著者
田中 美佐
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学短大論集 (ISSN:03867048)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.78-86, 2003-12

唐代に記された陸羽『茶経』は、中国初の茶書として挙げられる。そこに記される内容は茶の効能・製造・道具・入れ方・飲み方・歴史ほか非常に詳細な記述がみられるが、茶の精気を大切にし、それゆえ製造もきちんと最良に行なわれることを求め、その茶を飲む人物に対しても「精行・倹徳の人」という中身を求めるなど非常に精神性の高い書である。ところで、『茶経』において茶と人参、越州窯と邪州窯とを比較する際の陸羽の文章をよく読んでいくと、陸羽自身の南方に対する愛着・自負の意識が非常に強い事を感じ、陸羽の意識の中では、それが南方の北方に対する優位性にまで昇華している点が指摘できるように思う。この点については、従来言及されていないので本稿において考察した。 (英文) Luyu's Chafing, the first known book in China to be devoted to tea, elaborates on a wide range of subjects related to tea, such as its beneficial effects, production processes, utensils used in tea preparation, history, and how to prepare and enjoy the drink. It is a highly spiritual book: valuing the "energy" of tea, Luyu emphasizes the importance of precision in production processes, and proposes that tea-drinking people have the virtues of benevolence and simplicity. In this article, I point out that the way Luyu comparers tea with ginseng, and Yuechou with Xingchou porcelains, reveals his strong attachment to, and his confidence in, southern China. This suggests that Luyu believes that southern China is culturally superior to northern China. The point has never been discussed so far, and therefore I find it meaningful to study it here.
著者
菊川 徳之助 永田 靖 瀬戸 宏 鈴木 公子 山下 純照 熊谷 保宏
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

演劇教育の実態調査を、目本演劇学会の会員を対象に、3度にわたって行ない、その分析を試みた。さらにはインターネットのホームページその他で、演劇教育関連科目の情報を集め、これを整理、分析し、演劇教育の実態を探る試みを行なった。また、演劇教育の方法を構築するための内容探求のため、科研費研究メンバーでの研修会を持ち、さらには、規模を大きくした演劇教育コロキウムを2年にわたって開催した。(1)2003年度には、8月に演劇教育の事例報告を中心にした研修会。大学演劇教育を考える基礎がためのため、10月と翌年1月に、宝塚北高校、神奈川総合高校の現場で2校の演劇教育の実際を材料に研修した。そして2月に演劇教育のコロキウムを開催した。大学演劇教育においては、演劇専攻を設置する大学と設置しない大学、あるいは、実技科目を設置する大学と設置しない大学、などの多様な軸を見据えて討論した。(2)2004年度は、8月に演劇教育の研究を深めて行く更なる方法の討議を行なう研修会を持ち。12月に、演劇教育を専門とする大学の授業と普通授業に演劇的手法を用いた演劇授業の2つの大学における演劇教育の現場を材料に研修会を行なった。そして、昨年度に続いて演劇教育コロキウムを3月に開催した。第1部は、「外国における演劇教育研究」で、<英米およびポーランドの高等教育機関における演劇教育とその研究をめぐって>を、第二部では、12月に研究対象とした2つの大学の演劇教育の姿を討論材料に討議を進め、第三部では、<これからの演劇教育>のタイトルのもとで、イ)学部に演劇教育の専門コースを設置し、尚且つ実技を伴う授業を設置。ロ)学部に演劇教育の専門コースを設置するが、理論(座学)中心の演劇教育を設置、などの5つのタイプをもった大学の演劇教育の姿の基に討議するコロキウムを行なった。これらの成果は、来年の「日本演劇学会紀要」にまとめる計画である。
著者
木村 有寿
出版者
近畿大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

ネットワークを通して業者と利用者,あるいは利用者間で座席の取引をリアルタイムに行うことを想定した座席予約に関する新たなビジネスモデルを提案し,その提案モデルに対する最適な取引を行うための座席予約システムの構築と運用を行った.具体的には,提案ビジネスモデルに基づく座席取引を想定した座席予約システムの運用シミュレーションにより,座席割当システムで使用する個体分裂アルゴリズムのチューニングを行った.チューニングは,個体分裂アルゴリズムにおける座席割当に関する部分を中心に行い,座席割当の最適解を求めつつ,座席割当の速度を上げることを可能にした.この過程において,個体分裂アルゴリズムは従来の手法に較べて規模の大きな組み合わせ最適化問題に使用することができるものの,適用する個々の問題に応じて行われるヒューリスティックな設定が計算の精度や速度を決定する大きな要因となり,その使用に関しては適用する問題への十分な理解が要求されることが再確認された.システムのチューニング終了後,学内ネットワーク上の40台のコンピュータを用いた運用試験を行った.ただし,今回のシステムでは,システムの安全性確保や利ざやによる利益の確保のみを目的とした不健全な座席の取引を排除する目的から,サーバ間の座席予約情報の受け渡しを一部人的な対応により行った.運用試験の結果,システムの安定的な運用に問題は生じず,小規模システムにおいては,十分に実用化が可能であることを示した.
著者
今井 喜胤
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

