著者
神谷 浩夫
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.247-258, 1983-12-20 (Released:2017-05-19)
被引用文献数
4
著者
登別地域大会実行委員会
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.352-357, 2020

<p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;2019年10月26日(土) ・27日(日) の両日,経済地理学会登別地域大会を開催した.26日は,登別温泉第一滝本館を会場に,シンポジウム「道内観光地の将来展望―交通体系の変化を見据えて―」を行い,学会関係者や地元自治体関係者など45名が参加した.開会の趣旨を説明した後,登別現地からの報告や新幹線延伸と地域への影響に関する報告,他地域の事例としてニセコの観光実態に関する報告が行われた.その後,今後の登別観光のあり方などについて,活発な討議が行われた.シンポジウム後は,そのまま第一滝本館での懇親会・宿泊とし,翌27日は,登別市と白老町において,論点に関わる観光拠点のエクスカーションを実施した.24名の参加であり,各施設での担当者からの解説と活発な議論が行われた.</p>
著者
森川 洋
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.119-134, 2007-03-30 (Released:2017-05-19)

郡制度を欠くわが国では町村と市は対等に扱われるため,財政能力の低い町村は地方交付税の削減の中で,「平成の大合併」に組み込まれざるを得なかった.これに対して,郡の機能的支援によって特別市と対等の立場に立つドイツの市町村は,これまで市町村連合を形成しながらも,小規模市町村が自立し,「市民に身近な政治」を維持してきた.しかし今日,市町村の郡納付金や州からの基準交付金に依存する郡の財政は,州からの任務委託の増大によって著しく悪化してきた.各州では郡の機能改革が計画され,メクレンブルク・フォアポメルン州のように,郡の地域改革に着手しているところもある.
著者
小栁 真二
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.303-318, 2018

<p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;札幌市・仙台市・広島市・福岡市の4市は,三大都市圏に次ぐ居住・経済・政治の機能集積を有し,地方ブロックの中心的地位にある地方中枢都市として,しばしば一括して扱われてきた.しかしながら近年の社会・経済指標によれば,福岡市は他の3市と比べて顕著な集積を示し,この群から抜け出しつつある. <BR>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;本稿ではまず,福岡市の成長が顕著な人口について,その主な増加要因である国内の人口移動に着目して分析した.福岡市における就職期の転入超過は4市のなかで最も大きく,就職期に大きい東京圏への転出超過が縮小傾向にある.このような人口移動を支える要因として,所得機会の存在に加え,居住地としての魅力の高さが重要と考えられる. <BR>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;支店経済と並び福岡市の経済的中心性を特徴づけてきた商業機能については,九州新幹線博多~鹿児島中央間全線開業を契機に大型商業施設の出店が続いているにもかかわらず,その広域中心性は低下している可能性がある.代わりに,近年顕著な伸びを示しているのがMICEや訪日外国人の受け入れなど集客機能であり,市経済の新たな牽引役となることが期待されている. <BR>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;さらに,支店経済からの脱却を目標に,福岡市ではスタートアップ企業の支援に力を入れている.ただし,取り組みは端緒についたばかりであり,将来の市経済の牽引役となる企業が現れるか,また規模拡大時にも福岡市に立地し続けるかは,現時点では未知数である.</p>
著者
土谷 敏治
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.111-135, 2013

本稿では,地方鉄道が第三セクター化される際の課題や問題点について,ひたちなか海浜鉄道を事例として検討した.具体的には,利用者に対して,乗降駅と乗車券の種類を特定した旅客流動調査を実施するとともに,属性,利用目的・利用頻度などの特色,同鉄道に対する評価について,利用者アンケート調査を実施した.また,市民の認識・評価については,市域全体を対象に市民アンケート調査を実施した.その結果,同鉄道は,勝田・那珂湊間の利用者が全利用者の半数程度を占め,とくに勝田乗降客の半数以上はJR線乗り継ぎ利用者で,その最大の目的地が水戸であることから,JR線をはじめとする地域の交通機関の連携が必要である.とくに,施設などハード面だけでなく,運行ダイヤや運賃制度などソフト面も含めた連携が重要であり,ヨーロッパにみられる運輸連合の導入が将来的な課題である.利用の中心は,沿線居住者や沿線に立地する高校への通学者で,それら利用者の利便性向上が重要であるが,土・休日を中心に相当数の観光客の利用がみられ,地方鉄道にとっては観光利用促進も経営上の課題である.市民の評価では,沿線と沿線以外で地域差はあるものの,財政的支援,今後の存続ともに市民の支持がえられていることが明らかになった.その背景には,広報紙や一般紙を通じた市民に対する行政の積極的な広報活動があり,その継続が求められる.このようなひたちなか市の事例は,公共交通機関の存廃問題を抱える多くの地域で参考になるだろう.
著者
山田 浩久 宮原 育子 櫛引 素夫 林 玉恵 山口 泰史 初澤 敏生
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.237-247, 2020

<p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;本稿は,2020年8月8日の13:30~15:00に「Post COVID-19に向けた東北の観光戦略」をテーマにオンラインで開催された北東支部例会の報告である.参加者は北海道から九州まで,非学会員を含めて41名を数えた.広域からの参加が認められたことは,Post COVID-19に対する関心が地域を選ばないことの現れであると思われるが,それを支部例会で議論することができたのはオンライン開催のメリットである.会場では,東北地方を対象にして,震災復興事業とCOVID-19対策の両立,国と県の施策のずれ,航空機と新幹線への影響に関する報告があった後,東北地方のインバウンド旅行に大きな影響力を持つ台湾の観光情勢について報告がなされ,総合討論において活発な意見交換が行われた.</p>
著者
長沼 佐枝 荒井 良雄 江崎 雄治
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.310-326, 2008-12-30 (Released:2017-05-19)
被引用文献数
3

