著者
藤本 哲史 吉田 悟
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.66-78, 1999 (Released:2022-07-27)
被引用文献数
3

わが国において,ワーク・ファミリー・コンフリクトは急速に男女就業者共通の問題になりつつあるが,未だ十分に認識された問題とはいえない.本稿では,まずワーク・ファミリー・コンフリクトに関する心理学的アプローチと社会学的アプローチの特徴をまとめ,両者のハイブリッド化により問題の複雑さと広範さが明らかになる可能性を指摘する.続いて,ワーク・ファミリー・コンフリクトが経営組織に内包された問題であることや,コンフリクト緩和策には意外な盲点があることを示す.
著者
大平 剛士 藤本 哲史
出版者
The Japanese Association of Administrative Science
雑誌
経営行動科学 (ISSN:09145206)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.249-262, 2013 (Released:2014-08-01)
参考文献数
36
被引用文献数
1

In this study, we examine the impacts of monetary and non-monetary rewards on job satisfaction for home care workers in for-profit and nonprofit organizations. We test "the donative-labor hypothesis" (Hansmann, 1980; Preston, 1989; Rose-Ackerman, 1996) which argues that pay for workers in nonprofit organizations are lower than those for workers in for-profit organizations, while satisfaction with non-monetary rewards, along with their impact on job satisfaction, is significantly higher for workers in nonprofit organizations. The results from data analysis based on 390 workers in for-profit organizations and 47 workers in nonprofit organizations showed that those in nonprofit organizations worked for a lower level of pay in exchange for a higher satisfaction with non-monetary rewards and opportunities for training and professional development compared to their counterparts in for-profit organizations. We also found that satisfaction with those rewards and opportunities increased job satisfaction in nonprofit organizations. The implication of the findings and directions for future research are discussed.
著者
近藤 靖史 長澤 康弘 藤本 哲夫 田坂 太一
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.73, no.634, pp.1361-1368, 2008-12-30 (Released:2009-10-28)
参考文献数
8
被引用文献数
1 3

The insulation materials are used to improve thermal performance of buildings and their performance should be kept in required value during building life time, however long term change of thermal conductivity is observed for most of insulation materials. It is well known that the thermal conductivity of insulation foams increases with time due to the emission of the blowing agents from the insulation foams and the transfer of the air into them. In this paper, the aging of thermal conductivity in various insulation foams is discussed with measured data and numerical analysis. Two kinds of accelerated test are conducted and the aging characteristics of various foams are examined. The estimation equations of thermal conductivity change of insulation foams are shown and applied to the measured materials. The effective diffusion coefficient of the blowing agents is obtained by comparing the simulation results and the measured value.
著者
片山 訓博 大倉 三洋 山崎 裕司 重島 晃史 藤本 哲也 藤原 孝之
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Eb1236, 2012