一般的手法により、左回転の光を出す円偏光発光(CPL)発光体、右回転の光を出すCPL発光体を得るには、有機合成的手法を用い、分子構造のどこかに、それぞれ右手と左手の関係にある不斉炭素([R]および[S])などの導入が必要である。本研究では、有機合成的手法をできるだけ回避し、光学活性な発光性分子を、各種物性を有する有機あるいは無機マトリックス中にドーピングすることにより、光の回転方向の制御に成功した。
著者
津田 忠雄
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学健康スポーツ教育センター研究紀要 (ISSN:1349175X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.27-40, 2003-07-31

[Abstract] This research focused on apparent existence of the antipodal personality in the sport events, which is utterty different from the athlete's usual self-recognized personality. The author considered antipodal personality of the athlete as "two-sidedness of the athlete's personality". An awareness survey and "TSPS (Two-Sided Personality Test)" ware performed and the results were analyzed. "Two-sidedness of the athlete's personality" was recognized among majority athletes. It became obvious that "two-sidedness of the athlete's personality" was antipodal, however, co-existing, complementing and influencing each other. In other words, the "two-sidedness of the athlete's personality" was antipodal but continuous while they were contradicted. The "two-sidedness of the athlete's personality" was found to be co-existed and self-controlled. Moreover, the research found that many athletes naturally accepted the "two-sided personality" without any conserns. The research also indicated that the athlete's personality was grasped more dynamic and vivid through referring to the athlete's "two-sided personality".
著者
吉川 賢太郎 岩崎 はるみ 久保 美帆 福本 紘一 島田 豊治 撫井 賀代
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学農学部紀要 (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.27-34, 2008-03

[Author abstract] Ume liqueur (alcohol 14%, sugar 20%, Ume extract 30%), a traditional Japanese marketed liqueur from Prunus mume, was examined for its effect on blood pressure and influence on serum lipid levels in 5 healthy volunteers (mean age ± SD of 36.2 ± 13.5 years). The volunteers drank 100 ml of the Ume liqueur daily for 12 months and were observed for that period and for a 6-month follow-up, during which they did not drink the Ume liqueur. The systolic blood pressure decreased significantly from 126.0 ± 12.6 mmHg to 116.6 ± 14.6 mmHg after 10 months. The diastolic blood pressure also decreased but not significantly. When mean blood pressure was calculated, the systolic and diastolic values decreased significantly after five and six months, respectively. The total serum cholesterol levels tended to increase for 8 months, but thevalues did not change significantly. The serum HDL- cholesterol levels( before drinking: 62.8 ± 24.0 mg/dl) had increased significantly by 4 months (67.4 ± 21.0 mg/dl). During the period of drinking of Ume liqueur, body mass index, the other indexes of serum-biochemistry, blood examination and urinalysis did not change, and no adverse effects were observed in the experiments. Based on these findings, the possibility of marketing Ume liqueur as a functional food is suggested.[まとめ]一般的な市販食品の機能性を活用することによって成人の健康保持増進を行なうことを目的として本研究を行なった。健常者5 人を対象に,1日100ml の市販梅酒を12 ヵ月間飲用させ,血圧及び血清脂質に与える効果を観察し,その後6 ヵ月梅酒を飲用せずに経過観察して,以下の結果を得た。1. 糖分20%を含む市販梅酒を継続して飲用したにもかかわらず,BMI の変化は認められなかった。また,血糖値,HbA1C にも観察期間中には異常は認められなかった。2. 収縮期血圧は,飲用3 ヵ月後から低下傾向を示し,10 ヵ月後には有意に低下した。拡張期血圧は,飲用4 ヵ月後から低下傾向を示した。平均血圧を算出すると,飲用5,6 ヵ月後に有意に低下を示した。3. 血清総コレステロール値は,飲用期間中には有意な変化は認められなかった。血清HDL-コレステロール値は,飲用1 ヵ月後から増加傾向を示し,5 ヵ月後から有意に増加した。飲用停止3 カ月後には飲用前値とほぼ同値まで低下した。4. 肝機能への影響は,AST,ALT,γ-GTP を観察したが正常値の範囲であった。血液生化学的,血液学的パラメータ及び尿検査項目にも観察期間中には変化は認められなかった。記事区分:原著
著者
田尻 尚士 松本 熊市 友松 和子
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学農学部紀要 (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.157-168, 1972-03-15

