著者
大塚 基広 平 博順 真貝 寿明
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本研究では,解答解説機能付き微積分ソルバの開発を行った.開発した自動解答ソルバは,主に大学生1年生レベルの微積分学について,教育目的として開発された.今まで,数式処理ソフトは多数開発されてきたが,解説を付与するものは少なく,答えのみを返すものが多かった.そこで本研究では,計算結果を出力するだけではなく,導出過程も出力し,加えて,グラフ描画や,接線を求める機能,Taylor展開や偏微分といった問題にも対応できるソルバの開発を行った.本ソルバでは,本学部1年生の講義「微積分学I」の期末試験の過去問について,70%の精度で解答として通用するものを作成できた.また現在,ソルバで解けない問題に対しても,ヒントを提示するようにして,対処している.
著者
中村 凌子 鈴木 浩子 渡部 勇 高木 友博
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

近年, オンラインギャンブルデータを用いた行動分析の分野が発展している. しかし, 時系列の行動変化に関する研究は十分になされていない. そこで本研究では, 問題ギャンブリング (ギャンブルにより生活に問題が発生している状態) に至るプレイヤーの早期発見を目的として, オンラインギャンブル行動データにおいてShapeletによる距離測定を用いた時系列変化を定量化する分類器を提案する. 特に, 短期間での局所的な行動特性を表すLocal-Shapeletと長期間での大局的な行動特性を表すGlobal-Shapeletの予測能力を調査した. 予測実験は, 時系列特徴量の方が非時系列特徴量より有効であることを示す. また, 局所的な時系列特徴量と大局的な時系列特徴量の両方を特徴量として用いた方が精度が高いことも示す.
著者
松下 真也 高野 敏明 友次 克子
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

本研究の目的は,少数言語の解明に向けた支援である.具体的には,少数言語を音声から文字に書き起こす作業の支援を目指す.本稿では,文字の書き起こしに向け,2言語間における音素の対応関係について調べた.実験では,英語と日本語の音素の対応関係を調べた.結果として,音素波形の一部が類似している場合,異なるであろう音素でも似ている音素として扱われることが得られた.
著者
浅野 孝平 全 眞嬉 徳山 豪
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

近年,深層学習をはじめとする高い識別性能をもつ機械学習モデルが様々な分野に応用されている.それらのモデルの多くはブラックボックスであり,ユーザがモデルの挙動や予測の原因について知ることが困難になっており,モデルや予測結果に解釈性に関する研究が活発に行われている.予測の原因となる特徴を特定する手法としてLocal Interpretable Model-agnostic Explanations (LIME) がある.しかしながらLIMEでは,個々の特徴の重要性を測ることはできるが,重要な特徴の組み合わせを特定することはできない.そこで,本研究では予測に影響を与えた特徴の組み合わせに着目した,新たなモデル依存性のない説明手法を提案する.提案手法では,特徴の組み合わせの中から,対象となる予測結果を得るために必要な特徴の組み合わせを探索アルゴリズムによって発見する.計算機実験によって従来のLIMEよりも高い予測能力を持つことが示された.また,画像分類への応用を行い,提案手法の有用性を検証した.
著者
篠原 裕之 石黒 達治 中村 遵介 山崎 俊彦
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

企業において商品を上市する際には、パッケージデザインに関する好意度調査を行い、良好な結果が得られたデザインを採用する事が多い。しかし、十分な消費者パネルを集めた調査には多額の費用が必要である、一度の調査にかけられるパッケージデザインの数に上限があるという課題がある。そこで、未調査のパッケージデザインを好意度調査に供した結果を畳み込みニューラルネットワークを用いて予測する事、その際にパッケージデザインの中で好意度に対して好影響を及ぼすと予測される要素と悪影響を及ぼすと予測される要素をClass Activation Mappingを用いて可視化する事、を目的に研究を行った。その結果、パッケージデザインのプレスクリーニングテストや調査においてデザイン上重要であると予測される要素をデザイナーにフィードバックすることが可能になった。
著者
浅尾 泰彦 坂本 龍太郎
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

画像認識において、画像全体のうち意味のあるものとそうでないものの境界を見極めることは重要な問題である。本稿では準写真という「写真らしい画像」を定義することで、この問題への数学的アプローチを試みた。「写真らしさとは何か」という問いを数学的に定式化するために、depthという画像に対して実数値をとる関数を導入し、その漸近挙動を解析した。また例において実際の写真が準写真であることを確かめた。depthの概念は方体複体の0次パーシステントホモロジーの階数から着想を得ており、将来的に高次の階数を解析することでより精密な画像の分類が得られると期待できる。また画像認識において近年積極的に活用が進められている深層学習の、学習データ選定への応用も期待できると考えている。本稿で画像認識における純粋数学の活用の1つのアプローチを提案したい。
著者
其田 憲明 神谷 匠 高橋 達二
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