【はじめに】 標高1000~3000mに居住する高地住民には,冠心疾患や高血圧症などの発生率が低く,長寿者が多いことが知られている.また,高地トレーニングが脂質糖質代謝の改善に有効なことが指摘されている.しかし,高地トレーニングや低圧低酸素環境下でのトレーニングを実現することは物理的,経済的に極めて困難である.また,低酸素環境における高強度のトレーニングは,重度の低酸素血症を誘発する可能性が高い.心疾患や肺疾患を合併することが少なくない中高年者の生活習慣病予防を目的とした運動としてはリスクが高い.近年,比較的簡易な装置を用いて常圧環境下で低酸素環境を作り出すことが可能となっている.もし,常圧の低酸素環境によって運動時のエネルギー代謝に好影響が与えられるとすれば,効果的なトレーニング環境が容易に実現できる可能性がある.本研究では,常圧低酸素環境における低強度運動時のエネルギー代謝応答を測定し,運動療法施行時の環境としての有用性について検討した.【方法】 対象は健常成人男性13名で平均年齢21.2(20―22歳),平均身長168.8±4.7cm,平均体重62.6±5.1kg,平均体表面積1.72±0.08m2であった.被験者は前日の夕食以降絶食として翌日の午前中に測定を実施した.研究の条件は,研究の条件は,常圧下での低酸素濃度環境(以下,低酸素)(酸素濃度14.5%,0.7atm,高度3,000m相当)および通常酸素濃度環境(以下,通常酸素)(酸素濃度20.9%,1.0atm)とした.低酸素は,藤原らの特許を用いた塩化ビニール製テント(容積4.0m3)と膜分離方式の高・低酸素空気発生装置(分離膜:宇部興産製UBEN2セパレーター,コンプレッサー:アネスト岩田製SLP-22C)を用いて設定した.各条件での測定は,先ず通常酸素条件で行い,その後1週間の間隔を設けて低酸素条件で実施した.両条件とも30分間の安静椅子座位後,嫌気性代謝閾値(以下,ATポイン)の70%定量負荷による自転車エルゴメータ運動(回転数は55回/分)を30分実施した.呼気ガス分析は,エアロモニター(AE-300Sミナト医科学製)を用いた.各データは安静開始から終了まで1分間隔で測定し,5分間毎の平均値で比較検討した.NU(尿中窒素排出量/分)は0.008g/分で一定とした.LOR(mg)=1.689×(VO2-VCO2)-1.943×NU,GOR(mg)=4.571×VCO2-3.231×VO2-2.826×NUで得られたLOR,GORは体表面積で補正した.統計学的手法は,Willcoxonの符号付順位和検定を用い,有意水準は危険率5%未満とした.【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には,研究の主旨・内容および注意事項について説明し,同意を得たのちに実験を開始した.【結果】 被検者のATポイント70%における自転車エルゴメータの負荷量は,47.5±5.3wattであった.LORは,すべてのstageにおいて低酸素条件より通常酸素条件が有意に高値を示した(p<0.05).GORは,運動時全てのstageにおいて低酸素条件が通常酸素条件より高値を示した(p<0.05).低酸素条件における運動時GORは通常酸素条件よりも平均で191.1mg/min/m2大きく,逆に運動時LORは,低酸素条件で平均37.5mg/min/m2小さかった.【考察】 低常圧低酸素環境への暴露後の運動が呼吸循環代謝応答に与える影響について分析した.GORは,stageにおいて低酸素条件が通常酸素条件より高値を示した.高地環境における低酸素血症では,ミトコンドリア内では有機的解糖が阻害されるため,ミトコンドリア脱共役タンパク質の減少で代償が図られる.それとともに,嫌気的解糖によるATP合成効率を増やしてATP不足を補う結果,グルコース利用が増加し,血糖値が低下する.結果として,インスリン分泌も低下し,インスリン感受性の改善がもたらされることが報告されている.今回の常圧低酸素環でも同様の効果によりグルコースが多く利用されたと考えられる.低酸素条件におけるGORは30分間の運動中平均は191.1mg/min/m2通常酸素条件よりも大きく,これは通常酸素条件のGORの27.5%に相当した.このことは今回の常圧低酸素設備でも,糖質利用が促進されることを示している.よって,常圧低酸素環は糖質代謝を促進する必要のある対象者にとって有益なトレーニング環境となる可能性がある.【理学療法学研究としての意義】 低圧低酸素環境では,安静時代謝の亢進および脂質代謝が改善され,より効果的な減量が可能であると報告されている.常圧低酸素環境においても同様の効果が生じる可能性が示唆され,生活習慣病や減量を目的とした理学療法を施行する時の環境として利用できると考える.
著者
藤本 哲也 井上 博 平野 俊一朗 内橋 賢二 西川 泰央
出版者
大阪歯科学会
雑誌
歯科医学 (ISSN:00306150)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.62-69, 2016