[Author abstract]The most important point of jelly making is a rate of combination of pectin, acid and sugar, also temperature of heating and the period of heating time. A jelly of good quality is made by the heating of 103°~105℃, and 20~30 minutes of time. The conbination of optinum condition is said to be as folows; Sugar:65~70%,total Acidj0.5~1.0% as pH 3.0-3.4.and 0.5~1.0% of Pection. The heating temperature and the heating time have influenced on the rate of conbination of sugar, acid and pectin. In case of high concentration of sugar, jelly coagulate in a short time but lack in flexibility and become opaque uneven, more over, if sugar is saturated in the solution, sugar crystal will be found in jelly. In low sugar concentration, the jelly will coagulate after long heating and as the result of the product would be caramelized. In high concentration of acid jelly is clear, transparent and elastic but it has high acid taste, if low acid concentration jellying is slow and the product is cloudy. In high concentration of pectin, the action of coaguration is promoted but product is opaque and lacking in flavour and flexibility, and some what jam like. If low concen tration of both acid and pection, jellying is difficult. A good quality of jelly is made at about pH3.4 and low as pH 2.0 and less, a jelly shows coagulation but after few month syneresis will occur. Moisture content in good jelly is about 43%.[要約]ゼリー製造において最も大切なことは、糖、酸、ペクチンの配合割合である。良質のゼリーを得るには、加熱温度:103~105℃、加熱時間:20~30分、糖:65~70%、酸:0.5~1.0、ペクチン:0.5~1.0%が最適条件である。加熱温度と時間は、糖、酸、ペクチンの配合割合とJelly-Stock中の水分含有量によって左右される。特に糖濃度によって大きく影響される。温度と時間は逆比例の関係となる。糖添加量が高いと、短時間で凝固するが、製品は弾力性に乏しく、不透明な不均質ゼリーとなる。若し、砂糖が飽和点以上に達すると、ショ糖の結晶が現出する。糖濃度が低い場合、高温、長時間をかけても凝固せず、Jelly-Stockはカラメル状となる。酸濃度が高い場合、透明で鮮明な、弾力性に富んだゼリーとなるが、やや酸味が強い。酸濃度が低い場合、ゼリー化が困難で、濃縮に長時間が必要となり、鮮明度の低い、弾力性に乏しいゼリーとなる。ペクチン濃度か高いと、ゼリー凝固は促進されるが、不透明、弾力性に乏しく、風味、芳香不良なジャム状のゼリーとなる。酸、ペクチン濃度が低い場合、特に酸濃度が低い場合、ゼリー化は困難で、長時間の加熱が必要である。糖濃度が高ければ、ペクチン、酸濃度がやや不足しても、ゼリー化は不能であるが、弾力性に乏しく、不透明なゼリーとなる。最良のゼリーを製造するには、加熱温度105℃、加熱時間25分、糖65%、酸1.0%、ペクチン1.0%位の製品となるよう、ゼリー基液を調整することが最良であると思われる。 pHは3.4前後が良質ゼリーの特長で、pH2以下では、酸味が強く感じられる。水分含有量は、34%前後が最良である。
著者
安藤 ひとみ 飯塚 久子 光永 俊郎
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学農学部紀要 (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.51-54, 1992-03-15

