著者
片岡 信之
出版者
日本経営学会
雑誌
經營學論集 第89集 日本的経営の現在─日本的経営の何を残し,何を変えるか─ (ISSN:24322237)
巻号頁・発行日
pp.19-28, 2019 (Released:2019-09-26)

日本的経営が経営学の世界で議論に上ったのは第二次世界大戦後,しかも1950年代であった。それは日本企業が漸く戦後復興を遂げ,外国から注目されはじめた頃であった。それ以来,日本経済や企業の発展過程で時と共に,環境変化の中で,日本的経営概念は,当初の終身雇用,年功制,企業内組合,集団主義,企業内福祉制度,経営家族主義,人間主義などという内包から常に外延(射程)を拡大してきた。そのことは日本的経営研究の方法についても,反省を迫っている。日本的経営は(一般経営学のアメリカ経営学派,ドイツ経営学派と並ぶ),一般経営学の日本経営学派であるとする藻利重隆の所説に立ち返って,日本的経営概念を当初の狭い外延の議論から,もっと広範囲の経営分野に及ぶ広義の日本的経営論に転換しなければならない。日本的経営学は,①一般経営学的内容と②日本的に特殊な内容の2つを一体的に内包する学問である。本稿では,そのことを具体的に述べようとした。
著者
池内 秀己
出版者
日本経営学会
雑誌
經營學論集 第89集 日本的経営の現在─日本的経営の何を残し,何を変えるか─ (ISSN:24322237)
巻号頁・発行日
pp.6-18, 2019 (Released:2019-09-26)

1970年代初め頃から日本経済の驚異的な発展の原動力として,欧米にはみられない独自の経営のあり方が注目され,1980年代にはわが国を経済大国に導いた日本的経営は,90年代のバブル崩壊以降,その限界が指摘され改革が叫ばれている。だが,日本的経営の評価は,今なお賛否相半ばする。本稿では日本的経営論のこれまでの議論を整理した上で,「家論」の観点から日本的経営の「原理と構造」を論じ,その全体像を理解する手がかりとするとともに,現在の問題を指摘したい。