<p>ビスフェノールA(Bisphenol A;以後,BPA と略す.)は,歯科材料をはじめポリカーボネイトの原料として広く用いられている.BPA は環境ホルモンの1 つであり,エストロゲン様作用および抗アンドロゲン様作用を有する.前回我々はBPA の周産期曝露による性的二型行動への影響を報告したが,今回はBPA の情動行動への影響に着目した. 極微量BPA を妊娠期の母ラットに経口投与し,生まれた仔ラットの成長後に,うつ情動の評価法である強制水泳試験を実施,さらに環境ストレスに対する脆弱性を調べる目的で独自の評価法を考案し,捕食者であるキツネのニオイに対する回避行動を調べた. 強制水泳試験において,BPA 曝露によりimmobility 時間が有意に延長し,swimming 時間は減少した.また回避行動では,BPA 曝露群のみがキツネのニオイに対して有意に回避した.BPA 曝露ラットのうつ様行動亢進は,その背景としてキツネのニオイのような環境ストレスに高感受性状態に起因することが示唆された.</p>
著者
片山 訓博 大倉 三洋 山﨑 裕司 重島 晃史 酒井 寿美 栗山 裕司 稲岡 忠勝 宮﨑 登美子 柏 智之 藤本 哲也 藤原 孝之
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.357-361, 2012 (Released:2012-09-07)
参考文献数
10
被引用文献数
1

〔目的〕常圧低酸素環境における低強度運動時の呼吸循環代謝応答を測定し,エネルギー代謝に与える影響について検討した.〔対象〕健常成人男性13名.〔方法〕通常酸素濃度条件(1.0 atm,酸素濃度20.9%)と常圧低酸素条件(1.0 atm,酸素濃度14.5%)を設定した.両条件下でATポイントの70%負荷による自転車エルゴメータ運動を行った.実験中,酸素飽和度,心拍数,呼気ガスデータを測定した.〔結果〕低酸素条件では,通常酸素条件に比べ,運動時心拍数,分時換気量が有意に高値を示した.低酸素条件は,通常酸素条件に比べ,脂肪酸化率は有意に低かった.逆に,ブドウ糖酸化率は有意に高く,エネルギー代謝は亢進していた.〔結語〕常圧低酸素環境下の運動によって,糖質利用が促進される可能性が示唆された.
著者
藤本 哲也
出版者
明治大学法律研究所
雑誌
法律論叢 (ISSN:03895947)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.235-271, 2005-02

二〇〇三年十二月三一日現在の統計に依れば、世界の刑務所人口は約八七五万人以上と推計されてる。アメリカが約二一六万人、中国が約一五八万人、ロシアが約一〇〇万人であるから、この三力国だけで世界の刑務所人口の半数をはるかに超えることになる。特にアメリカの刑務所は、危機的状況にあると言っても過言ではない。なぜならば、年間三万人から四万人の受刑者人口の増加が見られるからである。しかしながら、世界で最も犯罪が少ないと書われた我が国においても、刑務所が過剰収容状態にあることは周知の事実であり、このままで推移すれば、我が国の刑務所においても、過剰収容ゆえに、暴動が起きる危険性さえあるのである。本稿においては、我が国がそうした事態に陥らないためにも、イギリス、アメリカ、カナダ等での研究ではあるが、刑務所内における暴力を解消する施策に関する研究のいくつかを紹介してみたいと思う。
著者
藤本 哲人 竪 京子 上田 明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.29, pp.33-38, 1994-03-18

現在着物を取り巻く環境は、決して明るいものとは言えない。着物離れの進行、価格やデザインの問題などいくつか挙げられるが、着物の作り手である職人の減少が最も大きな問題である。特に友禅型を彫る型職人の減少は深刻であり、このままでは3年もすれば型が彫れなくなると言われている。今日の着物の多くが型紙を用いて染める「型友禅」である状況で、これは日本の民族衣装である着物の存続に関わるものである。日本の伝統衣装でである着物を守り、職人の優れた技術を次代に伝えるべく、そして着物のファッションとしての新たな可能性を導き出すことを目指して「友禅染めCGシステム」の開発ははじまった。KIMONOS are known to the world as traditional beautiful costumus particular to Japan. However, a decrease in the number of skilled craftsmen will lead to serious problem as we approach the 21st century, which would result in tragic cultual loss for Japan. We have, therefore developed the "Yuzen Dyed CG system" to enable the continuation and even smoother production of this long established craft. This "Yuzen-Zome" technique, which has been a traditional part of Japanese culture since the 17th century, has now been succeeded by the lastest CADsystem and CG technology.
著者
中野 壮陛 藤本 哲男 吉田 正徳
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.361-369, 2006-06-01
参考文献数
21
被引用文献数
1