(1)米穀粒中のプロラミン画分の分布は,外層部に多く中心部にゆくにしたがって減少した.しかしその分布には抽出溶媒に,70%エタノールを用いるか,55% η-プロパノールを用いるかで差異があった.(3)米穀粒の層別のプロラミン画分のSDS-PAGEによる泳動像には,外層部と内層部間に差異が認められなかった.(3)用いた5品種の玄米のプロラミン含量は品種間で差異が認められ,特にコシヒカリは他の玄米に比較して,プロラミン含量は約1/2であった.(4)玄米のプロラミン画分のSDS-PAGEによる泳動像に品種間で差異が認められた.
著者
林 真貴子
出版者
近畿大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、1930年代初頭の農山漁村経済更生運動下でおこなわれた、農村で組合を形成して負債を整理するという問題解決の方法およびその法過程について検討することである。具体的には、1933(昭和8)年に制定された農村負債整理組合法(昭和8年法律第21号)の施行過程において、組合形成の母体となった農業集落としての「むら」が負債整理の法過程において果たした役割と「組合」を用いた問題解決の方法、さらに同時期に実施された金銭債務臨時調停法(昭和7年法律第26号)との関係を調査・分析した。本年度は、国立国会図書館、法務図書館、国立公文書館および県立市立公文書館等における資料収集を継続した。収集した資料は、おもに各道府県における負債整理組合法の施行細則、実施手引書等、農村(都市)生活改善運動の啓蒙文書、京都地方裁判所や神戸地方裁判所における各種調停法施行時の統計、同法の実態調査等に関するものである。農村負債整理組合法は無限責任の負債整理組合を隣保共助の精神に則り、生活共同体の単位で設立し、債権者も債務者もまたいずれでもない人もすべてが組合員となって、負債の整理を目指すところに特徴がある。組合は、組合員の負債整理計画を検討し、償還方法その他条件の緩和に関する協定を斡旋し、組合員(債務者)に対する負債整理資金の貸付を行なう。この新たな貸付に対して組合員は無限責任を負うことになる。政府は、昭和恐慌期の負債については、「善良なる債務者の更生」のために、農村では生活共同体単位で無限責任を負わせて(条文上は有限責任組合の設置も認めているが)、負債整理を断行するとともに、都市部の小額(訴額千円以下)の紛争については、裁判所が関与した調停手続によって債務者保護に資する解決を図った。農山漁村経済更生運動から続く農村資金計画は、土地、資本、労力の分配の適正、生産販売購買の統制を、各種組合を通じて行なっていった。農業金融の合理化によって負債の固定化を防止しようとした。このような組合方式による負債整理と近代法とのかかわりについて、本研究では収集資料に基づいて分析した。その結果は論文として公表する。
著者
来田 秀雄 河合 章
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学農学部紀要 (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.31-38, 1985-03-15
被引用文献数
2

大阪湾南港岸壁に接した約7万m^2の水域に厚さ約50cmの覆砂が行れたので,その後の砂質の季節的変動について調査を実施した。その結果,海底から約10cm以深の砂質は,3年間経過後も清浄に保たれていること,夏季表層部の底砂は他の近隣水域と同様に著しく悪化するが,秋季から冬季にかけてきわめて清浄な砂質に変化すること等が明らかになった。これは,秋季以後本水域では波浪が卓越し,夏季に堆積していた有機物などが,底層水の流動によって底砂から洗い出されるためと考えられる。
著者
向井 泰二郎 人見 一彦
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学医学雑誌 (ISSN:03858367)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.311-315, 2000-12-25

遺産相続を契機として, 被害関係, 被毒, 対話性幻聴, 宗教的実態的意識性, 「霊」あるいは「犬」の憑依状態を主症状とした遅発性精神分裂病の一例を報告した.被害関係, 被毒, 対話性幻聴による不安の中で, 「霊」が乗り移り, さらには被害関係, 被毒, 対話性幻聴による不安状態を救うかのように, 願望充足的に実態的意識性として「氏神」が体験され, この「氏神」によって守られるといった宗教的色彩のある病的体験へと変化した.ついで「犬の憑依」を体験し, 犬に憑依することにより「氏神」に祈りをささげるといった宗教儀式を毎日行うことによって, 妄想世界と現実世界との二重記帳を完成させ, 不安は軽減し精神状態は安定した.本症例を通して, 精神分裂病者の宗教的体験, 実態的意識性, 憑依状態への症状変遷とその精神病理学的意味について考察した.さらに本症例に見られた憑依状態に基づく宗教儀式を精神病理学的および民俗学的に考察することにより, 日本人の無意識に潜む古代の心性に触れた.
著者
村上 明
出版者
近畿大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

