著者
佐古井 智紀 都築 和代 加藤 信介 大岡 龍三 宋 斗三 朱 晟偉
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.126, pp.1-10, 2007-09-05
参考文献数
11

本報では,第1報,第2報の前後,左右,上下に不均一な温熱環境下で得たデータを基に,椅座,定常人体の全身快適感,頭および全身の暑さに伴う不快感,膝先(下腿と足)および全身の寒さに伴う不快感を,局所皮膚温と局所乾性放熱量で表す実験式を提案した.全身快適感の式では,均一に近い条件で快適性が高く,左右,前後の不均一性が強くなると快適性が低くなる.頭および全身の暑さに伴う不快感,膝先および全身の寒さに伴う不快感の式では,「暑さ」または「寒さ」に伴う頭,膝先の不快感が,全身としてはその逆の状態である「寒さ」または「暑さ」によって緩和される.基礎実験と異なる着衣,上下に不均一な条件において検証実験を行った.全身快適感の実験式は,被験者全体の平均値を予測したものの,より詳細に見ると,上下の不均一性を適切に評価できていない点も認められた.頭および全身の暑さに伴う不快感は検証実験においてほとんど見られず,実験式もそれを再現できた.膝先および全身の寒さに伴う不快感は,女性の予測値が高過ぎ,男性の予測値が低過ぎたものの,被験者全体の平均値,および男性,女性,被験者全体,それぞれにおける不快感の順を予測できた.
著者
斉藤 健二 宮武 修
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.76, pp.41-50, 2000-01-25
参考文献数
11

棒状架橋樹脂を充てんした潜熱蓄熱槽に,負荷側との接点として熱交換器を組み合わせたときの放熱特性に関するシミュレーションを行った.蓄熱槽初期温度,熱交換器負荷側入口温度,熱媒体質量流量,蓄熱槽高さ,熱媒体熱容量流量比および熱交換器移動単位数を変化させ,蓄熱槽内の熱媒体温度分布と熱交換器出入口温度の経時変化を算出した.また,蓄熱槽側の熱媒体質量流量を可変制御して熱交換器負荷側出口温度を一定値に制御する場合についても同様の考察を加えた.
著者
谷本 潤 萩島 理 諫山 由紀子 岩井 雄志
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.161, pp.35-39, 2010-08-05
参考文献数
5

空調発停行為を含む生活行為のばらつきを考慮したユーティリティデマンドを高時間分解能で予測するTotal Utility Demand Prediction System(TUD-PS)を適用して,集合住宅1住戸における冷暖房の期間負荷および最大負荷の基本特性,居住者の暑さ寒さ恕限度の影響等を検討した.
著者
品田 宜輝 木村 建一 桂木 宏昌 宋 城基
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.153, pp.45-56, 2009-12-05

北九州市の大学校舎建築に導入されたソーラーチムニーと地中ピットとを組み合わせた自然換気システムを対象とし,運用下におけるその性能を把握することを目的として開校後4年間に渡って実施した実測調査の結果を述べる.本報では実測対象建物の自然換気システムと補助空調システムの概要,本システムの運用状況,自然換気作用時の給排気風量の実測結果について報告する.自然換気が作用する時間は開校3年目まで増え続け,2年目から4年目の自然換気作用時間は冷房期間の33〜61%を占めた.自然換気作用時間の80%程度が夜間であった.自然換気作用時の給排気風量は,年間の全時間平均で,地中ピットからの給気量は6,000m^3/h程度,ソーラーチムニーからの排気量は4,000m^3/h程度であり,4年間を通してほぼ安定していた.この差は主に排気ファンによる影響であり,ソーラーチムニーからの排気量は風量の多い便所排気ファンの運転停止に左右されていた.給排気風量は,中間期に増加し,夏期に減少する傾向が見られた.
著者
吉田 治典 後藤 祥仁
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.73, pp.95-104, 1999-04-25
被引用文献数
6

