著者
中島 古史郎 吉本 国春
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.142, pp.39-46, 2009-01-05

雨水の有効利用を図るため、廃木材からのリサイクル資材である高品位炭を使用して、戸建住宅の雨樋で集めた雨水を浄化する研究を行った。1年3ヶ月もの間、高品位炭の交換をせず実験を継続した結果、1時間滞留によって、COD4.0〜0.5mg/Lの水質の雨水が、COD2.8〜0.5mg/L程度まで除去された。実用を想定して浄化装置を秋の1ヶ月間、冬から初夏までの5ヶ月間、そして夏の1ヶ月半、計3回停止した後再開させたが、浄化能力は継続して認められた。従って、貯留雨水は、高品位炭によって有機汚濁物質・細菌類等を実用上様々な利用が可能なレベルの水質まで浄化出来る事、また高品位炭によるCODの水質浄化機構は、吸着作用と微生物浄化作用の相乗効果である事が推察された。
著者
近藤 靖史 遠藤 俊
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.187, pp.57-64, 2012-10-05

地下鉄の駅では車両からの排熱などにより空間温度が高くなる傾向がある。これに対し、駅構内の温熱・空気環境を適正範囲内に維持するためには、冷房設備や機械換気設備を稼働させることとなり、膨大なエネルギー消費につながる。本研究では、移動物体CFD解析により列車風の影響を組み込んだ上で、駅構内の温熱・空気環境を検討した。また、シャフトを介した自然換気の性状や、ホームドアによってホーム部冷房空気が線路部へ漏出するのを防ぐことができることなどを示した。
著者
小池 道広 坂上 恭助 鶴田 進 中野 和幸 石坂 正文 清水 文泰
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
学術講演会論文集
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.811-814, 2009-08-18

We carried out the investigation on deterioration of stainless steel piping by the passing of 8 years. Though Stainless steel pipes could expect high durability, it could confirm that the intentional maintenance was necessary for housing type fittings and valves. From now on, making the maintenance technique that unnecessary related construction or suspension ofwater supply time can be restrained to a minimum will become the subjects.
著者
松村 博志 早川 眞 蜂巣 浩生 池田 耕一
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
学術講演会論文集
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.2267-2270, 2009-08-18

A tall complex building including office, hotel and conference room where international conference will be held has been scarcely built. And cold heat source consumption rates in each facility, especially in conference rooms in like thus complex building are not easily available. The authors have collected and analyzed operational data through BEMS (Building Energy Management System) for 2 years after completion. As the results, comparing the ratio of floor areas of facilities, cold heat source consumption rate at office is small. The conference area consumption of cold heat source unit floor area is so large.
著者
横山 真太郎 角田 直人 富樫 貴子 濱田 靖弘 中村 真人 落藤 澄
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.78, pp.1-8, 2000-07-25
被引用文献数
5

部位別特性を考慮した生体内温度予測プログラムの開発のために,皮膚血流量調節の数理モデルを検討した.モデル式は,生理学的知見に基づき,視床下部温および平均皮膚温の各セットポイントからの変位を入力因子とする線形モデルを採用し,さらに部位別特性を表す血流変化量相対比を式中に導入することによって精度向上を図った.提案した数理モデル式を生体内温度予測プログラムに組み込むことにより,生体内温度に与える血流量調節の効果をシミュレーションによって定量的に示し,その有効性を明らかにした.
著者
近藤 明 加賀 昭和 合田 恵理子 山口 克人 水間 健二
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.83, pp.1-9, 2001-10-25
被引用文献数
7

数km^2スケールの開発による温熱環境変化を予測するために,緑や水面,建物群を考慮出来る数値モデルを提案した.既報において,大阪箕面市の住宅開発地域の流れ場は,この数値モデルによって良好に再現できることを示した.本報では,気温場も,この数値モデルにより再現できることを示した.次に,ダム開発による温熱環境への影響,緑被率の変化による温熱環境への影響,道路アルベド値の違いによる温熱環境への影響を,このモデルを用いて評価した.計算により得られた結果は,定性的には妥当であったが,精度に関しては今後の検討が必要である.
著者
永村 悦子 中根 芳一 永村 一雄 中谷 明男 三木 信博
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.59, pp.105-116, 1995-10-25
被引用文献数
4

大阪(新版),奈良,金沢,輪島の標準気象データ平均年を作成し,これらに従来の大阪平均年,富山平均年を加えて,各要素の日平均値の年間変動,平均的日変動,頻度分布による各地の気候特性の比較検討を行った.その結果,大阪(新)の水平面全天日射量が大阪(旧)よりも大きく,7月には月積算値で約130MJ/(m^2・月)もの差異がみられた.また水平面全天日射量の頻度分布では,大阪(新),奈良とも最大30MJ/(m^2・日)近くまであるのに対し,大阪(旧)では,水平面全天日射量24MJ/(m^2・日)以上の頻度がゼロとなっている.さらに,奈良の気温はほぼ1年を通して大阪よりも約2℃低く,金沢では輪島,富山よりも1〜3℃高いことがわかった.
著者
橋本 哲 寺野 真明 杉浦 敏浩 中村 政治 川瀬 貴晴 近藤 靖史
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.93, pp.67-76, 2004-04-25
被引用文献数
11

