運動能力の高いものの方が普通のものよりその尖鋭角がせまく, 脛骨が扁平性を示すという新事実をとらえた. 最後にこのような事実から, 自然科学的研究を体育に生かすために人文社会科学と結合することの必要を論じ, 統合問題の解決の方向を明らかにした.