人間は個人での試行錯誤的な学習だけではなく,他者の成功情報を受け取ることで学習をより促進させている.ここには他者の行動の模倣や結果の再現といった社会的な戦略が存在する.強化学習における他エージェントとの情報共有法としてはしばしば行動価値の共有が行われているが,状態や状態行動対ごとの情報共有が必要であり,現実には難しいことが多々ある.少なくとも人間や動物の社会的学習のモデルとしては現実性に欠ける.我々は人間の満足化原理を強化学習に反映した,Risk-sensitive Satisficingと大局基準変換法を用いた大局的な基準値の共有によって,より少量の情報共有による効率的な社会的学習が可能であることを示す.
著者
邵 博華 浅谷 公威 坂田 一郎
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

半導体は人工知能社会に置いて基礎的な役割を果たしている。近年、半導体産業における大規模な経営資源の統合と組織再編が行われている。そのため、本稿では半導体産業の技術動向や変化に着眼する。具体的には、米国と日本の半導体分野の特許データに関して分析を行い、特許の引用ネットワークを構築した。Louvain法を用いて、最大連結成分に対しクラスタリングし、代表的なクラスターについて考察した。両国間の技術ポートフォリオは異なるということが検出でき、tf-idfを用いて異なる技術分野のキーワードや特徴を抽出した。今後特許データベースの出願人情報と企業データベースの企業統合・買収(M&A)情報を紐付け、投資、M&A、技術特性や産業政策分析などの結果と連携して考察を深めていきたい。
著者
はたなか たいち
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

近年のアニメブームにより, 日本国内だけでも年間 100 本以上のアニメが制作されている.それにより, アニメのクオリティーは進歩を遂げており,1 本あたりにかかる制作費や制作時間も上昇傾向にある.しかしながら,アニメを作る際の出資額がそれに伴っておらず, 制作会社の金銭的負担が増加している.一方で,近年,ディープラーニングの飛躍的な発展を背景として,人工知能(Artificial Intelligence: AI) が社会を変える基盤技術として注目を集めている.本発表では人工知能をどのようにアニメ業界に導入していくのか,その際に問題となることはどのようなことなのか,また,創作者と人工知能という視点からアニメ業界を俯瞰し,アニメの未来について述べる予定である.
著者
高橋 啓吾 大森 光 小町 守
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

近年文内述語項構造解析(PASA)においてニューラルネットワークモデルが利用されている.しかしながら,系列ラベリングを用いた手法は一つの項候補に複数の必須格を割り当ててしまう問題がある.我々は新たな手法としてPointer Networksを用いたものを提案し,複数の必須格を割り当ててしまう問題が改善されることを確認した.
著者
本武 陽一
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

近年発達を続けるDeep Neural Networks(以下,DNN)が,与えられたタスクを達成するために必要なデータセットの情報を,その分布を多様体としてモデル化することで抽出する機能を持つことが示唆されている.また,DNN技術の有用性の確認とともに,多数の研究者・技術者が各種のDNNアルゴリズムの開発やパラメータチューニングを行なっている.この状況は,各種データセットに対する多様体構造についての莫大な知見が蓄積されつつあることを意味する.本研究の目的は,その取り出された複雑な形状を持つ多様体構造を,解釈可能な形で抽出する手法を提案することである.具体的には,物理学においてネーターの定理として知られる,系の対称性と系の保存量を結びつける技術をヒントとして,多様体の座標変換に対する対称性とその意味づけを行う手法を提案する.提案手法を中心力ポテンシャルにしたがって運動する物体の時系列データに適用した結果,角運動量保存則に従う対称性を抽出可能なことが確認された.
著者
大槻 知貴 菅谷 信介 大西 佑紀
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

推薦システムを構築する際には、行動ログからユーザおよびアイテムの潜在的な特徴を推測する(協調フィルタリング)と同時に、それらの既知の属性を考慮に入れることが不可欠である。2つの両極端なアプローチ間を自然に補間するため、特に行列分解を拡張する形で、多数のモデルが提案されてきた。本研究では、深層学習技術と高確率的プログラミングソフトウェアの近年の発展に基づいて、非常にシンプルかつ簡潔な実装でありながら、柔軟かつ過学習に対して頑健な(非行列分解型の)モデルを提案し、実サービスのデータに対して性能を評価する。また、提案モデルの予測値と組み合わせ最適化問題を用いて作成された配信計画を実サービスに対して適用し、特定の指標に有意な改善が見られることを示す。
著者
森下 壮一郎
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

本稿では,動画配信サービスなどのインターネットを介したサービスにおけるユーザの継続のモデリングを行う.メディアサービスのユーザの来訪間隔は冪分布に従う.これに基づき来訪間隔のモデリングを行い,さらに残差を復帰と継続とのそれぞれの要素に分離する手続きを示す.そしてインターネットテレビ局「AbemaTV」へのアクセスログを例にして分離の結果を示す.
著者
小野 宙生 小池 開人 森田 武史 山口 高平
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