室内環境は,オフィスワーカーや学校生徒など建物居住者のプロダクティビティや健康に影響する.近年,室内環境の改善によるプロダクティビティ向上が,費用対効果の高い投資であることを強調する文献が目立ってきている.このような状況の中,筆者らは,この分野の研究や応用商品の開発が国内で活発化する可能性について調査を行ってきた.本稿ではまず,海外の研究動向を紹介する.次に,現在,様々な見解や方法が提案されているプロダクティビティの概念・定義,および,測定方法について,その解釈と今後の方向を考察する.
著者
紀谷 文樹 西田 純康
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.25, pp.61-67, 1984-06-25
被引用文献数
11

劇場の器具利用形態に関する調査結果をみると,入退場時と休憩時間に集中して利用し,しばしば行列が生じることがわかる.このような場合の必要器具数は,待ち行列長さまたは待ち時間を制限して算定する.本報では,このような限定利用形の器具利用形態となる劇場の場合について,器具数を算定するための基礎資料および諸条件について検討した.また,その算定条件に基づいてコンピュータシミュレーションを実行し,必要器具数を算定するとともに,サービスレベルを定めて適正器具数を算定する方法を示した.
著者
勝井 則明 西川 文子 中田 春男 喜多 英二 坂本 雅子
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.61, pp.37-44, 1996-04-25
被引用文献数
3

気化式加湿器においては加湿水が微生物汚染を受けても室内に飛散することは少ないとされているが,高濃度の汚染の場合には飛散することが報告されており,また加湿装置の汚染は加湿能力に大きな影響を及ぼす.本研究では気化式加湿器の代表的な三つのタイプ,すなわち"吸上げ式"・"流下式"および"膜式"について,その微生物汚染を検出率の高い低栄養培地を用いて実験的に研究した.汚染の経時的変化および走査型電顕によるエレメントの汚染状況を調べた結果,加湿装置を微生物汚染の少ないものから順に並べると,"流下式"・"膜式"・"吸上げ式"の順になった.各加湿装置について長所・問題点・改善点などを微生物学的な観点から論じた.
著者
二宮 秀與 赤坂 裕 松尾 陽
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.60, pp.133-144, 1996-02-25
被引用文献数
7

AMeDASデータに,建物の熱負荷計算などの入力データとして必要な時刻別大気放射量を追加する方法について検討した.大気放射量は大気中の水蒸気などから射出される長波放射であり,地上付近の気温・湿度および雲量が既知であれば,実用的な精度で近似できることがわかっている.AMeDASには雲量の観測値はないが,日照率と雲量には相関があり,大気放射量に及ぼす雲の影響Cを,日照率を用いて近似できることを示した.また,日照のない夜間は,昼間のCを用いて補間できることを示し,日照率を用いた時刻別大気放射量の推定式を提案した.最後に推定精度を確認し,従来の雲量を用いる推定式と同等以上の精度が得られることを明らかにした.
著者
李 振海 吉野 博 内海 康雄 小林 仁 阪場 行男 武舎 憲功 岩井 信行
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.83, pp.91-98, 2001-10-25

第3種換気方式の場合,暖房時においては給気口からの冷たい外気が室内に直接導入されるため,温熱的な不快感が形成される可能性が高い.本報では,適切な給気方式を設計するための資料の整備を目的とし,人工気候室内の実大居室を用いて実験を行った.その結果,(1)給気口の吹出し方向は「上向き」,「壁面と平行に放射状」,「壁面とある角度で放射状」,「水平に吹出す」の順に上下温度差が大きくなる.水平に吹出す場合の規準化上下温度差は最大で約0.3である.(2)給気口を窓の上,壁面の上部,中部,下部に設置した場合,平均規準化上下温度差はこの順に大きくなる.(3)全般的にみれば給気口の吹出し風速が上下温度差に及ぼす影響は小さいことが明らかとなった.
著者
鳴海 大典 下田 吉之 羽原 勝也 水野 稔 近藤 明
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.117, pp.11-19, 2006-12-05
被引用文献数
4

本論文では、3次元の都市熱環境評価モデルを用いて大気熱負荷の排出条件の違いによる拡散性状の相違が地表付近の気温変化に及ぼす影響について感度分析を行い、大気熱負荷の評価に資する基礎データの整備を行った。排出地域の影響を検討した結果、郊外では追加顕熱負荷に対する気温応答が特に大きな値を示した。排出時間の影響を検討した結果、郊外における夜間応答は昼間に比べて最大7倍ほどの違いを生じた。排出量さの影響を検討した結果、排出量と気温変化幅の関係には概ね線形性が確認された。排出高さの影響を検討した結果、排出高さを高層に設定することで気温影響を大きく抑えることが示された。開発やエネルギー消費行動に伴う大気熱負荷の影響評価を行うためには、これらの特性を十分に考慮する必要があると言える。