近年,蓄熱式空調システムの導入が,電力負荷の平準化につながり発電所の総合効率を上昇させ,省エネルギーの効果があると同時に,地球温暖化問題で懸案となっているCO_2の削減にも重要な役割を果たすといわれている.しかし,蓄熱式空調システムは制御が難しく,計画どおりの運用がなされていない事例が多いようである.このシステムの最適運転には建物に発生する次の日の負荷を予測し,その情報を基に適切な温度レベルで適正量を蓄熱する必要があり,熱負荷予測技術が不可欠となる.本研究では,既報で示した熱負荷予測の手法を実建物に適用して検証し,熱負荷予測法における精度向上のため種々の改良を行った過程を報告する.しかしその結果,若干の改善は見られたものの,大幅な改善は見られず,既報の手法の妥当性が裏付けられた.
著者
芳村 惠司 古寺 典彦 吉竹 裕二 木村 公昭 岩坪 良雄 中村 慎
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.87, pp.1-11, 2002-10-25
被引用文献数
2

ついては明らかになっていない点が多い.システム評価についても太陽光発電システム単体について検討するのではなく,空調エネルギーの低減効果,電力負荷の平準化など総合的に評価することが必要である.本報では太陽光発電システムを採用したモデル建物において,空調負荷に与える影響を検討した.太陽光発電パネルによる日射遮へいによる空調負荷の低減やピークカット効果の結果を検討し,太陽光発電パネルによる複合的な負荷削減効果を明らかにした.
著者
原本 賢一
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.103, pp.43-46, 2005-10-05

わが国の電力供給信頼度は極めて高く安定であるが,落雷などの自然災害による瞬時電圧低下や瞬時停電は避けられないのが現状である。これまで需要家での瞬時電圧低下・瞬時停電の対策として,重要負荷に常時インバータ給電方式無停電電源装置を設置するなどしていたが,設備維持費がかかるなどの問題があった。そこで超高速回転形フライホィールに着目し,これをエネルギー蓄積装置とした長寿命でメンテナンスフリーな常時商用給電方式無停電電源システムを構築したので紹介する。なお本システムは,瞬時電圧低下や非常用発電機の電圧確立までの短時間停電を対象に,無停電化対応システムとして構築したものである。
著者
奈良 松範
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.80, pp.1-10, 2001-01-25
被引用文献数
2

人間と植物とのつながりは人類の起源までさかのぼることができるが,植物が人間にに及ぼす影響はまだ十分に解明されているとはいえない。本研究では生活環境における植物の影響を定量化するために植物の有無およびその配置の相違が被験者の心理的および生理的変化に及ぼす影響を実験的に調べた。植物の存在により安静状態では不快感が減少し,明るさ感が増加した。また精神的ストレスが加えられた状態で、植物の存在により心理的な落ち着きが増し脳波のα波成分が増加した。また、植物の配置が被験者の環境評価に影響を及ぼすことを示した。
著者
小関 康雄 江原 勝也 高橋 燦吉
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.47, pp.67-74, 1991-10-25
被引用文献数
1

高溶解性混合吸収媒体の開発を目指し,混合すべき無機物質を選定し,各混合系の媒体性能を,溶解度と水蒸気圧の測定より実験的に評価・検討した.各物質の溶解度と水蒸気圧特性の観点から,Ca,LiのカチオンとCl,Brのアニオンをもつ物質を選定した.混合系での実験から作成した溶解度と水蒸気圧を用いた媒体性能評価図より,カチオン・アニオンともに異なる組合せであるLiBr・CaCl_2系混合水溶液が最も優れていることを確認した.選定した混合水溶液のうち,重量混合比X〔CaCl_2/(CaCl_2+LiBr)〕=0.33の媒体は,吸収冷凍機用高溶解性(14%増大,対LiBr)吸収剤として,混合比X=0.67の媒体がケミカル蓄熱装置用低コスト(コスト43%低減,対LiBr)媒体として優れていることがわかった.