The purpose of this research is to create an optimal strategy to convert the Japanese medical device industry into a highly competitive power in the field by analyzing its corporate activity. In this first report, we are analyzing the market of medical products in Japan in the period from 1999 to 2003, the cause of why Japan is less than competitive in this field was studied. Multiple linear regression analysis was applied to 80% of medical devices in the domestic market. In the analysis, a dependent variable was a corporate share in the market, and explanatory variables included: a market growth rate, a global competitiveness index, a human body risk index, and quantity of products manufactured. As a result of the analysis, it was revealed that the global competitiveness and the human body risk index give respectively a positive and a negative correlation with the domestic corporate share. It is supposed that the main cause of low global competitive power in the Japanese medical device industry is that the industry tends not to develop new products due to the high risk of human life, and therefore it is difficult for the industry to develop products effectively. As a conclusion, it is necessary to research the detail activities of companies especially in this low competitive field.
著者
藤本 哲史 新城 優子
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.19-28, 2007-12-20 (Released:2022-08-19)
参考文献数
23

本稿の目的は,ファミリー・フレンドリー制度に対して従業者がもつ不公平感について探ることにある.データ分析の結果,以下の点が明らかになった.⑴制度に対する不公平感の平均値に男女差はないが,子どもの年齢が高い者ほど不公平感が高い.⑵上司が部下の仕事と家庭生活の両立に関して支援的な場合,制度に対する不公平感が低下する.⑶不公平感は性別役割分業に対する価値意識の反映である可能性が高い.
著者
才田 一幸 藤本 哲哉 西本 和俊
出版者
一般社団法人 溶接学会
雑誌
溶接学会論文集 (ISSN:02884771)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.216-221, 2010 (Released:2010-07-21)
参考文献数
19
被引用文献数
5 5

In order to clarify the behaviour and mechanism of the hydrogen embrittlement in SUS304ULC/Ta/Zr explosive bonded joint, the hydrogen embrittlement cracking at Ta/Zr bond interface was characterised. Cracks occurred in the Zr substrate along the wavy interface of the hydrogen-charged Ta/Zr joint. The cracking susceptibility increased drastically when the potential of specimen during hydrogen-charging was reduced below the redox potential of hydrogen. γ-ZrH and δ-ZrH were precipitated in the hydrogen-charged Zr and the precipitated γ-ZrH possessed a (0002)α-Zr//(11-1)γ-ZrH, [21-1-0]α-Zr//[110]γ-ZrH crystallographic relationship. An in-situ observation of the hydrogen embrittlement cracking with SEM and TEM revealed that cracks were initiated in zirconium hydrides and propagated preferentially along zirconium hydrides. These results suggested that the hydrogen embrittlement mechanism of the Zr base metal was caused by the precipitation of zirconium hydrides and the brittle fracture of them.
著者
山本 巌 田中 距聰 藤本 哲也 太田 和親 松崎 啓
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.7, pp.1227-1230, 1987-07-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
14
被引用文献数
4

1,1-ジフェニルポスホリナニウムプロミド[1]を出発物質として,二硫化ジメチルによるα-位へのメチルチオ基の導入,それにつづくデカナールとのWittig反応を行ない,対応するビニルスルフィド[4]を収率56%で得た。つぎに[4]を,ヘキサナールとWittig-Horner反応すると,アルコール[5]が収率67%で得られた。ついで,[5]を水素化ナトリウムで処理すると,Douglas Fir Tussock Moth(Orgyiapseecdotsugata)の性フェロモン前駆体であるジエン[6]が収率31%で得られた。さらに,[6]を塩酸水溶液で加水分解し,目的の性フェロモンて[7]を収率82%で得た。