著者
西村 博行
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学農学部紀要 (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.79-93, 1999-03-31
被引用文献数
1

バングラデシュでは季節的に形成される氾濫原を利用して農業とか漁業が営まれ, それらと関わりながら生活の営みがなされている。本稿ではまず, 洪水に伴って形成される氾濫域の状態と, 内水域における内水面漁業を国全体の視点から素描する。次いで, 漁村の経済的活動を明らかにするため, 国を縦貫して流れるメグナ河流域に位置するコミラ県と, その支流域に位置するブラーマンバリア県の漁村を調査対象地として選定し, 個別世帯の経済調査と漁業ならびに生活についての意向・意識調査を1996年9月と1997年3月に実施した。調査は, 漁業だけでなく, 地域内には農業を営む世帯も多いので土地利用と農業生産についても調査し, これらの村の概要と, そこで生活する人々が従事する生業と生活の営みにおいて直面する諸問題の内容を探り, 今後の開発・発展において改善が望まれる政策課題を示すことを試みた。調査結果からは, 同じ氾濫原にあっても2地区として共通あるいはそれぞれの特徴として以下の諸点が明らかになった。(1)漁業に就業できる機会が多い下流域という立地条件(ダウドカンディ)の漁業者の収入は高く, 漁業に就業する機会が限定される漁業専従者や農業を営む土地を所有・耕作している上流域(ブラーマンバリア)での世帯の収入は相対的に低い。(2)両地区ともヒンドゥ住民はイスラム住民に比べると農地や漁船・漁具などの資本装備が劣っているので, 前者の収入は後者のそれに対して相対的に低い。(3)上流域の氾濫原に位置する地区では, 専ら漁業に従事する世帯の資本装備は零細であり, 彼等の1世帯当たり収入は, 農地を所有・耕作している中農の収入に比べると低く, 生活水準も低い水準に留まっていることが明らかになった。(4)両地区の漁業と水域に関わる問題点として, 漁業生産の減少だけでなく, 環境の汚染が広がっており, それらの防止に努め, 魚・エビなどの増殖・配布に対する支援措置が要望されていた。
著者
三柴 丈典
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大學法學 (ISSN:09164537)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.82-29, 2006-12-30

本文データは, CiNiiから複写したものである。
著者
松井 和幸 堀端 章
出版者
近畿大学
雑誌
Memoirs of the School of Biology-Oriented Science and Technology of Kinki University = 近畿大学生物理工学部紀要 (ISSN:13427202)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.7-12, 2005-09-30

筆者らは、イネに内在するトランスポゾンmPingの転移を利用して挿入突然変異体を作成し、これを用いたイネの遺伝子機能解析を進めている。トランスポゾンディスプレイはmPingの挿入位置に関する多型を網羅的に検出する優れた方法であるが、ゲノム内に散在するmPingのコピー数が著しく多い場合には増幅される断片を減らす必要がある。そこで、本研究では、mPingによるトランスポゾンディスプレイにおいて、アダプタープライマーの3'末端に付加した選択塩基が増幅産物の数を減らす効果を検証した。その結果、1塩基を付加した場合には増幅産物の選択が正常に行われるが、2塩基を付加した場合には擬陽性シグナルが生じるため、正常な選択が行われないことが明らかとなった。
著者
中井 大介
出版者
近畿大学
雑誌
生駒経済論叢 (ISSN:13488686)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.249-272, 2008-03

ヘンリー・シジウィックは,ベンサムやJ.S.ミルに続く「功利主義の伝統の直接的系譜にある最後の哲学者」として知られている。彼の『倫理学の諸方法』についてはこれまでに多くの研究がなされているが,『経済学原理』,『政治学要論』およびこれら著作の相互関係については十分検討されていないのが現状である。本稿の目的は,以上の三著作を通じてシジウィックの功利主義を考察すること,さらには倫理学・経済学・政治学から構成されるシジウィックの哲学体系のパースペクティブを描くことである。
著者
興津 裕康
出版者
近畿大学
雑誌
生駒経済論叢 (ISSN:13488686)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.95-105, 2004-04-25

本稿は,会計教育の観点から企業会計原則を考えようとするものである。企業会計原則を遠い昔の遺物と考えている人もいれば,未だ大きな存在意義を持っているとみている人もいる。企業会計原則それ自体は,大きく変わる経済的環境に十分対応できなくなり,その結果,国際会計基準などを考慮して多くの会計基準が公表されている。しかしながら,わが国の会計学,会計制度,会計教育の近代化は,企業会計原則に由来しているということを事実として受け止めなければならない。たしかに,会計基準が多く公表されている現在,会計基準が企業会計原則にみる処理基準に代わって機能している一面がみられる。しかしながら,あくまでも,企業会計原則にみる考え方を否定するものではない。たとえ,新しい会計基準が出てきても,会計教育のエッセンスは,この企業会計原則から出ているということができる。