著者
牟田 健二 馬場 敬之 酒井 孝司 石原 修
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.92, pp.1-9, 2004-01-25

直膨内融式スタティック型氷蓄熱槽は,ダイナミック型に比べて氷充てん率(IPF)を大きくとれるが,IPFはそれでもまだ0.65程度にとどまっている。これはこのシステムでは蓄冷材として市水(添加物を加えていない水)が用いられており,水が凝固する際の体積膨張により管群を破損する危険性があり,実際の製氷運転ではブリッジングが起こる前で製氷を停止しているためである。そこで本研究では,少量の氷点降下剤を添加した水溶液を凝固させると固一液が共存した凝固層ができる性質を利用して蓄冷材に用いることにより,従来の市水を用いる場合より氷充てん率が増加する可能性を検証した。
著者
角田 正 永坂 茂之 飯柴 耕一
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
学術講演会論文集
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.1683-1686, 2004-08-20

This paper describes the outline and the operation results of GSHP system by using groundwater in the shallow layer. This system uses rainwater as heat medium and exchanges heat by using non-potable water pit and horizontal pipes around the pit under ground. The construction cost of horizontal pipe system is about 20% of vertical pipe system, and it's expected that horizontal system will be used widely in Japan. As a result of operation, the using ratio of geothermal energy is 84% in cooling period and 75% in heating period respectively, and the maximum capacity of geothermal use is 132kW. The characteristics of heat exchange by horizontal pipes are also described.
著者
大宮 由紀夫 高井 啓明 似鳥 雅則 西田 恵 木村 伸弥 伊藤 英一
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
学術講演会論文集
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.2065-2068, 2007-08-24

The FIS Nordic World Ski Championship in 2007 was held in Sapporo in February, 2007 and the competition course was partially conducted in indoor facility. The control of air-conditioning system and the moving wall is the key point to maintain the snow condition and the audiences' comfort. The measurement result of thermal environment for long-term and short-term is analyzed.
著者
安友 哲志 鄭 明傑
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
学術講演会論文集
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.121-124, 2005-07-25

In Japan, a designer, an architect or a developer hasn't been practically using the energy simulation program yet, while now they begin to use it practically in USA because the energy simulation program has been developed continually and the user-friendly interface has already developed.The present paper shows the state of the energy simulation program in USA and aims to encourage the Japanese engineer to use the energy simulation program.
著者
井出 裕一 岩本 静男 坂上 恭助 鎌田 元康
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
学術講演会論文集
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.61-64, 2004-08-20

In this paper, the prediction method of the inlet water temperature of purification plant shown in the last paper was used and comparison between measurement and calculation results in 2001 and 2002 was performed. And prediction method of water temperature from water purification plant and that in the water pipe from a water purification plant to a building were shown and a series of predictions from a water source to a building was performed for validation of the prediction method.
著者
安友 哲志 中原 信生
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
学術講演会論文集
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.2117-2120, 2007-08-24

EnergyPlus, which is the building energy simulation program developed by U.S. Department of Energy, has been hardly used in Japan mostly because of the language problem, though it has been used all over the world. The authors think that EnergyPlus users will also increase in Japan, if an environment would be created where Japanese users can become available of it. The authors, therefore, decided to develop Japanese comprehensive user interface for EnergyPlus in order to promote the spread of EnergyPlus in Japan.
著者
小林 春奈 永村 一雄 酒井 英樹 井川 憲男
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
学術講演会論文集
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.1063-1066, 2007-08-24

We practiced .thermal measurement outdoors using solar reflective materials that have the potential to suppress heat-island effect. Solar reflectance is calculated by heat balance in one case that samples are horizontal and the other case that samples are inclined so that the angle of incidence is almost normal incidence (about 7degree).We estimate that retroreflective components are 4 to 14 percent for bead-embedded type, 17 to 19 percent for capsule-lens type, and 23 to 30 percent for prism-array type.
著者
榎本 ヒカル 久保 博子 磯田 憲生
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.56, pp.69-76, 1994-10-25
被引用文献数
1

高齢者の好ましい温熱環境条件を導き出す研究の一環として,夏服着用,椅座安静状態の高齢者男性および青年男性に,高齢者は28,30,32℃,青年は26,28,30℃のそれぞれ3段階の気温において,最も快適な温熱環境になるように気流速度を調節させた.その結果,各気温での選択気流速度の平均値は高齢者男性群は気温28℃で0.41m/s,30℃で0.80m/s,32℃で1.08m/sで,青年男性群の気温26℃で0.46m/s,28℃で0.84m/s,30℃で1.37m/sに比べ同じ気温で約0.4m/s遅く,高齢者男性は青年男性と比べて気流暴露後の皮膚温や熱流量,温冷感に違いがみられた.
著者
二宮 秀與 松尾 陽 赤坂 裕 曽我 和弘
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.65, pp.53-65, 1997-04-25
被引用文献数
16