マクロファージなどの白血球によるNOの過剰産生が発がんの危険因子であるとの考えのもとに、食用植物抽出物のNO産生抑制活性スクリーニングを行った。総計48種(60試料)のメタノール抽出物を試験した結果、200μg/mLの濃度において、アボカド、コマツナ、バジルなど17種(全体の28%)に70%以上の高いNO産生抑制活性が認められた。これらの抑制活性は、NO消去ではなく、iNOS誘導系の阻害と示唆された。ついで、タイ国産のコブミカン(Citrus hystrix DC)の果実より活性物質を検索し、クマリン関連物質のbergamottinが単離できた。bergamottinはRAW264.7細胞において高いNO産生抑制活性(IC_<50>=14μM)を示し、この活性は合成iNOS阻害剤のL-NIO(IC_<50>=7.9μM)に匹敵するものであった。さらにクマリン関連物質のNO産生抑制活性に関する構造活性相関を、23種のクマリン類を用いて検討した結果、これらの活性発現には、プレニル基、あるいはゲラゲラニル基といったテルペン系側鎖が必要であり、さらにこの側鎖に水酸基などによる修飾が入ると活性は消失するという興味深い研究結果を得た。そこで、細胞内への取り込み効率を検討した結果、不活性なクマリン類はほとんど細胞内へ取り込まれず、側鎖への水溶性の賦与が活性の低減化をもたらすことが示唆された。
著者
林 芳男
出版者
近畿大学
雑誌
商経学叢 (ISSN:04502825)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.59-77, 1993-07-20
著者
神山 雅史 臼井 規朗 谷 岳人
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、家兎の耳介軟骨より作製した軟骨シートを用い、これを我々が開発したin vitroにおける回転培養法にて足場を用いない円筒状構造物として再生させた上で、さらに繊維芽細胞層、円柱繊毛上皮層という機能の異なる層構造を有する細胞シートを作製した。この細胞シート群を、種類の異なる細胞を層状に培養する目的で開発された細胞積層化技術を応用して、外層に繊維芽細胞層、中層に軟骨細胞層、内層に円柱繊毛上皮層を積層化し、回転培養法で円筒状の機能的構造体とすることを試みたが現時点では困難であった。本法によって機能的層構造を有した気管の再生が可能となれば、小児のように広範囲の気管を再生気管によって置換する治療法への道が開かれると考えられる。
著者
反田 美香
出版者
近畿大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

本研究では、完全WKB解析の・もとでGauss超幾何微分方程式におけるParametric Stokes phenomenaについて研究を行った。すなわちGauss超幾何微分方程式に大きなパラメータを導入した方程式で考察を行った。Parametric Stokes phenomenaは形式解であるWKB解のパラメータに関するStokes現象の解明を行うものである。大きなパラメータを導入しているためParametric Stokes phenomenaはパラメータを無限に飛ばした時の漸近挙動を解析するために重要な関係式である。また、前年度では非退化のStokes幾何ごとにVoros係数のBorel和を計算したが一部のみだった。そのためすべての場合でVoros係数のBorel和を計算し、関係性を考察した。この結果によりあるinvolutionでパラメータを移したときのParametric Stokes phenomenaを直接計算せず、この関係性を利用して導き出せることができた。さらに超幾何級数のパラメータを無限に飛ばした時の漸近挙動は交通流モデルや力学極限を考察するために必要である。よって完全WKB解析と超幾何微分方程式との関係が明らかになれば、Parametric Stokes phenomenaを利用することにより交通流モデルや力学極限など物理の研究の発展にも繋がると考えている。また、超幾何微分方程式におけるWKB解のalien derivativeについても研究を行った。このことによりWKB解のBorel変換はfixed singularityと呼ばれる特異点を持つことが確かめられた。このfixed singularityを避けながらWKB解のBorel和の解析接続を考察することによりWKB解のalien derivativeを導きだした。また、WKB解のalien derivativeの定義を利用してParametric Stokes phenomenaを導きだせた。Parametric Stokes phenomena、WKB解のalien derivativeいずれも先行結果はWeber方程式、Whittaker方程式についてであるので、不確定特異点を持っ方程式についての結果である。一方、自身の結果はGaussの超幾何微分方程式について考察しているため確定特異点のみもつ方程式について結果を得ている。この結果が自身の結果の重要な部分であると考える。
著者
日下 俊次 大島 佑介 不二門 尚 西信 良嗣
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

未熟児網膜症モデルマウスとコントロールマウスの遺伝子発現をリアルタイムPCR法によって包括的に検討した結果、炎症性サイトカインの発現上昇は網膜新生血管の発現前から消退後に至るまで上昇しており、一方、新生血管に関連する血管内皮細胞増殖因子、アンギオポイエチン-2に代表されるサイトカインは新生血管の発現の直前に上昇し、新生血管の消退とともに発現が低下していることが判明した。