著者
加賀 昭和 近藤 明 井上 義雄 池島 薫 福田 征克 呂 〓鉉
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.138, pp.1-8, 2008-09-05

熱輻射による伝熱問題の解析に必須の形態係数を高速に計算するための,CG(コンピュータ・グラフィックス)技術を用いた形態係数の高速計算法を検討した.本報では,新たに提案する投影法によりCGを用いて描画した透視投影画像から形態係数を算出する.CGで透視投影画像を描く過程は,モンテカルロ法のような数値計算法における衝突面判定の過程に相当する.本手法により最適な陰面消去アルゴリズムを自動的に利用することができるのでプログラムは大幅に簡略化される.また,3次元座標変換に特化したグラフィックス・ハードウェアを用いることで計算時間も大幅に短縮できる.本手法の精度は用いる透視投影画像の解像度から予測することができ,熱放射による伝熱問題の解析で本手法が有効なツールとなる可能性が示せた.
著者
中川 善博 塩地 純夫 鳥居 寛 譚 洪衛
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
学術講演会論文集
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.573-576, 2009-08-18

Solar reflective paints are effective as the means to reduce the thermal load to the building by sunlight, and recognized as one of the means to solve heat island phenomenon. In the present study, the experiment building to compare the paint performances was constructed, and the effect of energy conservation quantified with solar reflective paints. Moreover, we made the building model including the solar reflectance, forecast the effect of energy conservation and the indoor heat environment by the simulation, and evaluated them.
著者
李 明香 尾崎 明仁 鈴木 香奈子
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
学術講演会論文集
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.705-708, 2010-08-12

The advanced theories on building physics applying THERB, such as thermal conduction, convection and radiation, for numerical simulation on the hygrothermal environment of buildings are exemplified and verified (to calculation accuracy. The followings are mentioned as the results; the need for calculation of combined heat and moisture transfer to analyze the hygrothermal environment, the importance of time-varying and nonlinearity of the coefficients of convection and radiation heat transfer in each point of buildings, the necessity of the detailed calculation of mutual radiation among the indoor surfaces in condition such as panel heating, the influences of the time shift of sunshine portion and the multiple reflection of transmitted solar radiation among the indoor surfaces.
著者
川本 陽一 大岡 龍三
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
学術講演会論文集
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.2337-2340, 2007-08-24

Meso-scale climate analysis is very useful to understand the structure of the urban heat island. MM5, provided by National Center for Atmospheric Research, is one of major meso-scale model in the world. However, parameterization of ground surface in MM5 is to rather coarse to analyze urban climate. That is, in MM5, ground surface parameters are determined by most superior land-use in each mesh. However, this method is unable to represent detail urban structure, to say, the effect of Cool Island with green or water body is neglected. In this paper, ground surface parameterization in MM5 is modified to represent land-use fraction. Furthermore, effect of anthropogenic heat release is also incorporated in MM5.
著者
小野 浩己 酒井 孝司 加治屋 亮一
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.189, pp.29-38, 2012-12-05

CFDを用いて建築室内の温熱環境解析を行う際には,壁面からの対流熱伝達量を高精度で予測できることが重要である。ところが,一般的な建築室内では壁面近傍の流れは自然対流が支配的であることが多く,広く用いられているレイノルズ平均乱流モデル(RANS)では必ずしも十分な精度が得られないことが報告されている。そこで本研究では,空間フィルタリング乱流モデル(LES)の中でも,より複雑乱流場の予測精度に優れたDynamic LESモデルに着目し,Tianらの自然対流流れ場における実測結果を用いてその精度検証を行った。また,建築分野における実用計算への応用を考え,格子解像度が低下した際の計算結果への影響についても検討を行った。その結果,Dynamic LESモデルが対流熱伝達量の予測に高い精度をもつことを明らかにした。また,格子解像度が低下した際にも,Dynamic LESモデルが他のモデルに比べて実測結果との差異が小さいことを明らかにした。
著者
水野 稔 GHAEMMAGHAMI S. Mahmoud 内藤 和夫
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.31, pp.19-28, 1986-06-25

ふく射暖房の省エネルギ性を論じるとき,ふく射パネルに対する人体の位置によって評価が変わってくる.一般に人がパネルに近づくほど,設定室温が低くできることから,ふく射暖房は有利になってくる.この点に関し,室からの貫流損失の大小を対象として,熱環境の質を空間中の微小物体の温度で評価することにより,この問題に対する基本的な考察を行った.この評価物体の温度を一定に保つとき,変更面(ふく射パネル)からのふく射の射出量を変えても,室全体からの貫流損失が変わらない熱環境評価物体の位置が存在する.この位置の集合を省エネルギ境界面と定義し,この面の諸性質および近似的な求め方などについて明らかにした.
著者
内藤 和夫 水野 稔 山分 弘之
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.25, pp.29-40, 1984-06-25
被引用文献数
4