建物の熱負荷計算などの入力データとして必要な時刻別日射量をAMeDASデータを用いて推定する方法について検討した.前報でAMeDASの日照時間・気温・降水量から時刻別日射量を推定する手法を提案した.その後AMeDASの日照計はWMOの基準を満たす計器に変更されており,両日照計の出力には有意な差が見られる.そこで,日照計の更新記録を整理するとともに,新しい日照計に適用する推定式を提案した.また,得られた推定式を全国的な標準式とすることを考慮して,日射計の信頼性が高いと考えられる地点・年を選択し推定式の係数値を求めた.推定式による計算値と観測値を比較し,十分な精度が得られていることを確認した.
著者
中原 崇文 竹内 繁千代 山中 敏彦 谷口 博 小島 晋 工藤 一彦
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.52, pp.p49-57, 1993-06
被引用文献数
3

我々は,地下鉄廃熱を利用したヒートポンプによる道路融雪設備を開発し,札幌市の協力を得て1987年12月より実証試験を行いその有効性を確かめることができた.本装置では,地下鉄の運転していない深夜は廃熱回収を行っていないが,地中の温度実測データを詳細に検討してみると,冬期の深夜の地下構造物は放熱可能な状態にあり,夜間のうちに熱回収可能と推定できた.実測値ベースで推算すると,気温の低い時間帯では2〜3℃レベルの温度上昇が期待でき,ヒートポンプシステムの能力増大・効率向上に役立つ結論を得た.
著者
藏澄 美仁 藤原 三和子 松原 斎樹 上 麻美 長井 秀樹 植木 弥生 古川 倫子 山本 志津恵
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.72, pp.23-34, 1999-01-25
被引用文献数
10

日本人の住宅での生活実態に則した温熱環境評価を行うためには,伝導熱授受量を定量的に把握する必要がある.そこで,床面から人体への伝導熱授受量の姿勢による違いが定量化された.立位と椅座位,正座位,胡座(ござ)位,横座位,立て膝(ひざ)位,投げ足位,側臥(そくが)位の各姿勢別に人体と床面との接触部位と接触面積が体表解剖学上の区分ごとに実測され,姿勢別に伝導熱授受量を算出するたあの重み係数が定義された.気温と床温とを組み合わせた温熱環境条件の下で被験者実験が行われ,人体の熱収支が算出された.人体と床面との接触面積比率が約2.5%を超えるような姿勢では,温熱環境を評価する際に,接触による熱伝導の影響を含めた検討の必要性が示された.
著者
李 勝馥 黄 錫鎬 宋 斗三
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.99, pp.19-30, 2005-06-05
被引用文献数
1

本論文は、最近の韓国における急速な冷房普及による夏季の電力需給の問題、冷房用エネルギー増加に伴う環境問題などへの対策として、オンドルを利用した床放射冷房システムの有効性を検討することを目的としている。検討対象の床放射冷房システムは、韓国のほとんどの住宅に暖房用として設置されているオンドルシステムを活用して、温水に代わって冷水を流すことにより室内を冷すことを基本とする。本システムは、韓国の住宅における冷房システムの設備費を削減すると同時に、放射冷房の採用による十分な省エネ効果をもたらすものと期待される。高温多湿気候下にある韓国で上記のシステムの利用に当たって、冷却床面での結露問題の解決が必須となる。本研究では、除湿機能を持つ換気システムと併用した床放射冷房システム(換気併用型床放射冷房システム)を提案する。換気併用型床放射冷房システムは、換気目的で取り入れる外気を冷却・除湿することにより室内空気の露点温度を下げ、床面での結露を防止し、その分床表面温度を低くすることを可能にする。さらに、このシステムは、換気と冷暖房を分離することにより、それぞれの目的に合わせた最小の制御量で室内空気・熱環境を快適に維持すること、冷却・除湿機能を持つ換気システムと併用することにより、既存の放射冷房システムの問題点である室内の熱負荷の変化に対する応答性が悪い点を改善して、室温制御性を向上させることを可能にする。本論文は、換気併用型床放射冷房システムの概要を説明し、実験と数値シミュレーションにより、このシステムの室内温湿度制御性を検討した結果を示す。
著者
岩田 香織 松原 祐子 齋藤 輝幸 久野 覚
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.185, pp.1-9, 2012-08-05
参考文献数
14

オフィスでは夏期の冷房設定温度28℃及びCOOL BIZが推奨されているが、28℃はやや暑く、屋外から入室した者は不満を生じやすい。そこでKunoは採涼空間の利用を提案した。採涼空間利用時の効果と適切な利用条件を検証するために3段階の被験者実験を行った。被験者は屋外空間に椅座安静状態で30分滞在した後、28℃の執務空間に10分(実験IIIは5分)滞在した。その後、24℃または26℃の採涼空間に所定の時間滞在し、再び28℃の執務空間に30分(実験IIIは60分)滞在した。本報では採涼空間利用時の発汗抑制効果等を示し、外気温33℃以上で24℃20分以上、外気温33℃以下で24℃5分の採涼空間滞在が適切であることを明らかにした。
著者
須貝 伸一郎 今井 正樹 岡田 誠之 武藤 暢夫
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.74, pp.69-74, 1999-07-25
参考文献数
6