1970年代以降,地方中核都市は急成長を遂げ,現在も人口が増加し続けている.それに伴い深刻な住宅不足に陥ったが,大都市圏のように一定期間に集中した人口増加は経験していない.したがって,地方中核都市の郊外では,同じ年齢層の住民が多数入居せざるを得なかった大都市圏の郊外とは,異なる人口高齢化の様相を示す可能性がある.本稿では福岡市を事例に,地方中核都市の郊外においても,大都市圏と同様のメカニズムで高齢化が進むか否かを実証的に検討する.また人口維持の面から住宅地の持続可能性について考察を行う.福岡市の高齢化は2000年には都心において進んでいたが,2015年には郊外において急速に進行すると予測される.中でも高齢化の進行が著しいのが,1970年代に丘陵を切り開いて造られた,縁辺部の住宅地である.ここでは,第二世代の地区外転出が進んでいることに加え,離家した第二世代が第一世代の近隣に戻ってくる可能性が低いことも確認された.このような住宅地に,新たな住民が大量に転入するとは考え難いだめ,いずれ高齢化が進むと考えられる.また福岡の事例からみて,地方中核都市の郊外においても,第一世代の定住による加齢と第二世代の地区外転出により,地区の人口高齢化が進むという大都市圏と同様のメカニズムが顕在化する可能性が高い.さらに,こういった住宅地は,地区内の土地の勾配や公共交通の利便性に問題があることから,大都市圏,あるいは地方都市の平地上の住宅地と比べて,第一世代が単独で生活できる期間が短くなる可能性がある.
著者
森川 洋
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.177-188, 2020

<p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;国勢調査(2015年) を用いて,主として大都市の年齢階級別人口移動を分析した結果,東京特別区を除く5大都市もそれぞれ関係圏をもつとともに,全国の主要都市から若年人口を吸引し,東京特別区に対して人口を供給する「吸水ポンプ」の役目を果たすことが確認された.5大都市に属する横浜市,京都市,神戸市も広い関係圏をもち,比較的多くの地方都市から人口を吸引するもので,単なる衛星都市ではない.また5 大都市と広域中心都市(福岡市 ,仙台市,札幌市)は東京特別区に大量の若年人口を供給するほぼ同一階層の都市といえる.東京特別区では全国から大量の若年人口を吸引しており,その他の年齢階級人口は排出しても,人口の一極集中が是正される方向にはない.</p>
著者
安倉 良二
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.173-197, 2007
被引用文献数
1

本研究は,地方中小都市における中心商店街の再生について,愛媛県今治市の仲間型組織である「今治商店街おかみさん会」(以下,今治おかみさん会)を事例に選び,その設立背景となる商業環境の変化と活動実態の分析から考察を進めた.高度経済成長期に工業の好況を背景に隆盛を極めた今治市の中心商店街は,1990年代後半以降,大店法の運用緩和に伴う郊外地域での大規模な商業集積の形成としまなみ海道開通の影響を受け,その衰退が決定的となった.今治商工会議所,今治市役所,今治商店街協同組合は大規模な再開発構想や空店舗対策など,様々な再生策を打ち立てたが,その多くは不調に終わり,中心商店街の再生は行き詰まりをみせていた.このような状況からの打開策として,松山市で女性による商店街のまちづくりに関する実践を知った今治市役所商工労政課の提案を受けて2000年11月に設立されたのが今治おかみさん会である.今治おかみさん会は,既存の商店街組織である今治商店街協同組合とは独立しており,話題性の高い共同事業を独自で継続的に展開することで中心商店街の再生に寄与する組織のひとつとなっている.しかし,行政からの補助金削減と会員店舗の減少により,今治おかみさん会の運営は厳しい状況にある.今治市の事例からは,商業活動の衰退が進む地方中小都市の中心商店街では,規模の縮小を前提に,既存の枠にとらわれない仲間型組織が再生の一翼を担う可能性をもつことが明らかになった.
著者
外川 健一
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.241-255, 1994-09-30 (Released:2017-05-19)
被引用文献数
1

本稿では日本におけるリサイクルの現状を, 特に古紙と鉄屑を事例に考察した. 古紙卸売業の立地は, 人口及び出版・印刷業が集中している首都圏のシェアが大きい. 鉄屑卸売業の立地は古紙に比べて, 西日本のシェアが高いが, これは「再生業」たる電炉メーカーの立地に大きく起因している. 製紙工場の立地展開は, 一貫して木材資源を求めてのものであったが, 将来的に古紙を原料とする「古紙」立地の可能性は小さい. これに反し電炉の立地は, 現在も鉄屑の発生しやすい都市・工業地帯の周辺に集中している. 再生原料の空間移動に関しては, 新聞古紙に相当の広域移動が観察でき, 段ボール古紙の方は, 幾分移動が限定されている. また鉄屑は古紙の場合に比べて域内で消費されている. ところで廃棄物問題が顕在化している今出再生資源や廃棄物の空間移動を的確に把握したうえでの「国土」の適切な利用方法の検討が, 重要な課題であるといえよう.