かなり広大な公園緑地において,地上1.5mの気温分布を主として,平均ふく射温度・風速の分布を測定した.測定方法は,本研究の目的に合わせて工夫したものを採用した.その結果,気温分布は公園内で日中には明確ではないが,夜間には明確に存在することが確認された.この空間分布に及ぼす地表面構成状況,および風向・風速の影響を回帰分析などで考察し,局所気温に及ぼす周辺の土地の寸法に関し,幾つかの知見を得た.平均ふく射温度および風速の測定結果は,それぞれ樹木による遮へい効果を表す係数を用いて表示した.落葉の前後による差などを示した.
著者
大森 敏明 谷口 博 工藤 一彦
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.42, pp.9-18, 1990-02-25
被引用文献数
10

温冷感に大きな影響を与える室内のふく射環境について,窓,家具,人体などの位置や形状,人体の発熱を考慮することのできる汎用性の高い三次元数値解析法を開発した.複雑な形状の室内空間におけるふく射伝熱の解析に際し,実用面への適用性が優れたモンテカルロ法を採用し直接交換面積を求め,Hottelのゾーン法の全交換面積に変換して,対流,壁面熱伝導と複合させることによりエネルギバランス式を導き解くこととした.また,人体各部の局所的な温熱環境を予測するために,皮膚温度と着衣量を与えることのできる分割人体モデルを提案した.さらに,床暖房が施された会議室において,いすに着席した人体を対象とし,室内ふく射環境に及ぼす各種の影響を求め検討した.
著者
児玉 久 服部 宜弘 長光 左千男
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.58, pp.133-144, 1995-06-25
被引用文献数
7 1

温熱環境評価や,放射を用いた空調機器の開発に,数値流体解析技術を適用することを目的に,障害物が存在する現実の居住環境に適用した場合でも比較的短時間で精度良く計算が行える放射伝熱の計算手法を提案した.放射熱線追跡法を基本とし,精度を損なわずに熱線射出数を減少させることが可能な複数の射出方法を考案し,それらの性能を評価した.その結果,仮想天球に正方形パッチを千鳥配置して射出方向を設定する方法が最も良く,従来の射出方法に比べて,射出本数を1/2程度に減少させても同等の精度を維持できることがわかった.また,本手法を熱流体解析と連成する方法を考察し,居室に放射空調装置を配置した場合の解析を実施し,この種の解析に有効に適用できることを示した.
著者
山田 昇 徳原 真弥 円山 重直
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.150, pp.9-17, 2009-09-05

夏期の都市街路空間における熱的快適性の重要な因子であるふく射について,ふく射性ガスによる吸収・放射の影響を考慮した路面-人体スケール物体間のふく射伝熱解析を行った結果を報告する。解析モデルは「路面」,「街路空間中のふく射性ガス」,「人体スケール物体」により構成され,日射を無視した際の人体スケール物体へ入射するふく射熱流束に着目した.ふく射性ガスとして水蒸気および二酸化炭素を考慮し,統計狭域バンドモデルにより単色吸収係数を求め,モンテカルロ法により放射・吸収挙動を非灰色解析した。解析スケール,路面温度,ふく射性ガス濃度および気温をパラメータとする解析によりふく射性ガスが及ぼす影響を明らかにした.ふく射性ガスの影響は解析スケールが大きくなるほど顕著になり,解析スケールが20m以上になると,ふく射性ガスを考慮した場合の解析結果は考慮しない場合よりも120〜160W/m^2ほど人体スケール物体に入射するふく射熱流束が大きくなり,日射を除く全入射ふく射熱流束の約50%をふく射性ガスから受けることが示された.また,路面から人体スケール物体へのふく射はふく射性ガスによって約30%が吸収されることが示された.現在および2100年頃の気温,相対湿度,二酸化炭素濃度を各「35℃,66%,400ppm」「40℃,66%,800ppm」として解析を行った結果,人体スケール物体に入射するふく射熱流束に顕著な差は生じなかった.さらに,水蒸気の影響に比べて二酸化炭素の影響は極めて小さいこと,人体スケール物体の下部が路面からのふく射を強く受けるのに対し,上部はふく射性ガスからのふく射を強く受ける傾向があることが示された.