第1報において,基礎的な検討事項として,スライムの発生,成育条件の検討,スライムの抑制,スライムの生物活性を検討した.本研究は,再利用水を送水するための配管に着目した.配管内に微生物が付着すると衛生器具の詰まりや流れの障害,管路の閉そく,臭気,腐食促進などの障害の原因となるといわれている.そこで,特に下記のことを検討した.(1)配管用炭素鋼鋼管,硬質塩化ビニル管,ステンレス鋼管,アクリル管の各種配管材料におけるスライム付着量,(2)流速,管表面精粗によるスライム付着量,(3)水質とスライム生成の相関ならびにスライムの性状,この検討を行ったところ,次の知見を得た.1)原水(BOD濃度10mg/l程度)に比べて高度処理すると,スライムの付着量は極端に少なくなる.2)凝集沈殿水,砂ろ過水におけるスライム抑制効果は,配管材質および流速の種類によって差異がある.アクリル管<ステンレス鋼管<硬質塩化ビニル管<配管用炭素鋼鋼管の順にスライムの生成量が多くなっている.3)管表面精粗は砂ろ過水を除き,影響があることが認められた.4)スライムの組成はC_9H_<15>NO_4で示された.
著者
竹内 正紀 宮本 重信 木村 照夫 坪田 諭治
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.52, pp.59-69, 1993-06-25
被引用文献数
26

地熱集熱用の熱交換器に建物などの基礎くいを利用し,積雪センサで制御される融雪システムを開発した.内径310mm,長さ22mのコンクリートくい2本からの取出し熱量で20.8m^2のコンクリート舗装面の積雪を溶かす実験を行い,実験期間(1991年1月〜3月)に,福井市の累計降雪深187cm(最大積雪深60cm)の降雪について,舗装面上をほぼ無雪の状態に保つことができ,本システムが間欠的な降雪のある比較的温暖な積雪地の融雪に有効であることを示した.さらに,くいと融雪面を一体の系とした数値シミュレーションを行い,くいからの取出し熱量と集熱量の数値計算結果と実験結果がよく一致することを示し,それらの予測が可能であることを示した.
著者
村上 周三 崔 棟皓 加藤 信介 北澤 智一 高橋 義文 中谷 義宣
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.58, pp.145-151, 1995-06-25
被引用文献数
1

前報では,室内モデルにおいて強制対流・放射併用冷房の基本的な室内環境について検討した.本報では,前報と同一居室モデルを用いて室内にベッド,断熱ブラインドなどの障害物がある場合の影響や天井面の冷却方法などを変えた場合の効果を模型実験により検討する.室内の冷房方式に関し,前報で示した天井冷却パネルと外壁の対向壁上部の空調吹出し口による場合に加え,本報では冷却チャンバによる天井冷却を行わず天井中央もしくは天井入隅部に水平スロット吹出し口を設置し,天井面付着流により天井表面を冷却する受動的天井冷却冷房システムに関してもその室内環境を検討する.本報に示す主な検討結果は,以下のとおりである.(1)天井放射パネルを有効に活用するためには窓部からの熱放射を遮断することが肝要となる.(2)天井面を受動的に冷却する冷房方式で放射冷却効果(MRTの低下)が最も顕著に現れたものは,室内の天井と壁の入隅部に吹出し口を設けた水平スロット吹出し冷房である.(3)吹出し噴流を天井面に付着させることにより,天井表面温度の低下が実現されるとともに,室内居住域のコールドドラフトの発生が抑制される.(4)温熱環境指標PMV,SET^*の解析からは,各冷房方式ごとの放射環境場の違いによる顕著な差異は認められなかった.
著者
坊垣 和明 角谷 三夫 有川 悦朗 宮城 啓吏 福森 幹太
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.64, pp.61-71, 1997-01-25
被引用文献数
5

省エネルギーと快適性の向上が両立する技術が求められている.本研究は,空調を一時的に停止することでパッシブな室温変化を生じさせる空調制御方式(パッシブリズミング空調と言う)を提案し,その快適性への影響と省エネルギー効果の検証を目的とするものである.本論文は,冷房期におけるパッシブ変動の体感影響に関する被験者実験の結果をまとめたものである.実験の結果,設定された基準温度(26℃)と変動パターン(停止15分・運転30分)においては,一般空調と変わらない快適さが確保できること,一般空調よりも高い快適性が期待できる条件が存在することなどが明らかになり,パッシブリズミング空調の実用の可能性が高いことが確かめられた.