- 著者
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田渕 恵
三浦 麻子
- 出版者
- 日本老年社会科学会
- 雑誌
- 老年社会科学 (ISSN:03882446)
- 巻号頁・発行日
- vol.41, no.3, pp.322-330, 2019-10-20 (Released:2020-10-23)
- 参考文献数
- 21
- 被引用文献数
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1
本研究は,高齢者と若年者という異世代が創造的課題に共同で取り組む際の,世代間相互作用の特徴を明らかにすることを目的としたものである.創造的課題として積み木課題を用い,同世代間・異世代間の相互作用場面の会話内容に着目した.高齢者同士・若年者同士・高齢者と若年者の3群の2名集団により実験を行った.先行研究に従い課題遂行中の会話を4つのカテゴリ(「提案の要求」「新しい提案」「提案に対する反応」「相手の行動に対する評価」)に分類し,各カテゴリに関する発話比率が条件間でどのように異なるかを検討した.その結果,高齢者では相手が若年者である場合のほうが同世代よりも,「提案の要求(相手に提案を促す発話)」の比率が高く,若年者同士ではそのような傾向は認められなかった.異世代間の特徴として,高齢者が若年者に対して目的遂行のための新奇な行動を促す役割を担うという,世代による役割分担が明確に行われている可能性が考えられた.