近年,様々な場所でサービスロボットが普及しており,人間にとってロボットは身近な存在となりつつある.今後のロボット市場は拡大し人間との関わりも強くなっていくと予想される. 一方,現在の小学校教育においては,教師から児童への一方的な知識の伝達だけでなく,児童が主体性を持って学習することが求められており,現場でも様々な取り組みが行われている.これまでの教師支援ロボットの研究は,ロボットが教師の補助役にとどまっており,児童に主体的に学習させるという教育目標を達成するには不十分で会った. 本研究では,少人数のグループによるディスカッション授業にロボットを導入し,児童の議論を支援する「議論支援ロボット」を構築した.ここでは教師の補助役ではなく,議論参加者および司会進行者という2つの側面から,児童とともに議論を進行させていく役割を担わせた.また,ケーススタディとして,実際の小学校で本システムを用いたディスカッション授業を行い,改善点はあるものの児童および教師から高い評価を得た.
著者
長谷川 達也 加藤 昇平
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

人との自然な対話のために,対話システムは対話の雰囲気に応じた適切な応答を返す必要がある.本研究では,対話の雰囲気を推定するシステムの構築を目指す.我々は,推定実験での使用を目的として,対話音声,対話雰囲気評価データ,実験協力者の性格特性を収集した.対話音声は発話時間特徴の算出に利用する.提案手法では発話時間特徴と性格特性を用いて対話雰囲気推定を行う.本稿では,今回特徴量として追加した性格特性の有効性を検証する.結果としては,一部の対話雰囲気ラベルの推定において性格特性は有効に働き,性格特性と対話雰囲気の間の関係性が示唆された.
著者
浅谷 公威 鳥海 不二夫 大知 正直 森 純一郎 坂田 一郎
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

人間関係は人々の移動を決定する要因であるため、そのメカニズムの解明は人間の移動の理解や制御に重要である。以前の研究では位置情報ゲームなどの行動履歴の解析により特定の状況下における人間関係と移動との関連性が解明されてきた。しかし、人間関係と移動を紐付けるデータの取得は難しいため、多様な人々の人間関係やそれらの日常的な移動への影響の理解は進んでいない。本研究では、大規模・長期間の人間の移動データより人間関係を抽出し、その妥当性を議論し、人間関係と移動との関連性を明らかにする。ぶんs3年間で600万人の日常的な移動をカバーする鉄道の移動データを用いた。通勤客などの見知らぬ同乗者同士の抽出を防止するために同時移動を複数のパターンで行う人々の間に人間関係を推測する手法を提案し、抽出結果の妥当性は条件を変えた観察より裏付けた。抽出した人間関係の密度を年齢性別のグループ別に観察し、高齢男性の孤立などの社会構造を明らかにした。また、人間関係のある人との移動は非日常的かつ短距離であることが多く、それらは時空間的に収束することが確認された。そして、この性質を用いたイベント検知が有用であることを確認した。
著者
西 朋里 小川 祐樹 服部 宏充 高 史明 高野 雅典 森下 壮一郎
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

近年、インターネットの普及により人々の知識や関心の形成に対する既存のマスメディアの影響が変化しつつある。そのため、新規のメディアの視聴者に対する効果を明らかにする必要がある。本研究は、インターネットTVにおける視聴者のコメントとニュースの放送内容との関連性を明らかにすることを目的とする。具体的には、TF-IDFと多変量解析を用いて視聴者のコメントの分析を行った。その結果、娯楽性の高いソフトニュースに批判的な発言や差別的な発言が多くなる傾向が見られた。
著者
奥村 紀之 奥村 嶺
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

本稿では,顔文字の原形推定におけるマルチクラス分類をフィードフォワード型ニューラルネットワークで実装した事例について報告している.ニューラルネットワークには層ごとにユニットが配置されるが,ユニット数の妥当さは自明ではなく,実験的に決定する必要がある.そこで,ユニット数と分類正解率の観点から,ユニット数の最適値について調査を行った.その結果,本タスクにおいて,経験則として尤もらしいとされるユニット数である6500ユニットを利用することが最適であることが分かった.
著者
内田 匠 吉田 健一
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

本研究は顧客と対面販売員のコミュニケーション問題として、購入される商品が事前にヒアリングした内容と同じものではない現象について検討を行った。この現象は企業が適切な商品を顧客に提案する上で問題となる。本研究では、1) 実際にこの現象が実在するか、を1年以内に分譲マンションを購入した人へのアンケート調査で確認した。さらに、2) 何をヒアリングすれ ば購入内容を予測できるか、を機械学習の手法を用いて検証した。その結果、この現状が一般的に実在し、より多くの顧客情報を入力とすることで購入物件の予測精度が改善することを確認した。